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3年  32  39  71

合計  111  117  228

調査結果:

(1)悩みの分類

 高校生のさまざまな悩みに関する27の質問項目に対し,その度合いを生徒 に4件法で評定させ,因子分析(主因子法,バリマヅクス回転)を行った。スク

リープロットから3〜5因子解が適当と考えられたので,3因子解から5因子 解の因子分析を行った。その結果,3因子解が質問項目の意味的なまとまりが 最も適当だと判断されたので,3因子解を採用した。

 なお,因子の解釈に当たっては,一つの因子に対してのみ,負荷量の絶対値 が0.4以上で他の因子に対する負荷量の絶対値の差が0.2以上ある質問項目を 用いた。結果はTable4−2の通りである。

 第1因子については「孤立感因子」(α=0.85),第2因子については「学業・

進路達成感因子」(α=0.64),第3因子については「家族との葛藤因子」(α=0.52)

と解釈した。

Table4−2回転後の因子行列

F1

F2 F3 共通性

クラスになじめない 仲のよい友達が多い

自分はクラスメイトに無視されている 友達を作るのは苦手だ

心を割って話のできる友人はいない クラス内に自分と合う子がいない 仲間はずれにされそうで心配である 内気なので自分を主張できない 自分だけ周りの人と違うような気がする 異性の前ではうまくしゃべれない 進路目標は明確である

将来自分が本当にしたいことがわからない クラブと勉強とが両立できている

自分は先生から信頼されている 学校の勉強についていけない 親は自分に厳し過ぎる 家族の期待を重荷に感じる 異性との交際で悩むことが多い

0.78

−0.74 0.68 0.65 0.64 0.63 0.59 0.54 0.50 0.42

−0.02  0.11  0.05

−0.13

−0.09

−0.03

 0」6

−0.02

一〇.14

 0.00

−0.07

 0.20

−0.25

−0.21

−0.10

 0.08  0.19

−0.03

0.74

−0.56 0.44 0.40

−0.40

−0.13

−0.10  0.06

0.08 0.15 0:03 0.02

−0.18

−0.05 0.27 0.01 0.09 0.11 0.10 0.08

−0.08 0.04 0,09 0.66 0.56 0.44

0.64 0.56 0.46 0.46 0.51 0.45 0.43 0.30 0.29 0.19 0.56 0.33 0.20 0.18 0.18 0.45 0.35 0.20

固有値

寄与率(%).

3.97 22.07

1.64 9.09

1」3

6.30

(N=228)

(2)相談経験の有無による因子得点の比較

 次に,それぞれの因子の解釈に用いた項目の素点の平均値(負荷量がマイナス の場合は逆転)を因子得点として,「同世代の友人に悩みの相談をした経験の有 無」,および「同世代の友人から相談された経験の有無」による因子得点の差に ついてt検定を行った。

 男子については,家族との葛藤因子の得点において,相談をした経験の有無

の間に有意な差がみられた(t=2.81,df=107, p<.01)。

Table4−3相談した経験の有無による因子得点の平均値と標準偏差(男子)

因子名 相談したことがある(N=57) 相談したことがない(N=52)

孤立感

学業・進路達成感 家族との葛藤

2.04(0.51)

2.31 (0.71)

2.19(0.60)

2』19(0.67)

2.32(0.63)

t88(0.56)

※():S.D.

 女子については,孤立感因子の得点において,相談をした経験の有無の間に

有意な差がみられた(t=2.58,df=114, pく.05)。

Table4−4相談した経験の有無による因子得点の平均値と標準偏差(女子)

因子名 相談したことがある(N=97) 相談したことがない(N=19)

孤立感

学業・進路達成感 家族との葛藤

1.93(0.49)

2.50(0.61)

2.07(0.71)

2.25(0.55)

2.36(0.65)

1.89(0.68)

※():S.D.

また,男子については,家族との葛藤因子の得点において,相談された経験

の有無の間に傾向差がみられた(t=1.74,df=107, p<.10)。

Table4−5相談された経験の有無による因子得点の平均値と標準偏差(男子)

因子名 相談されたことがある(N=61) 相談されたことがない(N=48)

孤立感

学業・進路達成感 家族との葛藤

2.04(0.57)

2.33(0.71)

2.13(α61)

2.12(0.61)

2.30(0.63)

1.93(0,58)

※():S.D.

