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(12)総合移転第 I 期計画事業完成施設の概要―角間キャンパス

ドキュメント内 施設の整備施設の整備 (ページ 134-158)

金沢大学総合移転第 I 期計画事業は、総事業費約323億円をかけて、金沢市内の城内キ ャンパスにあった文学部、教育学部、法学部、経済学部、理学部、教養部、附属図書館、

学生会館、事務局などを新しい角間キャンパスへ移転するもので、1984(昭和59)年10 月に起工式を行い、1989(平成元)年7月に文学部、法学部、経済学部、附属図書館及 び大学会館の建物が完成、同年夏には移転を完了し、これを皮切りに、1992年6月に理 学部が、同年8月に教育学部が、1993年6月に教養部(現在の総合教育棟)が、1994年 12月に本部(事務局、学生部、保健管理センター)の建物が完成、順次移転してきた。こ のほか学内共同教育研究施設、福利厚生施設、課外活動施設などの新営工事も完成し、総 合移転第 I 期計画事業は完了したのである。日本海側の基幹大学を目指して完成した総合 移転第 I 期計画事業の概要を紹介する。

角間キャンパスの基幹・環境・建物整備の概要

角間キャンパスの造成に当たっては、周辺の自然環境などを最大限に取り入れ、自然に 溶け込むように、またキャンパス全体を5%を超えないスロープ型にするなどして施設配 置の自由度を高めるように工夫されている。キャンパス全体のゾーニングは、キャンパス の中央を県道「金沢〜井波線」が東西に通っており、北ブロックと南ブロックに二分され ている。屋外体育エリアは北ブロックの北端と南ブロックの東側に配置し、また教育・研 究エリアは、県道をはさんで中央にまとまるエリアとして構成している。また、総合移転 第 II 期計画事業(109ha)との関連に配慮しつつ、有機的に連係がとれるようにゾーニン グされている。

教育・研究エリアは、北ブロックを文系アカデミックゾーンとして文学部、法学部、経 済学部、教育学部及び教養部(現総合教育棟)を配置し、南ブロックを理系アカデミック ゾーンとして理学部、アイソトープ理工系実験施設、大学教育開放センター、総合情報処 理センター、共同研究センターなどが配置されている。また、キャンパスの一体化を高め るために、南北両ブロックをつなぐアカンサスインターフェイス(連絡橋)を設け、県道 よりには中間ゾーンとして北ブロックには大学会館を含めたシンボルゾーンを、南ブロッ クに本部管理棟、総合情報処理センターを、キャンパスの入口周辺部に大学教育開放セン ター、国際交流会館、非常勤講師宿泊施設など学外と関連の深い施設が設けられている。

なお、シンボルゾーンの入口には、「金沢大学」の標石が置かれている。

キャンパス内の交通計画は、キャンパス内の道路を両ブロック(北・南)ともにアカデ ミックゾーンの外周に巡らせ県道を中央に「8の字」型のループ状に設け、ループ道路か らアカデミックゾーン内へは車の乗り入れを規制し良好な教育及び研究の環境を維持する ようになっている。また、アカデミックゾーン内の各建物への物品輸送、救急車両などの アクセスは、ループ道路から分岐しているサービス道路を通行するようになっている。な お、駐車場は、アカデミックゾーンの教育・研究の環境を維持するため、アカデミックゾ ーン内への車の乗り入れを規制していることから、その大多数はアカデミックゾーンの外 側周辺に配置されている。

角間キャンパスの植栽計画は、造成されていない土地の自然植生をできるだけ保全し活

用するものとし、また、新たに植栽した樹木も最小の労力で維持できるように配慮されて いる。そして植栽した樹木などは、土地の潜在力に見合った花木や、萌芽の美しい樹木に より、多様性と季節感を持たせ、併せて、雪の多い金沢の気候を考慮して雪吊りなどのメ ンテナンスを最小限にとどめるように落葉樹が主体となっている。また、アメニティに富 み併せて一般市民にも愛されるキャンパス作りを行うため、1996(平成8)年から金沢 市などの協力を得て新婚カップルによる記念植樹、あるいは職員の退官記念植樹などによ る「大学の杜」も設けられている。

キャンパスへのエネルギー(光熱水)などの供給は、省エネルギー化を図るためセンタ ー方式とし、キャンパス(91ha)のほぼ中央にエネルギーセンター(中央機械室)を設け、

高圧受電及び変電、電話(通信)、暖房、給水の基幹施設を一括収容し、キャンパス内の各 施設へ供給している。

電気関係については、北陸電力(株)から高圧線(6kv)をエネルギーセンターへ引き込み 受電し、同センターに設置されている配電盤より各棟の電気室へ共同溝を経由し6kvで配 電されている。配電方式は、一般用と非常用の高圧2系統となっている。なお、一般用は 本線予備線、非常用はループ配線とし、事故や点検時に対応できるようになっている。ま た、バンク構成は、用途別に分類し信頼性の高い供給方式となっている。なお、渡廊下や トイレなどの照明設備は、熱感センサー方式を採用し省エネルギー対策が採られている。

