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GPS 受信機

ドキュメント内 熊本大学大学院自然科学研究科 (ページ 36-39)

2. 無線ネットワークを利用した GPS テレメトリ観測システムの開発

2.5. 回路設計

2.5.7. GPS 受信機

GPSテレメトリではGPS受信機はマイコンによってON-OFFコントロールされ る。起動直後のGPS受信機は全ての相関器を用いて測距信号の捕捉を試みる。続い て、4つ以上の衛星について信号を捕捉し、それらの衛星に関する軌道情報を保持し ていれば、測位計算を行った上で測位情報を外部へ出力する。マイコンがこの測位情 報を受け取ると、GPS受信機の電源は素早くOFFとされる。

GPS受信機の選択に当たって、検討した項目を以下に示す。

(1) 捕捉感度 (2) 動作電圧 (3) 最大動作電流

(4) 測位情報の出力プロトコル

(5) アルマナックを必ずしも必要としない

測距信号が捕捉できなければ測位演算を行うことができないので、測距信号の捕捉 感度がGPS受信機の選定の上で最重要なパラメータである。森林下で行われるGPS テレメトリでは樹木による信号強度の減衰が起こるため、GPS 受信機には高感度な 信号捕捉性能が求められる。

動作電圧と電流は、GPS受信機以外の部品の設計に関わるパラメータである。GPS 受信機の動作電圧によっては、マイコンの動作電圧や通信路間のレベルシフトICが 必要となる。また、動作電流は全体の消費電力に直結することはもちろん、バッテリ の種類、リプル対策に影響する。また、GPS 受信機の定格電圧と電流はともにレギ ュレータの種類と電源回路の漏れ電流量に影響する。

GPS受信機の消費電流は、信号捕捉のために電源投入直後が最大となる。GPSテ レメトリでは測位完了の直後に電源を切るから、観測中はほぼ常に消費電流は最大と なる。従って、GPS受信機の消費電力の計算には最大消費電流を用いる。

GPS 受信機の出力する出力プロトコルが GPS 受信機で標準的な NMEA 0183

(National Marine Electronics Association)3であるか、独自バイナリであるかは開 発期間に影響する。もしプロトコルがバイナリであれば専用のパーサーを用意する必 要があり、小規模マイコン上でのデバッグ作業の煩雑性を考慮すると無視できない。

もしGPS受信機がバイナリ出力であれば2人月程度の開発期間を見込むべきである。

アルマナックとは測距信号に分割放送されているGPS衛星の粗い軌道情報である。

GPS 受信機はアルマナックをドップラーシフト量と時間遅延量の推定に用いて、

3 NMEA 0183とは、ASCIIコード文字により表現された、時刻,測位座標,速度,

測位に利用された衛星の情報などを含む測位情報である。

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TTFF(初期位置算出時間)の短縮を図る。ただし、アルマナックには有効期限があ

り、かつ ON-OFF を繰り返す GPS テレメトリではアルマナックを更新できない。

GPS 受信機によってはアルマナックが有効でないと測位を行わないので、消費電力 量を減らすためには、測位のためにアルマナックを必ずしも必要としないことが重要 である。

表2-1に検討したGPS 受信機の一覧を示す。これらは2008年秋時点で入手可能 で、かつ電源電圧と実装サイズ,通信信号規格が利用しやすいという点においてGPS 首輪に組み込みが容易なGPS受信機の中から選んだ。GPS受信機のメーカーは上か ら順に、古野電気,ポジション社,SAN JOSE TECHNOLOGY INC.,ETEK

NAVIGATION INC.,SkyTraである(敬称略)。

表2-1 検討したGPS受信機一覧

型式 出力プロトコル 省電力

モード

捕捉 感度 dBm

追尾 感度 dBm

最大 消費 電流 mA

動作 電圧 V

大きさ L, W, H mm GH-82 古野バイナリ あり -133 -138 19 2.9~3.6 24.7, 23.7, 8.0 GPS-72D NMEA あり -140 -155 40 3.1~3.6 23, 20, 9.7 TK-1315LA NMEA なし ND -159 58 3.3 42.5, 14, 7.0

EB-85A NMEA なし ND -158 59 3.3 30, 30, 8.6 SUP500F NMEA/独自バイナリ なし ND -161 33 3.0~5.0 22, 22

上記に挙げたGPS受信機を検討した結果を表2-2に示す。本研究では、森林中に おいて測位可能であり、かつ最も省電力なGPS-72D を採用した。GPS-72D は、出 力プロトコルが NMEA 0183 であるのでプログラムの開発が容易であり、測位に必 ずしもアルマナックを要しないため長期間電源が入っていなかったとしても測位環 境さえ良好であれば測位に要する時間が短くて済むという利点を備えている。

表2-2 GPS受信機の検討結果

型式 テスト結果

GH-82 *森林環境では測位できない GPS-72D *森林環境でも測位可能 TK-1315LA

*森林環境でも測位可能

*移動速度が一定以上でなければ測位座標が更新されない。また、測位情報 を省略してあるなどやや使い難い

EB-85A *実装サイズが大きい

*速度マスクがきつい

SUP500F *内部相関器のON-OFFの切り替えが激しく電源にリプルを乗せやすい

*エフェメリスを出力可能

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図2-8へGPS-72D受信機を示し、その仕様概要を表2-3に示す。森林内における

測位実験を行い、十分な測位性能を確認した。なお、GPS-72D の半分の消費電流で ある古野電気製GH-82についても検討を行ったが森林内においては測位を確認でき なかった。

図2-8 製造した基板へ実装したGPS受信機GPS-72D

表2-3 GPS-72Dの諸特性 内容 12チャンネルパラレル

L1 1575.42MHz±1MHz / C/Aコード

追尾 -155 dBm以下

捕捉 -140 dBm以下

水平位置 15 m以下(2DRMS, SA = OFF, PDOP≦3) 速度 1 (m/s) (2DRMS, SA = OFF, PDOP≦3) 高度 -500 m~18000 m

速度 1800 (km/h)以下

加速度 1 G以下

コールドスタート 40秒(typ.):常温時 ウォームスタート 38秒(typ.):常温時 ホットスタート 8秒(typ.):常温時 緯度、経度 0.0001分

高度 0.1 m

速度 0.01 (km/h)

方位 0.01deg

1秒

2D/3D自動切り替え NMEA-0183準拠

主電源 3.1 ~ 3.6 V, リプル100 mVpp以下 バックアップ電源 1.4 ~ 3.6 V

主電源 25 mA(typ.),電源投入直後40 mA:常温時 バックアップ電源 6 µA(typ.):常温時

動作温度範囲 -30℃ ~ +80℃

保存温度範囲 -40℃ ~ +85℃

20.8×20.8×9.2 mm

(シールドカバー・アンテナ含む,突起部は除く)

11 g以下(シールドカバー・アンテナ含む)

消費電流 環境条件

外形寸法 重量

TTFF

分解能

測位更新周期 測位モード 出力フォーマット 電源電圧 追従性能

項目 受信方式

受信周波数/コード 受信電力

測定精度

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