て描いている。管の軌道描画は,1回転する軌道を描いている。動作的 再生は正確な回転でもって再生でき(管の赤と黒は反対である),口頭 描写も正しくできている。
落下前と落下後 各段階の描画 管の髄糖 動作的再生 畷粥
Rハ, ゆ
∈歯黒
陳 団 −1杖 ュ 園1一 → F R
只
?Q 忠噤
色の向きが反対ノなった図20 管の軌道検査結果
身振り模倣の検査では,腕の模倣は全部非鏡像で模倣する。身振りや 行為が空間的心像の中で交換可能である。事象の外観にとらわれること
はない。
⑤神経心理学検査の結果
11歳9ヶ月時のWISC−R知能検査では,全IQが114,言語 性IQが113,動作性IQが112であり言語性と動作性の差は見ら
れない。言語性検査では算数が高く知識,理解が低い,動作性検査では 絵画配列が高く,検査項目間のバラツキが大きい。絵画語彙発達検査
(13歳2ヶ月:以下特記していない検査は13歳2ヶ月に実施したも
のである)は,発達年齢12歳以上であり年齢相当の発達を示している。復唱検査は発達年齢7歳であり,転位が多く文章が長くなると途中で諦 めてしまう。 ITPA検査では,ことばの表現が5歳のレベルであり,
ある事柄について説明を求められるときその表現が表面的な部分に限ら れてしまい,説明の内容が乏しくなってしまう。微細運動検査結果では,
腕伸展では開眼・閉眼とも左右に振回が見られ,ディアドキネジアでは 一38一
右手回転時に左手に連合運動がみられ,腕の動きにもスムーズさに欠け ていた。片目開眼では左目で両目を閉じてしまう。それ以外には問題は 認められなかった。人物画(グッドイナフ)は,手を描くときは手を机 の上において見ながら描いていた。耳が描かれておれず,7歳の発達段 階である。ピアジェ・ヘッドの左右の検査では,自己,相手,3つの事 物の左右は正しく反応した。模倣検査では5問を手を反対にしたが,そ の内3問は正しくやり直している。口命検査はしばらく考え,口で唱え ながら行動に移していた。2問を目や耳の位置を間違う。図版検査でも,
絵を見てしばらく考えてから反応し,2問を間違えている。算数検査で は,計算も文章題も正確に早くすることができた。読み書き検査では,
問題は見られなかった。
⑥小括
ことばの発達に遅れが見られ,対話もできにくかった。学齢期では,
グループ活動に参加しにくく,ルールの理解も悪い。相手の気持ちや意 図をくみ取れないため,対人関係の問題を示した。
ピァジェ型検査では,操作的側面に比べ形象的偲面の遅れが大きく,
空間観念と予見的心像の遅れが見られた。うまく話ができないことと,
視点変換の問題が対人関係のまずさにつながっている症例である。
一39一
症例4 M.T.
男子,1985年3月生,8歳10カ月,小学校の普通学級3年在籍,
両親と2歳年下の妹の4人家族。
①生育歴
妊娠中は異常なく40週で出産,体重は3760gであった。心室中
隔欠損症があり生後1〜3ヵ月の間入院をした。その後の発達は,定頸5ヵ月,ハイハイ8ヵ月,立位・始歩1歳1ヵ月,初語は1歳2ヵ月,
2語文は2歳6ヵ月である。2,3歳頃,近所の子どもと比べことばが
少なく,友達とかかわって遊ぼうとしなかった。4歳で幼稚園に入園,みんなの中に入れない,歌を歌はない,じっとしていられないという状 態であった。家では動物や人などの絵を描かず,複雑な線の絵ばかり描
いていた。5歳の時病院でEEG,CTの検査を受け,脳の左右に異常
波があるということで1年半,薬を脹用した。その時MBDの疑いがあ るといわれた。小学校に入ってから家では,毎目30牙から1時間程度 信号や標識や道路などの絵を描いていた。お風呂にはいるとずっと模型 の話をするなど,母親に答えて貰うまでしつこくくいさがるなどパター ン的な会話が多かった。②集団生活
1,2年生の頃になると,暑いので我慢できずに授業中でも床に寝こ ろんでしまったり,掃除用具のmヅカーの中に入り込んだ。体育では集 団で壷ぶことができず,参加しないで勝手に日陰で休んでいることが多 かった。3年生になってから女の子のスカートをめくったり,気になる 女の子に抱きついてチューをすることが見られた。またよく友達に向か ってアホ,アホ,バカ,死ねと繰り返し言っていた。その都度担任が,
相手の子が悲しい顔をしていると説明をしていくと半年ほどで言わなく 一40一
なった。
③学習
国語では,1年の時から拾い読みであり,文章の意味理解も難しいか った。3年になってからも,漢字では最初暗号のような解読不明の文字 を書くときがあった。また鏡文字になることが多く,書き順もでたらめ であった。作文が苦手であった。ボール運動では,投げることもっかむ ことも下手であった。算数では,新しい単元になるとき習い始めに抵抗 があり,なかなか次の段階に進めなかった。どの教科も技能的なことが 難しく興味,関心に偏りがあって好きなことにしか取り組まない。グル
ープ活動の中では,自分が何をしてよいかわからないようである。
④ピァジェ型検査(操作的側面,形象的側面課題)
a.操作的側面
達成できなかった交叉分類,天秤の釣り合いについて質的に検討して
