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fs/2-fin が低減された際の 3 次高調波低減への影響

第 2 章 低歪み信号発生アルゴリズム

2.4 位相差切り替え信号によるキャンセル効果の持続範囲

2.4.2 fs/2-fin が低減された際の 3 次高調波低減への影響

2.4.1ではfs/2-finのスプリアスが存在する限りは3次高調波の低減範囲が持続すること

を述べた。ここでは位相差切り替えのスプリアスfs/2-finが帯域制限された際に3次高調波 のキャンセル効果に与える影響について議論する。

fs/2-finの低減されるシステムとして図2.9のシステムを考える。図2.9では位相差切り

替え信号が入力され、3次非線形ブロックを通過後、帯域制限によりfs/2-finが低減される。

その帯域制限モデルとしてローパスフィルタを挿入した。更に、この帯域制限されfs/2-fin が低減された信号が次段の3次非線形ブロックに入力される。これらの図2.9の各ブロック の出力信号の時間波形とそれを周波数解析したスペクトルについて図2.9に同時に示した。

まず、初段の 3 次非線形ブロックでは位相差切切り替え信号が用いられているため、この ブロック由来の3次高調波は図4.2の原理によりキャンセルされている。次段のローパスフ ィルタで位相差切り替えのfs/2-finのスプリアスが低減される。この時fs/2-finスプリアス は80dB以上低減されている。相当量(80dB)低減されているため、時間波形を観測すると信 号が平滑化され、ほとんど位相差切り替えが行われず通常の正弦波になっている。この

fs/2-finが帯域制限により低減された信号が更に次段の3次非線形ブロックに入力されると、

3次高調波が発生されていることが確認できる。つまり、位相差切り替え信号が発生してい るシステム内部でfs/2-finのスプリアスが低減されてしまうと3次高調波の低減効果は得ら れない。

なお、以上の議論は2トーン信号の場合も同様である。図 2.6に示した2トーン信号の 位相差切り替えのfs/2近傍スプリアスが発生している限り、非線形ブロックが存在しても3

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 -400

-300 -200 -100 0

Normalized Frequency f/fs

Power [dB]

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 -400

-300 -200 -100 0

Normalized Frequency f/fs

Power [dB]

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 -400

-300 -200 -100 0

Normalized Frequency f/fs

Power [dB]

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 -400

-300 -200 -100 0

Normalized Frequency f/fs

Power [dB]

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 -400

-300 -200 -100 0

Normalized Frequency f/fs

Power [dB]

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 -400

-300 -200 -100 0

Normalized Frequency f/fs

Power [dB]

3次 非線形

3次 非線形 3次

非線形

位相差切り 替え信号 従来信号

・従来信号

・位相差切り 替え信号

キャンセル キャンセル

キャンセル

31 次相互変調歪みはキャンセルされ続ける。

図2.9 位相差切り替え手法による3次高調波のキャンセル効果の持続範囲

更に、fs/2-finの低減量に応じた次段の3次高調波の発生量の相関について下図2.10のモ デルでシミュレーションをする。図2.10に示す3次非線形ブロックは全て同じ特性に統一 する。図2.10の(A)のように位相差切り替え信号を3次非線形ブロックに入力すると3次高 調波は図2.4の原理でキャンセルされる。一方、図2.10の(C)では純粋な正弦波を用意した。

この信号を3次非線形ブロックに入力することで、3次非線形ブロックよる3次高調波の本 来値を検出しておく。この値を基準値として図2.10の(B)の3次高調波のパワーと比較する。

この3次高調波パワー値はfs/2-finの低減量により変動し、fs/2-finの低減量の関数になっ ている。この低減量は前段のローパスフィルタにより調整を行う。なお、このローパスフ ィルタは全く同じ特性のものを図2.10の(C)にも挿入してある。これは図2.10の(B)と図 2.10の(C)とを比較するにあたり条件を揃えるためである。

なお、以上の議論は2トーン信号の場合も同様である。図2.6に示した2トーン信号の 位相差切り替えによるfs/2近傍のスプリアスが低減された状態で非線形ブロックにその信 号が入力されると3次非線形相互変調歪みが発生する。

3次 非線形

3次 非線形 ローパス

フィルタ

0 20 40 60 80

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5

Sample Number

Voltage

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 -400

-300 -200 -100 0

Normalized Frequency f/fs

Power [dB]

0 20 40 60 80

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5

Sample Number

Voltage

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 -400

-300 -200 -100 0

Normalized Frequency f/fs

Power [dB]

0 20 40 60 80

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5

Sample Number

Voltage

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 -400

-300 -200 -100 0

Normalized Frequency f/fs

Power [dB]

帯域制限モデル

位相差切り 替え信号

低減

波形の平滑化

発生

キャンセル

32

図2.10 fs/2-fin低減量と3次高調波発生量の相関検証のためのシミュレーションモデル

図2.10の(B),(C)の3次高調波レベルを数値シミュレーションにより比較した結果を下図 2.11に示す。図2.11の結果から図2.10の(B)でfs/2-finのスプリアスが10dB低減された 時は誤差が1%、20dB低減時は誤差が0.1%。30dB低減時は誤差が0.01%となっている。

つまり、位相差切り替え信号が発生しているシステム内部でfs/2-finのスプリアスが10dB 低減された時は本来値に対して1%分しか3次高調波が低減されていないことを示している。

また、20dB, 30dB低減された時に関しては3次高調波の低減量は本来値よりそれぞれ0.1%,

0.01%分しか低減されないため、ほとんどその効果がないに等しいことになる。そのため、

位相差切り替え信号発生時にはシステム内部で主要な非線形ブロックの手前で帯域制限を 受けるブロックによりfs/2-finのスプリアスが低減されないことがポイントとなる。低減量 が0dBの場合に関しては理論通り3次高調波は完全にキャンセルされる(図2.3)。

なお、図2.11のシミュレーション結果は2トーン信号の場合も全く同様の結果となる。

位相差切り替え信号の fs/2 近傍のスプリアスを低減させた状態で非線形ブロックにその信 号が入力されると図2.11のプロットラインに沿って3次相互変調歪みが発生する。

ローパス フィルタ

3次 非線形

3次高調波比較

位相差切り替え信号

A

B

位相差切り替え信号

C

純粋な正弦波(3次高調波なし)

3次高調波 本来値

freq.

低減

freq.

キャンセル

freq.

ローパス

フィルタ 3 非線形

3 非線形

freq.

freq.

freq.

33

図2.11 図2.10の(B), (C)における3次高調波レベルの比較結果