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プログラムの開発

ドキュメント内 熊本大学大学院自然科学研究科 (ページ 91-99)

3. GPS 受信機の省電力な運用方法

3.4. GPS 受信機の起動間隔の合理的決定

3.4.4. プログラムの開発

本研究では、GPS の観測間隔とホットスタートの割合の関係を求めるプログラム の開発を行った。本プログラムの基本的な流れを図 3-13に示す。プログラムは、起 動時間のリストに基づいて衛星の座標を計算し、受信機からの可視状況の判定を経て、

GPS 受信機がホットスタートになるかどうかを求めている。衛星座標の計算には実 際に放送されたエフェメリス(以下、放送暦)を用いた。全ての起動時刻について計 算を終えるとプログラムは終了する。なお、起動回数に占めるホットスタートの数を ホットスタートの割合と定義する。

最後に、プログラムによって求めたホットスタートの割合を用いて、実在するGPS 受信機の消費電流をパラメータとして平均的な消費電流量を推計した。

図3-13 ホットスタート判定プログラムの全体の流れ

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3.4.4.2. 放送暦の更新則

GPS テレメトリでは測位完了の直後に電源を切る。また、ホットスタート時の TTFFは通常18秒以下であるから、エフェメリスを完全に取得できない。従って、

図3-14に示すように、ホットスタートと判定された場合は放送暦を更新しないもの とみなして、シミュレートすることとした。

図3-14 受信機内部の放送暦更新ルール

3.4.4.3. ホットスタート判定則

ある測位がホットスタートになるかどうかは、図3-15に示す流れで判断を行った。

本研究では、4つ以上の可視衛星について、前回の起動時までに取得できている放送 暦が有効期限内であればホットスタートとみなした。

図3-15 ホットスタート判定

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3.4.4.4. IGS から入手可能な放送暦とそのフォーマット

本研究では、衛星位置の計算にIGS(International GNSS Service)24が提供して いる放送暦を利用した。IGSの提供する放送暦はRINEXと呼ばれるテキスト形式で 配布されている。放送暦の例を図3-16に示す。

放送暦にはエポック25とGPS衛星のPRN番号,軌道パラメータ,衛星クロック情 報,ヘルス情報が収められている。軌道パラメータ等は実際にGPS衛星が放送した エフェメリスと同一である。なお、放送暦の軌道パラメータはエポック±2 h以内で 誤差最小となるように設計されており、通常の放送暦の使用期限は4時間である。

図3-16 放送暦の例

放送暦を一部抜粋した。

24 IGS:http://igscb.jpl.nasa.gov/index.html

25 ここで云うエポックとは、軌道情報の基準となるGPS時刻を指す。

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3.4.4.5. 放送暦の整列規則

GPS受信機が保持する放送暦の有効性を判断するには、放送暦の放送時刻(TOM:

Transmittion time of Message)に注意を払う必要がある。IGSから得られる放送暦

はエポック順に並んでいるが、図3-17に示す様に TOMは前後している。放送暦が 放送時刻順に並んでいないため、RAM に蓄えた放送暦を格納した順で使うと TOM の古いものを使ってしまう可能性がある。従って本研究では、計算しようとしている 時刻よりも小さく、かつ保持している放送暦の中では最新の放送暦を選択した。

なお、TOMはGPS週秒で表現されるが、これをGPS時刻へ変換することで週を 跨いだ処理に対応している。

図3-17 放送暦のTOMとエポックの関係

2010年6月26日~同年6月27日間の放送暦を用いた。

TOMの不連続性に対処するには、エポックよりも約6時間程度未来までの放送暦 が必要である。また、初回の計算のためには前日分のデータも必要となる。従って、

ある期間の計算を行う場合、前後丸1日分の放送暦を用意した。

-10,000 10,000 30,000 50,000 70,000 90,000 110,000 130,000 150,000

0 10 20 30

GPS週秒で見た放送時刻

データ番号(エポック順)

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3.4.4.6. 衛星座標の計算

放送暦を利用した衛星位置計算プログラムの基本的な流れを図3-18示す。ここで、

PRN番号とは衛星を識別するための番号である。通常のGPSの測位衛星には32ま で割り振られている。なお、GPS 衛星の座標計算には、電子航法研究所が配布して いるプログラムを利用した[10]。

図3-18 衛星の位置計算フロー

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図3-18における“*”印の部分では、図3-19に示すシーケンスが実行される。

図3-19 放送暦の選択フロー

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3.4.4.7. 入力データと出力データ

図3-20にGPS受信機の起動時刻のリストを示す。本研究では、バッチ処理により 開始時刻とインターバルを基に、自動的に生成させた。

図3-20 計算エポックのリスト

次に、図3-21に本プログラムから出力される、測位衛星の座標を示す。参考として、

これを基に描画した衛星軌道を図3-22に示す。

図3-21 出力データの一部

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図3-22 PRN1-PRN8の軌道

GPS時刻の703,728,000 s~約1日分を描画した。

3.4.4.8. 衛星位置座標の計算精度確認

衛星軌道の計算精度を確認するために、IGSが公開している精密軌道暦26と比較し た。PRN2衛星に関する比較結果を図3-23に示す。他の衛星に関しても確認したと ころ、誤差はほぼ6 m以内であった。本研究ではこの程度の誤差は問題ない。

図3-23 2010年7月7日~同年7月10日におけるPRN2の衛星の軌道予測誤差

262週間後の金曜日に発表される衛星の精密座標を精密軌道暦という。絶対誤差は1

~3 mm程度といわれている。「http://igscb.jpl.nasa.gov/components/prods_cb.html」

よりダウンロードできる。

01 2 34 5 67

962,582,400 962,596,800 962,611,200 962,625,600 962,640,000 962,654,400 962,668,800 962,683,200 962,697,600 962,712,000 962,726,400 962,740,800 962,755,200 962,769,600 962,784,000 962,798,400 962,812,800 962,827,200 962,841,600

計算し衛星座標の絶対誤差 (m)

GPS time (s)

90

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