• 検索結果がありません。

2「家 族 の 状 況 の 理 解 と 対 応 」」⇔ 重4「援 助 の タイ ミ ン グ :

0.57* 0.78** ‑0.21

障 1「 援 助 の た め の シ ス テ ム の 不 足 」⇔ 障 2「 人 的 資 源 の 不 足 1

0.38ホ* 0.81

‑0̲43

表 10‑14  児相   実施度合計   丁 1モ デルでのパス比較

2)結

①グループ間におけるパス比較

親子分離に対する意見の違いによるグループ間の実施度合計モデルにおけるパスの差異 について比較 していく。実施度合計←重要

2「

家族の状況の理解と対応」のパスでは、最 後の手段のグループにおいて0。

47(0.1%水

準にて有意)、 対応の一方法のグループにおい て

‑0.46(n口

s.)であり、最も大きい差が認められた。つまり親子分離慎重派においては、

1な

お、この「対応の一方法」グループのモデルにて潜在変数である重要

4因

子「援助のタイミング」

か ら観測変数である実施度合計に至るパスにおいて標準解で 1よ りも大きい不適解が得 られたが、

データの入力には間違いがないこと、付随する誤差変数の分散が負になつていないこと、推定値で は 1.018と 1を あま り超えていないこと、反復が収束 していること、適合度水準は CFI,RMSEAと も 許容水準を満た していること、 パスは信頼区間0を 含んでお り、

1%水

準で有意であることを確認 し、

モデル自体の適合には問題がないととらえるが、分析か らは省 くことに した。 (豊 田、

2003;朝

野、

2005;狩

谷・三浦、

2002:山

本・小野寺、 2002)

「家族の状況の理解 と対応」を重要に感 じていれば感 じているほど、全体の援助実施量も 多い。親子分離積極派 においては、重要に感 じていないほ うが全体の援助実施量が多い。

実施度合計←重要

4「

援助のタイミング」については最後の手段グループ

(0.18)、

対応 の一方法グループ (1。 05)とかな り差があるが、一方法グループの数{直が不適解をしめ し ているため、分析結果か ら省 くこととする

(前

ページ脚注1参照)。

実施度合計に対する障害

1「

援助のためのシステム不足」か らのパスでは、

2グ

ループ 間の差異が次に大きい。最後の手段グループ

(0.23)、

対応の一方法 (‑0。

08)で

あり、差 は 0.31で あった。最後の手段グループ

(親

子分離慎重派

)で

は、援助のためのシステム不 足は実施度合計に対 して正の影響を、対応の一方法グループ

(親

子分離積極派

)で

は負の 影響を与えている。つま り、援助のためのサー ビスが何 らかの理由で利用できないという 障害を感 じれば感 じるほど、親子分離慎重派の児童福祉司は自らが行 う援助量が増えるが 積極派は若干なが ら減る可能性が示された。

その他のパスの差については、パス自体が小さい (0.2以下

)ま

たは差が小 さい (1。

0

以下

)で

あった。

②グループ間での因子間の相関の比較

各グループのモデルに用いた潜在変数間の相関は、重要

2「

家族の状況の理解 と対応」

と重要

4「

援助のタイミング」の間、障害

1「

援助のためのシステムの不足」と障害

2「

人 的資源の不足」の間の相関係数については親子分離積極派のほうが高 く、特に障害度2因 子間の相関については 0.81(親 子分離慎重派は

0.38)と

大変高い相関係数がみ られている。

親子分離積極派は援助提供システム不足をワーカー自身が直接抱え込んで しまい、さらに 担当ケース数の多さなど人的資源の不足による障害をより強 く感 じてしまうことになるの かもしれない。

重要

2「

家族の状況の理解 と対応」と重要

4「

援助のタイミング」の相関では親子分離積 極派の相関 (0。 78)の方が、親子分離慎重派 (0.57)の 相関より高い。やは り実施度合計 への重要

2「

家族の状況の理解 と対応」のパス係数の高さともつながるが、親子分離積極 派のほうが、関係機関か ら情報を聞いた り、家庭訪間をしてもらつた りすることと援助の タイ ミングを重要 と考えることの相関が高い。親子分離積極派はこれ らの関係機関との協 働や家族との接触 をタイミングを計るための手段として用いてお り、この2つの援助を関 連づけているのではないか と考えられる。

