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オーストラリア連邦政府の取り組み

ドキュメント内 open innovation表1-表4_1c (ページ 140-143)

4.4 「フラウンホーファー」モデルに見る産学連携型のドイツ

4.5 先進事例に学びエコシステム構築に動くオーストラリア

4.5.2 オーストラリア連邦政府の取り組み

DIISR傘下のチーフエコノミスト局(Office of the Chief Economist)は、2011年より同国のイノ ベーション動向をOECD諸国と比較分析したイノベーションレポート「Australian Innovation System Report」を発表している100。2015年の同レポートでは、同国の課題として、オーストラリア は新たな市場領域の産出に弱く、ドイツをはじめとする欧州諸国に遅れをとること、イノベーション を創出するような事業に対するVC投資やプライベート・エクィティ投資額の少なさ、起業文化の欠 如、政策・規制枠組みや公募制度の整備の遅れ、グローバル市場を意識するベンチャー企業の 少なさ(地方ビジネスとして起業するケースも多い)が挙げられている101。このような抽出された課 題に対して、オーストラリアでは以下のような取り組みを実施している。

図表 4-31 オーストラリア政府によるベンチャー企業に対する政策・規制緩和に関する取り組み

概要 Industry Innovation and

Competitiveness Agenda (IICA)

 2014年10月、起業活動を活性化させイノベーションを創出し やすい環境整備を目的に、行動計画を策定

 主な内容として以下が盛り込まれている

・ベンチャー企業における従業員持株制度の見直し

・クラウドベースのエクィティファンディングに関する制度

・複数のビザの見直しと改訂 従業員持ち株制度の見直

 2014年の連邦予算案で、ベンチャー企業に対する現状の従

業員持株制度(Employee Share Scheme)に係る税制の見 直しに関する枠組み案を提出

・適格ベンチャーキャピタル投資を、年商テスト、およびグルー プピング規定から除外する(新興企業優遇制度)

・持株制度によるオプションを行使して取得した株式を12ヶ月以 内に売却した場合には、キャピタルゲイン税を50%減額

 2015年7月より施行 クラウドベースのエクィティ

ファンディングに関する制 度

 2013年9月より専門委員会が設けられ、クラウドにおけるエク ィティ投資を認可するべき議論が開始された

 2014年12月に規制緩和に関する提案書を議会に提出 投資家ビザの改訂  投資家ビザ・投資永住権ビザで、より海外からの投資を呼び

込むため投資額の水準を上げる改訂

・Significant Investor Visaでは、最低100万ドルの国内VCへの 投資で4年間の在住ビザを取得可

・Premiumでは、12ヶ月の期間で1,500万ドルの投資で永住権取得可 出所: Office of the Chief Economist102

100 オーストラリア産業・イノベーション・科学省

http://www.industry.gov.au/Office-of-the-Chief-Economist/Publications/Pages/Australian-Innovati on-System.aspx

101 Office of the Chief Economist, Australian Innovation System Report,

http://www.industry.gov.au/Office-of-the-Chief-Economist/Publications/Documents/Australian-Inn ovation-System/Australian-Innovation-System-Report-2015.pdf

102 Office of the Chief Economist, Australian Innovation System Report,

http://www.industry.gov.au/Office-of-the-Chief-Economist/Publications/Documents/Australian-Inn ovation-System/Australian-Innovation-System-Report-2015.pdf

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図表4-31 オーストラリア政府によるベンチャー企業に対する政策・規制緩和に関する取り組み

