さらに、同日
22
時に2
号機の原子炉水位計が復旧し、この原子炉水位計によ ればTAF
まで約3,400mm
の余裕があったので、バッテリーの消耗を抑えるため、発電所対策本部から原子炉水位の確認指示がある都度、バッテリーを計器に接続 して原子炉水位を確認するようにした。
なお、発電所対策本部復旧班は、1/2 号中央制御室及び
3/4
号中央制御室の照 明復旧のため、それぞれ小型発電機を構内協力企業から調達し、同日20
時49
分 頃に1/2
号中央制御室内に仮設照明が設置され、同日21
時58
分頃には3/4
号中 央制御室内にも仮設照明が設置された。もっとも、これらの仮設照明は、室内全体を照らすものではなく、ごく限られ た範囲、例えば書面や計測機器を読み取るために必要な手元程度を照らすことが 可能なものにすぎなかった。これらの小型発電機は交流電源であり、後に、2 号 機の
D/W
圧力計やS/C
水温計等の交流電源を必要とする計測機器の電源として も用いられた。③ ところで、外部から福島第一原発に供給される高圧交流電源は、
27
万5,000V
又は6
万6,000V
であり、これを各プラントに設置された動力用電源盤で3
段階 に変圧し、各電気系統に適した電圧で、電気回線を通じて発電所構内に交流電源 を供給していた。具体的には、まず、動力用電源盤には、所内高電圧回路(6,900V用)に使用さ れる動力用電源盤である金属閉鎖配電盤(
M/C
)、所内低電圧回路(480V
用)に使用される動力用電源盤(
P/C
)、小容量の所内低電圧回路(100V
用)に使用 される動力電源盤(MCC
)の三つがあった。そして、所内設置の電気系統は大型 のものから小型のものまで、必要とする電圧が6,900V
、480V
、100V
の3
段階 に分かれ、発電所外部から送られた電気を順次変圧し、それぞれ適した電圧の回 線と接続して必要な電力を供給していた。そのため、仮に外部電源を復旧したと しても、これらの動力用電源盤が使用できない限り、外部から電力を所内の各電 気系統に送ることはできなかった。④
3
月11
日16
時39
分頃、発電所対策本部復旧班は、地震・津波の影響による 外部電源及び発電所内の交流・直流電源設備に係る被害確認を開始した。このうち、
1
号機及び2
号機のT/B
地下1
階(一部はT/B
外)にある電源盤で161
ある
M/C
やP/C
については、その浸水状況や外観の損傷状態等を目視で点検で きた。そして、同日20
時56
分頃までに、1
号機については、M/C
及びP/C
の全 てが使用できないことが判明し、また、2
号機については、M/C
の全てが使用で きず、P/C
の一部が使用可能であることが判明した。さらに、発電所対策本部は、3/4
号中央制御室の当直からの報告で、3号機のT/B
地下一階にあるM/C
やP/C
が浸水して使用不能であるとの報告を受けていた。そこで、発電所対策本部復旧班は、使用可能な
P/C
の動力変圧器51
及び電源車 を用いて復旧が可能な電気系統を調べた。その結果、1
号機については、2
号機P/C
のC
系統(以下「2C
」という。)から1
号機MCC
の1
次側に仮設ケーブ ルを接続して480V
電流を通せばSLC
系を利用できることが分かった。また、2
号機については、2C
の一次側に高圧電源車を接続すれば、P/C
で480V
に変圧し、SLC
系及び制御棒駆動水圧系(CRD系)を利用できることが分かった。これら
SLC
系やCRD
系は、FP
系の水源がろ過水タンクであるのに対し、い ずれも、水量こそ多くはないが、建屋内に水槽があるため、地震・津波の影響も 比較的小さく、原子炉圧力が高くても注水可能であるという利点があった。ただし、この頃福島第一原発に調達された電源車は、いわゆる高圧電源車であ り、
6,900V
の電圧であったため、P/C
に直接接続することはできなかった。そこで、発電所対策本部復旧班は、使用可能な
P/C(2C
)の動力変圧器の一次 側、すなわち、6,900V
の電圧電流が流れる回線部分に高圧電源車から仮設ケーブ ルを接続し、SLC
系ポンプ等の機器の動作に必要な電圧480V
を確保する作業が 必要となった52
。⑤ 電源復旧は、
1
号機から3
号機まで全てに必要であった。しかし、
3
月11
日夕方から同日夜にかけての頃、3
号機についてはRCIC
の作 動が確認できたのに対し、1
号機及び2
号機については、IC
又はRCIC
の作動が 確認できなかった。そのため、発電所対策本部復旧班は、電源車と2C
