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本仮説については、「調査実施年度の長期措置ケースに対 して子 どもの措置 を避 けるため の援助 をどの程度行 つたか」 という質問に対 して「

1.ま

った く行わなか った」か ら「5.

できる限 り行 つた」の5件法の ライカー トスケールによる回答の結果を用いて検討す る。

l     l― Lれ 上 上 l●    │ロ   i"―   │一 :′ │ヽ   :  │

:      ,こ 対する尽力度 (%):

児相 {n=498)

市町村

{n=764)

な  

・ o わ  

′ 3 行

ヽ つ バ . た

ま ヵ

:     :     :     1     1

30    40    50    60    70

10‑1 

家族維持 に対す る尽力度 (%)

160

第10章

 

日本における援助者が行 うべ き「正当な努力」についての仮説検証

児相

最 も回答が多か つたのは、「4」 の回答であ り有効回答の うち

33.9%、

次に回答が多か つ たのは「3」 の回答であ り30.9%で あった。平均値は

3.76、

標準偏差は1。 004と い う結果 と な つた。全体 として、「3‑4」 の回答に偏 る形の分布であつた。

市町村

       1        .       l

最 も回答が 多か つたのは、「5.できる限 り行 つた」であ り有効回答数の 35.6%を 占めた。

次 に回答が 多か つたのは「4」 の回答であ り、31.9%で あった。平均値は

3.90、

標準偏差は 1.067と いう回答 となつた。全体 としては「4‑5」 の回答に偏 る形の分布であつた。

考察

児相 と市町村の 「入所ケースに対する措置前の家族維持の尽力度」を比較 してみると、

市町村のほ うが児相に比べて、最高値である「5.できる限 り行 つた」を選んだ回答者が多 く

(8.9%差

)、 対 して中庸である「3」 の回答 を選んだ回答者は児相のほ うが市町村に比べ 7.9%多 いという結果になった。全体的には4および5の回答 を選んだ回答者の割合は児相

60.6%。

市町村

67.5%と

、児相・市町村 とも高 い評価 を している回答者が多いものの、市町 村の回答のほ うが、最高1直の「5」 に偏 るよ うな傾向が見 られた。この結果は、児相 口市町 村 ともに、「措置前になるべ く子 どもを在宅にとどめ措置 を防 ごう」という試み を している と高 く自己評価す るものの、児相においては最高値である「5」 を選んでいる回答者は市町 村 よ りも少ない。一方、市町村は反対に、「3」 よ りも高 い数値 を選応

M頃

向が児相 よ り強 い のは、在宅支援 を中心 となって行 つてお り、「できるだけの ことをや つた」と言えるケース が実際に多いか らかも しれない。 しか しなが ら、本質問を回答 しなかった無回答者数が児 相では30人だ ったのに対 し、市町村では201人と多いことは回答 した回答者にはバイアス があることも留意 しておかなくてはならない。以上のことを踏まえながらも、本仮説に対 しては、概 して、児相・市町村ともに比較的高い割合で援助者は措置前に家族維持の尽力 をしたと主観的に評1面しているといえる。

仮説

2.援

助者 は「親子分離は最終手段であ りなるべ く避 けるべ きである」と考 えている。

本仮説については回答者自身の「長期の親子分離に対する意見」を「1.親子分離は最後 の手段であり、なるべ く避けるべきである」

(以

下、親子分離慎重派

)と

2.親

子分離は 対応の一方法 として積極的に行 うべきである」

(以

下、親子分離積極派)の 2択より回答 し てもらった結果を検討 した。

児相

児相においては全体の回答者の95。

6%で

ある 505名 が回答 し、うち

30.69%(155名 )が

「親子分離は対応の一方法として積極的に行 うべきである」と回答 し、

69.31%(350名

)

児相 親 子分離 に対する意 見

(n=505)

