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(2)金沢大学草創期の施設整備

ドキュメント内 施設の整備施設の整備 (ページ 65-74)

金沢大学の創設に当たって計画されていた校舎などの施設(1948年10月当時)は、敷 地(キャンパス)と同様に金沢城跡の旧軍施設約13,345坪に加えて包括7学校から引き 継いだ建物約48,482坪(金沢医科大学約17,656坪、第四高等学校約4,982坪、金沢工業 専門学校約5,895坪、石川師範学校約9,169坪、金沢高等師範学校約8,799坪、石川青年 師範学校約1,981坪)、合わせて約61,827坪でスタートするというものであった(「金沢大 学設置認可申請書」による。)。しかし、これらの建物は、その大半が木造建築でしかも明 治期に建てられたものであった。

新制大学として発足して3年を経た1952(昭和27)年当時における金沢大学が所有す る建物の構造上の比率は、全建物面積約50,048坪に対して木造建物は約45,114坪、鉄筋 コンクリート造など約3,759坪、鉄骨造約98坪、煉瓦造など約1,075坪で、保有建物に占 める鉄筋化率は7.5%という状況であり、一方建物の建築年次は、明治期に建築された建 物が約21,184坪と木造建物全体の約47%、金沢大学が引き継いだ旧軍施設の建物の一部 は建築年代が不詳(明治期と思われる。)であるが、これを加えた場合には50%強を占め るという有様であった(1952年国立学校施設実態調査による)。しかも、金沢大学のメイ ンキャンパスとなった金沢城跡にある旧軍時代の建物は、兵舎のほか演習所、被服庫や厩 舎などの附属施設として使用されていたものや、包括7学校の建物にしても「いわゆる大 学」の施設としては貧寒極まりなく、当時の日本の国情では本格的な大学施設に整備する ことも思うにまかせず、最高学府たる大学の施設として体をなさないものであった。(詳細 は、第1節の「表10−1 金沢大学草創期における施設の状況」を参照)

開学に向けて

金沢大学の施設、校舎の状況は上述のとおりであるが、金沢市は非戦災地のため金沢医 科大学(以下「金沢医大」という。)、同附属医院(以下「附属病院」という。)、第四高等 学校(この章で「四高」という。)、金沢工業専門学校(以下「金沢工専」という。)、石川 師範学校(以下「石川師範」という。)の教育研究施設は戦前の姿をとどめており、戦災に 遭った他県の新設大学に比べまだましな状態にあったといえ、大学に求められる高度の大 学教育と研究が行えるような状態ではなかった。このため開学に当たっての大きな課題は、

金沢大学の創設によって新設された法文学部、一般教養部の校舎、中央図書館や学生寄宿 舎など諸施設の整備であった。

特に、新設された法文学部と一般教養部の施設は、母体となる学校施設がなかったこと から旧軍隊の兵舎を使用して発足することになったため早急にその整備が必要であった。

また、石川師範を包括した教育学部も戦前の師範学校が官立に移管された当時の施設を全 く改善されずに引き継いだので、法文学部や一般教養部と同様にいずれも大学に求められ る教育研究の施設はゼロに等しい状況にあった。

このため、まず大学教育4年(医学部にあっては6年)間のうち最初の1年半(医学部 にあっては2年)を履修する一般教養部の校舎を整備することが開学に向けての急務であ った。このほか大学本部の庁舎、学生寄宿舎の整備も同様であった。開学と同時にスター トする一般教養部は、金沢城跡の旧軍兵舎の2棟(このほか四高の一部を使用)、大学本部 は旧師団司令部跡(改築後の元法文学部校舎の前)、寄宿舎(食堂、炊事場、浴場などを含 め)は旧歩兵第7連隊第101大隊兵舎(石川門裏)、新任教授を迎えるための宿舎(尾崎神 社上の旧城内宿舎)などの整備に 石川県が着手、1948(昭和23)