184

第 10章

 

日本における援助者が行 うべ き「正当な努力」についての仮説検証

3)市

町村

 

実施度合計モデル

 

多母集団同時分析

市町村実施度合計モデルの多母集団同時分析による「親子分離は最後の手段グループ」モデ ルの標準化解

(資

料4付4‑3)および親子分離は対応の一方法グループ」モデルの標準化解

(資

料4付図4‑4)は巻末資料 4を 参照いただきたい。

最 後 の 手 段

G

対 応 の 一 方 法

G G―対 応 の 一 方 法

(最

後 の 手 段

G

実 施 度 合 計 ← 重

1「SWの

基 本 的 態 度

J

0.43***

0。

67*** ‑0.24 実 施 度 合 計 ← 重

3「

関 係

機 関 との 協 力 体 制 」 0.08n̲s

‑0。

08n̲ 0.16 実 施 度 合 計 ← 障

1「

援 助

の た め の 環 境 不 整 備 」 0.13n.s ‑0.05n.s 0.18 実 施 度 合 計 ← 障

4「

援 助

技 能 の 不 足

J ‑0。

31*** ‑0.09*** ‑0.22 実 施 度 合 計 ← 必

1「

家 族

維 持 の た め の 関 係 性 」

‑0¨

01n̲s

0.09n‐

‑0.10

実 施 度 合 計 ← 必2「養 育 の た め に 必 要 な 基 本 的 条

♯卜」

‑0。05n.s

‑0.09n. 0.04 重

1「SWの

基 本 的 態 度 」

⇔ 重

3「

関 係 機 関 との 協 力 体 制

l

0。

65*** 0.59*** 0.06 障

1「

援 助 の た め の 環 境

の 不 整 備 」⇔ 障

4「

援 助 技 能 の 不 足

l

0.58**

0。

70*** ‑0.12 必

1「

家 族 維 持 の た め の

関 係 性 」⇔ 必

2「

養 育 の た め に 必 要 な 基 本 的 条 件

I

0.45** 0.52*** ‑0.07

表 10‑15  市町村   実施度合計 丁 1モ デルでのパス比較

4)結

①グループ間における各パスにおける比較

児相 と同様に、親子分離に対する意見の違いによるグループ間の実施度合計モデルにお けるパスの差異について比較 してい<。 実施度合計←重要

1「

ソーシャルワーク (SW)の 基本的態度」のパス係数において2グループ間 にもっとも大きな差が認め られた

(両

グル ープとも0.1%水準で有意)。 親子分離積極派グループ (0.67)の 方が、親子分離慎重派グ ループ (0.43)よ りもソーシャルワークの基本的態度、とくにアセスメン トにかかわる援 助行動

(因

子の上位3位の項 目

)を

重要 と感 じていることが全体的な援助の実施量に高 く 貢献 している。積極派 と慎重派の間でこのアセスメン トに関わる援助行動の持つ意味が異 なることが この差を説明 しているのではないかと考える。

実施度合計に対する潜在変数か らのパスで、次に大きな差が認め られたのは実施度合計

←障害

4「

援助技能の不足」のパスである。どちらもグループも0。

1%の

有意水準で統計的

に有意であった。親子分離慎重派

(‑0.31)、

親子分離積極派 (‑0。09)でどちらも負の影響 を表すが、負の影響が大きいのは親子分離慎重派のグループである。親子分離に慎重なほ うが、援助技能の不足が障害になればなるほど、全体の援助量に負の影響が出る。

実施度合計←障害

1「

援助のための環境の不整備」については統計的な有意性は言えな かつたが、親子分離慎重派では 0.13で あり、親子分離積極派では‑0.05で あった。慎重派 は環境の不整備が障害であると感 じるほど、微小なが ら援助者自身が援助を実施 しようと する傾向にあり、積極派では援助環境の不整備が全体の援助実施量にわずかなが ら負の影 響を与えるようである。

