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KIN,YOO

ドキュメント内 著者 国立国語研究所 (ページ 71-74)

4653.02 5527.94, 5536.99

3746.41, 3785.42, 3786。01, 6631.69 0776.88

5690.12 7303。38 3767.87, 7404.56

 KINEI   7659.31,7659.40,7659.62  KINEE   7659.51

 KINII   7659.53

 これらのうち,語中にGを持ついくつかの語形は,キ ニョオなどの口蓋化のニョの調音点の位置が後退し,軟 口蓋の位置にまで行ったものと考えられる。

 赤で示したもののうち,KINOONAからCINNY−

ONAまでは,〜NAを除いた部分が,紺で示した各語形

と対応する。1(1NINA, KINNINAは宮城に各1地

点見られ,分布地域はかなり異なるものの,入髪の各語 形といちおう形の上では類似が見られる。それに対し

て,KINA以下に並べた各語形は,末尾が〜ナとは

なっているが,その前の部分が紺で示したキノオ類と必 ずしも対応しない。慎重な立場をとればキノ異類にナが 付加してさらにそれが変化しこれらの語形が生まれたの か,全く別な変化の道程をたどったのか,にわかには判 断しがたい,ということになる。分布は北海道に1地点 見られるほかは,すべて東北地方から長野にかけての地 域の日本海図の半分に限られる。

 これら末尾に〜ナを持つ類は,他のひにちに関する図

(275図「さきおととい」,276図「おととい」,277図「お ととい己)ぼん」,279図「さくぼん」,281図「こんぽん」)

に見られるので,それらを通覧する必要があろう。275 図から279図までの各図に現われる〜ナの領域は,みな ほぼ同じと言えよう。ただし,分布の密度にそれぞれち がいがあり,本図の密度が最も高いと言うことができ る。それに対して,281図「こんぽん」ではバンゲナ等の わずかな語にしか〜ナは現われず,分布も,岩手南部,

宮城北部のごく狭い地域に限られている。282図「あし た」以下,283図「あしたのぼん」,284図「あさって」,

285図「しあさって」,286図「やのあさって」の略図には,

283図「あしたのぼん」にASITANOBANGENAが

3782.38(秋田東南部)に1地点見られる以外には現われ ない。このように見ていくと,この接尾要素〜ナは,時 間的には過去を現わすものが主流であり,現在および未 来の意味は原則として持っていないと考えてよさそうで ある。ただし,岩手南部,宮城北部の小地域では,「今 晩」という未来,あるいは近い未来にも使うことがある

らしい。「明日の晩」の意味でのASITANOBANGE−

NAもこの岩手の数地点の領域の東縁に位置し,やはり 未来を言う点では意味的にも,地理的にも「こんぽん」の 図のものと連続が認められる。

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 名詞として用いられた場合と副詞的に用いられる場合 とで,これらの表現は全く同じなのであろうか。歴史的 な考察にはいるまえに,共時的な文法機能についてな

ど,さらに考えるべき点が多いようである。

279.さくぼん(昨晩)

 この図に現われる語形は,El本全土に分布するユウベ およびその変種の類と,キノオノバン,キノオノヨサリ など,キノオノ〜という表現をとる類が大方を占める。

 ユウベおよびその変種のうち,ユウベナ,ユベナ等,

末尾に〜ナを持つ類を,他の図に現われる〜ナとの関連 を考えて,草を与えた〜ナを持たないものから分出し,

空を与えた。なお,キノオノ〜の中にも〜ナを持つもの が含まれている。これら〜ナを持つものは東北地方から 新潟・長野にかけて連続した領域を持ち,275図から 278図までに見られる〜ナの分布とほぼ一致する。〜ナ については,278図「きのう」の解説でやや詳しくふれた ので参照してほしい。

 ユウベ類は,音声的な区別をやや詳しく示した。空の 類については,末尾の〜ナを除いた部分に草類と同一の 符号を与えたので,〜ナ以外の問題では草類と同列に扱 う。なお,これらユウベの前部分,ユウ〜・ヨオ〜等の 音声については,255図「ゆうだち」に現われるユウダチ 類の音声との関連が考えられるので比較してほしい。

 音声面で注目した点はいくつかあるが,まず,ユウベ 対ユンベ,ヨオベ対ヨンベのように,〜べの前に嬢音を 持つかどうかをとりあげた。べた符号は面輪のないもの,

中ぬき符号は擬音の見られるものを示す。両者の分布は 全国的に混在していると言えよう。ただ,九州西半から 琉球にかけて嬢音のないものの分布が目立つ。とくに琉 球には擬音はまったく見られない。また,その中間的な ものとして,入りわたり鼻音の見られるものもあった。

これらは音韻論的に単に有声音に属する入りわたり鼻音 と認めてしまう見方と,不完全な嬢音とみて,ユンベな どとの関連をみる見方との二様の解釈が可能であろう。

この図ではとくにどちらとも解釈せずに,鼻音記号を 付して見出しとして分出し,半分しろぬきの符号を与え た。秋田を中心に東北地方に多く見られ,愛媛にも見ら れる。

 YUUBE, YUNBE対YOOBE, YONBE のよ

うに,はじめの母音がウとなるかオとなるかという点に       278・279

も注目した。多少の例外はあるが,ウとなるものには長 めの四角形,オとなるものには正方形の符号をそれぞれ 与えた。オとなるものは,九州に広い占有領域を持つほ.

