1 研究の目的と構成
3.7 CVM(仮想市場評価法)による評価分析
3.7.4 CVM による評価結果
表 3-12 交通シミュレーションの提示額に対する回答状況 スタート料金(2nd up/down) yy yn ny nn Total
27 5 1 4 37
73% 14% 3% 11% 100%
19 6 6 1 32
59% 19% 19% 3% 100%
17 14 2 7 40
43% 35% 5% 18% 100%
18 7 4 5 34
53% 21% 12% 15% 100%
10 10 2 6 28
36% 36% 7% 21% 100%
8 7 16 20 51
16% 14% 31% 39% 100%
99 49 31 43 222
45% 22% 14% 19% 100%
交通シミュレーション 20万(50万/10万)
50万(100万/20万)
100万(500万/50万)
500万(1000万/100万)
1000万(5000万/500万)
5000万(1億/1000万)
Total
表 3-13 交通社会実験の提示額に対する回答状況
スタート料金(2nd up/down) yy yn ny nn Total
24 7 0 1 32
75% 22% 0% 3% 100%
17 8 0 4 29
59% 28% 0% 14% 100%
16 10 0 2 28
57% 36% 0% 7% 100%
14 8 1 7 30
47% 27% 3% 23% 100%
10 8 5 7 30
33% 27% 17% 23% 100%
11 3 6 8 28
39% 11% 21% 29% 100%
92 44 12 29 177
52% 25% 7% 16% 100%
1000万(5000万/500万)
5000万(1億/1000万)
Total 20万(50万/10万)
50万(100万/20万)
100万(500万/50万)
500万(1000万/100万)
交通社会実験
表 3-14 「交通Sim・交通社会実験・本格実施」サイクルの提示額に対する回答状況 スタート料金(2nd up/down) yy yn ny nn Total
19 4 0 6 29
66% 14% 0% 21% 100%
22 3 2 4 31
71% 10% 6% 13% 100%
22 11 3 3 39
56% 28% 8% 8% 100%
19 5 9 7 40
48% 13% 23% 18% 100%
13 12 6 2 33
39% 36% 18% 6% 100%
4 7 1 5 17
24% 41% 6% 29% 100%
99 42 21 27 189
52% 22% 11% 14% 100%
5000万(1億/1000万)
Total 50万(100万/20万)
100万(500万/50万)
500万(1000万/100万)
1000万(5000万/500万)
20万(50万/10万)
交通シミュレーション・交通社会実験サイクルのプロセス
3.7.4.1 シンプルモデルのよる評価額の推定
最初に、評価額の全体的傾向を調べるために、最も単純なシンプルモデルの分析を行っ た。分析ソフトにはTSPを用い、ランダム効用モデルを適用して分析した。また、分析に 当たって、そもそものシナリオへの抵抗から回答を断った、抵抗回答の結果を除いた分析 を行った。その推定結果を表 3-15、表 3-16、表 3-17に示す。
表 3-15 交通シミュレーションの推定結果
パラメータ 係数 標準偏差 t値 P値
定数項 4.58929 0.41716 11.0012 [.000]
提示額 -0.665167 0.063037 -10.552 [.000]
LOG−L -270.957
N 216
※提示額の単位は1万円である
表 3-16 交通社会実験の推定結果
パラメータ 係数 標準偏差 t値 P値
定数項 4.88652 0.551161 8.86586 [.000]
提示額 -0.664359 0.07679 -8.65168 [.000]
LOG−L -193.214
N 169
※提示額の単位は1万円である
表 3-17 「交通Sim・交通社会実験・本格実施」サイクルの推定結果
パラメータ 係数 標準偏差 t値 P値
定数項 4.71751 0.432938 10.8965 [.000]
提示額 -0.643462 0.064623 -9.95714 [.000]
LOG−L -216.623
N 180
※提示額の単位は1万円である
上記のシンプルモデルの推定結果をもとに導いた支払意志額を表 3-18 に示す。表 3-18 の結果より、交通シミュレーションの支払意志額に対して交通社会実験とサイクルプロセ スの支払意志額は大きな額となっている。これは、現実的にも交通シミュレーションより 交通社会実験とサイクルプロセスにかかる費用は大きくかかるため、この評価額の結果は 妥当なもとであると考えられる。また、この評価額の結果から、CVMのシナリオ伝達ミス というものも少ないものと考えられる。
表 3-18 シンプルモデルによる支払意志額 WTP
交通シミュレーション 991.73151 714.5686 〜 1393.7234 交通社会実験 1564.36719 1054.5081 〜 2427.2422 サイクルのプロセス 1527.59595 1015.6835 〜 2480.199
90%信頼区間
※評価額の単位は1万円である 3.7.4.2 フルモデルによる評価
