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図33
3個の玉の軌道検査結果i
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図34 管の軌道検査結果
管の軌道検査では,落下後の描画は落下前と反対の方向の管を正しく 描くが,管の色を反対にしてしまう。各段階の描画は,斜めに回転して いくように描く。管の軌道描画は,2本の軌跡がまん中で交差するよう に描いている。動作的再生は1回転してしまう。軌道描画と動作的再生 のどちらも間違うのだが,管の動きは異なってしまっている。口頭描写 は正しく表現できている。3個の玉の検査の時と同様に,課題の提示の 際に注意がそれることによる間違いが日立っ。
身振り模倣の検査では,腕の模倣は全部非鏡像で模倣する。複雑な模 倣も正しく行うことができる。行為や身振りは空間的心像の中で変換可 能であり,身振りの操作的側而が確実に働いている。
⑤神経心理学検査の結果 一 6Jr 一
11歳4ヶ月時のWISC−R知能検査では,全IQが103,言語
性IQが107,勢作性IQが98である。言語性検査では.単語が高く
類似が低い。動作性検査では組合せが高く符号が低くでており,検査項目間のバラツキが大きい。絵画語彙発達検査(11.
ホ11ヶ月:以下特
記していない検査は11歳llヶ月に実施したものである)は,発達年 齢12歳以上であり年齢相当の発達を示している。復唱検査は発達年齢 7歳以上となり,年齢相当と考えられる。微細運動検査結果は,ディア ドコキネジアでは,右手回転時に左手に連合運動が見られた。鼻のした をなめることができない。それ以外には問題は認められなかった。人物 画は,発達年齢12歳以上であり年齢相当である。ピアジェ・ヘッドの 左右の検査では,自己,相手の左右は正しい反応ができる。3つの事物 の左右関係は6間中1問を間違う。模倣検査では3問鏡像反応があり,
口命検査は1問間違い目に持っていく手を反対にしてしまう。図版検査 では全て鏡像になってしまう。自己身体との関係での空間認識に問題が 見られる。算数検査では,計算に時間はかかるが6年生までの計算は理 解できている。文章題も5年生までのはできていくが,計算のケアレス ミスが見られる。読み書き検査では聴写に誤りが多く,助詞や文字の置 換,カタカナの表記の誤り,漢字の送りがなの誤りが見られた。
⑥小括
、幼児期に吃音の問題が起こり,会話もうまくできなかった。学齢期で は友達と遊ぶことがなく,新しい環境になると落ちつかなくなる。神経 心理学検査からは,抽象的な思考と集中力の問題が示唆され,左右の認 知の問題があった。ピアジェ型検査結果では,操作的側面と形象的側面 の差が小さかったが,視点変換と心像の問題が見られた。
一66一
(3)症例8 T.S.
男子, 1985年12月生,9歳1カ月,小学校の普通学級在籍,祖父
母,両親と小学6年生の兄の6人家族。①生育歴
妊娠中異常無し,40週,3640gで出産。その後の発達は,定頸 3カ月,ハイハイ7カ月,始歩1歳1カ月,初語10カ月ジ2語文3歳
であった。2歳6カ月児検診でことばの遅れを指摘された。3歳3カ月 で保育所に入所した。落ちつきがなく,1対1の話は聞けるが全体での 話は聞けず,一つのことを根気よくやり遂げられなかった。会話がうまくできないため,友達とのかかわりは少なかった。、ハサミ,クレヨンは うまく使うことができ,絵は好きでよく描いていた。5歳の時の発達相 談では,両手交互開閉が同時になってしまうこと,右足軸でのケンケン ができないことより運動の問題を指摘された。小学校に入学してから,
着替えやカバンのあとかたづけができなかった。学習意欲にむらがあっ
た。
②集団生活
1年生では,話し合い活動には進んで参加するが,筆箱やかぞえ棒な どが近くにあるとそれらで手遊びをした。一斉指導では行動に移せない ので個別に働きかけるが,注意が他に向いていると全く指示が入らなか った。友達の名前がなかなか覚えられなかった。授業中わからなくなる と,席を立って友達の机のところにいった。製作活動は意欲的に参加す るが,長続きしなかった。3年生では,友達が手伝うことがあってなん とか集団活動ができている。筆箱の中には鉛筆が入っていないことが多 く,箸もどこに入れたか忘れてしまう。自分の物,人の物という意識が 乏しい。担任のものを勝手に使ったり,友達の描いている絵にマジック 一67一