いく。
交叉分類では,2分類は1回目も2回目も乗り物と押す物の基準で分 ける。バギーのカードの入れ替えだけである。4分類は,乗り物と押し たり引いたりする基準にどの基準を加えてよいか分からなくなってしま う。つまり,2つのクラスを分類することがやっとであり,その分類も 類似性に基づいている。天秤の釣り合いでは,申心から洞じ距離の所に おもりをつけると釣り合うことがわかるが,厳密にするのではなく,次 第に正しくしていくのである。
b.形象的側面
形象的側面課題では,全ての課題で年齢相当に達成できなかったので,
それぞれの検査結果を質的に検討していく。
山に木と家の図検査では,木も家も正しく垂直に描いていく。水平面 一41一
の検査では,ビンを斜めにした時や横にした時は水面を波が打ったよう に描く。そして,ビンを斜めにした時は底に平行に描き,水がこぼれる 様子も描いている。つまり,まだ水面が直線であることを十分理解でき ていなく,水面はビンが傾くと一緒に動いてしまう。垂直の関係把握は できるが,水平の理解が難しいのである。
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〆} 穫きし
図21 山に木と家の図検査 図22 水の水平面の検査
3つの山の検査では図版選択は,自分の座る位置が変わると左右反対 になる。描画では,全ての場面において間違ってしまう。1つの山の位 置を捉えると,残りの2つの山の位置が分からなくなってしまう。つま り,観察の位置の変化に伴い左右の関係変化には気づぐが,前後の関係 把握が難しい。
3個の玉の軌道検査では,位置の心像は理解できているが,軌道の描 画では相称の欠如が見られる。1個ずつの玉がその場で回転しているよ
うに描くのである。動作的再生も360度回転後の描画も同様の間違い
を起こしている。
回 版 備 画
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△△
《△蓄一・右 《△黄執徳夜 △△△各滋蔽図23
3つの山の検査結果一42一
回転後 軌道の描画 動作的再生 360度回転後の轍
⑳
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ュ㊧④⑰・
図24 3個の玉の軌道検査結果
管の軌道検査では,落下前,落下後の管の描画は正しく描けている。
各段階の描画は,4段階の管の状態を正しく描いている。管の軌道描画 は,3回転する軌道を描いている。段階ごとの描画と管の軌道描画とが 矛盾しており,軌道の再現が難しく混乱していると考えられる。動作的 再生は1回転する再生を行ったが,口頭描写では正しく表現できている。
落下前と落下後 各段階の描画 管の輔樋
動旧離
礪描写R ネ,
− A朔嘱劒[_
回って落ソた図25 管の軌道検査結果
身振り模倣検査では,腕の模倣では全部非鏡像で模倣するが,複雑な 身振りでは掌を検者に向けたりして事象の外観にとらわれやすい。
⑤神経心理学検査の結果
8歳5ヶ月時のWISC−R知能検査結果では,全IQが103,言 語性IQが97,動作性IQが109であり,検査項目間のバラツキが
大きい。絵画語彙発達検査(8歳10ヶ月:以下特記していない検査は
8歳10ヶ月に実施したもである)は,発達年齢12歳であり年齢以上
一43一の発達を示している。復唱検査は発達年齢7歳以上となり年齢相当と考 えられる。ITPA検査では,文を構成するのが苦手である。微細運動 検査結果では,腕伸展では開眼,閉眼とも振戦が見られ手指に力が入っ た。ディアドコキネジア(上肢の交互交換運動)や掲一指検査において,
左・右手回転時や左手,右手を動かしているとき,反対の手に連合運動 が見られた。また,腕,指の動きにスムーズさに欠けた。頬を膨らませ るのも,片側ずつできない。それ以外に問題は認められなかった。人物 画(グッドイナフ)は,鼻,耳,衣服が描かれておらず,腕と脚は左右 対称ではない。手では掌はなく,5本の指に分かれているが揖の区別が なされていない。7歳の発達段階である。ピアジェ・ヘッドの左右の検 査では,自己,相手の左右は正しく反応したが,3つの事物の左右はじ っくり考えてから答えているが正確さに欠ける。模倣,図版検査ではほ とんど鏡像で反応しているが,口命では正しい反応ができていた。手指 の触知覚検査では,右手も左手も5歳のレベルである。読み書き検査で は,聴写の誤りが多くあり,表記や助詞の置き換えが見られた。算数検 査では,繰り下がりの計算の間違い見られ,かけ算やわり算を暗算です るのが苦手である。牙数の加減も理解できていない。文章題では,文の 理解をするのが難しい。
⑥小活
パターン的な会話や行動が見られ,セルフコントロールの困難さもあ り集団活動もできにくかった。神経心理学検査からは身体図式や,自己 身体との関係の空間認識の問題が見られ,ピァジェ型検査の空間把握と 視点変換の困難性との関連が示唆された。言語概念化能力の問題と併せ て空間関係の問題をももっている症例である。
一44一