シンプルモデルでは、支払意志額は定数項のみであると仮定した。しかし、求める評価 額に対する判定には様々な要因が影響して決まるものであるため、これらの要因をモデル に組み込んで判定する必要がある。そこで判定要因に影響があると思われるすべての項目 を組み込んだフルモデルでの推定を行った後、有意な変数のみを取り出してモデル組み込 む最終モデルを作成し、評価額を算出した。ここで、評価額の算出と共に、影響を与えて いる要因が何なのかを明確にし、その符号条件などを見ることによって、評価額の信頼性
表 3-19 フルモデルによる推定結果(交通Sim)
パラメータ 係数 標準偏差 t値 P値
定数項 0.837994 1.0688 0.784048 [.433]
提示額 -0.774382 0.078016 -9.9259 [.000]
以前の心境 -0.037224 0.381583 -0.097552 [.922]
規制評価 0.123506 0.478585 0.258065 [.796]
整備評価 0.627808 0.547409 1.14687 [.251]
Sim評価 1.51392 0.548306 2.76108 [.006]
実験評価 0.477699 0.743108 0.642839 [.520]
プロセス評価 -0.333627 0.766394 -0.435321 [.663]
中区間整備の既知 1.59631 0.598106 2.66895 [.008]
延伸評価 0.468022 0.40398 1.15853 [.247]
歩行者専用型 0.172202 0.497559 0.346095 [.729]
工夫歩車分離型 0.128974 0.439781 0.293267 [.769]
性別 0.395873 0.352353 1.12351 [.261]
年齢 7.19E-03 0.015352 0.468414 [.639]
LOG−L -208.84
N 179
※提示額の単位は1万円である
表 3-20 フルモデルによる推定結果(交通社会実験)
パラメータ 係数 標準偏差 t値 P値
定数項 2.42498 1.218 1.99096 [.046]
提示額 -0.693259 0.090063 -7.6975 [.000]
以前の心境 0.417033 0.426176 0.978547 [.328]
規制評価 -0.858688 0.56058 -1.53179 [.126]
整備評価 1.0731 0.672856 1.59485 [.111]
Sim評価 -0.508331 0.836957 -0.607356 [.544]
実験評価 1.29143 0.952825 1.35537 [.175]
プロセス評価 0.939813 0.847466 1.10897 [.267]
中区間整備の既知 0.463494 0.660219 0.702031 [.483]
延伸評価 -0.547174 0.644931 -0.848422 [.396]
歩行者専用型 0.182458 0.481446 0.378978 [.705]
工夫歩車分離型 0.06865 0.473049 0.145122 [.885]
性別 0.065901 0.395601 0.166583 [.868]
年齢 0.010786 0.01453 0.742322 [.458]
LOG−L -160.305
N 137
※提示額の単位は1万円である
表 3-21 フルモデルによる推定結果(サイクルプロセス)
パラメータ 係数 標準偏差 t値 P値
定数項 2.35034 1.18766 1.97897 [.048]
提示額 -0.765062 0.084541 -9.04958 [.000]
以前の心境 0.552988 0.439714 1.25761 [.209]
規制評価 -0.519474 0.620869 -0.836688 [.403]
整備評価 0.581638 0.635065 0.915872 [.360]
Sim評価 0.254825 0.767925 0.331836 [.740]
実験評価 0.622187 0.951272 0.654058 [.513]
プロセス評価 0.365727 1.02092 0.358233 [.720]
中区間整備の既知 0.073573 0.66624 0.11043 [.912]
延伸評価 2.15473 0.817155 2.63686 [.008]
歩行者専用型 0.099944 0.558325 0.179007 [.858]
工夫歩車分離型 0.554422 0.519706 1.0668 [.286]
性別 -0.151063 0.411525 -0.36708 [.714]
年齢 -7.08E-03 0.016103 -0.439879 [.660]
LOG−L -166.486
N 149
※提示額の単位は1万円である
表 3-22 説明変数(14項目)
パラメータ モデルへの組み込み方
定数項 定数項
提示額 金額(万円)
以前の心境 安心・やや安心=1,それ以外=0 規制評価 良い・やや良い=1,それ以外=0 整備評価 良い・やや良い=1,それ以外=0 Sim評価 良い・やや良い=1,それ以外=0 実験評価 良い・やや良い=1,それ以外=0 プロセス評価 良い・やや良い=1,それ以外=0 中区間整備の既知 知っている=1,知らない=0
延伸評価 良い・やや良い=1,それ以外=0 歩行者専用型 有=1,他=0
工夫歩車分離型 有=1,他=0
性別 男性=1,女性=0
年齢 年齢(歳)
交通シミュレーションの推定結果を見ると、交通シミュレーションの支払意志額関数に
おいて5%水準で有意な変数となったのは、交通シミュレーションの評価と中区間整備の既
知であった。中区間の整備を知っているかどうかが影響を与えている理由は不明であるが、
