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州規模の子 どものケースに対す るデータベースを作る。

家庭外措置 に対す る判断基準 を設置す る

(な

るべ く子 どもに とつて、よ り実家族 に近 い環境での措置先を選別できるような基準 を設 ける)。

特別なケアを要す る子 どもに対する養子縁組の特別補助 を設 ける。

AACWAは 連邦政府が州に対 して「最善の実践

(Best Practice)」

の枠組み を提示 し、それ に対する報奨 となる特別予算 を設 けたものであ り、児童福祉史上、 この法律は、最 も重要 な役害

1を

、裁判官に対 して与 えることにな った (Knepper&Barton,1997)。 ゆ えに、法廷 関係者 の 中には この大 きな役割 に対 して戸惑 いを示す者 も少 な くなか つた (Knepper&

Barton,1997:Kopeis&Rycraft,1993)。 この混舌

Lの

元 とな り、後に AACWAの 最大の欠点

第4章

 

アメ リカ合衆国における「

Family Preservation」

であると指摘 されるのは、条件 として示 したにもかかわ らず、「正当な努力

(Reasonable Efforts、

以下RE)」 に対する連邦政府の指導が不十分である点だつた。具体的には連邦政 府はREの具体的定義を示 しておらず、その定義付けは州政府や裁判所任せになって しまつ ている点 (Kopels&Rycraft,1993)、 またREを実践するための援助計画の作成だけが義 務付けられてお り、実際の実施については義務付けられていない点 (Knepper&Barton,

1997)、 REの

対象 となる範囲があいまいであるため、子 どもに生命の危険がある状態で行 使 される可能性のある点 (Raymond,1998)が不十分な点として挙げられる。また現実は、

理想の様にはうま くいかず、AACWAが発効 された後、各州では里親ケア数が増加 し続けた に関わ らず再統合を試みようとしたため、結局、里親措置期間が延びて しまう結果となつ た

(Pecora,et al口 ,2009:池

,2009)。

さらには州政府に対 してREの不履行を訴える 集団訴訟も起 こり始めた(Alexander&Alexander,1995:Kopels&Rycraft,1993)。 加え て、いくつかの州で Family Preservationプ ログラム実践中のケースで子 どもの死亡事件 が起 こって しまう

(池

谷,2009:Ke H y&Blythe,2000)など、様々な点で、実践 とAACWA との間のギャップを埋める必要性が明らかになってきた。また、1990年 代に入つてか らの コカインの流行や 10代 の妊娠の問題により、薬物依存や若年層の母親など援助の対象とな る家族も変化 し、「貴重な資源を投入 してまで、これ らの不適切な親の元に子どもをとどめ る必要が あるのか」 とい う意見が メデ ィア等で叫ばれ るよ うにな つた。 この Family Preservationに 対する攻撃は、一時の FamilyPreservationに 対する一部の児童福祉実践 者や研究者の熱狂的な傾倒に対する反発

(backlash)と

も思われた (Kelly&Blythe,2000)。

2日 the Adoption and Safe Fam:lies Act(ASFA)の 成立

AACWAで解決 で きなか った状況に対応す るため、1997年に新たな法律 である

the

Adoption and Safe Families Act(ASFA)が 市

1定

された。このASFAはその名前の通 り、養 子縁組の促進 とともに、子 どもの安全を最優先事項とし、今まで曖昧であつたREの対象と なるケースについて、「

REを

行わな くてもよい条件」を明文化 した。拷間、遺棄、慢性的 虐待、性的虐待などの「極端な状況

(aggravated circumstances)」

、親に殺人及び殺人補助 の前科がある

(疑

いがある

)場

合や、対象児またはきょうだいに対 して暴行行為の結果、

重傷を負わせたことがある場合、きょうだいに対 して親権喪失宣告がされている場合は、

再統合および家族維持に対するREは行わな くてもよいとされた。

養子縁組の促進のために、ASFAは子 どもの里親ケアヘの措置期間を短期化するため、過

去 22カ 月間のうち 15ヶ 月以上里親ケアに措置 されていた子 どもたちに対 して、養子縁組 のプロセスを開始することとした。また法廷上の手続きとして、すべての家庭外措置ケー スに対 して措置 12ヶ 月後にパーマネンシー ロヒア リングを行い、子 どもが家庭に復帰する ことが可能かまたは養子縁組か可能かどうかも審議することとした。これに対 しては、

