• 検索結果がありません。

KDDI

ドキュメント内 open innovation表1-表4_1c (ページ 154-161)

4.4 「フラウンホーファー」モデルに見る産学連携型のドイツ

5.1 国内企業による推進事例 (以下、五十音順)

5.1.3 KDDI

148 成功要因の分析

これらの取り組みが進められている要因として、主に以下の点が挙げられる。

 企業グループ間の連携とトップの理解

企業グループ間の連携という点では、オリンパス株式会社研究センターのコンセプトや戦略の 提案や、ワークショップやハッカソンの実施と、オリンパスイメージング株式会社のプロトタイプ、製 品の開発がある。また、新しい開発手法に対するオリンパス、およびオリンパスイメージング株式 会社の役員の理解があった。

 社外の巻き込み

これまで、数年間で複数回のワークショップやハッカソンを実施してきた。ハッカソンの様子を社 内へ共有することによる社内の巻き込みが加速した他、ワークショップやハッカソンの実施にあた り、知見を持つ会社によるサポートを得ることで社外の力も巻き込めている。

<参考情報>

 オリンパス関係者へのインタビュー結果

 オリンパスHP 「OPC Hack & Make Project」

http://www.loftwork.jp/case/detail/others/20150401_opc1.aspx

 日経ビジネスオンライン 「日本企業にオープン・イノベーションは有効か?オリンパスが再確 認した世界の技術レベル」、ナインシグマ・ジャパン代表諏訪 暁彦(2009年3月12日)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20090309/188511/

 OPC Hack & Make Project http://opc.olympus-imaging.com/about/

 Web担当者Forum、「良い顧客体験(CX)を生み出すために必要な3つのポイントを、オリン パスの新製品開発プロジェクトに学ぶ」

http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2015/04/15/19691

課題・背景

近年、通信キャリアが直面する共通の問題の一つに、「土管化」が挙げられる。スマートフォン の普及に伴い、フィーチャーフォン時代のように、携帯電話事業者が端末からソフトウェア、ネット ワークまでを一括して提供する垂直型ビジネスモデルが通用しなくなったことに加え、モバイルイ ンターネットの普及で仮想移動体通信事業者(MVNO)の出現や楽天モバイルなど他業種による 携帯電話事業への参入が加速し、大手通信事業者はますます通信回線の提供のみに追いやら れるという現状の打破に頭を悩ませている。

KDDIは、2000年頃より上記の課題に対して「通信インフラ事業者として今後ユーザーに何を提 供するのか」という危機感を抱き始め、新領域開拓には自前主義では限界があり、自社に不足す るコンテンツやスキル・ノウハウを外部パートナーとの連携により獲得する方針を積極的に推進し てきた。

取り組み

これまでのKDDIのオープンイノベーションに関連する主要な取り組みの変遷を以下にまとめ る。

図表 5-7 KDDIにおけるオープンイノベーションの取り組みの変遷

年 主要な取り組み 具体的な内容

2005年~  国内外の外部パートナー 企業と業務・資本提携

 DeNA auオ ー ク シ ョ ン 事 業 (2005) 、Google EZweb検索エンジン(2006)、Skypeサービス提 供(2010)、Facebookソーシャル電話帳「jibe」と の連動など(2011)

2009年~  IP系ファンドへのLP出資  Infinity Venture(2009)

 Doll Capital Management(2011)

2011年~  KDDI∞Labo設立  ベンチャー支援インキュベーションプログラム開 始

 サンフランシスコにも拠点設置、シリコンバレー のベンチャー企業との共同事業推進

2012年~  KDDI Open Innovation Fund(KOIF)設立

 VCグローバル・ブレインと共同設立

 1号ファンド(50億円)に続き、2号ファンド(50億 円、運用期間10年)設置

2015年~  Syn.alliance開始  スマホ向けアプリのポータルサイトで、参画サー ビス同士の相互連携でスマホの価値倍増を狙う

5

5

図表5-7 KDDIにおけるオープンイノベーションの取り組みの変遷

150

KDDIでは、2000年初頭から2010年頃までの国内外の新興企業との外部提携促進やファンド 出資によるベンチャー企業とのネットワーク強化、北米拠点における海外投資家やVCとのコネク ション、さらにベンチャー企業との付き合い方に関する知見・ノウハウを地道に蓄積する中で、「ギ ブファースト」「ベンチャーファースト」の理念を第一に、ベンチャー企業と事業しやすいスキーム・

仕掛けづくりを着実に整備してきた。KDDI∞LaboおよびKOIFはその中核を為す。KOIFは、海外 ベンチャーへの出資等より意思決定のスピードが求められる中で本社機能を介さずに迅速な投 資判断ができるよう権限委譲する体制構築の必要性から生まれた。

図表 5-8 企業ステージ別のKDDIの支援スキーム

KDDILabo KOIF 本社の直接投資/M&A

 基本コンセプト:

グローバルに通用するインタ ーネットサービスを創出する ベンチャー企業を対象とした インキュベーションプログラム

 概要:

開発環境の提供、社内外メン タリング、KDDIアセットを活用 した営業・経営支援を提供。

3~4ヵ月(最終日Demo Day) でサービスリリース、事業立 ち上げを目指す

 基本コンセプト:

事業の成長カーブを加速させ る段階にあるアーリーからミド ルステージ企業へのマイノリ ティ出資

 投資領域:

1号: Eコマース、ゲーム、メデ ィア

2号: IoT、ネットとリアル融合 領域

 運用実績:

ポートフォリオ28社(うち海外 11社)

 基本コンセプト:

KDDIの全社戦略や長期的な シナジーが見込める場合に は、本体から直接出資・M&A する判断も

 実績:

これまでにソーシャルゲーム アプリGREE、生活情報サイ ト nanapi、カレンダーアプリ JORTE等に出資

出所: RIETI115

115 独立行政法人経済産業研究所(RIETI)BBLセミナー資料(2015年3月)

http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/15031201.pdf

5

5

150

図表5-8 企業ステージ別のKDDIの支援スキーム

 見えてきた課題と新たな取り組み

上記の活動を通して、オープンイノベーションを創出する際、ベンチャー企業(事業拡大のため の資金・人材不足、パートナー不足)と既存企業(新規事業創出のノウハウ不足、イノベーション 風土・人材不足)で異なる課題に直面しており、両社が連携することで互いの課題・不足点を相互 補完する仕組みが必要と判断した。そのため、2014年9月(KDDI∞Labo第7期)より、KDDIと既 存企業18社が手を組み、各社が保有するアセットをベンチャー企業に提供・支援するパートナー 連合プログラムを開始した。同プログラムのパートナー企業には不動産や印刷・金融・小売など KDDIがアセットを持たない業界やベンチャー企業がアプローチしにくい業界大手を揃える。

図表 5-9 パートナー連合プログラムの参加企業と仕組み

出所: KDDI116

その他にも、以下のような新たな取り組みにも挑戦している。

(1) MeetUp!

大阪インキュベーションハブ、福岡県、広島市、石巻市の地方自治体と連携し、各地方ベン チャー企業のピッチイベントを開催

(2) 出張ピッチ

KDDI∞Labo卒業企業がパートナー企業に出向いて登壇ピッチを行う。パートナー企業側に ついては、複数部署のマネージャーや役員が出席

(3) ハードウェアプログラム

サービス向けのオリジナルプログラムと異なり、ものづくり領域で6ヵ月間でアイデア創出、プ ロトタイピングを経て、最終的にはクラウドファンディングを通じたハードウェア完成、KDDIの 販路を活用した量産化を目指す新たなプログラム

5

5

図表5-9 パートナー連合プログラムの参加企業と仕組み

152

図表 5-10 ハードウェアプログラムの内容

出所: KDDI117

今後は、パートナー連合プログラムによる既存企業とベンチャー企業のビジネスマッチング強 化、成功事例を増やすことで社内外でイノベーションが生まれやすい環境の整備、さらに米国拠 点を中心にグローバル展開の加速を目指していくこととしている。

 取り組みによる社内変革

なお、同社において、これまで取り組みを推進するにあたり直面した課題や解決方法、ベンチャ ー企業を支援することで生まれた社内の変革を以下にまとめる。

(1) 社内の人材育成、ノウハウ・知見の蓄積

KDDI∞Laboでは各ベンチャー企業のサービスに関連する社内の人材にメンターに入ってもら う他、特にKOIFでは出資先候補企業年間約500社との面会から会得する経験や、出資後の事業 立ち上げ・拡大を共に考え抜くことでベンチャー企業やイノベーション創出に関して知見やノウハ ウを蓄積している。このような人材には、事業が一定程度成長し、社内の関連部署に譲渡する 際、事業責任者として着任させることで、社内の他部署への知見・ノウハウ共有、イノベーション人 材育成機能の一旦を担ってもらう。

117 http://www.kddi.com/ventures/mugenlabo/hardware-program/

5

5

152

図表5-10 ハードウェアプログラムの内容

(2) 迅速な意思決定をサポートする社内体制の構築

ベンチャー企業の支援・出資にあたっては、事業の規模やスピード感が異なるため、可能な限 り大企業側がベンチャー企業に合わせる仕組みづくりが必要である。例えば、KDDIでは前出のと おり迅速な意思決定を行うスキームの一つとしてKOIF立ち上げ、さらに煩雑な社内手続きが障壁 となった際には社内ルールを簡略化しベンチャー企業のスピードに即した体制を組んだ。さらに、

現場責任者と担当役員間で2週間に1回報告機会の場を設け、密にコミュニケーションをとる他、

投資判断をすべてその場で行うなど意思決定を遅らせない体制を整える。

成果

KDDI∞LaboやKOIF等のオープンイノベーションの取り組みを通じた成果を、以下にまとめる。

図表 5-11 KDDILaboおよびKOIFにおける成果と支援企業例

KDDILabo KOIF

 第1~9期の支援企業数:43社

・第1期giftee: KDDI∞Labo参加後、auスマ ートパス会員向けサービス提供開始。KOIFよ り出資し、法人部門との協業などKDDI既存事 業とシナジー創出

 ポートフォリオ:28社

・LUXA: ECサイト運営。KOIFより出資しau スマートパス会員向けサービスの事業提携か ら入り、2015年4月に子会社化。au WALLET マーケットを展開

出所: RIETI118

さらに、パートナー企業連合プログラムを通じたビジネスマッチングの事例が生まれている他、

同プログラムではベンチャー企業からイノベーションを生み出すエネルギーやスピード感・文化を 学べたなど既存企業から総体的に高い評価・満足度を得ている。また、このような対外的取り組 みの実績が社内に浸透することで、各事業部から提案が上がってくるようになった。既存事業と有 望なベンチャー企業を効果的につなげ新規事業やシナジーを創出するためにも、社内の各事業 部でどのようなニーズがあるのか、情報の吸い上げを今後強化していきたいとしている。

5

5

図表5-11 KDDI∞LaboおよびKOIFにおける成果と支援企業例

ドキュメント内 open innovation表1-表4_1c (ページ 154-161)