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【2】特別支援教育における ICT 環境

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しかしながら,肢体不自由や視覚障害,聴覚障害などのある児童生徒にとっては,

身体機能の制限などにより通常の機器を使えない場合もあり,ICT 機器を使うこと 自体に困難を覚える場合があります。そのときには,それを補う代替機器の導入が 必要になってくることになります。これらの学習や生活上の困難を支援するため,

コンピュータをはじめ,さまざまな補助器具やそれらを操作する技術・環境を提供 し,ケアをすることが AT(アシスティブ・テクノロジー:支援技術;p.62 コラム 参照)です。AT はこれら障害のある児童生徒の教育において不可欠なものといえ ます。

これらの環境を整えて始めて,情報を収集したり発信したり,コミュニケーショ ンの道具として使ったりと,さまざまな学習ができることになります。その際には,

知識のみの学習に陥らず,実際に体験(疑似体験も含む)することを重視する活動 を多く取り入れることが望ましいといえます。

【実践例】

例 1:パソコンやキーボードに全く関心を示さない児童生徒に対し,「スイッチ を押すと画面に出ている本人の好きな絵が音を出して動く」のような仕掛けを 用意し,スイッチを押すことに興味を持たせ,スイッチと画面の変化の関係に 気づかせる。 

例 2:ネットワークを介して,離れた他の学校の児童生徒と掲示板やメール,

チャット,テレビ会議などを通して交流を深め,それぞれのよさを体験させ,

コミュニケーションをとる際のルールを知ったり,コンピュータの向こうには 人がいることを意識させる。

8.特別支援教育と情報教育

特別支援教育に おける児童生徒 自身の状況に応 じた情報活用能 力 育 成 の 重 要 性とそのための ICT 環 境 の 整 備 について理解で きましたか?

障害のある児童生徒など,障害等によって情報を入手することが困難な

者に対して,情報入手のための支援を行ったり,情報を発信すること

が困難な者に対して情報発信のための支援を行うことが必要になってく

る。具体的には,点字による表示や手話,ノートテイク,コミュニケー

ション支援機器の整備などがある。これらのことを,情報保障という。

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AT(アシスティブ・テクノロジー)とは

アシスティブ・テクノロジー(Assistive Technology)は,支援技術と訳されており,障害 者を支援する工学技術のことで,障害のある人に,それを補うための支援機器を,それを利用 できるようにする支援まで含んで提供することです。

たとえば,パソコンの入力装置ひとつをとっても,手の動作範囲が小さい人のために小型キー ボードを使ったりアームレストを用いたり,不随意運動で思い通りのキーが押さえられない人 のために大きなボタンスイッチとスクリーンキーボードやキーガードを使って文字入力ができ るようにしたり,手で入力ができない場合には足で入力する装置,視線で入力できる装置など,

さまざまなニーズに合わせて支援機器が開発されています。(下記サイト参照)

しかし,これらの機器は導入しさえすればすぐにうまく使えるというわけではありません。

これらを利用するときは,導入時だけでなく使っている途中に何度も個々の障害の状態やその 時々のニーズに合わせて細かくフィッテングすることが大切です。そのためには,メーカーや 地域のセンター,関係機関と学校,保護者との連携が必要です。

また,特別な機器やソフトを購入しなくても,ウィンドウズに標準でついている下記のよう な機能を使うことで,パソコンの操作をぐっと使いやすいものにすることができます。

●ユーザー補助

・テンキーでマウスポインタを操作できる。

・固定キー機能…キーを同時に押さなくても,Shift,Ctrl,Alt などが使える。

・フィルタキー機能…キー入力の間隔を長くすることができる。

2 情報教育

こころ web           http://www.kokoroweb.org/

国立特別支援教育総合研究所   http://www.nise.go.jp/

発達障害教育情報センター    http://icedd.nise.go.jp/blog/

e-AT オンライン学習システム 

    http://www.at-online.jp/cgi-bin/manage̲new/exec.cgi?submit̲top

「スタート」→「すべてのプログラム」→「アクセサリ」

→「ユーザー補助」で開く。

「スクリーンキーボード」や「「ユーザー補助機能」,

「拡大鏡」などいろいろな機能がある。

「コントロールパネル」の

「ユーザー補助」の画面。

固定キーやフィルタキーなど,

さまざまな設定ができる。

図は WindowsXP の

画 面。Windows 7

では,これまで点在

していたこれらの機

能を一か所に集約し

使 い や す く し て い

る。また,どの画面

からでも拡大鏡を起

動できたり,タッチ

機 能 に も 対 応 す る

など,アクセシビリ

ティ機能が拡大され

ている。

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8.特別支援教育と情報教育 例  上肢に不随意運動のある A さんの場合,パソコン

を思った通りに操作ができるように,次のような段階ですす めました。

①ボタン型スイッチ 2 個とスクリーンキーボードで入力。

② A さんの希望により,オートスキャンからスイッチで スキャンする設定に変更。

③地域のリハビリテーションセンターよりキーガードを借 り入れる

④手作りの指サックをつけて入力練習を始める。

⑤自分で目的のキーのところまで指を持って行き,キーを押すときは支 援をして,押す感覚を覚える。

⑥机にレールをつけ,キーボードのずれや落下を防ぐ。

⑦自分でキーを押すことができるようになってきたので,「ユーザー補

助」で「フィルタキー機能(繰り返されたキー入力を一定時間無視する)」・「固定キー機能(Shift+

「つ」など1つずつキーを押す)」の設定をする。

⑧授業でノートの代わりにパソコンを利用する。

⑨「ショートカットキー」を学習し,ファイルの保存やパソコンの終了が自分でできるようになる。

これで,電源を入れる以外すべて自分でできるようになった。

⑩「マウス機能(テンキーを使ってマウスポインタを動かす)」を設定。デスクトップ上のファイ ルを自分で開くことができるようになる。

⑪ A さんにあわせて準備したドリルソフトを使って,授業での学習や家庭学習にも主体的に取り 組む。

⑫ブラウザを自分で開き,リンク先へ自分でとべるようになる。

⑬市内循環バスの時刻表をインターネットで調べて校外学習の計画を立てる。

A さんの例でもわかるように,AT は単なる機能の代替にとどまらず,情報教育や教科指導 なども含めたさまざまな学習活動を行ううえで不可欠なもので,メンタルケアまで含めたきめ 細かい支援も含みます。たとえば小中

学生の場合は,「できたことをほめる」,

「一緒に喜ぶ」なども『習得への意欲 を高める』という意味で,精神的な支 援であるといえます。

AT(アシスティブ・テクノロジー)

授業での ICT 活用

情報教育

・警告音が鳴るときに画面の点滅で知らせる。

●マウス設定

・エラーを警告音で出すときに,画面を点滅させて警告を知らせる機能。

・ダブルクリックの速度を遅くする。

・マウスポインタの軌跡を表示させる。

●画面設定

・デスクトップ上の文字を拡大表示する。

上記のように,ちょっと設定を変えるだけで,児童生徒にとって使いやすくすることができ ます。

きれいに舗装された道

の上で車がスムーズに

走ることができるのと

同じように,特別な支

援を必要とする児童生

徒 に と っ て,AT に よ

る支援を充実・整備す

ることによって,情報

教育も授業での ICT 活

用もスムーズに効果的

に行う(走り出す)こ

とができる。

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