をケーブ ルで接続するなどして、1号機及び2
号機の電源復旧を優先的に実施することに した。
51 6,900V
の電圧を480V
に降圧する装置をいう。52
電源車の規格については、6,900V
用の高圧電源車、100V用の低圧電源車は一般に存在するが、そも そも、480V用の電源車は、特別の用途に用いるものを除き、一般には存在しなかった。162
発電所対策本部復旧班は、
2C
までの距離やケーブル敷設等の作業性を考慮し、2
号機T/B
南側に電源車を配置し、2
号機T/B
外を西方向に高圧ケーブルを敷設 して、2
号機T/B
西側貫通部から2
号機T/B
内に高圧ケーブルを通し、2
号機T/B
内1
階西側廊下から1
階北側にある電源盤の2C
まで高圧ケーブルを敷設して、ケーブルの両端を、それぞれ電源車と
2C
に接続して2
号機の電源復旧を行うこ とにした。また、この2C
から、1
号機コントロール建屋(C/B)地下1
階北東側 にある電源盤のMCC1
次側まで低圧ケーブルを敷設、接続して1
号機の電源復 旧を行うことにした(図Ⅳ-6
参照)。
前記高圧ケーブルは、
4
号機定期検査工事用に協力企業が4
号機付近に保管し ていた直径約十数mm
のもので、敷設用に長さ約200m
程度に切り取ったが、そ の重量は1t
以上のものとなった。同月
12
日未明以降、発電所対策本部復旧班は、前記高圧ケーブルを4t
ユニッ ク車で2
号機T/B
大物搬入口付近まで運搬した上、東京電力社員及び協力企業社 員約40
名を動員して、人力で2
号機T/B
内1
階に高圧ケーブルを移動させて敷 設する作業を行った。さらに、依然として大津波警報発令が継続し、たびたび余 震が発生しては退避を繰り返し、作業中断を余儀なくされた。また、作業現場と図Ⅳ-
6 1
・2
号機ケーブル敷設ルート(略図) 東京電力作成資料を基に作成163
発電所対策本部との間での通信手段は、
PHS
が使えなかったので無線機しかな く、現場作業員が発電所対策本部と報告・連絡をする際には無線機を傍受できる 場所まで移動を強いられるなど、発電所対策本部との連絡にも時間を要した。結 局、かかる高圧ケーブルの敷設だけで数時間を要した。また、
2C
への接続に必要なケーブルの端末処理は、3
線ある高圧ケーブルの端 をそれぞれ金属板に固定する特殊な作業であり、数名の技術者が数時間かけて実 施した。さらに、これらの作業と並行して、東京電力社員及び協力企業社員約
10
数名 が、2
号機T/B
内1
階北側にある電源盤の2C
から、1
号機C/B
地下1
階北東側 にある電源盤のMCC1
次側まで低圧ケーブルを移動・敷設し、発電所対策本部復 旧班が、低圧ケーブルと電源盤のMCC1
次側を接続するために端末処理する作業 を実施した。ところで、同月
11
日夜から同月12
日朝にかけて、順次、自衛隊や東北電力等 から電源車が届いていたが、東京電力内で調達した電源車がケーブル敷設作業中 に福島第一原発に到着したため、結局、東京電力の電源車を使用することとし、この電源車を
2
号機T/B
南側に配置し、T/B
西側貫通部を通した高圧ケーブルと 電源車を接続した。⑥
3
月12
日15
時30
分頃、2C
の一次側へのケーブルつなぎ込みや高圧電源車へ の接続等が完了し、高圧電源車を起動させ、絶縁抵抗測定を開始していた。他方、発電所対策本部復旧班は、
1
号機計測用電源を復旧するため、2
号機T/B
大物搬入口内側に低圧電源車を配置し、1
号機のC/B1
階のケーブルボルト室ま で電工ドラム数台を接続してケーブルを敷設し、必要な端末処理を行い、同日7
時20
分頃、1
号機の計測用分電盤に接続して送電を開始していた。しかし、同日
15
時36
分頃、1
号機R/B
で爆発が発生し、爆発による飛散物に より、2号機T/B
南側から電源車に接続するために敷設していたケーブルが損傷 した。そして、
1
号機R/B
が再爆発する危険もあったため、現場作業に従事していた 者は全員、一旦作業を中断し、免震重要棟へ退避した。その際、運転操作者が高 圧電源車から離れざるを得ないため、作動していた高圧電源車を手動で停止した。また、低圧電源車は
2
号機T/B
大物搬入口内側に配置していたため、爆発によ164
ドキュメント内
Microsoft Word - 【セット】Ⅳ章(1219).doc
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