親子分離は対 応の一方法と して積極的に 行うべきであ

る。

30.69%

親子分離は最 後の手段であ り、なるべく避 けるべきであ

る。

69.31%

10‑2 

児相   親子分離に対する意見

が「親子分離は最後の手段であり、なるべ く避けるべきである」と回答 した。

割近 くの回答者が親子分離を最後の手段 と考えなるべ く避けると考えており、

対する価値を保持 していると考えてよい結果となった。

市町村

市 町 村 親 子 分 離 に対する意 見 (n=889)

親子分離は対 応の一方法とし

て積極的に行 うべきである

32.51%

親子分離は最 後の手段であ り避けるべきで

ある。

67.49%

10‑3 

市町村 親子分離に対する意見

市町村においても児相 と同 じ文言で同 じ質問を行つた。全体の92.1%である 889名 が回 答 し、うち32.51%(289名)が「親子分離は対応の一方法として積極的に行 うべきである」

と回答 し、

67.49%(600名 )が

「親子分離は最後の手段であり、なるべ く避けるべきであ る」と回答 した。児相に比べ、親子分離積極派が約

2%多

く見 られるものの、全体の約

7

全体の約

7

家族維持に

162

第 10章

 

日本における援助者が行 うべ き「正当な努 力」についての仮説検証

割の回答者は「親子分離は最後の手段であり、なるべ く避けるべきである」と回答 してお り、児相 と同様に7割近 くの援助者が家族維持に対する価値観を保持 している傾向がみ ら が確認 された。

考察

ここで用いた親子分離に対する意見を問う質問は、高橋 口中谷 口加藤・澁谷 口伊藤・友 川 ら (2002)の 全国児童福祉司に対する質問紙調査において使われたものとほぼ同じ質問 形式を用いた。この高橋 らの調査での結果では、有効回答者の

95.9%(832人

)中、「親子 分離は最後の手段でありなるべ く避けるべきである」と回答 した者が45.4%(378人)、「親 子分離は対応の一方法 として積極的に行 うべきである」と回答 した者が

50.5%(420人

)

とわずかなが ら親子分離積極派が慎重派を上回る結果となってお り、児童福祉司を対象と した本調査で得 られた結果とは異なるものとなつている。違いとしては、本調査では対象 を「児童虐待在宅支援ケース担当

(い

ない場合は児童虐待在宅支援ケースにかかわってい る児童福祉司の方々)」と指定 したことと、高橋 らの調査か ら4年を経ていることくらいで、

回答者の属性等にはあま り違いがない

(唯

一、社会福祉士資格の取得者が本調査では約

3%

多い

)た

め、在宅支援にかかわっている児童福祉司は、家族維持に対する価値観が高まる 傾向にあるか、もしくはこの4年間で児童福祉司の意識が変わ りつつある可能性が考えら れる。

本調査においては、児相・市町村 とも回答者の約7割が「親子分離はなるべ

<避

けるベ きである」という意見を示 しており、仮説

2.は

ほぼ支持されたと考えてよいだろう。

仮説

3.措

置前に家族維持の尽力をしたと感 じる援助者ほど、同時に在宅支援ケースに対 しても家族維持を目的とした援助を多く実施 している。

仮説 3.は言い換えると、「措置前の家族維持に対する尽力度 と在宅支援ケースに対する 家族維持を目的とした援助の実施度合計には正の相関がある」ということである。また本 分析では同時に実施度における探索的因子分析において抽出された実施度の下位概念であ るそれぞれの因子内平均点

(因

子内に残 った項 目の要素の得点の合計を平均 したもの

)と

の相関も分析 した。結果は下表のとおりである。

1.児 相   結 果  (表

10‑1参

)

家族維持尽力度と実施度合計と各実施度因子の関係 (児 童相談所児童福祉司

)

実施 度合計 実 施 度 第 1因

実 施 度 第 2因

実 施 度 第 3因

実 施 度 第 4因

因 子 名 具 体 的 生 活 援

援 助 に対す るワ ーカー の態度

関 係 機 関 との 協 議・連 携

家 族 の もつ スキ ル の 開 発 相 関係 数 0.410★★ 0.084 0.404★★ 0.265★0.217★

1)ピ

アソンの積 率 相 関係 数 を使 用 。 2)★ ★:p<0.01、 ★

:p<0.05

表 10‑1  家族維持尽力度と実施度合計・各実施度因子の実施度との関係

(児

)

