しかし、
3
月13
日9
時25
分頃、3
号機原子炉への淡水注入を開始したもの の、同日12
時20
分頃には取水可能な淡水が枯渇し、すぐに給水車による淡水 の補給が期待できなかったため、当初作っていた海水注入ラインに変更する作 業が必要となった65
。結局、海水注入を開始したのは同日
13
時12
分頃であり、淡水が枯渇してか ら約52
分間、十分な原子炉注水ができない時間が生じたのみならず、高線量 の中で作業員らをして海水注入ラインの再構築作業に従事させることになっ た。(3)2号機への代替注水準備の状況と水源確保に向けた対処 a
2
号機の代替注水準備①
2
号機については、3
月12
日4
時頃、RCIC
の水源となっていた復水貯蔵タ ンクの水位減少が確認された。そこで、当直は、復水貯蔵タンクの水位を確保 するとともに、S/C
の水位上昇を抑制するために、RCIC
の水源を復水貯蔵タ ンクからS/C
に切り替えることにした。同日
4
時20
分から同日5
時にかけての頃、当直は、C
装備及び全面マスク を着用し、2
号機R/B
地下1
階のRCIC
室に行った。このとき、RCIC
室内は、長靴の高さくらいまで水が溜まり、高温多湿の状態であった。当直は、RCIC 室に入り、それぞれ役割分担をして、
RCIC
入口計装ラックでポンプ入口圧力 計を監視し、懐中電灯で照らしながら、RCIC
の水源を復水貯蔵タンクからS/C
に切り替えるため、手動で三つの電動弁の操作を実施した。その結果、
2
号機については、RHR
が機能していない以上、S/C
を水源とし てRCIC
を作動させれば、循環する蒸気が十分冷却されず、S/C
の水温、圧力 が上昇することになり、かつ、当直もそのような事態になることを容易に予想 できたはずであったが、同月14
日4
時30
分頃まで、S/C
の水温も圧力も監視 されることはなかった。
65
海水注入ライン変更作業中、3
号機については、D/DFP
が作動中であったため、原子炉注水が全くな されていなかったわけではないが、吉田所長が懸念していたとおり、D/DFPの吐出圧力は低く、水源と193
②
3
月13
日12
時過ぎ頃、吉田所長は、2
号機のRCIC
が停止した場合に速や かに海水注入に切り替えるため、2
号機の原子炉に海水注入する準備を進める ように指示をした。既に所内で原子炉注水に使える淡水については、全て3
号 機原子炉への注水に使っていたので、吉田所長は、2
号機については最初から 海水注入しかないと考えていた。このとき、発電所対策本部復旧班は、3 号機と同様に、消防車による原子炉 注水の際には
SR
弁の開操作が必要となると考え、同日午前中に自家用車両か ら取り外していた12V
バッテリー合計10
個を1/2
号中央制御室に運び込み、これらを直列に接続し、
SR
弁制御盤につなぎ込んで、同日13
時10
分頃には、SR
弁制御盤の操作スイッチ・レバーでSR
弁を手動で開操作できる準備を整え た。もっとも、この頃、3号機への代替注水の水源を防火水槽の淡水から
3
号機T/B
前の逆洗弁ピット内の海水に切り替えるため、自衛消防隊及び南明社員は、3
号機の海水注入ラインを構成する準備を優先していた。そのため、2
号機に ついては、建屋外の代替注水ラインの構成を後回しにせざるを得なかった。③ 自衛消防隊及び南明社員は、
3
号機への海水注入開始後、3
号機T/B
前の逆 洗弁ピットを水源とした2
号機への注水が可能となるように、消防車を配置し てホースの敷設を実施し、3
月13
日夕方頃までに2
号機への海水注入ラインを 完成させた(資料Ⅳ-22参照)。しかし、
3
号機T/B
前の逆洗弁ピット以外に補給可能な水源が見当たらず、逆洗弁ピット内の水量も限られていたので、発電所対策本部は、
RCIC
が作動 していると考えていた2
号機より、海水注入以外に代替注水手段をもたない1
号機及び3
号機を優先して注水すべきと判断した。そのため、2
号機について は、消防車を用いたFP
系ラインを整え、SR
弁による減圧操作も可能な状態に なったが、消防車の消防ポンプを起動させず、待機状態とした。本店対策本部も、テレビ会議システムを通じて、かかる注水状況を把握して いたが、
3
号機T/B
前の逆洗弁ピットの海水には限りがある以上、3
