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87一

ドキュメント内 著者 国立国語研究所 (ページ 93-96)

 MAANは,2072.20の〔ma=1〕〕と,2075.22の〔ma=N〕

のみ。

 MASSANは,2076.25のみ。〔?massaη〕とあっ

た。

 MAAIは,0275.36のみ。〔maai〕とあった。

 MAASAは,0256.08,0256.76,0256.89で,〔,ma:sa〕

とあった。

 MASAは,0246.48,0247.31,0248.00で,〔,masa〕

とあった。

 注記について見ることにしよう。

 OISIIと他のものが併用として現われ, OISIIのほ うがく上品,共通語的表現,新しい,希〉としたものが,

86地点あった。7356.70のNMAIとOISIIとの併 用で,OISIIをく昔〉とする。7427.90のNMAIと

OISIIとの併用で, OISIIをく多〉とするのが,わず かの例外であった。

 NMAIなどとNMEEなどとの併用で,前者が

〈上品,共通語的表現,新しい〉とするものは,4695.87,

5672.67, 5676。84,5791.68,5792。62, 7386。63, 7406.53,

7503.48,8335.48であった。

 UMAIとNMAIの併用で,前者を〈共通語的〉と

するのは,5568.22であった。

 以上を通観することによって,全国の中でおもな表現 としてOISII, UMAI, UMEE, NMAI, NMEE,

NME, NMAK:A, MAI, MAASANのあることが

わかる。

 この9見出しを中心にして分布を概観すれば,OISH は,関東から中国・四国にかけて,いわば国の両極を除 いた地域に,散在すると言えよう。注記などから,新し い発生ということができよう。この地図から省略した女 性語のあることから,伝播は,女性語を介していること も考える必要がある。『日本国六大辞典』は,美味の意の イシの例としては『太平記』を挙げ,また,『日葡辞書』の

「この語がこの意味で用いられる時は,通常女性が用い る」を引用している。なお,オイシイの例としては『浮世 床』を挙げている。

 UMAI, UMEEの類と, NMAI, NMEEの類

と,MAI, MAASANの類との分布を見ると, U〜の 類が,青森,栃木・群馬・埼玉・山梨・静岡,滋賀・京 都,島根・広島・山口,大分・宮崎にややまとまりを見 せ,N〜の類が,秋田・山形・福島・茨城・千葉・新 潟・富山・石川・岐阜・三重・奈良,兵庫・岡山,香

一一 W8

川・徳島・高知,福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島にま とまっているといえようか。MAIは出雲, MAASAN は沖縄である。この観点からは,201図「うま(馬)」と対 比することができる。似てはいるが,違いもある。質問 の形式の違い,語源の違いなども考えに入れる必要があ

る。

 つぎに,UMAI, NMAI, MAIの類と, UMEE,

NMEE, NMEの類との分布を見ると,後者が,岩

手・秋田,岡山南部,大分・宮崎・鹿児島東部に見られ ることがわかる。質問が選択式であることを考慮する必 要があるし,分類にも違いがあるが,28図「あかい(赤 い)」などと対比することができる。

 結局,大局的には,ウマイ類が全国的に古くからの表 現であり,オイシイの類が,新しく中央から広がって

いったことを示す地図,ということになる。

292・ケチダを 不思議だ,不都合だ    などの意味で使うか

 本図は,質問番号208と209の2項目の結果を組み合 わせて作図したものであるが,そのほか質問番号207「け ちということばですが,『けち』とか『けちだ』ということ ばをどんなときに使いますか」で回答された内容のうち,

208または209の回答を補っていると判断したものにつ いては採用した。このほか,関連した調査項目として,

質問番号210「物惜しみをするという意味で『けちだ』と いうことばを使いますか」があるが,これの地図化は割 愛した。なお,207,208,209の3項目とも,前期調査 のみなので,地点数が少ない。

 208,209の質問文に示された意味内容は,かならずし も明確であったとは言えないので,207も含めて3項目 の原カードの注記をてがかりにして,「使う」,「使わな い」をあらためて分類しなおした。208,209を通して,

「使う」という回答の記入してあるもの,および「使う」

に次のような注記のあるものも,「使う」に分類した。

〈古〉,〈新〉,〈上〉,〈下〉,〈共〉,〈子〉,

〈希〉,(?)。このほか,208の場合,カードに「使う」

となくとも,作図に際して「使う」に分類した注記内容は 大よそ次の通りである。〈けしからん男〉,〈悪い奴〉,

〈ひどい男〉,〈変人〉,〈ふうがわりな〉,<常識な し〉,〈正常でない〉,〈変わった時分に変わったこと

291・292

ρ.