年7月31日には大学本部が、8 月10日には城址内の寄宿舎(三 の丸跡)が、8月18日には寄宿 舎の食堂、炊事場、浴場などが、

翌年4月21日には一般教養部教 室A棟が、5月4日には教授官舎 7戸分が、そして5月9日には一 般教養部教室B棟が順次竣工し、

1949年7月25日に第1回の入学 式を挙行し、開学したのである。

専門課程の開始に向けて―学部の整備

開学2年目を迎え、1年半の教養課程を履修した学生が9月にはそれぞれの学部の専門 課程へ進学し本格的な大学教育が始まることから、これに対処するため各学部の施設を整 備する必要があった。とりわけ法文学部は、前述したように母体となる学校施設を持って おらず校舎の整備が急務であった。このため法文学部の校舎として開学当初から金沢城跡 内に予定されていた一般教養部に隣接する旧歩兵第7連隊兵舎2棟を講義室や教官室など に模様替したほか石川門わきの旧軍被服庫2棟についても模様替を行い300人収容の階段 教室4室に充てるなどの工事が行われ、専門課程の開講に備えた。

法文学部以外の各学部は、一応前身校の施設を利用して専門課程の開講に備えることに なったが、一部8月末の完成を目指して、薬学部の実験室として金沢城跡内の旧旅団司令

図10−5 開学当時の城内キャンパス

部建物(旧城内キャンパスの元大学教育開放センター及び元職員会館跡)の改造、理学部 実験室として旧四高時習寮の改装、工学部においても旧金沢工専建物を改装して実験室に 充てるなどの工事が行われ順次完成した。

また、中央図書館については、当初暫定的に一般教養部内に設置されたが、暁烏敏氏が 石川師範に寄贈された「暁烏文庫」が教育学部の城内移転の決定によって、暁烏文庫の書 庫として三十間長屋を充てるとともにこれに隣接して図書室の建物が新築され、一応の形 を整えることになった。このほか、全国の大学で初めてと言われる非常勤講師が短期間滞 在する宿舎(旧鴻志寮)が城内の教授官舎付近(旧軍将校集会所)に設置され、金沢大学 へ講義のため来学する非常勤講師の宿泊に供することになった。なお、旧金沢城跡が金沢 大学へ移管されたのを機に不要建物の撤去、構内道路の整備や水道設備の改修などの整備 も進められた。

開学期の施設整備計画

金沢大学の施設整備計画が曲りなりにもまとめられたのは、1950(昭和25)年5月に 文部省へ「昭和26年度以降の施設計画」が提出されたのが最初と思われる。この施設計画 は同年5月4日に開催された第36回協議会(現在の評議会の前身に当たる。)において

「昭和26年度以降の施設計画(案)の提出について」として文部省へ提出することが報告 されている。その議事録によれば「①期日がないので(5月10日までに施設計画案を本部

(事務局)に提出)施設委員会で作った案を本省に提出する。②一般教養部を金沢高師に移 す形式にして、昭和26年度の予算を要求する。」となっているが、その詳細は分からない。

しかし、同年7月21日に開催された第43回協議会に「昭和26年度公共事業費要求事項」

学   部   名 新  営 補  修 合    計 昭和26年度要求額

新  営 補  修 合    計 法 文 学 部 21,874 21,874 11,736 11,736 教 育 学 部 21,990 17,760 39,750 3,000 6,280 9,280 理   学   部 97,402 11,248 108,650 56,400 11,248 67,648 薬   学   部 7,270 2,809 10,079 4,380 2,809 7,189 工   学   部 9,120 12,494 21,614 7,600 11,894 19,494 一 般 教 養 部 23,040 23,040 13,560 13,560 附 属 病 院 352,000 352,000 170,970 170,970 結 核 研 究 所 10,134 10,134 7,744 7,744 図   書   館 16,050 16,050 5,700 5,700 教 育 学 部

附属実験学校 125,020 125,020 39,520 39,520

本    部 16,288 16,288 6,368 6,368

合    計 638,986 105,513 744,499 295,314 63,895 359,209 表10−4 金沢大学施設年度計画(3カ年度間)

(単位:千円)

表10−5 昭和26年度公共事業費要求事項

補   修   工   事 補   修   工   事

①教育学部 音楽練習室

②理学部

教室(生物学、地学)

瓦斯タンク新設及び配管 実験室(生理及び化学)

③薬学部 教室 学生集会室

④工学部

紡織学研究実験室

⑤附属実験学校 小学校

⑥中央図書館 書庫

⑦附属病院

教室、研究室、病室 渡廊下

厚生女学部教室

⑧結核研究所

培養基室及び準備室 危険薬品庫

病室

研究室、教官室

3,000 44,004 9,921 2,475 3,720 660 7,600 39,520 5,700 159,600 6,840 4,530 270 304 3,790 3,180