12

か月 という期間が家族再統合 を試み るためには短す ぎるとして多 くの批判が上が った

(Raymond、 1998;Pecora,et al口 ,2009)。

またこのASFAはク リン トン政権下の主たる福 祉改革である the Personal Responsibility and Work Opportunity Act of 1996と ほぼ同 時に施行されたため、AFDC(児童扶養世帯扶助

)か

ら丁ANF(貧困家庭一時扶助

)へ

の切 り 替えと併せて、貧困家庭にとっては、子 どもの再統合がさらに難 しくなる可能性が高 くな つたとも批半

Jさ

れた (McGowan&Walsh,2000)。

援助計画作成についても、家族再統合をパーマネンシー保証のための目標 とした場合、

それが うま くいかなかった場合の並立する目標 (concurrent goals)も 設定 してお くこと を義務付けた。この concurrent goalsの 導入により、家庭外措置後の家族再統合を上位 と した ヒエラルキーは事実上存在 しな くなった。また、養子縁組促進のために地理的な条件 等を緩和 し、養子縁組が目標 として設定された場合は、どのように養子縁組 口親族ケア・

法的後見人等などの永続的なケアの提供に尽力がなされたかを文書化するように義務付け られた。

一方でFamily Preservationプ ログラムおよび予防的なファミリーサポー トサー ビスプロ グラムについては 1993年 に発効 された

Family Preservation and Support Service Program

(PL.103‑66)を

継続 させ、新 しいREの条件の下での予算調和が行われた。ASFAの もとで予 算支給の対象が時間制限内での家族再統合サー ビス、養子縁組前後に提供 されるサー ビス などにも広げられ、広範なサー ビスを含むことになった。

以上のようにASFAは AAttAで提示 した児童福祉施策の枠組みを現実的な問題に対応でき るように、補足 口修正を加えたものであった。ASFAで は児童福祉サー ビスの目標 を大きく、

子 どもの「パーマネンシー」・「安全」0子 どもと家族の「ウェル ビーイング」と定め、各州 の児童福祉サー ビスがこれ ら3つの日標 をどれだけ達成できたかを評価するシステムであ る「

Child and Family Service Review」

を設立 し、州の目標達成度を可視化 した。

ASFA以降、全米において養子縁組は 1998年 か ら2000年の間で

57%の

増加がみ られた。

また親権喪失ケースも減少 し始めた。このような肯定的な結果の一方で、1998年 に、再統 合ケースの

33%が

3年以内に家庭外に再措置 されているという結果も報告 されている

lThe

50

第4章

 

アメ リカ合衆国における「

Family Preservation」

United States General Accounting Office,2002)。 現場の運用においても、裁半

1官

は重 責を果た しきれず、当初の養子縁組の時間制限か ら外れることも多くみ られた1。

以上の点か ら、本来の目的である養子縁組の促進が図 られた点について、ASFAはある程 度の成果がみ られたと考えてよいだろう。法廷システムの整備については、当初意図 して いたような時間的枠組みを全ケースに対 して適応することは難 しかつたが、その分、ケー スの個別性に対応 しなが らパーマネンシーの保障を行つているような動きも見 られている。

一番の ASFAの成果は養親の獲得についても予算が整備 される中、本来ならば養子縁組が 難 しく長期里親ケアとなる可能性の高かったケースに対 して、時間制限が設定されること により、養子縁組に促されるようになったことである

(Pecora,et al.,2009)。

養子縁組の数の急増 とさらなる子 どもたちの安全の確保及び家族の強化のため、連邦政 府は2001年、Promoting Safe and Stable Families Amendmentsに より、ASFAから引き続 き Family Preservation,フ ァミリーサポー トサー ビスプログラム、家族再統合プログラ ムなどの拡大発展を州に促 した。またこの法律では引き続き、裁判所制度の改善及び里親 ケアや養子縁組後の子 どもたちに対するプログラムの設置なども定められている。

