1.天国に入る基準。善行と悪行の重さ。等しい者の場合も天国に入る。
2.天国に入るのは、アッラーの慈悲と恩寵が不可欠。
3.アッラーに対する罪で、業火の永久の住人となる罪:啓示の否定と拒否、
アッラーの啓示内容を虚偽とし教義を弄んで否定する行為。
4.アッラーへの命令違反でも業火の永久の住人とならない罪。
5.創造と命令(アムル)をめぐる論争。クルアーン被創造説。
6.祈りの作法をめぐる論争。
1.禁じられた行為に関する基本原理(33 節)
言ってやるがいい。「本当にわたしの主が禁じられたことは、あからさまな、
また隠れた淫らな行いや罪、真理や道義に外れた迫害、またアッラーが何の権 威をも授けられないものを崇拝すること。またアッラーに就いて、あなたがた が知らないことを語ることである。」(33)
解釈
1.罪は大別して5つある。1)淫らな行い(姦淫、窃盗、分裂(集団からの 離脱))、2)倫理道徳的罪と、責任(異性に対する感情を抱いて他人の婦人を 見ること)、3)驕慢な野心(腐敗と他人の権利の侵犯)、4)多神信仰、5)
知識なしにアッラーに対する虚偽行為である。
2.またアッラーの権利の侵害とは次のようなものである。
1)親子関係の破壊(姦淫)、2)飲酒、3)名誉棄損、4)殺傷と窃盗、5)
一神教の否定である。
日常生活の法学
1)禁止行為の主たるものは、信仰からの逸脱(アッラーと同列に他の神を信 じること:アラビア語で「シルク」と呼ぶ)と、イスラーム法(シャリーア)
に抵触すること(学問的素養もなく、情報もないし、アッラーの宗教(イスラー
ム)について、自分の好き勝手に発言すること)、そして知性を失わせる犯罪 的行為(イスラームに対する反抗的行為や飲酒行為、姦淫、不純異性交遊、殺 人、窃盗、不倫誣告)などである。
2)こうした禁止行為の他に、倫理道徳、礼儀作法などにおいても、節度が求 められる。
2.国家と個人の定命(国家、そして個々人の始めと終わり)(34 節)
それぞれの民には、一定の期限がある。だからその期限がやって来れば、一 刻も遅らすことも出来ず、早めることも出来ない。(34)
解釈
民族、国家、個人には定まった命があり、終わりを早めたり、遅くしたりす ることはできない。
アッラーはこれに関して変更を加えることはない。
日常生活の法学
1)諸国家、諸集団、個々人の定命は、ある特定の時代の定まった限りあるも のである。命運が尽きる時の到来は遅れることもなければ、ほんの一瞬でも遅 れることもない。命運が尽きる時とは死ぬ時である。人の寿命が尽きる時は アッラーが知っている。生きている者は、その時の中で死ぬ。死ぬ時を遅らせ ることは許されない。なぜならそれを遅らせる力がないからだ。アッラーは死 ぬ時を遅らせたるめに定命を増やしたり、あるいは早めるために減らしたりし ない。またアッラーは人が死ぬ時に、人を死なせたりすることはない。その意 味は、死の時期は定まっており、アッラーは欲するままにすべてを行うことが できるのであるが、そのこととは関係なく定命があるからだ。
2)死ぬということは寿命が尽きることだからだ。
3)「国家の死」とは生命体の死ではなく比喩的表現である。諸国家の興亡の 歴史はそのことを伝えている。繁栄を謳歌した大国ともなれば、国難が相次ぎ
悲惨な運命に曝される国家ともなる。
4)イスラーム法学の観点:強大な国家となり、その栄耀栄華を極める道はイ スラーム法規範に沿って政治が行なわれ、イスラームという宗教を大切に守 り、倫理道徳を堅持することである。それは国家にも死(繁栄の終わり)があ るからだ。
国難に遭遇するのは宗教を大切にしないからである。また倫理道徳を放棄す るからである。ふしだらな行為が蔓延し、非難される行為が繰り返される、ま た腐敗や圧政が続くようになり国家の破壊は進む。その中にあっても命は定 まっているのである。
5)アッラーは預言者ムハンマド―SALM(アッラーが彼を守り祝福されます ように)―を送った後に、諸国に対して寛大になられ、根絶やしにするような 懲罰や、集団を破壊し、破滅させることはなくなった。
その証左は、「我々(アッラーが自らを高めるために 1 人称複数を用いる)
は諸世界に対し、慈悲としてあなた(預言者ムハンマド)を遣わしたのである」
(21 章 107 節)にある通りである。