 女子については,孤立感因子の得点において,相談をされた経験の有無の間

に有意な差がみられた(t=2.87,df=114, p<.01)。

Table4−6相談された経験の有無による因子得点の平均値と標準偏差(女子)

因子名 相談されたことがある(N=103) 相談されたことがない(Nニ13)

孤立感

学業・進路達成感 家族との葛藤

1.94(0.50)

2.50(0.62)

2.04(0.72)

2.35(0.43)

2.27(0.56)

2.03(0.62)

※()=S.D.

ここで,相談した経験と相談された経験の度数をクロス集計した結果,相談 をした経験と相談をされた経験に何らかの関係があると考えられる(男子:

疋2=48.9,df=1,p<.001. 女子:κ2=39.2, df=1, p<.001)。

Table4−7相談した経験とされた経験のクロス表(男子)

相談された経験

ある  ない 合計 相談した経験  ある

        ない

50

11

7 41

57 52

合計 61

48 109

Table4−8相談した経験とされた経験の如ス表(女子)

相談された経験

ある  ない 合計 相談した経験  ある

        ない

94

9

3

10

97

19 合計

103 13 116

 したがって,上では,相談した経験と相談された経験に分けて分析したが,

まとめて相談経験の有無として,考察したほうが適当と考えられる。

 つまり,男子については,家族との葛藤についての悩みの度合いが高いほど,

(3) 悩みの相談相手

Figure4−1は,生徒がいろいろな問題で悩んだとき,一番良く相談すると思 われる相手の比率を示したもので,悩みの種類に関わらず,常に「同世代の友人」

の割合が高いことがわかる。特に「友人関係」や「異性との関係」など,「人間 関係」に関する悩みでは,ほとんどの生徒が相談相手として「同世代の友人」

を選んでいる。

 友人関係

先生との関係

 学業成績  進路選択 部活の問題 家族の問題 いじめの問題

 異性関係  性の問題

身体の問題

0%

国同世代の友人 囮父または母 圖兄弟姉妹 凹先生 目先輩 図その他

20%       40%       60%       80%

  Figure4−1悩みの相談相手

100%

 また,過去において実際「友人に相談した悩み」,「友人から相談された悩み」

についての自由記述による回答をみると,「友人関係」,「異性関係」がいずれに おいても最も多く,相談経験のあるほとんどの生徒があげている。続いて「進 路」,「勉強・成績」,「部活の問題」についても多く,「同世代の友人」に相談す

る割合は,上の結果よりも実際は高いのではないかと考えられる。

(4)ピア・サポート実施の可能性

 ピア・サポートシステムを導入した際,高校生にどの程度受け入れられるの かを調べるために用意した質問(相談できる生徒の組織があれば相談しようと 思うか,生徒の相談を聞く組織があれば入りたいと思うか,カウンセリングに 興味はあるか,カウンセリングを勉強したいと思うか)に関する回答結果を

:Figure4−2〜5に示す。

3年

2年

1年

0%

■しょうと思う

[コしょうと思わない

□わからない

20%       40%       60%       80%      100%

Figure4−2相談できる生徒の組織があれば相談しようと思うか

3年

2年

1年

。%

圏入ってやって  みたい 目入りたいとは  思わない

□わからない

20%       40%       60%        80%       100%

Flgure4−3生徒の相談を聞く組織があれば入ってみたいと思うか

3年

2年

1年

圓ある

□ない

3年

2年

1年

0% 20% 40% 60% 80%

圏してみたい 朝したいと思  わない

100%

Figure4−5カウンセリングを勉強する機会があればしたいか

 ピア・サポートに関して十分な認識がないこともあって,自分が相談に行く ことには,どの学年も消極的で,とくに2年置においては強い抵抗がみられる。

逆に自分が相談にのる側として参加したいという回答は,少数ながらも学年が 進むにつれて増加している。カウンセリングに対する興味や関心も学年が進む につれて高まり,機会があれば勉強したいと思うものは,全学年で過半数を超 えている。相談の仕方を少しでも学んで友だちの役に立ちたいという思いか,