必要要素因子か ら実施度へのパスで、両グループ間での差があったのは実施度合計←必 要

1「

家族維持のための関係性」であり、親子分離慎重派力■0。 01、 親子分離積極派が0。

09

であつた。

②グループ間での因子間の相関の比較

障害

1「

援助のための環境の不整備」⇔障害 4「援助技能の不足」間の相関においては、

親子分離は最後の手段

(0.58)、

対応の一方法 (0.70)で親子分離積極派のほうが相関は大 きい。親子分離積極派の方が、援助の技能が不足 していると感 じれば感 じるほど、スーパ ー ビジョンや司法システムなどの環境的サポー トを欲するのかもしれない。

次に相関の差が大きいのは、必要

1「

家族維持のための関係性」⇔必要

2「

養育のために 必要な基本的条件」であり、親子分離慎重派

(0.45)、

親子分離積極派 (0.52)で 親子分離 積極派のほうが相関はわずかに大きい。

重要

1「

SWの基本的態度」⇔重要

3「

関係機関との協力体市1」 の相関については、親子 分離慎重派

(0.65)、

親子分離積極派 (0.59)で 親子分離慎重派のほうが、わずかに相関が 大きい。

4。 考察

援助者の意識

(ど

のような援助を重要 と考えているか、家族維持には何が必要か

)と

環 境

(家

族維持のための援助の障害となっているものは何か

)が

援助の実施量にどのように 影響を与えるかを示 したモデルが、親子分離に対する意見の違いによって、どのようにパ ス係数の間に差異が出るかを比較検討 した。

尽力度のモデルについては、同一の潜在変数が当てはまることが確認できず、多母集団

186

第 10章

 

日本における援助者が行 うべ き「正当な努力」についての仮説検証

同時分析ができなかったため、児相・市町村とも実施度合計に関するモデルのみの比較 と なつた。考察では、

2グ

ループ間で比較的大きな差があったパスのみを取 り上げて考察を 行 う。

児相に関 しては、親子分離慎重派 と親子分離積極派の間で、最も差があつたパスは、実 施度合計←重要度因子「家族の状況の理解 と対応」であった。積極派は「家族の状況の理 解 と対応」を重要だと感 じていないほうが、家族維持のための援助の実施量が多く、慎重 派では重要だと感 じていた方が実施量は多かつた。この因子には、関係機関を通 じて家族 に関する情報を収集 した り、家庭訪間を依頼 した りするような援助が観測変数として含ま れている。また、積極派はこの重要度因子 「家族の状況の理解 と対応」と重要度因子「援 助のタイミング」との相関係数についても、慎重派より高かつた。援助のタイミングを図 ることと関係機関を通 じて家族の状況を理解 した り、対応 した りすることをより関連付け ていることが想定される。つま り、積極派は援助や介入のタイミングを図ることを目的に、

これ らの情報収集や接触等を関係機関に依頼 しているのではないかと考えられる。また、

「家族の状況の理解と対応」を重要視することが、家族維持のための援助の実施量を下げ るのは、「家族の状況の理解と対応」という行動自体が「家族維持」という目的のために想 定されているのではな く、子 どもの保護のためや、家庭外措置のために用いられている可 能性がある。

児相における親子分離慎重派は、障害因子「援助のためのシステム不足」の障害度が高 ければ高いほど、実施度の合計は高かった。この「援助のためのシステム不足」の因子は、

何 らかの事情で対象となる家族がサー ビスを利用できるシステムが組めていない状態を示 している。サー ビスがない、またはサー ビスが利用不可能な状況であればあるほど、慎重 派の児童福祉司は家族維持のための援助を実施する傾向がある。積極派は大変小さい値な が ら実施に対 して負の影響が見 られている。親子分離に慎重な児童福祉司は、積極派の児 童福祉司に比べ、地域にサー ビス供給のシステムがないことを、自らの援助活動で補おう

とする傾向があるようにも考えられる。

対 して、積極派の児童福祉司は2つの障害要素 「援助のためのシステム不足」と「人的 資源の不足」の間の相関係数が慎重派に比べて大変高い

(0.81と 0.38)。

積極派の児童福 祉司は家族に対 して援助提供のためのシステムが組めず障害と感 じるときに、人的不足に ついても共に障害と感 じていることが明らかになった。また、反対に人的不足を感 じてい るか らこそ、家族に援助のためのシステムが組めずに障害と感 じるのかもしれない。