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133 c 1 号機への海水注入に向けた準備状況

ドキュメント内 Microsoft Word - 【セット】Ⅳ章(1219).doc (ページ 57-69)

① この頃、使用可能な消防車の台数が少なく、津波の影響で構内の通行事情も 良くなかった。そのため、発電所構内の防火水槽全ての淡水を

1

号機への注水 の水源とするのは実際上困難であり、防火水槽に補給可能な淡水にも限りが あった。

また、

3

12

日未明に各電力会社に散水車を要請していたが、福島第一原発 にいつ届くか見込みが立っていなかった。

そこで、同日

12

時頃、吉田所長は、

1

号機近辺の防火水槽内の淡水が枯渇し た場合には

1

号機原子炉へ海水を注入することを決断し、発電所対策本部復旧 班や自衛消防隊に対し、海水注入のためのラインナップを検討するように指示 した。

そこで、現場で注水作業に当たっていた自衛消防隊や南明社員は、海水を含 め、現場付近に注水に使える水がないか探し回った。

このとき、自衛消防隊及び南明社員は、手持ちの消防車を使って北側物揚場 から直接海水をくみ上げることを検討したが、

1

号機

T/B

まで距離があり、高 低差も

10m

程度ある上、消防車の通行が難しい状況であったため、物理的に 困難と判断した。

さらに、自衛消防隊及び南明社員が、現場に水源がないか探し回ったところ、

3

号機

T/B

前の逆洗弁ピットに津波の影響で海水が大量に溜まっているのに気 付き、発電所対策本部にその旨報告した。

吉田所長は、この報告を受け、

1

号機原子炉に注水している淡水が枯渇した 場合には、

3

号機前の逆洗弁ピット内に溜まった海水を使おうと考え、担当責 任者にその旨指示した。

本店対策本部本部の小森明生常務取締役(以下「小森常務」という。)らや オフサイトセンターの武藤栄代表取締役副社長(以下「武藤副社長」という。)

らも、テレビ会議システムを通じて、吉田所長の前記決断・指示等を認識して いたが、

1

号機原子炉に注水することが最優先課題であると認識しており、

1

号機原子炉に海水を注入することに躊躇して異論を唱える者はなかった。

さらに、総理大臣官邸(以下「官邸」という。)に詰めていた武黒一郎東京 電力フェロー(以下「武黒フェロー」という。)、班目春樹原子力安全委員会

134

委員長(以下「班目委員長」という。)、保安院関係者らも、発電所対策本部 や本店対策本部と直接連絡・協議をしたわけではないが、淡水が枯渇すれば海 水を注入することは当然のことと考えていた。

3

12

14

53

分頃、消防車による

1

号機原子炉への淡水注入の水源で あった防火水槽の淡水が枯渇し

42

、早期に代替的な淡水を確保できる見込みが なかった。そのため、引き続き、同日

14

54

分頃、吉田所長は、1号機原子 炉への海水注入を実施するように指示した。

自衛消防隊及び南明社員は、吉田所長の指示を受け、

3

号機

T/B

前の逆洗弁 ピットに貯留していた海水を水源とするため、消防ホースを固定して逆洗弁 ピットからの取水や揚程を確保するために消防車

3

台を直列につなぎ、

1

号機

T/B

送水口に消防ホースを接続するなどして、1 号機原子炉に海水注入できる ラインを構成する作業を行った。

同日

15

18

分頃、吉田所長は、今後準備が整い次第、

1

号機原子炉に

FP

系で海水注入する予定であることを官庁等に報告し、実際、海水注入のための ライン構成作業は、同日

15

30

分頃、ほぼ完了した。

③ しかし、

3

12

15

36

分頃、

1

号機

R/B

で水素ガスによると思われる 爆発が発生し、現場で作業に従事していた東京電力社員

3

名、南明社員

2

名が 負傷した。

現場で注水作業に従事していた者は、負傷者の救助・搬送を実施するととも に、残りの者は現場退避して免震重要棟に戻った。

その後、安全確保のためのサーベイや現場確認をするなどして、爆発の影響 を調査し、安全が確認されるまでは、復旧に着手できない状態であった。

爆発後、

1

号機

R/B

の建屋上部は骨組みが露出し、発煙が認められた。

3

号機

T/B

前の逆洗弁ピットから

1

号機

T/B

送水口への注水ラインに敷設さ れた消防ホースは、爆発の影響で散乱したがれき等によって破損して使用不能 となった。しかし、幸いなことに、注水ラインを構成するのに用いた消防車