あるいは友だちからの相談にうまく答えられないために勉強したいと思うのか いずれにせよ,生徒たちはそういう機会が与えられることを望んでいることが

うかがえる。

 次に,「相談できる生徒の組織があれば相談しようと思うか」という質問に対 する回答と,他の3つの質問(生徒の相談を聞く組織があれば入りたいと思う か,カウンセリングに興味はあるか,カウンセリングを勉強したいと思うか)

に対する回答の度数をクロス集計し,z2検定を行った。

結果,相談しようと思うかどうかと他の3つの質問の回答との間にすべて何 らかの関係があると考えられる。

 「相談できる組織があれば相談しようと思うか」という質問に対し,「思う」

「思わない」「わからない」と答えた3つの群で比較すると,

 「思う」と答えた群は,他の群に比べて,自分もそういう組織に「入ってみ たい」とする生徒の比率が高く,「思わない」と答えた群では,他の群に比べて,

「入りたいとは思わない」とする生徒の比率が高い(κ2=104.7,df=4, P

<.01)。

Table4−9生徒の相談組織に相談するか×組織に入りたいか

相談できる生徒の組織があれば相談しようと思うか   思う   思わない  わからない  合 計

相談を聞く組織に入ってみたい 入りたいとは思わない

わからない

 9

60.0%

 5

33.3%

 1

6.7%

 9

7.8%

92

79.3%

15

12.9%

11 11.7%

22

23.4%

61

64.9%

29

12.9%

119

52.9%

77

34.2%

合  計  15

100.0%

116

100.0%

 94

100.0%

225

100.0%

 「思う」と答えた群は,他の群に比べて,カウンセリングに「興味がある」

とする生徒の比率が高く,「思わない」と答えた群では,他の群に比べて,「興 味がない」とする生徒の比率が高い(κ2=12.7,df=2, p<.Ol)。

Table4−10生徒の相談組織に相談するか×カウンセリングへの興味 相談できる生徒の組織があれば相談しようと思うか   思う   思わない  わからない  合 計

カウンセリングに興味がある       ない

12

85.7%

 2

14,3%

49

42.2%

67

57.8%

55

59.1%

38

40.9%

116

52.0%

107

48.0%

合  計  14

100.0%

116

100.0%

 93

100.0%

223

100.0%

 「思う」と答えた群は,他の群に比べて,カウンセリングを「勉強したい」

とする生徒の比率が高く,「思わない」と答えた群では,他の群に比べて,「勉 強したいと思わない」とする生徒の比率が高い(κ2=16.1,df=2,p<.01)。

Table4−11生徒の相談組織に相談するか×カウンセリングの勉強 相談できる生徒の組織があれば相談しようと思うか   思う   思わない  わからない  合 計

カウンセリングを勉強したい 14

93.3%

 1

54

46.6%

62

61

65.6%

32

129

57.6%

95

2.考察

 本調査の結果は大体において,第2章で示した各種調査結果と一致している。

生徒たちの多くは,さまざまな悩みを抱え,その悩みの相談相手として選ぶの は,親でも教師でもなく「同世代の友人」である。しかし,これは今に始まっ たことでなく,おそらく昔から変わらぬことだと思われる。我々が高校生の頃 も,さまざまな悩みを抱え,それを友人たちと話をしながら自己解決していっ たのではないだろうか。

 これに対し,現代の高校生は,人間関係づくりに苦手意識をもっており,人 間関係調整能力に欠け,心を割って話のできる友人も少ないといわれている。

 因子分析において,「クラスになじめない」,「友だちがいない」,「異性とうま くしゃべれない」等を「孤立感因子」と解釈したが,これらはいずれも人間関 係がうまくいかないことからくる孤立感と考えられる。

 家族との葛藤の度合いが高い者は,友人を頼りにする。しかし,その友人と うまくいかなくなったとき,当然友人と相談する機会は減っていく。一番自分 の気持ちをわかってくれ,一番相談しやすい友人を失った彼らは,その苦しい 思いをどこにもつていくのであろうか。

現在の高校生の多くは,「友人」との人間関係で悩んでいる。そしてそのこと を相談したいと思うのも,「友人」なのである。彼らはまた自分がそういう頼ら れる「友人」でありたいと願い,その術を学ぶ機会が与えられることを望んで いる。それ故,学校において,対人スキルの育成と共に,つくられた関係,つ まり形のある組織が必要とされるのではないかと考える。

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