か,近畿周辺部,北陸にも分布が見られる。東日本にも 散在するが,北海道,東北地方の東半分,関東には少な い。琉球には全く見られない。諸表現を比較して「ゆう べ」の古形をたどるときには,九州に見られるこれらオ を持つヨンベ,ヨベが注目されよう。「ゆふべ」からの変 化とは,考えにくい表現だからである。『源氏物語』に見 られる「よべ」と関連づけるべき表現とすべきものかもし れない。

 ユウベ類の語頭の半母音が摩擦音となって現われるも のは,大きい平行四辺形で示した。東北地方に散在す る。これらについては,260図「ゆき」,266図,267図

「ゆげ」などにも現われるので比較してほしい。このほ

か,YUBERAからYONBERAまでは,青森に9

地点見られる。末尾の〜うは空とすべきものではないか もしれないが,いちおうここに置いておいた。奄美沖永

良部に見られるYUBIRUも,何らかの1音節末尾要

素を持つという点を考慮して,いちおうここに置いた。

 赤で示したものの語形のまとめかたは,前部分,後部 分とも,すべて277図「おとといのぼん」で赤で示した類 と同じにした。277図の解説を参照してほしい。符号の 与え方も,対照の便のため全く同じとした。この図の赤 塗の分布と277図の項類の分布とを比較すると,当然で はあるが,この図で赤の現われるところには,277図で 赤は現われていない。ある種の相補的分布を示してい

る。ただし,両図の赤は,九州・琉球を除いては,はっ きりとした占有領域を持たず,地域的にまとまった領域 間での相補関係は示していない。あるのは地点地点の,

あるいは,小地域間の相補関係のみである。したがっ て,すぐ隣の地点で,キノオノ〜の意味が逆転すると いう地域的にみて不安定な現象が各地で生じている,と いうことになる。各地で,いろいろなコミュニケーショ ン上の誤解が生じるのではあるまいか。ただし九州・琉 球では,この相補関係が広い地域にわたり,キノオノ〜

の意味はこれらの地域ではまず安定していると考えられ

る。

 紺で示したものには雑多なものが含まれ,まとまった 分布をもたないものが多い。うち,YAZEN, YA−

ZYENうYADENは,四国を中心に西日本に散在す

る。『大日本国語辞典』によれば,『保元物語』などに「夜

279。280 一一一 U7

前」という例があるようである。広島西部,山口には

YUUYA, YUUYAGATA, YUN,YAが見られる。

「夕」と「夜」との複合したものであろうか。

280.きょう(今日)

 この項目は後期調査計画で関東以西、中国・四国にか けての地域で調査を打ち切ったため,それらの地域では 調査地点が少ない。

 この図に現われる語形は,凡例末尾のKONNICI以 外,すべての語形が共通語のキョオと同形あるいはその 変種と考えられるものであり,分布も比較的単純である 点が特徴と言えよう。

 作図にあたっては,いくつかの共通点をとりあげて,

符号の形の上に反映させた。おもなものを挙げるとつぎ

のようである。KYOO, CYOOなどのように長母音

を持つものは横向きの符号で,KYO, CYOなどのよ

うに,短母音を持つものは縦の符号でそれぞれ示した。

短母音を持つものは,東北地方北半と九州南半に多く分 布する。新潟・関東以北,および,琉球列島に分布する

CYOO, CYUUなど口蓋化を伴ったもの,さらには その変種と考えたSYUU, HYUUなどはべた符号で

示した。琉球に点在するKUU, CUU, SUU, HUU には口蓋化半母音の要素を含まない類として一類の符号 を与えた。長三角形を与えた3語形は,開音のオ,オオ を持ち,円形符号を与えたものはすべて,ウ,ウウと合 音を持つ。開音を持つものは愛知西部の1地点を除い て,すべて新潟に分布する。合音を持つものは,九州か ら琉球にかけて広い領域を持ち,新潟・山形(1地点)に も分布が見られる。KIYOは岩手に1地点見られる。

K〔kg〕YOOは頭子音に摩擦を伴うものを分出したもの で,東北地方に点在するほか,熊本にも1地点見られ る。東北のものは,音声的にはCYOO, CYOなどの 口蓋化を伴うものに関連するものと言えよう。KEI,

K:EEは入丈に, Idlは奄美に, KIIは入丈と沖縄久

米島にそれぞれ分布する。KONNICIは西日本に5地

点点在する。無回答は,6631.05である。なお,併用と

して現われるもののうち,共通語と認めて削除したもの

はKYOOで去る。ただしく併用処理〉をした地点数

は多くない。

 「きょう」の古形は「けふ」とされている。九州以南に分 布するものは多く合音を持ち,この「けふ」からの変化と

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