号機のみ 注水を実施し、2
号機について待機状態とするのはやむを得ないと考え、発電なるろ過水タンクの水量も減り、建屋外の
FP
系配管が破断している可能性もあり、十分な代替注水手 段とは言えなかったと考えられる。194
所対策本部の判断に異論を差し挟むことはなかった。
b 水源確保に向けた検討
①
3
月13
日午後、3
号機T/B
前の逆洗弁ピットに貯留した海水を水源として、1
号機及び3
号機へ注水を実施したが、同逆洗弁ピット内に貯留していた海水 の量も減少傾向にあった。そのため、発電所対策本部は、
1
号機及び3
号機に加え、2
号機の原子炉へ の注水の水源として3
号機T/B
前の逆洗弁ピットを用いれば、早いうちに水が 足りなくなると考えた。そこで、発電所対策本部は、海水、淡水にこだわらず、とにかく水を補給することが再優先と考え、本店対策本部にも、外部から水を 補給してもらえるように要請した。
② 自衛消防隊及び南明社員は、現場付近の海水・淡水で取水できる場所がない か探した。
例えば、
4
号機T/B
付近のヤードから南側物揚場にかけての場所にある取水 口から海水を取り込むことを検討したが、取水口に降りるスロープに陥没が あって海沿いまで行くことができなかった。そこで、放水路上のマンホールを 開けて海水を取り込むため、ディーゼルエンジンと水中ポンプを調達して結線 しようとしたが、結局うまくいかなかった。また、消防車を用いて海水を直接取り込むことも検討したが、消防車から海 面までの距離が
20m
程度あり、消防ポンプの吸込圧力が足りず、海水を取り 込むことができなかった。そして、この頃、
4
号機T/B
地下1
階に津波の影響で海水が溜まっているこ とが分かっていた。当時、ここには、津波発生後消息不明となった当直2
名が いると考えられており、吉田所長は、その当直2
名の消息を早く確認したいと の思いを持ち続けていたこともあり、消防車を4
号機T/B
大物搬入口から建屋 内に入れて、地下1
階に溜まった海水を取り込むことを検討するように指示し た。そこで、自衛消防隊及び南明社員は、4
号機T/B
大物搬入口のシャッター をバックホーで破壊して消防車をT/B
内に入れて取水を試みたが、地下1
階に 溜まっていた海水の水位が下がっており、消防ホースに海水を吸い込むことが できなかった。195
さらに、消火栓を開けて
3
号機T/B
前の逆洗弁ピットに水を補給することも 試みたが、消火栓からは全く水が出ず、補給できなかった。結局、現場で、逆洗弁ピットに補給できる水源を探したが、適当な場所が見 つからなかった
66
。③
3
月14
日1
時10
分から、3
号機T/B
前の逆洗弁ピットの海水が少なくなり、水面が下がった結果、3 号機への注水に用いていた消防車が海水を吸い込めな くなった。
現場作業員らは、現場付近で、この逆洗弁ピットに補給できる水源を探した が、やはり適当な場所が見つからなかった。
ところが、この逆洗弁ピットを再度確認すると、貯留していた海水が全体的 に水位低下したわけではなく、がれき等の影響で、一部場所では、水位がある 程度確保された状態で海水が貯留していた。
そこで、現場作業員らは、
3
号機への注水に用いていた消防車を3
号機T/B
前の逆洗弁ピットに寄せて、消防ホースの取水位置を調整し、ある程度水位の 確保された場所に貯留していた海水を取り込めるように消防ホースを固定し、同日
3
時20
分頃から、3
号機への注水を再開することができた。しかし、海水の量が限られていたため、
2
号機はもちろんのこと、1
号機へ の注水も中断したままであった。c 新たな海水注入ラインの構成
①
3
月14
日5
時過ぎ頃、東京電力の南横浜火力発電所や千葉火力発電所等の消 防車合計4
台(防災要員合計11
名)が福島第一原発に順次到着した。発電所対策本部は、これにより、北側物揚場から消防車を使って海水を吸い 上げ、
3
号機T/B
前の逆洗弁ピットに海水を補給することが可能になると考え、そのライン構成作業を開始した。
北側物揚場に千葉火力発電所の消防車を置いて海から直接海水を吸い上げ ることとしたが、同所から、同車両の消防ポンプのみで
3
号機T/B
前の逆洗弁 ピットまで送水することは、高低差が約10m
あるので不可能であった。