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Ⅱ 甘藷の生理,生態的特性の発現に及ぼす   環境条件の影響  

〔.V〕育苗過程における環境条件と体内代謝との関係  

第13章 催芽温度と萌芽の発育  

廿譜の貯様ならびに育苗過程における稗藷内成分の消長に関しては,すでに多くの研究がなされている(2937   38120122128199201).しかして−稀藷の催芽温度と萌芽発育との関係については,すでに若干の報彗があるが(1961  

100167218),体内代謝との関連について検討されたものは殆んどみ当たらない.   

よつて本章においては,梓譜僻芽の適温とみなされる高温区と催芽限界に近い低温区とを設け,繭芽の発育状   況を検するとともに,種藷および朋芽内成分を追求し,育孤過程における催芽温度と諏芽発育との相互関係を明  

らかにしようとした.  

材料および方法   

供試材料としては冬期問地下庭貯蔵した護国譜(80g前後)を用い,100ccのど−カ一に川砂を満たし,容水墨   の55%に当たる水な・ちえたものに種訝を1個ずつ下方%伏込み,温度の異なる電気定温器内に置いた.しかして   催芽温度ほそれぞれ270C(高温区)と210C(低温区)に保って,1958年5月191]より実験を開始したが,伏込   み後8日目と12日目に当たる5月27日と5月51日の2回にわたり,中畑な5〜4個体を採取して萌芽の発翻犬況   を調査するとともに,体内成分の定員な而なった.なお分析に際してほ種譜の中央部における髄と皮屑の両部な  

らびに)萌芽について,炭水化物はSoMOGYI変法(83)により還元糖,非還元糖および搬粉の合≦孟を,また窒素化   合物は第1茸に準じて,可溶態ならびに蛋白態窒素の含量を測雇し,それぞれ生頚1g当たりのmg数を求めた.  

成績ならびに考察  

まず柄芽の発育状況について述べると,節9,10表に示すごとく,鯛芽数および舶芽粛は高温区のはうが低温   区に優つていた… また萌芽長ならびに萌芽節数でも高温区■>低温区であり,全般的に高温区における成硫のはう  

が低温区におけるよりも良好であることがわかる(図版エー2参照)目   

しかしてこれらの傾向ほ藤井 椎名(19),井捕白坂(61),McGINTY&MIuER(100),坂井丸峯(157)らが甘   藷種藷の朗芽と渦放との関係について二実験した成損に敬してもうなずかれる… すなわち藤朴・椎名(19)によれば,   

第9表 酎・i過程の初期における諏芽数および   一般に荊芽数ほ高温となるにつれて増加するが,護国   諏芽歪の排移(1個体当たり)   藷ほ250Cにおいて叔高の数字を示すと述べ,さらに  

高温区 低温区    McGINTY&MIuER(100),坂井1丸峯(157)らによれ   ば,温度の高いはうが萌芽が早く,勅芽数も大となる   ことを和しているのは,本命の成借ともその傾向が−・  

致する1.   

つぎに稀藷の炭水化物含鼠について検すると,高温   区では髄軌 皮屑部を・通じ還元糖,非還元糖ならびに   微粉がいずれも減少する傾向な示し,したがって仝炭   水化物合畳としても漸減したい また低温区では還元枇   および非還元糖が服部,皮屑部とも漸減したのに対   し,搬粉は両部において増減の傾向が相反していた   が,全炭水化物含景としてみれば,日時の経過に伴い   概して漸減した.さらに両区の髄部,皮屑部を通じて   還元糖,毅粉および全炭水化物含最ほ高温区のはうが    5月27日〈芸  

5月51日〈芸  

芽数   1555   7 00  芽蓮(g) 420   005   

芽数  

15‖る7  

8.25  

芽議(g)1485   O 89  第10表 育苗過程の初期における萌芽長および  

胡芽節数の推移(1本当たり)  

高温区  低温区   

8り50  

0フ4   

ー57−  

低温区よりも小であったのに対   し,非還元糖合嵐にははぼ相反す   る傾向が認められた… なおそれぞ   れの区における服部の各含嵐は皮   屑部のそれよりも常に大であった  

(第る5〜占る図参照).   