3.ASFA以

降のアメリカ合衆国の状況

2000年以降、引き続き、各州で児童虐待通告数は増加 し続け、そのケースが持つ問題性 が複 雑 化 して い くに もかかわ らず 、利用 で きる資源 に限 りが ある状態が見 られ た (Shusterman,Hollinshead,Fluke&Yuan,2005,p.vil)。 特に、通告ケースの中でもリ スクがそれほど高 くないマル トリー トメン トケースに対 しては、援助が うまく届かないま まになって しまう状況が多く見 られた

(Child Welfare lnformation Gateway 2008)。

この ような現状を踏まえ、これまでの「調査基盤対応」 (Investigation based track)の 代替 となる対応 (alternative response)と して Differential Response Approachが 新たな児 童虐待ケースヘの対応策として生み出され、2008年 以降、いくつかの州で実践が行われつ つある

(Richardson,2008)。

この Differential Response Approachは 懲罰的にな りがち な調査基盤対応か ら始まる介入型援助とは相反 し、家族自身の自発性と動機を尊重する自

1里

親ケアに 15カ 月以上いる子 どもたちに対 しても、 親がすでにきょうだいの親権 を喪失 しているケ ースや重度の虐待ケース以外でない限 りは、裁判官が完全に家族再統合の可能性を絶つことを嫌が

り、なかなか養子縁組のプロセスを始めないケースも多くの州で見 られた。反対に、年長児ケース、

特別な医療二一ズのあるケース、親族ケアに措置 されているケース、間もな く再統合が完了する予

定のケースに関 しては、 15カ 月以上里親ケアに措置 されていても、親権喪失対象ケースか らは例外

とされることが多かつた

(丁

he United States General Accounting Office,2002)。

主参加型援助が基盤となってお り、従来の児童保護の枠組みか ら離れた援助 となつている。

家 族 自身 の 動機 づ け を尊 重 し、家 族 全 体 に対 して働 きか け るや り方 は 、Family Preservationが 持つ価値観 と重なる部分があり、児童虐待ケースに対する在宅支援の新 し い形 として、今後、蓄積 された実践データを分析することにより、対象の選定、援助方法、

その効果について検証 されることが期待 されている。

第2節 Family Preservat:onプログラム実践の歴史

本節では、前節 で述べたよ うな法律的な変遷の背景で、アメ リカ合衆国の Family Preservationプログラム実践がどのような歴史をたどり発展 していつたのかについて レ

ビューを行いたい。2

Family Preservationプ ログラムの原型となる多問題家族に対する家庭訪間を中心とし たサー ビスは、古 くは Mary Richmondに よる友愛訪間である

(Ke‖

y&Blythe,2000)。 ま た包括的な家族に対する支援 としては、Oregon Projectや St.Paul Family Centered Projectが あげられる。これ らのプロジェク トは多問題家族に対 して、家庭訪間を中心に、

具体的な生活援助 を伴 う包括的な家族支援 を提供するものであつた (McCroskey,2001;

Schuerman et al.,1994)。 1960年代か ら全米で児童に対する虐待及びネグ レク トか ら子 どもを守る試みが広が り始め、1974年 には児童虐待に関する初の連邦法である

Child Abuse Prevention and ttreatment Actが

施行 され、各州に対 して本法が要求する内容に沿 うよう に州法を改正することが連邦政府か らの助成金の条件 となつた

(池

,2009;Pecora,et

al.,2009)。

この法律に合わせて各州は通告受理システム等の児童保護システムを整備 し、

被虐待児に対する里親ケア措置を用いた救済システムを整備 させた。 しか し、当時、虐待 を受けた子 どもたちが次々と親子分離されていく一方で、通告ケースの

60%が

「虐待が発

生 したと断定するには不十分なケース」である現実があつた。これ らの虐待が認められな が らも家庭外措置を行 うほどではないケースに対 して、なん らかの積極的な対応が求めら れるようになつてきた

(Schuerman et al.,1994)。

そんな中、1974年 、ワシン トン州タコマにある National lnstitute of Mental Health か らの「里親ケアの代わ りに実家族を支援するプログラムが作れないか

?」

との呼び掛け 2な

お、本文中で用いている「モデル」と「プログラム」という語句については、プログラムは「あ る目的に向かって実施されているサー ビス実践」であり、個々の実践体系を指すものとして扱 う。

モデノ ロまプログラムの上位概念であり、「実践理論と意義を背景に持ち、ある特定の対象に対 して、

具体的な援助の方法論を示すもの」として使用 している。

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