をする〉,〈偏屈で人並でない〉,〈ひねくれてすなおで  は,青森西部,秋田東部,九州西南部,琉球などが主な ない〉,〈人の意見に横車を押したり反対したりする〉,  地域であるが,全国を詳細に見れば,その傾向の地域は く物になんでも反対する〉,〈人の言うことをきかな  もっと広げられよう。

い〉,〈強情〉,〈道理を知らない〉,〈義理を欠くよ   この両項目の歴史関係を見ることは,実は,簡単では うな人〉,〈しなければならないことをしないでいる〉,  ない。それは,前述したように,両項目の間の意味分担 く自分本位の人〉,〈人づきあいをしない〉,〈人づきあ  の境界がはっきりしていないからである。 『全国方言揮 いが悪い〉,〈人になんくせをつける〉,〈心が汚い〉,  典』によると,「けちな」が「不都合な,けしからん」の意 く人の悪口を言うような人〉,〈うそをつく人〉,<こ  味として,仙台,群馬,石川,秋田,岩手,宮城で,「変 とばつかいが悪い〉,〈話のわからない奴〉,〈つまら  な,妙な,不思議な」の意味として,栃木,群馬,山梨,

ない奴〉,〈異風な〉,〈乞食など異様な風体〉,〈不   長野,岐阜,石川,福井,三重,出雲,大分で,それぞ 愉快〉,〈気にくわない〉,〈虫が好かない〉などであ  れ使われている,とされる。さらに,「けちだ」が「耕作

る。209の場合,カードに「使う」となくとも,作図に際  者に凶事があるという田」の意味として長野県で,「けち して「使う」に分類した注記内容は大よそ次の通りであ   くそ」が「不都合だ,けしからん」の意味として大阪で,

る。〈ケチに当たる〉,〈巫女におがんでもらって急に  「けちび」が「怪火」の意味として高知で使われている,と 治ったときなど〉,〈妙な日・こと〉,〈けったいな〉, する。これらは地域的にも交錯しており,またかなり広 く変わった〉,〈おかしな〉,〈合点がいかない〉,〈わ  い地域にわたっている。『日葡辞書』には「不吉なことの けがわからない〉,〈自分の考えにそぐわない〉,〈損  前兆」の意味の語として採っているが,それが両項目の をする〉,〈勘定して合わない〉,〈悪い運のきっか  意味とどう結びつくのか,「物惜しみ」の「けち」との結び け〉,〈事が順調に進まなくなる〉,〈まが悪い〉,  つきはどうか。また,『上方語源辞典』に「ケ(異)の派生 くマンが悪い〉,〈不審な〉,〈不幸な〉,〈不吉な〉,  語か」としているように語源はなにか,など,不明な点 く不運がつづく〉,〈悪い因縁〉,〈悪いことがつづ  がまだまだ多い項目である。

〈〉,〈ケチがついたからけがをしたなど〉,〈縁起が

悪い〉,〈奇怪な〉,〈原因不明の火をケチ火〉,〈怪    293.いくつ(何歳)

しい火を見て〉,〈坐る家に変事が起こった場合〉,

〈不慮の死にあう〉,〈神仏のばちがあたる〉,<たた   49図「いくつ(個数)」,50図,「いくら(値段)」,特に中 りがあるとき〉などである。しかしながら,この2項目  者との関連が密接であることから,語形のまとめ方を一 間の意味分野のあいだに,かならずしも明瞭な区別があ  致させ,符号を共通にした。

るわけではなく,重なり合う部分,あるいは連続してい   本図の分布は,49図,50図,ことに前者とかなり類似 る部分があるため,この分け方に問題はあろうし,また  しているので,重なり合うものについての解説は,49 別の見方も出てこよう。       図,50図の解説を参照してほしい。以下,主として分  符号は紺1色で示し,次の4通りの組み合わせによっ  布の違いを示すものについて記述する。

てそれぞれ異なった符号を与えた。ω 質問番号208,   緑の符号で示したイクッ類が国の中央部地域と北海 209いずれも「使う」,(ロ)質問番号208「使う」,質問番  道,九州・琉球などに分布し,赤で示したナンボ類が北 勢209「使わない」,囚質問番号208「使わない」,質問  海道・東北,近畿・中国・四国,九州東部に分布し,草 番号209「使う」,同 質問番号208,209いずれも「使わ  で示したイクラ類,紺で示した符号のうちDOSIKO ない」の4種類である。      からDORESIKOまでのドシコ類が九州に分布して  ←f)は,能登半島から富山・岐阜・愛知にかけて連続分   いて,巨視的には49図とほとんど共通した分布を示し 卜しており,回は,岩手およびその周辺,埼玉・東京お  ている。以下,49図と地域ごとに対比してみると,福