交通シミュレーションの評価が交通シミュレーションの支払意志に影響を与えているとい う点では回答の評価対象と評価額が整合的であることを示していると考えられる。
次に、交通社会実験の推定結果を見ると、どれも 5%水準で有意な変数とならなかった。
しかし、整備評価や実験評価が+の要因となっていること、規制評価と延伸評価が−の要 因(交通規制の変更に反対な人や整備にそもそも反対な人)になっていることより、ある 程度の整合性がとれている結果となっていると考えられる。
「交通シミュレーション・交通社会実験・本格実施」サイクルプロセスの推定結果を見 ると、延伸評価が5%水準で有意な変数となった。これは、これからの延伸整備に賛成の人 がサイクルプロセスに+の要因となっているという、比較的整合性の取れている結果とな ったと考えられる。しかし、プロセス評価が低い要因となっているという点では、サイク ルプロセスについて、回答者が十分に理解できなかった可能性も考えられる
3.7.4.3 最終モデルによる評価額の推定
フルモデルの推定結果をもとに、5%水準で有意となった項目を選択して最終モデルとし、
支払意志額を推定した。推定結果を表 3-23、表 3-24、表 3-25に示す。
表 3-23 最終モデルによる推定結果(交通SIM)
パラメータ 係数 標準偏差 t値 P値
定数項 2.44757 0.563641 4.34243 [.000]
提示額 -0.749394 0.067494 -11.1031 [.000]
Sim評価 1.66782 0.384237 4.3406 [.000]
中区間整備の既知 1.50871 0.372172 4.0538 [.000]
LOG−L -253.22
N 214
※提示額の単位は1万円である
表 3-24 最終モデルによる推定結果(交通社会実験)
パラメータ 係数 標準偏差 t値 P値
定数項 4.88652 0.551161 8.86586 [.000]
表 3-25 最終モデルによる推定結果(サイクルプロセス)
パラメータ 係数 標準偏差 t値 P値
定数項 3.47328 0.61561 5.64202 [.000]
提示額 -0.69923 0.068965 -10.1389 [.000]
延伸評価 1.8386 0.598781 3.07057 [.002]
LOG−L -203.301
N 177
※提示額の単位は1万円である
上記の最終モデルによる推定結果をもとに導いた支払意志額を表 3-26に示す。区間推定 では、モンテカルロ法による90%信頼区間を推定している。シンプルモデルと同様に、交 通シミュレーションの評価額より交通社会実験とサイクルプロセスの評価額が高い結果と なっている。しかし、このCVM研究では、回答者の体験別の支払い意志額の差を求める ことを目的としているため、この支払意志額が純粋な回答者のそれぞれに対する支払意志 額とはなりにくいことに注意しなければならない。また、純粋な支払意志額を推定するた めには、回答者に交通シミュレーションや交通社会実験、サイクルプロセスの相場や費用 効果を十分に説明する必要がある。
表 3-26 最終モデルによる支払意志額 WTP
交通シミュレーション 917.82056 676.5827 〜 1300.71777 交通社会実験 1564.36719 1054.50806 〜 2427.24219 サイクルのプロセス 1547.22095 1022.6507 〜 2444.84814
90%信頼区間
※提示額の単位は1万円である 3.7.4.4 体験別の評価分析
上記の最終モデルを使って、それぞれ回答者の体験別の評価額を比較した。そして、算 出したそれぞれの評価額の差が統計的に有意あるかを検定するために尤度比検定を行った。
尤度比検定とは異なるサンプルを個別に推定したときの対数尤度とプールしたサンプルの 対数尤度との関係から、支払意志額関数の関数型の違いが統計的に意味のあるものか否か を検定するものである。
<交通シミュレーション>
交通シミュレーションによる評価額の比較結果を表 3-27に示す。表の「体験者」とはア ンケート内の質問項目において、交通シミュレーションという言葉を知っている人以上の 回答者のことを指しており、「未体験者」とはアンケートで初めて交通シミュレーションと いう言葉を知った回答者のグループのことである。この結果より、体験者のグループは未 体験者のグループより 2 倍近い支払意志額の統計的に有意な差があることが検証された。
このことは、交通シミュレーションを知っている人は、今後の対策の延伸においても交通 シミュレーションの必要性を強く認識しているという結果であると考えることができる。
表 3-27 回答者の体験別支払意志額の比較(交通Sim)
パラメータ 係数 標準偏差 t値 P値 係数 標準偏差 t値 P値
定数項 2.2153 1.1971 1.8505 [.064] 2.7310 0.7586 3.6002 [.000]
提示額 -0.6743 0.0902 -7.4738 [.000] -0.8415 0.1129 -7.4554 [.000]
Sim評価 1.7955 0.6913 2.5974 [.009] 1.7859 0.4745 3.7638 [.000]
中区間整備の既知 1.0680 0.8196 1.3030 [.193] 1.7769 0.4663 3.8103 [.000]
LOG−L N WTP 90%信頼区間
体験者 未体験者
-131.2410 106 1341.3940
816.13025 〜 2221.70239
-120.6040 107 633.2440
415.59659 〜 957.41193
※提示額の単位は1万円である