5,776 5,960 832 2,224 2,208 1,016 2,608 1,544 904 1,876 2,940 1,376 1,600 945 166 2,000 1,120 1,080 1,960 1,200 1,464 1,440 1,470 6,392 5,504 1,664 656 5,712

①法文学部

校舎(教室、研究室)

②教育学部 実験室(農業)

寄宿舎第二寮 体育館

実験室(物理、化学)

③理学部 実験室(物理)

実験室(化学)

実験室(地学)

蓄電池室 高圧受電装置 工場

④薬学部 教室 実験室

⑤工学部

教室(応用数学)

実験室(化学機械科)

実験室(電気工学科)

実験室(工業化学科)

実験室(機械工学科)

大教室 雨天体操場 学生集会所

⑥一般教養部

校舎(教室及び各研究室)

⑦本部 健康診断所 学生寄宿舎

事   項   名 金額(千円) 事   項   名 金額(千円)

表10−6 昭和26年度国立学校文教施設整備費(公共事業費)

事 業 内 容 面 積(坪) 金  額 備         考 附 属 小 学 校 教 室 200 10,000,000 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 3 階 建

昭和26年度緊急営繕工事 工   事   名

合       計 7,280,000 本 部 構 内 受 電 装 置 並 に 建 物 補 修

理 学 部 高 圧 受 電 装 置 そ の 他 補 修 工 学 部 実 験 室 模 様 替 薬 学 部 瓦 斯 装 置 新 設

結核研究所診療部レントゲン室増築 附 属 病 院 コ ン ク リ ー ト 屋 根 補 修

金  額 1,550,000 1,100,000 450,000 2,000,000 880,000 300,000 1,000,000

備      考

表10−7 昭和26年度概算要求事項 1 附属施設設置並びに充実

部 局 等 名 事     項     名 金  額

教 育 学 部 教育研究所設置 2,539,341

理 学 部 植物園設置 2,638,344

臨海実験所設置 2,163,215

薬 学 部 製薬研究所設置 19,121,626

工 学 部 実験工場設置 5,807,367

附 属 病 院 歯科診療に関する経費 1,973,082

整形外科診療に関する経費 6,762,655

看護婦及び病棟婦増員に関する経費 7,156,767

結核研究所 研究部門増設に関する経費 967,859

診療部拡充に関する経費 6,526,438

中央図書館 充実に関する経費 700,301

本   部 雇傭人充実に関する経費 1,562,283

合   計 57,919,278

2 講座増設に関する経費

教 育 学 部 教育心理学第三講座(職業心理学) 1,312,501

生物学講座 3,047,501

地学講座 1,759,501

理 学 部 動物学第三講座(動物生理学、生態学)及び植物学第三講座(植物生態学、遺伝学) 5,013,377

地学第三講座(地質学、地質構造学) 2,504,258

医 学 部 公衆衛生学講座 3,841,981

温泉治療学講座 1,878,168

歯科学講座 3,201,658

整形外科学講座 7,418,191

共   通 教官増加 16,261,749

合   計 46,238,885

3 各学部その他設備充実に関する経費

法 文 学 部 一般設備充実費 10,206,900

心理学実験研究室直流電源装置費 1,355,000

教 育 学 部 一般設備充実費 28,434,245

理 学 部 一般設備充実費 35,779,335

附属工場設置設備費 3,681,000

医 学 部 一般設備充実費 18,070,000

薬 学 部 一般設備充実費 7,204,000

工 学 部 紡織講座設備費 13,315,675

実験用据置蓄電池更新経費 2,148,800

一般教養部 一般設備充実費 1,168,400

中央図書館 一般設備充実費 749,000

図書充実費 3,832,140

実 験 学 校 一般設備充実費 3,051,840

結核研究所 一般設備充実費 946,000

診療部レントゲン設備費 950,000

診療部結核外科設備費 1,399,700

本   部 城内寄宿舎設備費 2,048,000

中央診療所設備費 2,049,000

合   計 136,389,035

4 尊経閣文庫購入に関する経費

尊経閣文庫 尊経閣文庫購入費 158,700,000

合   計 158,700,000

5 授業研究に関する経費

医 学 部 解剖に要する特別経費 750,000

合   計 750,000

6 寒冷地に因る特殊経費

共   通 燃料費 19,569,000

暖房設備費 1,800,000

防雪費用 526,070

除雪費 2,340,000

合   計 24,235,070

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