よびその周辺,富山・石川などにまとまっており,の  島南部,新潟・佐渡でイクッ類がふえ,ナンボ類が少な は,中部から近畿にかけてと四国南部,大分などに分布   くなっており,福井南部から滋賀・:≡重・和歌山にかけ している。ω回のの混在は鳥取・島根・山口などにやや  てもイクツ類の分布がやや広がり,ナンボ類の領域が 目立つが,それ以外のあちこちの地域にも見られる。圓  後退している。九州では,ドシコ類にかわってイクツ

 292●293      − 89

類が分布の密度を高めている。イクツ類は,奄美から沖 縄本島にかけての地域でも,イクラ類にかわって分布を 広げている。49図で北陸・近畿,九州などに分布する

DOREDAK:E,高知に見られるDOREBAAは本図 ではまったく見られないし,DONOKURAIも,長

野・岐阜以外に見ることができない。逆に,49図で まったく見られなかったNANIDOSIが6646.23に,

NANNOTOSIが6436.57,6631。05セこ, NANSAIが 5565.12にある。年齢を尋ねるのだから,当然であろう。

 50図とは,ナンボ類の分布がほぼ重なり合う。ただ,

山梨およびその周辺,石川,滋賀,和歌山,高知,福 岡。熊本,宮古諸島などで,ナンボ類にかわって主とし てイクツ類が分布している。イクラ類は,佐賀・対馬・長 崎,熊本南部で重なり合った分布を示しているが,50図 のイクラ類の分布地域のうち,北海道,福島南部から近 畿に至る国の中央部地域,九州中部地域,琉球では,代 わって主としてイクツ類が分布している。50図で,九州 中南部にドシコ類が,富山およびその周辺にDORE−

DAKEがそれぞれまとまって分布していたが,本図で は,九日中部を除き,代わって主としてイクツ類が分 布している。

 以上が49図,50図との大まかな対比であるが,こと に,意味分野のより近接する49図と,1地点ごとに対比 してみると,両図の間の差異が明らかになるはずであ る。たとえば,3751.81,3761.74の2地点は,49図〔nam−

bo七s離〕,本図〔nambo〕であり,2095.60は,49図〔u:bi〕,

本図〔u【tsI〕であるがごとぎである。今後,それぞれの 語が含包している意味範囲の地域差などについての詳細 な調査なども考えられよう。年齢を尋ねるといっても,

相手がどんな人かを想定するかによって,ことばづかい が異なることなども,考えておく必要がある。

294.かつぐ(片方の肩で包を担ぐ)

 この地図は,第2集所載の64図「おんぶする(幼児を負 う)」,65図「しょう(・包みを背負う)」,66図「かつぐ(材 木を担ぐ)」,67図「かつぐ(天秤棒を担ぐ)」,68図「かつ

ぐ(二人で担ぐ)」と通じる項目なので,語形の分類の仕 方を合わせ,符号の色・形をなるべく共通させてある。

また,295図「かつぐ(担ぐ) 第66,67,68図の総合図」

とも関連するところがあるので,それぞれの解説ととも に参照してほしい。なお,後期調査のみの項目なので,

地点数が少ない。〈併用処理〉は,この項自内容を示す 共通語形が明瞭でないということから,その原則を適用 しなかった。凡例に示した見出し語形については,たと えば,〔katapi kakerul〕(7401.92)は見出し語形KA−

KERUとして示し,〔katae kakete kanzullkul〕

(4648.42)はKAKETE KAZUKUとして示し,そ

れぞれの名詞部分〔katapi, katae〕の部分は無視した。

 各語類の地図上に現われる分布の仕方は,関連地図の いずれかの同語類の分布と共通するものもあるが,この 地図の内容が臨時的な動作と考えられるせいか,.まと まった領域の現われない語類が多かった。それぞれめ語 類および語形のうち,関連地図に現われ,重なり合う分 布を示すものについては,それぞれの地図の解説でふれ てあるので,この地図に特徴的な丁丁,語形および分布 を中心に述べることにする。

 緑の符号を与えたカツグ類は,66,67,68図と似た 分布を示している。このうち,HIKKACUG〔1〕〕Uか らKATAK:ACUG〔1〕〕INISURU までの語形のそれ ぞれの前部分,HIK〜, HURI〜, HU〜, BUK〜,

ドキュメント内 著者 国立国語研究所 (ページ 93-96)