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CQ109 骨盤内炎症性疾患(PID)の診断は?

ドキュメント内 日本産科婦人科学会雑誌第65巻第9号 (ページ 30-33)

Answer

以下のような基準で診断する.

〔必須診断基準〕 (A)

1.下腹痛,下腹部圧痛 2.子宮 ! 付属器の圧痛

〔付加診断基準〕 (B)

1.体温≧38.0℃

2.白血球増加 3.CRP の上昇

〔特異的診断基準〕 (C)

1.経腟超音波や MRI による膿瘍像確認 2.ダグラス窩穿刺による膿汁の吸引 3.腹腔鏡による炎症の確認

▷解 説

PID とは子宮頸管より上部の生殖器に発症する上行性感染で,子宮内膜炎,付属器炎,卵管卵巣膿瘍,

骨盤腹膜炎が含まれ1)2),骨盤内感染症とほぼ同義語として使用されている.

PID の診断基準として,わが国では松田1)が 1989 年簡便な PID の診断基準を定め,日本産科婦人科 学会雑誌研修コーナーで発表し,臨床の現場では広く利用されてきた(表 1).

一方,米国では CDC の診断基準2)が有名である(表 2).それによると若年女性や性感染症既往を有す るハイリスク女性が,子宮頸部移動痛や子宮圧痛または付属器圧痛があれば,PID として治療を開始す ることを勧めている.

PID の病名では経腟超音波検査は保険適用外であるが,骨盤内腫瘤形成やダグラス窩液体貯留または 急性腹症の病名があれば保険適用である.

PID と鑑別を要する疾患は多いので,鑑別診断のためのフローチャートを示す(図 1)3)

(表 1) PID の診断基準(松田1),1989 年)

〔必須診断基準〕

1.下腹痛,下腹部圧痛(触診)

2.子宮/付属器部圧痛(内診)

〔付加診断基準〕

1.体温≧38.0℃

2.体温≧37.0℃ 白血球数≧8,000 3.白血球数≧10,000

4.ダグラス窩穿刺または腹腔鏡により滲出液

(混濁,漿液性,膿性など)または炎症の確認

(表 2) PID の診断基準(CDC2),2010 年)

〔必須診断基準〕

1.子宮頸部可動痛 2.子宮圧痛 3.付属器圧痛

〔付加診断基準〕

1.口腔体温>38.3℃

2.異常な頸管や腟内の粘稠膿性帯下 3.腟分泌物の過剰な白血球数の存在 4.ESR の上昇

5.CRP の上昇

6.淋菌またはクラミジアの子宮頸部感染の存在

〔特異的診断基準〕

1.子宮内膜組織診による子宮内膜炎の組織学的根拠

2.経腟超音波や MRI により,卵管肥厚や卵管留水腫の所見が認められた場合 3.ドップラーにより,卵管の血流増加が認められた場合

4.腹腔鏡での PID と一致した所見(卵巣卵管膿瘍の存在)

(図 1) PID 鑑別診断のためのフローチャート

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1)松田静治:PID の診断と治療.日産婦誌 1989;41:N82―N85(III)

2)CDC: Sexually transmitted diseases treatment guidelines, 2010. MMWR Recommenda-tions and Reports 2010; 59: 63―67 (Guideline)

3)日本性感染症学会:性感染症治療ガイドライン 2011,第 1 部,症状とその鑑別診断,7 下腹痛.日性 感染症会誌 2011;22:33―35(Guideline)

ドキュメント内 日本産科婦人科学会雑誌第65巻第9号 (ページ 30-33)