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CO の吸着状態に依存して CO 2 生成効率が異なる要因

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 49-52)

第 3 章 アモルファス氷に吸着した一酸化炭素の真空紫外光に誘起される化学反応

3.3 結果と考察

3.3.7 CO の吸着状態に依存して CO 2 生成効率が異なる要因

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の減衰よりも明らかに速い.これは157 nm照射に伴ってアモルファス氷表面のCOが

吸着したdangling OH構造をもつ水分子が光解離していることを直接的に支持する.一

方で,図3-17上図では,このCO(-dangling OH)の減衰とCO(-bonded OH)の減衰は類似 しており,どちらの柱密度もほとんど減少しない.代わりに,CO-CO の減衰が速く起 こっている.ここで,CO分子も波長157 nmの光子を吸収することが可能なため,光照 射後に十分な運動エネルギーを得たCO分子が氷表面を拡散することが予想される.そ のため,この拡散過程が起こり,どの分子とも相互作用していなかった”空”の dangling-OHサイトへCOが移動し,光照射後に新たなdangling OH-CO状態が生み出されたと考 えられる.また,固体COと固体 H2Oの吸収断面積を比較すると,固体 H2Oに比べて 固体COの値は 7倍大きい[45].このことからもCO-CO の減衰が速いことは支持され る.従って,(dangling OHをもつH2Oの光解離により生成した)OHラジカルと反応し てCO2を生成することによるCO(dangling-OH)の消費(2152 cm-1ピークの消費)過程と,

光照射後のCO拡散によるCO(dangling-OH)の生成(2152 cm-1ピークの生成)過程が同 時に起こる.結果的に,この氷の場合CO (dangiling OH) 柱密度は光照射後あまり変化 しなかったと考えられる.

次に,2つ目の可能性を述べる.COの吸着状態に依存してCO2生成効率が異なるこ と,及び,157 nmの真空紫外光を照射した際,dangling OHサイトに吸着した

CO(CO-dangling OH)の減衰が速い結果が得られたことから,COとOHの反応において,この

2 種の衝突角度に依存した反応性が存在することが考えられる.CO と dangling OHに 吸着したCOはC原子をH原子方向に向けて直線的な配置をとることが知られている.

そのため,dangling OHをもつ水分子が光解離して生成したOHラジカルと吸着したCO との反応が起こるとき,このような分子の配置が CO2 生成に対して優位であることが 考えられる.

最後に3つ目の候補について述べる.アモルファス氷表面でのCOとOHラジカルの 反応を考えると,COが吸着していない氷表面の水分子が光解離し,生成したOHラジ カルが拡散することにより反応(10)が起こり,CO2生成される可能性がある.氷表面に 生成されたOHとCOの反応は少なからず起こっており,COを拡散させる場合および 拡散させない場合のどちらの場合でもこの過程による CO2 生成への寄与はあると考え られる.これまでの多くの研究において,模擬星間塵上での表面反応によるCO2生成は このような過程を想定していると思われる.ここで,近年報告されたCOとOHの反応 に対する水分子の触媒効果について述べる.Tachikawa と Kawabata らは第一原理計算

(ab initio計算)を用いて,1つの水分子が存在する場合あるいは存在しない場合のCO とOHの反応の活性化障壁を調べた[52].その結果,水が存在しないときの活性化障壁 は2.3 kcal mol-1であるのに対し,水が存在するときの活性化障壁は0.2 kcal mol-1まで減 少することを報告した.さらに,氷上のdangling 水分子の近傍でこの効果が発揮されう ることを提案した.細孔をもち表面が乱れた構造であるアモルファス氷表面には

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dangling 水分子の存在は十分に期待される.また,水素結合に加わっていない H 原子

をもつという意味においては,dangling 水分子と氷表面のdangling OHをもつ水分子は 等価である.そのため,dangling OHサイトに吸着した COへ,真空紫外光により光解 離したOHラジカルが拡散し,上記の触媒効果により活性化障壁が小さい反応経路をつ たってCO2生成が起こったことも考えられる.dangling OHサイトに吸着したCO部分 において活性化障壁が小さいため,図3-17下図のようにCO-dangling OHの減衰が速く なったことも原因の一つと考えられる.

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