6)これはイスラーム共同体国家ばかりでなく、非イスラーム国家に対しても 適用される。
このクルアーンの節では「アッラーの御許では定命がいつであるからはすで に知られている、またアッラーの命に背き、アッラーの導きを得ることなく迷 いの道を歩むようなマッカの民や、彼らのような傲慢な国々には懲罰が必ず執 行されるから恐れよ、恐懼せよ」と伝えられている。
3.各共同体国家(信仰を同じくする人々の国家)について其々の 国家へのアッラーの使者たちと、アッラーの啓示を虚偽とした嘘吐 きたちへの警告(35-36 節)
アーダムの子孫よ、あなたがたの間から使徒がやって来て、わが印をあなた がたに語る時、主を畏れて身を修める者には、恐れもなく憂いもないであろう。
(35)しかしわが印を偽りであるとする高慢な者は、業火の住人として、その
中に永遠に住むであろう。(36)
解釈
アッラーの使者を派遣する。使者はアッラーの命を伝える。アッラーの命と は宗教実践での規則、財産交換や取引、遺産相続に関する規則、倫理道徳の規 定などである。
使者が伝えたアッラーの命を虚偽とし、傲慢な態度を取った者たちの報いは 永久に続く火獄での懲罰である。
日常生活の法学
1)アッラーの使者たちが伝えた啓示を聞いた人々は二つのグループに分かれ る。
「アッラーを信じる敬虔な人々は使者たちの伝える啓示を信じる。そのよう な信仰篤き人々のグループ」と、「アッラーからの恩寵を否定し、そして反抗 する人々は使者たちが伝える啓示を虚偽とする。そのような信仰なき輩のグ ループ」とに分かれる。
2)最初のグループは最後の審判の日に、良き報償を受け取って幸福を得る。
「彼らには恐怖はない。ましてや彼らは悲しむこともない」とクルアーンにあ るように、最後の審判の日において信仰篤き人々は恐れることもなく、悲しむ こともない。おぞましい出来事に晒されることも、最後の審判の日に怯えるこ ともない。彼らは安寧を得て、心穏やかである。
3)第二グループは、業火、火獄に永久に投げ込まれる報いを受ける。
4)イスラーム教徒たちの中で、アッラーが禁じた飲酒やその他の非倫理的、
あるいは非道徳的行為を度々犯しながら礼拝を行っている者は、火獄に永久に 閉じ込められることはない。アッラーは、アッラーからの啓示を虚偽とし、啓 示を受け入れないで傲慢な態度を取り続ける者たちは火獄の永久に留まると 言っているが、ここで「彼ら」といっているのは、啓示を虚偽とし、受け入れ ず傲慢であった人々だけを指しているのである。
4.アッラーの啓示を虚偽としたことへの懲罰と、アッラーへの信 仰を拒否した者たちの火獄での状況描写(37-39 節)
凡そアッラーに就いて偽りを捏造し、またその印を拒否することより甚しい 不義があろうか。それらの者には(主の)啓典に、(定められている)かれら の分け前が、到来するであろう。わが使徒(天使)がかれらを訪れて魂をとり 上げる時、かれら(天使)は言う。「アッラーを差し置いて、あなたがたが祈っ ていたものは何処にいるのか。」かれらは言うであろう。「かれらは、わたした ちから逸れました。」かれらは自分で、本当に不信心であったことを立証する。
(37)かれは仰せられた。「あなたがたは以前に行った、ジンと人間の一団と 共に火獄に入れ。」そして一団が火獄に入る度に、必ず(先に行った)仲間の 一団を呪う。全部の者が、次々にその中に入ると、後の一団は最初の一団をさ して言う。「主よ、わたしたちを迷わせたのは、これらの者です。だから 2 倍 の火獄の刑罰を与えて下さい。」かれは仰せられよう。「誰もみな 2 倍(の刑罰 が)与えられよう。だがあなたがたはそれを知らない。」(38)また前の一団は、
後の一団に向かって言うであろう。「あなたがたは、何もわたしたちに優ると ころはないのです。それであなたがたが行ったことに対し、懲罰を味わいなさ い。」(39)
解釈
アッラーが命じなかったことをアッラーの命とし、アッラーの命じたことを 嘘とする不信仰者たちがいる。彼らはアッラーに対する嘘を捏造して、信徒を 苦しめる。特にアッラーと同じ神がいるとする多神教はアッラーに対する嘘の 捏造である。またアッラーからの恵みを否定し、定命について嘘を言う。この ような者は業火の懲罰を受ける。
日常生活の法学 1)間違った行為
その中の最たるものは、アッラーが禁じたことを許し、アッラーが許したこ