5.年間指導計画
テーマ Eー① 「科学と芸術」ー音や声の仕組みを探ろうー (全5時間) 題目(配当時間)
I
学 習 内 容│
指 導 上 の 留 意 点 ・ 評 価 楽器の音の出る11.導入仕組みを探る。│ ①音とは何かについて考える。
(3時間)
②音階が作られる仕組みを考える。
2.弦楽器の音が出る仕組みについて 理解する。
①弦楽器の原理を探る。
‑物体の振動が振動波となり、空気を 振動させて音ができることを、音叉、
大太鼓、うなり木などを使って示す。
・ギターや寧の弦を使ってピタゴラスの 音階を説明する。
‑ヴァイオリンを実際に弾かせ弓が弦を 振動させる様子を体験させる。
‑教室の前と後ろにさまざな弦楽器を用 意し、音を出させる。
②他のいろいろな弦楽器に触れ、音│・クラシックで用いる弦楽器のみでな の出る仕組みゃ、音色の特徴などをつ│く、民族楽器についてその特徴や文化
発 声 の 仕 組 み を 探る。
(2時間)
かむ。
3.管楽器の音が出る仕組みについて 理解する。
①紙でイカ笛やストローオーボエを 作り、木管楽器のリード原理を探る。
②マウスピース、ホース、漏斗を使 い金管楽器の原理を探る。
(4. 時間があれば打楽器の音の出る 仕組みについて理解する。)
1.発声のメカニズ、ムを理解する。
①声が出るまでの流れを、呼吸器官、
発声器官、共鳴器官のそれぞれについ て理解する。
②音色を決める要素について理解す る。
③割り箸発声法を体験する。
④オペラ歌手の鍛え上げられた発声 の例を鑑賞する。
2.さまざまな発声や歌声を理解する。
①ホーミー、密教の声明、地声発声、
ヨーデル、カウンターテナー、ケチャ など多様な音楽を鑑賞する。
②ホーミー、ヨーデル、ケチャを実 際に体験する。
3.単元全体のまとめをする。
の違いをつかむ。
‑木管楽器と金管楽器の吹口やリード、
マウスピース部分の仕組みについて説 明し、実際に吹いてみて理解を深めさ せる。
・金管楽器のピストンやスライドなど音 程を変える仕組みを図、演奏を通して 理解させる。
‑積極的に活動に参加しているか、観察 により評価する。
‑息の流れや肺・横隔膜の動き、声帯の 振動の仕方、共鳴腔などについて、映 像や図を見ながら理解させる。
‑音色や発音を決める声帯や共鳴腔の動 きを映像や図を見ながら理解させる。
‑喉頭蓋を上げることでよい発声になる ことを割り箸を使って体験させる。
・オペラ「魔笛」の中からコロラトゥー ラソプラノ(夜の女王)とパス(ザラスト ロ)のアリアを鑑賞させる。
‑なぜそのような多様な発声が生まれた のか、民族や文化の違いの面から考え させる。
‑積極的に活動に参加しているか、観察 により評価する。
‑分かつたことや疑問点、感じたことな どを中心にまとめさせる。
‑音や声の仕組みに関する科学的な知識 を身につけているか記述から評価する。
6.成果と課題
この「音や声の仕組みを探るj というテーマは、音楽の根本にかかわる重要なものでありながら、
時間的な制約のため音楽の授業の中では取り上げることが難しかった内容である。また、受講するの が授業での音楽選択者のみならず、他の芸術選択の生徒も対象となっていることにも特徴がある。つ まり、高校の芸術科目は音楽・美術・書道のうちから 1つを選択するため、生徒は自分の選択した科 目以外は高校の3年間の授業ではほとんど接する機会はなかったが、このカリキュラムによって、ク ラス単位で全ての芸術科目のサイエンスが体験できるようになった。生徒の反応も「自分が選択して いるいつもの芸術とは違った内容が新鮮だった」という意見が多くあがっていた。当校の「総合的な 学習」は教科とリンクするというのが特徴であるが、このサイエンス Hのカリキュラムはまさに教科 に密着し教科独自のねらいに迫るとともに、サイエンス全体のねらいである科学的な思考力を育むと いう観点にも沿っているといえる。
指導に関しては、この単元の特徴である、さまざまな体験をさせることによって、生徒の興味・関 心を高め、探求活動の効果が上がることが分かつた。体験の例としては、実際にさまざまな楽器に触 れて音を出し、音の出る原理を確かめたり、発声に関する映像を見た後でその発声で実際に歌い、追 体験を行ったりした。特に、普段接することのない多くの楽器に触れたり、さまざまな民族楽器の思 いもよらない音の出る仕組みは生徒にとって大きなインパクトを与え、今年度行った調査では学習し て1年を経過した後でもその内容が知識としてしっかりと定着していることが検証された。また、こ のサイエンスが音楽の授業や音楽に関する活動でどのように役に立ったか(これから役に立っと思う か)という間いには、発声やさまざまな歌声に関しての学習が、自分自身の発声や歌唱表現に役立つ