4.5.2 オーストラリア連邦政府の取り組み

図表 4-32 オーストラリア政府によるベンチャー企業向けの補助金の枠組み 概要

Accelerating Commercialization Stream103

 中小企業、起業家、研究者を対象とした製品・サービス・研究 開発の商用化支援

 最大100万ドルの補助金

 専門家からのアドバイザリー支援 Innovate New South

Wales

 総額375万ドル

 約250社のベンチャー企業を対象に1社あたり1万5,000ドル

 プロトタイプ製品等によるマーケットテストが対象 Innovation Investment

Fund104

 1998年に立ち上げられたファンド向けの出資プログラム

 2013年12月同プログラムを通じて最大規模のファンドThe Carnegie Innovation Fundの立ち上げを最後に終了

Entrepreneurs

Infrastructure Program105

 2014年、4億8,420万ドルを投じ、事業計画策定から商用化ま で起業家・ベンチャー企業に対して幅広いサービスをワンポー タルで提供するプログラムを設置

 同プログラムの下に、R&D Tax Incentive、Industry Skills Fund、Industry Growth Funds、Manufacturing Transition Fundのファンドを設け、ニーズに応じて出資

 しかし、2015年度は予算を半減 出所: Office of the Chief Economist106

また、オーストラリアは日本のように島国で、グローバル市場を意識しづらい環境にある。この 影響を受けて、ベンチャー企業も国内市場や地方ビジネスにおける成功のみに終始し、グローバ ルでの事業展開に目を向けづらい。若い起業家やベンチャー企業の意識変革の目的も兼ねて、

グローバル環境へのアクセスを支援するプログラムとして、以下の取り組みを実施している。

103 http://www.business.gov.au/advice-and-support/EIP/Accelerating-Commercialisation/

Documents/AC-Factsheet.pdf

104 http://www.business.gov.au/grants-and-assistance/closed-programs/iif/Pages/IIF-Fact Sheets.aspx

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図表4-32 オーストラリア政府によるベンチャー企業向けの補助金の枠組み

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Advance Innovation Program

アクセラレータープログラムやインキュベーション施設の整備ではまだ遅れをとるが、同国にお ける興味深い取り組みの一つとして、2012年よりオーストラリア政府と民間企業が産官連携で運 営するベンチャー企業支援プログラム「Advance Innovation Program」がある。同プログラムは、

主にオーストラリア連邦政府および主要な州政府の資金援助で運営されており107、若手起業家 やベンチャー創業者といった優秀な人材をグローバル環境に触れさせることで、グローバルレベ ルで同国出身の起業家ネットワークを築くとともに、学んだグローバルな競争環境やイノベーショ ンに関する知見を国内に還元することで、同国のイノベーション創出を活性化させることを目的と している。

「Advance Innovation Program」の主要な内容は、起業家・ベンチャー企業のコミュニティ機能、

フェイスブックやシリコンバレー発ゲームアプリを開発提供するベンチャー企業Zyngaなどのエン ジニアによるメンター制度、米国派遣プロジェクトelevate61等である。elevate61では、支援起業 家・企業を10日間米国に派遣し、現地アクセラレーターにおける3日間のワークショップ、シリコン バレーをはじめとするVC・投資家や起業家コミュニティとのネットワークづくり、グーグルなどのグ ローバル企業の訪問が含まれる108。2016年の同プロジェクトでは、農業、エネルギー、ヘルスケ ア、金融分野に特化する予定である109。これまでに同プロジェクトを通じて派遣されたベンチャー 企業には以下のような企業が挙げられる。

図表 4-33 Advance Innovation Programにおけるelevate61派遣ベンチャー企業 ベンチャー企業 elevate61による米国派遣企業

Tapestry  1人住まいの高齢者を家族や友人が住むコミュニティとオンラインでつな

ぐサービス提供

Triplebackup  中小企業のバックアップシステム支援サービス。災害後のダウンタイム

をなくすことを目的に開発

Healthkit  難病の治療方法や潜在的な健康問題の解決を目指し、世界規模のヘ

ルスデータプラットフォームを構築

SeeForge  B2B向けモバイルレポーティングプラットーフォームで、企業が既存の書

類作成やプロセスを簡単にモバイルデバイスに移行できる 出所: Advance Innovation Program

107 具体的な拠出額や民間企業からの資金援助の詳細情報は得られなかった

108 http://www.elevate61.com.au/

109 http://www.elevate61.com.au/about/

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図表4-33 Advance Innovation Programにおけるelevate61派遣ベンチャー企業

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