第 3 章 アモルファス氷に吸着した一酸化炭素の真空紫外光に誘起される化学反応
3.3 結果と考察
3.3.4 真空紫外光照射による氷試料の組成変化
8 Kでアモルファス氷にCOを2.5 L蒸着させた氷試料に対して,10 HzのF2エキシ マレーザーの157 nmの真空紫外光を1 × 104 s照射する前後に測定した赤外反射吸収ス ペクトルを図3-11に示す.照射後にはCO由来の吸収ピークが減少し,2343 cm-1付近 に新たな吸収ピークが現れたことが確認できる.この吸収ピークは CO2に帰属される
4000 3500 3000 2500 2000 1500 1000 CO2
1 x 104 s
Absorbance
Wavenumber / cm-1
0 s 0.05
CO
図3-11 8 Kでアモルファス氷にCOを2.5 L蒸着させた氷試料に対して,10 Hzの
F2エキシマレーザーの157 nmの真空紫外光を1 × 104 s照射する前(黒色実線)と 後(桃色実線)に測定した赤外反射吸収スペクトル.
2200 2180 2160 2140 2120 2100 -0.001
0.000 0.001 0.002 0.003 0.004 0.005 0.006 0.007
Absorbance
Wavenumber / cm-1 0 x 103 s
2 4 6 8 10
図3-13 8 Kでアモルファス氷にCOを2.5 L蒸着させた氷試料に対して,157 nmの真 空紫外光を2 × 103 s照射ごとに測定した赤 外反射吸収スペクトル(2200-2090 cm-1領 域)
図3-12 8 K でアモルファス氷に CO を
2.5 L蒸着させた氷試料に対して,157 nm
の真空紫外光を2 × 103 s照射ごとに測定 した赤外反射吸収スペクトル(2400-2300 cm-1領域)
2400 2380 2360 2340 2320 2300
0.000 0.005 0.010 0.015 0.020 0.025
Absorbance
Wavenumber / cm-1
0 s 2000 s 4000 s 6000 s 8000 s 10000 s
36
[33].157 nmの真空紫外光を2 × 103 s照射ごとに測定した赤外反射吸収スペクトルの
CO吸収波数付近(2200-2090 cm-1領域)の拡大を図3-13に,CO2
吸収波数付近(2400-2300 cm-1領域)の拡大を図3-12に示した.これらから真空紫外光照射に伴って,COは
徐々に減少し,CO2は徐々に生成したことがわかる.COは主に2139 cm-1付近の吸収ピ ークが減少した.また,COの蒸着量に関わらず,アモルファス氷にCOを蒸着させた 氷試料に対して157 nm照射した後に赤外反射吸収スペクトルを測定すると,CO2の生 成が確認された.ここで,照射後には2850 cm-1付近に新たに小さい吸収ピークが確認 された.これは過酸化水素(H2O2)に帰属されるが,Oba らはこの吸収ピークが H2O2
由来であることに懐疑的であり,これをもとに定量することに注意すべきであると報告 している[34].そのため,この吸収は無視した.
次に,COの吸着状態の比率を変化させるため,一度32 Kに昇温させた場合について 述べる.図3-14に8 Kでアモルファス氷にCOを2.9 L蒸着させ,その後32 Kに昇温 しCOを拡散させた後,8 Kに降温した氷試料に対して,10 HzのF2エキシマレーザー
の157 nmの真空紫外光を1 × 104 s照射する前後に測定した赤外反射吸収スペクトルを
示す.この場合でも照射後にはCO由来の吸収ピークが減少し,2343 cm-1付近にCO2に 帰属される新たな吸収ピークが現れた[33].また,図3-11と同様に吸収スペクトル上で
4000 3500 3000 2500 2000 1500 1000
CO2
1 x 104 s
Abso rb an ce
Wavenumber / cm
-10 s 0.05
CO
図3-14 8 Kでアモルファス氷にCOを2.9 L蒸着させ,その後32 Kに昇温しCOを
拡散させた後,8 Kに降温した氷試料に対して,10 HzのF2エキシマレーザーの157 nmの真空紫外光を1 × 104 s照射する前(黒色実線)と後(桃色実線)に測定した赤 外反射吸収スペクトル.
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はCO2以外の生成は確認できなかった.この場合でも,157 nmの真空紫外光を2 × 103 s 照射ごとに測定した赤外反射吸収スペクトルの CO 吸収波数付近(2200-2090 cm-1領 域)の拡大を図3-16に,CO2吸収波数付近(2400-2300 cm-1領域)の拡大を図3-15に示 した.これらから CO を前もって拡散させない図 3-11 の場合と同様に,真空紫外光照 射に伴って,COは徐々に減少し,CO2は徐々に生成したことがわかる.ただし,前も ってCOの拡散を行ったこの場合では,COの減少は主に2152 cm-1付近の吸収ピークで 起こった.2139 cm-1付近の吸収ピークの減少も確認された.CO2に関しては,生成量が 吸光度で2倍以上増大した.
2200 2180 2160 2140 2120 2100
-0.001 0.000 0.001 0.002 0.003 0.004 0.005 0.006 0.007
Absorbance
Wavenumber / cm-1 0 x 103 s
2 4 6 8 10
図3-16 8 Kでアモルファス氷にCOを
2.9 L 蒸着させ,その後 32 K に昇温し
COを拡散させた後,8 K に降温した氷 試料に対して,157 nm の真空紫外光を
2 × 103 s照射ごとに測定した赤外反射吸
収スペクトル(2200-2090 cm-1領域)
図3-15 8 K でアモルファス氷に CO を
2.9 L蒸着させ,その後32 Kに昇温しCO
を拡散させた後,8 Kに降温した氷試料 に対して,157 nmの真空紫外光を2 × 103 s 照射ごとに測定した赤外反射吸収スペ クトル(2400-2300 cm-1領域)
2400 2380 2360 2340 2320 2300
0.000 0.005 0.010 0.015 0.020 0.025
Absorbance
Wavenumber / cm-1
0 s 2000 s 4000 s 6000 s 8000 s 10000 s
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