を整理し、今後の取り組みを検討することにより、わが国における薬剤師職能の確立とさ らなる医薬分業の進展・定着を目指していきたい。
「様々な保険医療機関の処方箋」を応需しているが24.0%であった。
いわゆる門前・マンツーマン形式の分業体制には、薬物治療の一元管理という医薬分 業に期待する機能が十分に果たせない等の批判的な意見が少なくない。
今後、真の医薬分業を実現する為には、特定の医療機関の処方箋のみを応需する体制か ら脱却し、「地域のいずれの医療機関に行ってもあの薬局・薬剤師へ」という、「かかりつ け」機能を志向することが求められる。
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000
1薬局当たりの年間 処方箋取扱枚数
平成23年度 平成13年度
平成3年度 0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
処方箋受取率 5,029
12.8%
44.5%
64.6%
12,194
14,431
処方箋取扱枚数と処方箋受取率
0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000
調剤医療費
平成23年度 平成13年度
平成3年度 億円
6,104
32,140
65,600
調 剤 医 療 費
②調剤業務の質のさらなる向上
わが国では、ほぼ全ての薬局が薬剤服用歴を活用した服薬指導を日常的に実施してい る。欧州諸国と比較しても先進的な取り組みができていると言えるだろう。
一方、平成22年(2010年)4月30日の厚生労働省医政局長通知(医政発0430第1号)「医 療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」において、「近年、医療技 術の進展とともに薬物療法が高度化しているため、医療の質の向上及び医療安全の確保 の観点から、チーム医療において薬剤の専門家である薬剤師が主体的に薬物療法に参加 することが非常に有益である」という見解とともに、以下の9項目の業務については、
現行制度の下において薬剤師が実施することができることから、薬剤師を積極的に活用 することが望まれる、との見解が示された。
⑴薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについて、医師・
薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用 を通じて、医師等と協働して実施すること。
⑵薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間等について、医師に対し、積極的に処方を 提案すること。
⑶薬物療法を受けている患者(在宅の患者を含む。)に対し、薬学的管理(患者の副
0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000
保険薬局数
平成23年度 平成13年度
平成3年度 0
5 10 15 20 25 30 35 40 45
人口10万人当たりの保険薬局数 31,731
45,893
53,949
25.6
36.1
42.2
保 険 薬 局 数
作用の状況の把握、服薬指導等)を行うこと。
⑷薬物の血中濃度や副作用のモニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効性の 確認を行うとともに、医師に対し、必要に応じて薬剤の変更等を提案すること。
⑸薬物療法の経過等を確認した上で、医師に対し、前回の処方内容と同一の内容の処 方を提案すること。
⑹外来化学療法を受けている患者に対し、医師等と協働してインフォームドコンセン トを実施するとともに、薬学的管理を行うこと。
⑺入院患者の持参薬の内容を確認した上で、医師に対し、服薬計画を提案するなど、
当該患者に対する薬学的管理を行うこと。
⑻定期的に患者の副作用の発現状況の確認等を行うため、処方内容を分割して調剤す ること。
⑼抗がん剤等の適切な無菌調製を行うこと。
さらに、チーム医療の観点から、薬剤に関する相談体制の整備について「薬剤師以外 の医療スタッフが、それぞれの専門性を活かして薬剤に関する業務を行う場合において も、医療安全の確保に万全を期す観点から、薬剤師の助言を必要とする場面が想定され ることから、薬剤の専門家として各医療スタッフからの相談に応じることができる体制 を整えることが望まれる」という見解が示された。
この通知を、薬剤師の職能に基づく薬学的な関与の重要性を示すと同時に、「これま での取り組みは十分といえない状況である」との指摘として真摯に受け止め、こうした 提案に具体的かつ確実に応える薬剤師業務を実施することが必要である。
③後発医薬品の使用促進への対応
医療の進歩とともに、画期的な新薬やオーファンドラッグが開発・上市され、国民の 生命やQOLを守る重要な役割を果たしている。一方、これらの医薬品は概ね高薬価で あり、保険医療における医薬品費用を増大させる要因ともなっている。そのため、世界 中の国々で、薬剤費節減の手段として後発医薬品の使用促進対策がとられている。
後発医薬品の使用に関しては、品質への不安や流通上の問題などが使用の促進を阻む 課題とされてきた。そのため厚生労働省では、品質、安定供給、情報提供等についての 後発医薬品の信頼性を高め、医療関係者及び患者が安心して後発医薬品を使用すること ができるよう、国及び関係者が行うべき取り組みを明らかにした「後発医薬品の安心使 用促進アクションプログラム」を策定・実施し、一定の環境が整備されつつある。現在、
後発医薬品使用促進に関する様々なルール改正や診療報酬・調剤報酬上の仕組みが実施 されており、薬剤師が後発医薬品の使用促進に取り組みやすい環境が整備されてきてい る。薬剤師は、医薬品供給の社会的責任者として、後発医薬品の適切な使用を通じ、医 療財政および患者の費用負担軽減に明確な結果を示すことが求められている。
④長期処方への対応
投薬日数の長期化に伴い、長期投薬中のノンコンプライアンス、症状の変化や副作用 等の事象に対する医療安全の確保とそれらの事象に伴って生じる残薬や不要薬の発生に よる経済的な無駄を最小限に抑えることが求められる。そのためには、服薬期間中に患 者が必要に応じて気軽にアクセスできる「かかりつけ」薬局・薬剤師が定期的なモニタ リングを実施することが有効である。現在の制度では、分割調剤を利用して対応するこ とも可能であるが、すでに多くの欧米諸国で実績のある「リフィル処方箋制度」等の導 入も検討する必要がある。
⑤調剤における安全管理
調剤業務では、調剤過誤・事故のリスクを限りなくゼロに近づけると同時に、発生時 の被害をいかに最小限に抑えるかが目標となる。平成21年(2009年)、薬事法第5条第 2項に基づく薬局の業務を行う体制省令が規定され、薬局開設者に医療の安全を確保す るため、以下の事項を書面等に明記したものを作成し、従業者へ周知するとともに、当 該指針に基づく適切な対応を図ることが義務付けられた。これらの法的要件を確実に遵 守すると同時に、より質の高い管理体制を構築することが必要である。
⑴薬局における医薬品業務に関わる医療安全を確保するための基本的考え方に関する こと。
⑵従業者に対する研修の実施に関すること。
⑶医薬品の安全使用のための責任者に関すること。
⑷従業者から薬局開設者への事故報告の体制に関すること。
⑸医薬品の安全使用のための業務に関する手順書の作成及びこれに基づく業務の実施 に関すること。
⑹医薬品の安全使用のために必要な情報の収集に関すること。
⑺患者からの相談の対応に関すること。
⑻その他、医療安全を確保することを目的とした改善のための方策の実施に関するこ
と。
⑥休日・夜間における対応
医薬分業を推進し成熟した制度とするためには、薬局・薬剤師が地域における全ての 医薬品供給に責任を持つことが必要である。その一環として、地域の休日・夜間におけ る調剤応需体制を整備することが必須な条件となる。
現在、緊急時の連絡先電話番号の掲示、地域の行政機関や医師会等との連携に基づい た輪番制や休日夜間診療所の調剤対応などが実施されている。今後、医療計画や地域の 特性を踏まえながら、休日・夜間における調剤応需や医薬品供給に関し、組織的かつ体 系的な体制を整備・構築することが必要である。