で描いたりする。新しいことでもいやがらず取り組んでいる。
③学習
漢字を写すのは,横でつきっきりに見ていないとやれない。足し算は 指を使って行う。繰り上がりはまごつきながらもするが,繰り下がりに なると時間がかかり1枚のプリントが最後までできない。3年では,笛 が吹けない。カタカナを読むのはできるが書けない。 「さ」や「き」は いつも鏡文字になり,書き順もでたらめである。作文を書くときになか なか思い出して書けない。算数では, 「19」を「109」と書いたり,
《2+20=口》では22といいながら, 「02」と書く。
④ピァジェ型検査(操作的捌面,形象的側面課題)
a。操作的側面
操作的側面課題では,達成できなかった交叉分類,天秤の釣り合いに ついて質的に検討していく。交叉分類では,最初の2牙類はカード分類 の段階では正しくできているが,基準の説明になるとそれぞれのまとま
りの類似性をあげてしまう。4分類では,種類分けをしょうとするが自 動車, トラックの仲間の説明ができない。2回目の2分類になると,カ
ード分類からわからなくなってしまう。つまり,類似性にのみ基づいて 集合が作られるのである。天秤の釣り合いでは,左右同じ所におもりを 吊るすと釣り合うことは牙かっているので,そのやり方で全部やってし まおうとする。
b.形象的側面
管の軌道・身振り模倣検査では年齢相当の達成であったが,空間観念
・3つの山・3個の玉の軌道検査では年齢相当に達成できなかったので,
それぞれの検査結果を質的に検討していく。
一68一
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図35 山に木と家の図検査 図36 水の水平面検査
山に木と家の図検査では,木も家も正しく垂直に描いていくが安定性 に欠けている。水平面の検査では正しく表すことができる。つまり,水
平の関係把握はできるが,垂直の理解が難しいのである。
3つの山検査では図版選択は,自分の座る位置が変わると間違ってし まう。描画では,前後op山の位置関係が反対になったり,2つの山が左 右反対になったり後方の山の位置がずれたりする。つまり,前後,左右 の位置関係は理解されているが,まだ不安定である。
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図37 3つの山の検査
3個の玉の軌道検査では,位置の心像は理解できるが,軌道の描画にお いて相称,方向とも正しく表せず,360度回転時の軌道描画も間違っ てしまう。それに対して,管の軌道検査では管の両端の軌道を正しく回 転させて描き,動作的再生も正確な回転を行うことができる。
身振り模倣検査では,腕の模倣では全部鏡像で反応するが,反対の検 査においては全部非鏡像で反応する。身振り模倣の操作的側面が優位に 一69一
働いていることを示唆している。
回転後 軌 跡 動作的再生 360聴
欝 嗣
①,⑭CO・
A誘③・c⑳搬,、
卿
図38 3個の玉の軌道検査結果
⑤神経心理学検査の結果
9歳1ヶ月時のWISC−R知能検査では,全IQが92,言語性I Qが84,動作性IQが102である。言語性IQと動作性IQとの差
が18あり,比較すると言語性の発達がやや宋熟であると推測できる。
言語性検査では理解が高く知識・算:数が低い,動作性検査では組み合わ せが高く符号が低くでており検査項目間のバラツキが大きい。ITPA 検査では,言語学習年齢が7歳2ヶ月であり,表現能力(6歳7ヶ月の レベル)と配列記憶能力(6歳2ヶ月のレベル)が低い。絵画語彙発達 検査(9歳1ヶ月:以下特記していない検査は9歳1ヶ月に実施したも のである)は,発達年齢が12歳以上であり年齢以上の発達を示してい る。復唱検査では5歳6ヶ月の発達を示している。3文節までは復唱す るが,文の長さが4文節以上になると黙ってしまう。生活経験に密着し た文であると4文節であっても復唱していく。間違い方は,省略,置換 が多い。ベンダー・ゲシュタルト検査は,角の誤り,不釣り合いの3失 点で8歳6ヶ月の発達である。微細運動検査結果は,ディアドコキネジ アでは左右ともスムーズさに欠け,回転時に連合運動が見られた。栂一 指検査では,指の動きがぎごちなかった。三日閉眼では,左右とも両日 一70一