と多くの生徒が答えている。また、音楽の鑑賞の授業に関しても、サイエンスでの器楽や発声の学習 が少なからず生かされていることが調査結果から分かつた。
一方、教師の側からみた場合、このカリキュラムを創っていく過程でさまざまな発見があり、そこ からまた新たな疑問が湧いて、それについて調べたりすることで音楽的な視野が広がるという大きな 効用があった。それはまた、間接的に音楽の授業へのフィード、バックと繋がっていくものと考えられ
る。
今後の課題としては、このテーマは内容の多様さに比べて時間数が少ないため、体験学習を重視す るためには、もっと時間をかけてじっくりと取り組む必要があるように思われる。また、取り上げた 内容のうち、発声に関する学習は生徒にとって、直接歌唱や合唱などの授業に役立っため、ねらいの 1つで、ある問題解決能力が育まれたといえる。しかし、楽器に関する学習では知識として身に付き、
科学的な思考力は育まれたものの、リコーダーやギターなど実際の授業で行っている器楽表現の場で は十分役立つているとはいえない状況がある。これからは器楽の分野でも、生徒の実態に即し、問題 解決能力に結びつくような体験学習の内容を改善していく必要がある。
く
〉 テーマEー② 「科学と芸術」ー視覚の世界を探求しようー
プラン
1(全5時間)<平成 15・16年 度 実 施 >
1 .概要
西洋および東洋(日本)の特徴的な視覚表現を幾っか取り上げ,鑑賞・探究・体験(表現)を 通して、視覚表現におけるものの見方・捉え方・表し方について分析的に考察し,その表現の意 味に迫る。また,視覚芸術作品と科学技術との関連やそれを生みだした人々の世界観、人間観等 についても考える。この学習活動の柱は次の3点である。
①造形表現の背景(鑑賞)
人間は自然や社会の事象を捉えるとき,造形表現において多様なものの見方とらえ方を試みて きた。人間は何をどのように見つめ,捉え,表現しようとしたのかを探究・鑑賞する。
②体験(表現)
特徴的な視覚表現についてその手法を実際に追体験することによって表現の意味を理解する。
③美と造形表現の仕組み(分析・考察)
歴史的な造形作品を題材に,形や色,素材などの造形要素(造形言語)の仕組みについて分析 し,視覚による空間知覚とビジュアルコミュニケーションの意味を探究・考察する。
2.ねらい
「サイエンスプログラム」で育みたい能力や資質・態度について,この学習では特に「自然や 社会の様々な事象を認知する能力J["読解力,表現力,コミュニケーション能力」の伸長につな がることを目
f
旨している。具体的な学習のねらいとしては,視覚表現におけるものの見方・捉え方・表し方を分析的に考 察することを通して科学的・論理的な思考力を育むことである。
3.題材設定の理由
芸術表現の様々な事象を捉えようとするとき、単に感覚的に観るのではそれを理解したことに はならない。視覚芸術における作品は形と色による言葉であり,その仕組みゃ背景を理解したり 感じ取ることによってはじめてその作品の表現の意味に迫ることができる。この学習では、視覚 表現作品を多面的な視点から分析的に捉えることを重要視し、感性と理性を総合したものの見方 や考える力を伸長することをねらいとする題材を設定した。
4.評価の観点およびその趣旨
この学習のねらいは視覚芸術の作品を分析的に鑑賞・考察する能力とそれを通して論理的な思 考力を高めることが大きなポイントであるので,以下のように評価の観点を設定した。
(1)文化について,その事象を生み出した人間の価値観・世界観を探りながら理解しようとする。
( 2)多面的な視点からの情報収集や考察を試みようとする。
( 3 )制作の背景にある作者の感動や夢,作品に込められた心情などを感じ取り,分析的に表現の意 味に迫ろうとする。
(4 )日本と諸外国,古典と現代の視覚表現作品を比較し,表現の独自性と共通性を感じ取ることが できる。
( 5)表現のよさや作品の美しさを考察し,自己の意見を述べることができる。