通信システムは、エネルギーセンターにデジタル式電子交換機(容量は当初400回線、

最終1,900回線)を設置し、課金業務を含めて対応しており、学内LANや情報処理教育、

研究システムの構築に対応できるように専用のケーブル配線スペースが確保されている。

また、BS放送の受信可能なTV共聴システムも採用されている。

防災システムは、エネルギーセンター内に設置されている防災センターで、角間キャン パス全域の各建物及び共同溝の各種防災設備を監視できるように副受信機などを設置し、

集中監視を行っている。また、勤務時間外における庁舎管理などのためカードロックシス テム又は電気錠を採用している。

暖房システムは、学校建築の性格、北陸の地域性を考慮し、暖房用熱源としてキャンパ ス(91ha)のほぼ中央部に高温水ボイラーを設置し、容易にメンテナンスが行えるように するとともに快適性が十分確保できるよう中央機械室より各建物へ高温水を供給する温水 暖房方式を採用している。なお、不在室などの遠隔による運転又は停止及びファンコンベ クター内に運転と連動した自動弁を取設け省エネルギー化が図られている。また、冷房シ ステムは、安全性、操作性などを考慮し空冷チーリングユニットが設置されており、冷房 を必要とする建物、教官室などについては、その使用形態、使用頻度を考慮して個別空調 方式を採用している。附属図書館については、その性格(嫌水)から空調システムは水配 管を極力避けて全空気方式を採用している。

キャンパスへの給水(上水)は、金沢市の市水により行っている。なお、金沢市の配水 池が角間キャンパスの受水槽設備の設置場所より低い位置にあるため、角間キャンパス入

口の県道金沢〜井波線に面してブースターポンプ室を設けて加圧し、受水槽(100m3+ 100m3)に受水している。キャンパス内の上水及び雑用水の給水方式は、各建物の高架水 槽へ直接ポンプで送水する重力式となっている。また、雑用水は、地下水(深井戸)とし エネルギーセンター雑用水槽に受水しており、その用途は、便所の洗浄水、実験洗浄水に 限定している。なお、これらの監視制御には、NTT回線を使用し、停電時対策としてエン ジンポンプを設置し対応できるようになっている。

排水システムは、雨水排水、生活排水、実験洗浄排水の3系統になっており、生活排水 は、公共下水道へ放流し、実験洗浄排水は、三次洗浄水以後を放流するが、実験排水系統 の端末には、薬品類の異常流出を監視するチェック用モニター槽(pH)を設置し、排水の 水質保全が図られている。

図10−22 角間キャンパス境界図

ガスの供給は、金沢市の都市ガスを中圧で受け、キャンパス内の専用ガバナで低圧に降下 し各棟へ供給している。ガスメーターは各棟ごとに金沢市取引メーターが設置されている。

キャンパス内の建物デザインのコンセプトは、角間キャンパス周辺の自然環境などを最 大限に活用し「自然と一体化する建物」をテーマに、

① 古都金沢の歴史的文化性の表現

② 大学の知性の表れとしての建築

③ 北陸の気候、風土に対する配慮

④ 将来の変化への対応

⑤ 自然との調和

を図ることに配慮しながら建築されている。

各建物は、キャンパスの形状を考慮して研究系の高層建物を東西方向に、また、講義系 の低層建物を南北方向に配置し、この講義棟を中央にして研究分野別(例えば人文社会科

金沢大学第1次総合移転業務の実務経過

元経理部企画調査課長 市村秀夫

昭和58年度予算に金沢大学総合移転のうち、城内部局用地91㌶の取得が認められ、同 年度に経理部に企画調査課が課長以下9名により設置され、総合移転業務を担当する企画 調査係(係長以下4名)及び移転にかかわる土地建物等取得後の管理及び移転完了後の城 内の土地建物処分のため準備整理業務を担当する国有財産担当の管財係(係長以下4名)

が主計課から移行し2係で、金沢大学創設以来の重要な歴史となる偉業が開始された。

また、石川県には総合移転を順調に進め協力するため、金沢大学総合移転対策室が企画 開発部岡本一夫県参事を室長として、県6名・県開発公社1名・金沢市5名の職員計12名で 昭和55年度から設置されていた。先行取得を県に依頼したため地権者との直接の窓口は県 で、地権者から提起される問題や買収などの打ち合わせに移転対策室へ日参し、時には住民 などからの諸問題や要求に対し度々移転対策室の職員と地元へ出向き説明や説得を行った。

従前は国立大学の総合移転の土地購入は、各県の開発公社が先行取得し、諸手続き、各 種の事前調査の実施や土地の造成工事も県開発公社が実施し完成後に大学が購入していた。

本学の場合は、従来の先行取得と土地造成に至る長期間の銀行利息の節減を考慮し、県開 発公社が先行取得を行った土地を原則として年度毎にその年度予算の範囲で購入する年度 計画方式を金沢大学が初めて行う取得方法となった。

金沢大学が取得完了後行う造成工事は、91㌶の山地を崩し、幾筋もの谷間を埋め立てる 大土木工事であるが、当時これほどの大規模な土木工事に当たる専門職員が大学には在職

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想い出の記 

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