3. GPS 受信機の省電力な運用方法
3.3. GPS 受信機の電源を入れるタイミングによる TTFF 短縮効果
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3.3.3. 実験
屋外での実験によってGPS受信機の観測開始タイミングによってどの程度TTFF 及び測位成功率が変化するか確認した。実験場所は熊本大学北側に広がる立田山であ る。受信環境はオープンスカイと比較してGPS信号が平均で5dB以上劣化した環境 であった。TTFFの解析には3月26日0:00から96 時間分の観測データを用いた。
なお、観測タイミング毎のサンプル数はそれぞれ256~269個である。
3.3.4. 結果
仰角45°以上に3つ以上の可視衛星が見えた場合の実験結果を抽出し、図3-12に
測位開始タイミングとTTFFの関係を示した。図3-12は横軸がTTFFの区間を表し ており、縦軸が観測データの累積度数を表している。例えば、SF4の1秒前にGPS 受信機の電源を入れた場合、TTFFが31秒であった例が同じ系列の21.8%を占めて いたことが分かる。なお、本実験では他のGPS受信機が放射するノイズにより干渉 を起こしており、SF4の1秒前に電源を入れたケースにおける32秒時点での累積度 数は、干渉を起こさなかった場合に比べて約20ポイント劣化している。
本実験の結果より、GPS受信機の電源投入タイミングが TTFFへ強く影響してい ることが明らかになった。特に、SF3とSF4の1秒前にGPS受信機の電源を入れた 場合、他のケースに比べて明らかに早い段階で測位が完了している。
図3-12 GPS受信機の電源投入タイミングとTTFFの関係
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
25 31 37 43 49 55 61 67 73 79 85
累積度数
TTFF区間 (s) SF1 1秒前
SF2 1秒前 SF3 1秒前 SF4 1秒前 SF5 1秒前
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測位が早いということは、平均的な TTFF が短く省電力になるだけでなく、測位 環境の判断が早い段階で実施できることを示している。GPS テレメトリにおいて、
測位環境を早い段階で判断できれば無駄な測位を中止することで省電力化を実現で きる[8]。従って、SF3 若しくはSF4の手前でGPS 受信機の電源を入れると良いと いえる。
次に、GPS 受信機を起動させるタイミングと測位成功率および平均起動時間の関 係を表 3-1 に示す。この表の中で、タイムアウトとは測位成功率が 60%を初めて超 える時間とした。また、平均起動時間は、測位でき次第GPS受信機の電源を切り、
かつ測位できない場合はこのタイムアウトまで電源 ON の状態を維持するものとし て計算した。
ここで、SF3とSF4の場合を比較すると、平均起動時間はほぼ同じであるのに対 して、タイムアウト時の測位成功率はSF3の方が5%も高い値を示した。ここで、タ イムアウトの時点において、SF3とSF4の両方のケースはエフェメリスを2回受信 している。サブフレームの先頭に存在する同期信号を受信する回数は SF3 の前から 開始した方がSF4の前から開始するのに比べて1 回多いから、信号を捕捉する確率 が高いのはSF3の方であったことを示している。
本実験の結果より、劣悪な測位環境に置けるGPS受信機の電源を入れるタイミン グは、SF3の直前が最も適していることが示された。
表3-1 GPS受信機を起動させるタイミングと 測位成功率および平均起動時間の関係 起動タイミング 最短TTFF(s)
(測位成功率(%))
測位成功率(%)
@タイムアウト(s) 平均起動時間(s)
SF1 1秒前 38(3.76) 70.3 @80 65.0
SF2 1秒前 38(5.95) 61.0 @74 62.1
SF3 1秒前 38(30.3) 65.2 @68 57.7
SF4 1秒前 32(21.8) 60.7 @62 53.6
SF5 1秒前 26(5.08) 62.5 @74 60.8
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3.3.5. 本手法の将来的な優位性
本実験結果より、GPS受信機のTTFFと測位成功率がGPS受信機の電源を入れる タイミングによって大きな影響を受けることが明らかになった[9]。既存のGPS首輪 は、時刻同期を行っているケースでもUTCにおける0秒もしくは30秒を基準とし たスケジュールで GPS 受信機を起動させているようである。この場合、2013 年 5 月現在のうるう秒は16秒であるので、サブフレーム3の2秒手前から測位を開始し ていることになる。従って、現時点におけるGPS受信機の起動タイミングは偶然に も理想的なタイミングである。
ただし、将来的にうるう秒がさらに2秒追加されると、サブフレーム3のTLMワ ードによる同期が取れなくなるから、GPS 受信機の測位性能が劣化する可能性が高 いと考えられる23。
一方で、本研究における手法は GPS 時刻に同期した GPS 受信機の起動スケジュ ールを行うことが可能であるため、常にベストなタイミングでGPS受信機を起動さ せることができるという面で優れている。
23 うるう秒が18秒に達するのは2020年前後とみられる。
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