2.児

 

考察

家族維持 を目的 とした援助の全体的な実施量 と入所ケースに対 して措置前 にどれだけ家 族維持の尽力を行 つたかの度合いの間には中程度の相関が見 られた。つま り、家族維持の 実施 を在宅ケースに対 してよ り多 く行 つている援助者は、入所ケースに対 しても、措置前 に、家族維持の尽力をよ り多 くした と評価 していると言えたがそれほど強い関係ではなか つた。

実施度で探索的因子分析 を行 い、抽出 した各4因子 との尽力度の相関 を見てみ ると、最 も相関が高 か った因子は「援助に対するワーカーの態度」であ り、後の因子については、

相関が見 られ るもののそれほ ど高<なく、衣食住や生活に対する「具体的生活援助」につ いては、有意な相関が見 られ なか った。

結果 として、実施度 と尽力度の関係については、全体的に相関関係が見 られ るものの、

措置前 に家族 を維持 しよ うとい う取 り組みは、実際の具体的な家族維持のための援助行動 とい うよ りは、援助者の援助や家族に対す る態度 と比較的強い相関があるようである。と

<に具体的生活援助に対 しては、有意な相関が確認できなか った。

164

第 10章

 

日本における援助者が行 うべ き「正当な努力」についての仮説検証

3.市 町村   結 果  (表

10‑2参

)

家族維持尽力度と実施度合計と各実施度因子の関係

(市

町村

)

ピアソンの積 率相 関係 数を使 用 。 士 士:p<o.01、 ★

:p<0.05

表 10‑2  家族維持尽力度と実施度合計・各位実施度因子の実施度 との関係

(市

町村

)

4.市

町村

 

考察

市町村においても、措置前のケースに対する家族維持のための尽力度 と家族維持 を目的 と した援助の全体的な実施度については低度か ら中度の正の相関が見 られた。また実施度 の各因子に対 しても低度か ら中度なが ら全ての因子に対 して正の相関が見 られた。児童相 談所 と同様 、「援助者 としての態度」との相関が中では最 も強い相関を示 しているが、次に

「家族 に対するアセスメン ト」に対 して強い相関が見 られた。また他の4因子 に対 しても 低度か ら中度ではあるものの有意な正の相関がみ られた。市町村でも、措置前 に家族 を維 持 しよ うという取 り組みは、援助者の態度や家族の見方

(包

括的アセスメン ト

)な

どに、

もっとも高 い相関があることが明 らかになった。「医療に関するサー ビス」には有意な相関 は確認できなか った。

以上の結果よ り、家族維持に対する尽力度 と実施度総量の間には統計的に有意 な相関が み られたが、その程度は援助者の努力の 「正当性」 を証明できるほ ど強 いものではなか つ た。また、因子別の相関においては、児相・市町村 ともに「援助者の態度」が最 も相関が 高 く、他の具体的な援助の実施の因子 とは、児相においてはあま り強い関係があるとはい えない。市町村においても、家族の状況 をとらえることが中心の 「家族 に対す るアセスメ ン ト」が、「援助者の態度」の次に強い相関が見 られたが、児相 と同様に、その相関はそれ ほ ど高 いものではなか った。

実 施 度 合 計

実施度第1 因子

実施度第2 因子

実施度第3 因子

実施度第

4

因子

実 施 度 第

5因

実 施 度 第

6因

因子名 援 助 者 とし

ての態度

具 体 的 な 生活援助

家 族 に 対 す るアセス メント

子 育 て に 対 す る サ ービス

関 係 機 関 との つ な が り

医 療 に 関 す る サ ー ビス 相 関係数 0.356★★ 0.338★★ 0.240★★

0.317士士 0.299★★

0。239士士 0.180