闘全くその通り 画ややその通り
□やや違う
□全く違う
これをみると,生徒から相談されることはあっても,個々の生徒に十分に手 をかける時間がなく,学校全体としての相談による支援体制もまだ確立できて いないという現状が読みとれる。生徒同士の相談活動の可能性については,悩 みを理解できる点では,ある程度の効果が期待できるが,実践するとなると,
なかなか難しいのではないかとする意見が多いように思われる。
(2) ピア・サポート導入の可能性とその方向
まず,「ピア・サポート」という言葉自体,現場で耳にすることは少ないと思 われるため,実際どの程度の教師に理解されているか,他のカウンセリング技 法とその知名度を比較してみた(:Figure4−8)。
箱庭療法 描画療法 ストレスマネージメント
行動療法 内観療法 グループエンカウンター
ピア・サポート
ソーシヤルスキルトレーニング
フォーカシング
團よく知っている 團多少知っている ロあまり知らない
□全く知らない
0% で0% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
Figure4−8カウンセリング技法の知名度
学校現場で比較的によく使われる技法を中心に選んだっもりであったが,全 般的に低い結果となった。とくに「ピア・サポート」については,9技法のう ち唯一「よく知っている」という教師がいないという結果であった。学校の理 解と協力を得るためには,まず教師に対するきちんとした説明が必要であるこ
とを改めて考えさせられる結果であった。
次に,ピア・サポーター養成のためのトレーニングを行うことで期待できる 効果について,教師の考えを聞いた(Figure4−9)。
圏効果がある 園やや効果がある
□あまり効果はない 口全く効果はない
あまり大きな社会的発達より,むしろ個々の生徒の対人関係スキルや,自尊 感情,責任感,自主性等を高めることに効果があるのではないかと,多くの教 師は考えているようだ。
さらに,「本校でピア・サポーター養成プログラムを導入するとしたら,どの ような組織が可能か」を尋ねた結果が:Figure4−10である。
3割の教師が「希望者による勉強会」を選び,「新しいクラブ(同好会)」を あげる教師も2割いた。まずは生徒の意思を尊重し,小集団の中から始めてい
く方が良いということを示唆しているのではないかと考える。
ホームルームで
8%
生徒
よる勉
20%
Figure4−10ピア・サポーター養成プログラムはどのような組織で可能か
最後に, ピア・サポート活動の実施上の困難点や,予想される問題点に対す る自由記述による回答では,いくつかの共通の要素が認められた。
まず,生徒の扱える問題の限界,経験不足,日頃の信用等,「ピア・サポータ ーの能力に対する疑問」が最も多く(26名),半数の教師が指摘している。次に 多かったのが,「守秘の徹底とその限界」についてで(17名),感情移入や共感 による「ピア・サポーター自身の負担に対する心配」も,多くの教師(7名)が 指摘している。その他,「十分な事前指導の必要性と指導者の力量」の問題,活.
動を始めても「利用者がいるか」 という問題,「学校での位置づけや環境設定,
責任の所在」の問題等があげられ,今後検討していくべき課題を明.らかにする ことができた。
2.考察
日本の教師は,他国に比べ,その扱う業務の種類も量も非常に多く多忙であ るといわれる。とくに担任教師の負担は大きく,40人の生徒を相手に,教科指
導,進路指導,生徒指導とすべての責任を負っているかのごとく日々奔走して いるように感じられる。
今回の調査では,教師は生徒たちの悩みについて十分理解し,把握している ものの,個々の生徒の相談援助に十分な時間をかけることができていない現状 や,学校における教育相談体制は徐々に整いつつあるとはいえ,まだ組織とし て系統的に機能するには至っていないと思われていることが明らかになった。
カウンセリング技法に関する知名度の調査では,具体的にどの程度知ってい ることを「よく知っている」あるいは「多少知っている」と答えればよいかを 明記していなかったこともあり,回答者の主観によるばらつきが多少あったと は思うが,カウンセリングに対する関心はあるものの,研修の機会や勉強の時 間を十分に確保できないという実態も現れているように感じられる。
こういつた現状をふまえ,「生徒もまた学校における重要な人材資源である」
ということを考えれば,生徒による生徒の相談活動の可能性を試してみる価値 はある。また,「予防的・開発的カウンセリング」という観点からも,ピア・サ ポートシステムの導入の有効性に対する期待は大きいといえよう。
しかし,反面,システムを導入する上で予想される問題点も何点か指摘され た。これらの指摘は,ピア・サポートに対する否定的なとらえ方というより,
むしろ本研究に対する積極的な関心と期待の現われという印象を受けた。
今回の生徒および教職員に対する調査からは,実践を計画する上での数多く の示唆を与えられた。今後のプログラム開発において,考慮すべき点を以下に
示す。
①管理職をはじめ全職員に対し,徹底した主旨説明を行い,理解と協力を得
る。
②実践の形態は,希望者による勉強会という形をとる。
③トレーニングは生徒の実態を十分把握した上で計画し,研修を積んだ指導 者が複数の教師と共に,チームティーチングで指導する。
③トレーニングの内容としては,人間関係づくりを中心とし,生徒が扱える 問題を限定すると共に,守秘義務やその限界についても具体的に教え,体 験を重視したプログラムを実施する。