3

台は、

1

号機

R/B

の爆発にもかかわらず、起動可能であった。

吉田所長は、

1

号機爆発直前には、消防車による海水注入のラインも完成し、

42

この時点で、1号機原子炉への注水量は、概算で累計約

80t

であった。

135

SLC

系ポンプを起動させるために必要な電源復旧作業もほぼ完了し、

1

号機へ の代替注水準備が整いかけた段階であったのに、爆発によって一から復旧を余 儀なくされ、失望を禁じ得なかった。

1

号機

R/B

付近は、爆発の影響で建屋のがれきが散乱して放射線量が高く、

再度爆発が起こる危険も払しょくできなかったが、なおも

1

号機原子炉への代 替注水に向けた対応を迫られていたため、吉田所長は、同日

17

20

分頃には、

現場作業を再開するように指示した。

そして、自衛消防隊及び南明社員は、放射線管理員の監視のもと、

1

号機

R/B

から飛散した鉄板等のがれきを片付け、再敷設するためのホースを屋外の消火 栓からかき集めるなどして、再び

1

号機への注水ラインの敷設作業を進めた。

d 問題点の指摘(1号機代替注水の準備・実施上の問題点)

3

11

17

12

分頃、吉田所長は、

1

号機及び

2

号機の原子炉への代替 注水手段として、

AM

策による代替注水の検討に加え、既に、消防車を用いた

FP

系注水についての検討指示も出していた。

しかし、消防車を用いて建屋外の注水作業に着手し、

1

号機

T/B

の送水口の 場所を探し始めたのは、実に同月

12

2

時から同日

3

時にかけての頃のこと であり、その後、当初の注水の準備・実施も、東京電力の自衛消防隊ではなく、

南明社員が行った。

そして、同日

4

20

分頃になって、注水作業に従事していた南明社員が免 震重要棟に引き返した。発電所対策本部は、南明から、現場の放射線量が高く、

これ以上南明だけで注水作業に従事するのは困難であると聞かされ、同日

5

時 頃になってようやく、自衛消防隊が、南明社員と一緒に現場での注水作業に従 事するようになった。結局、継続的に注水を開始できたのは、同日

5

46

分 頃となった

43

。これは、同月

11

15

37

分頃に全交流電源喪失し、その頃、

直流電源も全て喪失して、ICが機能不全に陥ってから、実に

14

時間以上経過 してのことであった。

② このように注水作業が遅れた主たる原因の一つに、発電所対策本部及び本店

43

当直は、同日

18

30

分頃以降、建屋内の

FP

系ラインと

MUWC

系ラインを接続する弁の操作など を行い、同日

20

時頃には、建屋内の

FP

系から原子炉へ注水するラインは整えられていた

136

対策本部における

IC

の作動状態に関する誤認識が挙げられる。

発電所対策本部及び本店対策本部は、

3

11

21

51

分頃に放射線量上 昇のため

1

号機

R/B

への入域禁止となるなど放射線量が上昇し、同日

23

50

分頃に

1

号機の

D/W

圧力計が

0.600MPa abs

を示したことなどを把握するに 至ってようやく、

IC

の作動状態に疑問を抱くようになったが、それまでは、

IC

が作動中であり、むしろ

2

号機の原子炉の状態の方が危険であると考えていた。

しかし、前記(1)e(c)記載のとおり、発電所対策本部及び本店対策本 部が、フェイルセーフ機能による

IC

隔離弁の開閉状態を正しく理解し、ある いは、当直から寄せられた情報を正しく評価していれば、津波到達からほどな くして、

IC

が十分な機能を果たしていないことに気付くことは可能であった。

そして、発電所対策本部及び本店対策本部が、

IC

の作動状態を正しく認識し ていれば、崩壊熱が大きい原子炉スクラム停止から間がないうちに

IC

が機能 しなくなり、

1

号機が極めて危険な状態にあることもまた認識できたはずであ り、そうであれば、

1

号機よりも

2

号機の原子炉の状態の方が危険であるとの 判断の下、

1

号機原子炉への代替注水がなされない状態を継続させたとは到底 考えられない

44

結局、発電所対策本部が

IC

の作動状態に関する認識を誤っていたが故に、

1

号機原子炉の危機的な状況についての認識が遅れ、本来

1

号機に向けるべきで あった危機意識が不十分であったことにより、原子炉減圧及び代替注水の実施 に関する判断が遅れた可能性がある。

早期の代替注水を可能とするに足る資機材が利用可能であったかという観 点から見ると、まず、同日夕方以降、発電所構内には、いつでも利用可能な消 防車が

1

台あり、複数の

40t

用防火水槽内に淡水が存在した。

また、同月

12

2

45

分頃までは、原子炉圧力計によれば、原子炉圧力が 消防車の吐出圧力

45

を遥かに上回っていたことから、

SR

弁の開操作により原子 炉を減圧しなければ、消防車を用いて

FP

系から原子炉に注水することはでき ず、発電所対策本部も、そのことを分からないはずがなかった。

44

もっとも、

2

号機に関しても、

3

11

日中に発電所対策本部が消防車の配置や消防ホースの敷設、減 圧操作用のバッテリー収集といった注水準備に着手した事実は認められない。唯一、当直が建屋内の

FP

系ラインを原子炉注水ラインに切り替えただけである。

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