他方, ̄目藷の苗床における朋芽   期の種譜内炭水化物含量について二   報壊されたところをみると(120199),  

それらの傾向は全般的に本童の高   温区における成紙と類似してい   る.また両区の非還元糖を除外す  

第1つ表 育苗過程の初期における顆芽の炭水化物合毘 

(生壷1g当たりmg)   

還 元 糖   非還元糖   毅   粉   仝炭水化物  

′     \−−    、    ′r     ノー\      、  /      ・  −  、   /       \    −・  

高温区 低温区 高温区 低温区 高温  区 低湿区 高温区 低温区  

14るノ 10.47 829  555  2…74  948  24.0〔) 2455   

第12表 育苗過程の初期における繭芽の窒素化合物合昆  

(生壷1g当たりmg)  

可溶態窒素   蛋白態窒素   仝 窒 素  

′+一+−ノ +   一、    /−+′、−−−−−−・▼∴−,・・・、   r−−−一▲−  +一・−  一一、  

高温  区 低温 区 高温区 低温 区 高温 区 低温 区   

2るる   258   219  

272   485   5 10  れは,種藷内炭水化物含通が高温  

区■く低温区の傾向を示したのは,両区における種藷内水分合還(第る2図参照)ならびに灘芽の発育状況と閑適し   て∵いるものと解される.しかして低温区の種藷内政粉含こ認に若干の増加がみられたのは,舶芽の発育が綬慢であ  

るため,他の部位より転流された糖分から一・時的に波粉が合成されたものと考えられる.事実,朗芽の炭水化物   合嵐を併わせ検すると,第11表に示すどとく,還元糖および非還元糖含量は高温区>低温区であ.ったのに対し   て,放粉含嵐ほ高温区く低温区であるとともに,全炭水化物含量に殆んど差異が認められなかつたの蛛,両区匿   おける種藷と萌芽発育との生理的関係を示すものとして興味深いところである小   

つづいて種譜内窒素化合物含量について述べると,第67〜占9図に示すごとく,両区における可溶儲および蛋白   態窒素は髄部,皮膚部を通じ概して漸減し,したがって金宝素合嵐としてこも減退する様相を墨した..また高温区  

の髄部および皮層部における各含立とほ,低温区に比し概して\小であつた.さらに両区の髄灘龍点ける可溶儲窒素   合嵐ほ皮膚部のそれよりも大であるの紅対し,蛋白謄窒素合景にほ相反する傾向が認められた.   

上述の成楷は第5章における傾向(122)とも類似するが,また伊東・相聞(50),春」ヨ井・潮虻1(76),仕り11l称澤(187)  

らの検した梨,桑,馬鈴欝などの胡芽時における窒素化合物合嵐の変化とも共通する点が多いい しかも高温区   における各態空儲の含鼠が,低温区のそれらよりも全般的に小であるのは,両区紅おける爛芽発育の差異に閑適  

▲一一▲】」−.†【メ   J一−・⊃車∴卜  

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ヽ\「−、  

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滞る2図 背l■【■;過程の初期における  

種藷内水分合jlとの変化  

第る5図  

けの お鼠  

に含  期糖  初元  の還  枠内  過藷  苗種化  肖る変  

ー58¶  

▲一一−−▲乱エL区  

△  エ紙j止l互  

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Ⅴ   ̄   −Ⅴ   ▲ ̄  Ⅴ   月lコ  

第占7区l育苗過程の初期における   種藷内‖J溶態窒素合昆の   変化   

しているものと解される..すなわ   ち脚2表からもわかるごとく,両   区の萌芽における可溶態窒素合嵐   は高温区>低温区であるに反し,  

蛋白態窒素含量は高温区く低温区   であるとともに,金宝素合還に高   温区く低温区の傾向が認められた   のは,就芽の発育皮と関連してい   ることを示すものと考えられる.   

以上要するに育苗過程の初期に   おける種藷よりの萌芽ならびにそ   の発育に要する力掠あるいほ構成   材料として■は,種譜内肝臓物賀の   分解および転流紅依存することが   円価認された.しかしてとくに催   芽温度とのi渕係からみれば,高温   区で牲低温区に比して勅芽の数が   多く,またその発育も速やかであ   るが,同時に健譜内炭水化物なら  

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第dd図 育苗過程の初期における   種藷内金炭水化物含量の   変化  

肇d5図 育拍過程の祝儀射こおける  

種藷内澱粉含昆の変化  

▲−_▲rJJたしl三  

△−−−−−「△徳一鼠区  

▲−−−「▲7㌫/.既仔  

△−−−】△低一皿区  

生  壁 謙  含 ⁚出︵色兢−冗当たり︶  

JjL‡  

罪る9図 育苗過程の初期における   種藷内金窒来合蛍の変化  

翳る8図 南i−㌻盲過程の初期における  

種藷内蛋白態窒素含鼠の   変化  

びに窒素イヒ合物の分解,転流も盛んであることがわかった小 なお育苗過程の温度が鴎の性能に及ぼす猪響に憐し   ては,別途追究したく考えているい  

小   括   

本章では育萬過程匿庖ける種藷の催芽温度と萌芽の発育ならびに休内代謝との渕連忙ついて検するため,誕国   語を供試材料とし,催芽の適温とみなされる高温区(27◇C)と僻芽限界に近い低温区(2lOC)を設けて実験し   たが,その結果の概要を示せばつぎのごとくである..  

