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AWG Agilent 33220A の構成とその信号発生原理

第 3 章 AWG 由来の 3 次高調波測定

3.2 AWG による ADC テスト信号の生成

3.2.1 AWG Agilent 33220A の構成とその信号発生原理

今回、ADCテスト用の信号発生器のAWGとしてAgilent33220Aを用いた。この信号発 生器の構成を下図3.1に示す。AWGにはDDS(Direct Digital Synthesis:直接デジタル合 成)と呼ばれる信号発生技術が用いられている。下図3.1に示すようにAWGは主に位相ア キュムレータ回路と任意アナログ波形生成回路により構成される。更に、33220Aは50MHz でサンプリング周波数が固定である点に注意をしておく。

図3.1 AWG Agilent33220Aの構成

下図3.2により詳細なアナログ波形を生成する任意アナログ波形生成回路ブロックを示す。

任意アナログ生成回路は波形メモリを内蔵し、そのメモリ内に生成したいアナログ信号を 書きこむ。その書き込んだ信号を後段のDACによりアナログ変換を行う。更に、次段のア ンチエイリアスフィルタとして設定されているアナログフィルタを通過し AWG の出力信 号として出力される。

波形メモリに関して、16,384(14K)ポイント分のメモリ容量があり、16,384ポイントの離 散的な電圧レベルによって振幅値を表す。この振幅値の分解能はDACの分解能で決定され、

本AWGでは14ビットDACが内蔵されている。

Agilent 33220A

DAC

CLK

Waveform Memory

Low Pass Filter 14-bits

Programable

50MHz

Accumulator

Phase Resister Phase

Increment Resister

CLK

任意アナログ波形生成回路 位相アキュムレータ回路

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図3.2 任意アナログ波形生成回路

ここで、下図3.3に示す正弦波1周期分の波形が波形メモリに書き込まれている場合につ いて考える。この波形データの1サイクルがちょうど波形16,384ポイント分のメモリを埋 めるようにサンプルに分けられる。つまり、ちょうど16,384ポイントに含まれない波形を 生成すると、同じサンプルポイントを繰り返す、あるいは必要に応じて既存のポイントを 補間することにより、波形は自動的に「拡張」される。このように、波形メモリ全体が 1 つの波形サイクルで埋まるので、メモリ内の各アドレスはそれぞれ位相角の2π/16,384ラ ジアンに相当する。

図3.3波形メモリ内の正弦波

また、アンチエイリアスフィルタはローパス特性になっておりサンプリングに起因する スプリアス信号の除去のために使用される(下図3.4)。また、サンプリング定理より、AWG によりサンプリングされる周波数をfsとするとAWGが表現できる最高周波数はfs/2まで となり、これによりAWGの周波数帯域が決まる。

For anti-aliasing

DAC

CLK Waveform

memory

Internal Wave Input

Arbitrary Wave

9-th order Cut off freq. 23.5MHz

7-th order Cut off freq. 12.5MHz 14-bits

Output Analog

Linear phase filter Elliptical filter Programable

任意アナログ波形生成回路

Address

50MHz

メモリ・アドレス

(位相)

+8191

-8191

D A C コ ー ド

0

4096

π/2

8192

π

12288

3π/2

16363

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図3.4 AWGのサンプリングに起因する不要信号とローパスフィルタによる低減

このアナログフィルタに関しては9次楕円フィルタで23.5MHzのカットオフ周波数を持 つフィルタと7次の線形位相フィルタで12.5MHzにカットオフ周波数を2種類のフィルタ が内蔵されている。楕円フィルタに関しては単一正弦波以外の波形に関しては激しいリン ギングを示すため内部に内蔵されている正弦波信号のみに使用される。一方、AWGユーザ ーが波形メモリに波形を書き込んだ場合は自動的に 7 次線形位相フィルタが選択される。

今回、従来信号、位相差切り替え信号をこの波形メモリに書き込んだため図3.2に示したよ うに 7 次線形位相フィルタが使用される。この線形位相フィルタの特徴はフィルタの周波 数特定において位相の遅延量を一定に保つことから、時間領域で波形を見た時にその波形 の形状を保つことが可能になるという特徴がある。単一の正弦波の場合は、このようなフ ィルタを使用する必要性は特にないが、様々な周波数を含む波形を構成した場合、このよ うなフィルタを用いない場合、フィルタの入力前後で周波数毎に遅延量が異なるため波形 が崩れてしまう恐れがある。そのため、任意波形発生器は様々な波形に対応できるように、

このような線形位相のフィルタが用いられることが多い。それぞれのフィルタに関して仕 様書に与えられた情報を基にMATLABにて設計し特性の見積もりを行った。おおよそのフ ィルタの周波数特性を下図3.5に示す。今回は線形位相フィルタの方が選択されるため、信 号が低減されずに出力可能な周波数帯域は10MHz程度までである。

サンプリングに起因する不要信号

周波数

・・・

AWGサンプリング周波数:fs AWG内部

ローパスフィルタ

DC AWG 周波数帯域

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図3.5 AWG, Agilent33220A内部のアンチエイリアスフィルタ特性の推定

位相アキュムレータ回路を下図3.6に示す。DDSは図3.6に示す位相アキュムレータ回路 による位相蓄積技術を用いて後段の波形メモリのアドレッシングを制御している。各クロ ック・サイクルで位相インクリメントレジスタ(Phase Increment Resister : PIR)にロード された定数(増分)が位相アキュムレータ内の現在の結果に加算される。波形メモリのアドレ ッシングには位相アキュムレータ出力の最上位ビットが使用される。PIR 定数を調整する ことで波形メモリ全体をステップ・スルーするために必要なクロック・サイクルの数が変 化することで波形周波数を調整することが可能になる。例えば、低周波の信号を生成した い場合はPIR の増分を小さく設定する。そうすると回路全体の位相の進みが遅くなること で低周波の信号が DACへ送信されることになる。逆に PIR の増分を大きく設定すること で波形データを飛び飛びに読ませることで高い周波数の信号を生成することが可能になる。

-250 -200 -150 -100 -50 0

Magnitude (dB)

106 107 108 109

-900 -720 -540 -360 -180 0

Phase (deg)

Bode Diagram

Frequency (Hz)

Linear phase filter_7

th

-order 12.5MHz cut off Freq.

Elliptical filter_9

th

-order 23.5MHz cut off Freq.

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図3.6 位相アミュムレータ回路