1L朗芽数,萌芽董および勅芽良,朗芽節数などほいずれも高温区のはうが低温区に優つていた‖   

ーーち9−  

2萌芽の炭水化物合鼠では還元糖および非還元糖が高温区>低温区であったのに対し,激粉含量にほ高温区   く低温区の傾向が認められたが,仝炭水化物合嵐にほ両区間に殆んど差異がみられなかノつたい  

5.諏芽における可溶態窒素含昆は高温区>低温区であるに反し,蛋白態空談合嵐は高温区く低温区であると   ともに,仝窒素含退には高温区く低湿区の傾向が認められたい   

4 種藷内炭水化物ならびに空談化合物の含羞吏ほ,概して届温区の掩うが低温区よりも小であった。.   

5.全般的にみて高温区における)崩芽の発育は,低温区におけるよりも促進されるが,その差異ほ両区におけ   る体内代謝と密接紅閑適していることがうかがわれた.  

第14章 窒素施与と苗蔓の生育  

甘藷の餞の良否ほ収鼠を左右し,かつ採苗時における箪内成分が挿菌活着ならびに塊根形成とも密接な関係を   有するごとくいわれているが(5152う556709510112$・124129195),育苗過程における施肥と苗吏の生育ならびに体内代   謝との関連濫ついてほ若干の報墓をみるに過ぎない(4=270ユ9∂2ユ8)… しかして吉崎鎌田(218)ほ.甘藷の育菌床紅お   ける肥料要潔が箇の生育に及ぼす諺響について検し,とくに窒素肥料の施用に留意すべきことを報じている.   

よって∴本章においては多望素と無窒素の2区を設けて育苗を行ない,地上部および地下部における生創犬況,  

炭水化物ならびに窒素代謝なとにl用して,それぞれ両区を比較検討し,育苗過程における窒素施当の意義を追求   しようとした.  

材料および方法   

供試湖料としてほ農林1号をノ飢、たが,試料は冬期問地下に貯成したものより,120g前後のものを遊んで育苗   した.しかして背馳に際しては,植木鉢(上径約50cm)を用いる土米作法により,各鉢当たり砂地土8kg,硫安   14g(無空談区でほ欠除),過右および塩加それぞれ5・・4gを混和して詰め,上記の種藷=個ずつを195る年4月50[l   に伏込み,同年7月2日まで実験に伏した,.   

分析胡料の採収は生育利こl寺な5〜4個体を対象とし,樺譜,茎,菓:凱 葉柄の各部をそれぞれ均等に代表させ   るように努めた… また炭水化物ならびに窒鶉化合物の定足ほ第1責に準して行ない,それぞれ生頚1g当たりの   mg数を求めた、  

成績ならびに考察   

実験成績を述べるに当たり,作物体の生育状況と関連して第4章に準じ,仝育苗過程を萌芽期(5月29日前   後),諏芽仲長期(占月151ヨ〜占月22日),独立栄養灘(7月21ヨ頃)の5期にI基分し,各期毎に検討を加えるこ  

ととする…   

A 朋芽期:植木鉢を用いて露地育萬に準じたためか,4月50日に種藷を伏込んだにも拘らず,両区とも容易   紅新芽がみられなかった.その後5月7日頃,若二Fの個体に芽の動きが認められ,両区において朋芽が盤一にな   ったのほ5月29仁1前後であったが,その頃においてほ地上部の生育はまだ極めて櫻かであった..また種藷におい   てほ虫昆に変働がみられず,水分合退には増大が認められた(第70,72〜7利払参照)い   

しかして種譜の炭水化物含二量に.ついて検すると,伏込み時紅比し多窒嘉区でほ.還元糖が減少したが,非一還元糖   ほむしろ土捌口し,汲粉は櫻かに減少するとともに,仝炭水化物合最としてはやや増加するのに対して,無窒素区   では還元糖,非還元糖および微粉の減少が著しく,全炭水化物合揖は多窒来区と逆にかなり減少することが認め  

られた(罪75〜78図参!1ノポ)小   

他力,甘藷の朗芽期における炭水化物合鼠について研究されたところによると,すで紅邪2事二紅も述べたごと   く,種藷の髄部における非道元枇ならびに赦粉と皮屑部における還元楓 非還元糖および放粉合昆の減少が指摘   されるが,冨Ⅷ(199)も発芽時においては糖合昆の減少を認めている.また田川1l乱澤(1那)は馬鈴潜について,さ   らに足利(6)は甘庶について,それぞれ発芽開始とともに相当多足の炭水化物消蟄があると報じて−いる山   

上記の傾向を本章における成約と併わせ考えると,多窒粟区の種藷における非還元糖ならびに仝炭水化物増加   の傾向についてほ,アミラ−ゼ活性の増大に基づく還元糖が,地上部における需要景を凌盤するため,一・時非還   元粧としで蕎私される結果と解されるが,仝炭水イヒ物としても増加する心からみれば,材料個体差の股響も関係  

していると考えられる