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1)医療用医薬品の供給における課題への取り組み

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①休日・夜間の救急調剤対応

 休日・夜間の救急調剤応需体制の整備は、成熟した医薬分業制度を実現する上で必須 の要件であり、全ての地域で応需体制を整備する必要がある。地域の医師会をはじめと する医療連携を基に、休日・夜間の救急医療で利用する医薬品リスト等を作成し、全て の薬局で対応できるよう管理する必要がある。このような体制を早期に実現するため、

国、県、市区町村レベルにおける標準モデル等を作成し、全ての薬局薬剤師の協力に基 づいて、地域特性に応じた体制を整備する必要がある。

 

②医療用麻薬の供給

 外来、在宅医療における疼痛管理や緩和ケアが進んでおり、麻薬製剤の安定供給と効 率的かつ厳格な管理が求められている。保険薬局の指定を受けている薬局が麻薬処方箋 の応需ができないようでは、医薬分業制度は成り立たない。そのため、全ての保険薬局 において、麻薬小売業の免許を取得する必要がある。また、休日夜間等における麻薬卸 売業からの供給、麻薬小売業の許可を持つ薬局間の譲受譲渡を適正かつ効率的に行うこ とができる体制を整備する必要がある。

③無菌調剤の供給

 在宅医療および外来化学療法が進んでいることから、無菌調剤を実施できる薬局およ び薬剤師が求められている。一方、全ての薬局に高度な無菌調剤ができる設備(クリー ンルーム等)を整備することは、社会的なニーズを踏まえると現実的ではない。そのた め、地域包括ケアシステムの単位となる中学校区(人口1万人程度)と二次医療圏にお ける無菌調剤のニーズを把握し、無菌調剤が可能な機器(クリーンベンチ等)を持つ薬 局を整備する必要がある。また、高度な無菌調剤が可能な機能と無菌調剤に関する研修 機能を併せ持つ基幹的な薬局を、二次医療圏単位で整備する必要がある。

 

(2)医薬品の適正使用および医療安全の確保

 薬剤師が調剤業務において果たすべき役割は、1993年に示された2つの概念により大き な変革をもたらした。WHO、FIP(国際薬剤師・薬学連合)において、GPP(Good Pharmacy Practice/薬局業務規範)が採択され、その中で世界中の薬剤師の役割として

「PHARMACEUTICAL CARE」の概念が示された(*)。

 また、時を同じくして、我が国では、厚生労働省の「21世紀の医薬品のあり方に関する 懇談会」最終報告において、「医薬品の適正使用」(**)の概念が示された。

 これらの新たな薬剤師の社会的使命が示されたことにより、薬剤師の役割は、それまで の中心的業務であった「医薬品を正しく調剤し供給する」という役割に加え、「薬物治療 に責任をもって関与し、患者に利益をもたらす」ことに重点を移すことになった。

 

*ファーマシューティカルケアとは、患者のQOLを改善する、明確な結果をもたら すために採られる薬物治療を、責任をもって遂行すること。

**医薬品の適正使用とは、的確な診断に基づき、患者の症候にかなった最適の薬剤、

剤形と適切な用法・用量が決定され、これに基づき調剤されること、ついで患者に 薬剤についての説明が十分理解され、正確に使用された後、その効果や副作用が評 価され、処方にフィードバックされるという一連のサイクルの実現である。

 

 平成22年(2010年)4月30日の厚生労働省医政局長通知(医政発0430第1号)「医療スタッ フの協働・連携によるチーム医療の推進について」において、チーム医療における薬剤師 の社会的役割が示された。薬局薬剤師の今後の目標として、医薬品の適正使用、医療安全、

医療チームへの貢献、在宅医療および終末期・緩和ケアへの貢献、ハイリスク医薬品や長 期投薬における適正使用への関与、医療経済への貢献等に対し、明確な結果を示す薬剤師 サービスを実施することが求められる。

 以下に、具体的に取り組むべき項目を整理する。

 

①処方監査・疑義照会の充実

 薬剤師による処方監査・疑義照会は、薬物治療の安全性を確保する上で最も基本的か つ重要な義務であり、同時に、薬剤師法によって付与された医師に対する薬学的提案の

“権利”でもある。処方監査・疑義照会を確実に実施するには、医療安全業務指針およ び業務手順書に明確にその手順等を記載するなど、管理体制を整えることが必要である。

 日本薬剤師会の調査によると、処方箋の2~3%に疑義照会が実施され、その約6割 について処方内容の薬学的変更がなされているとの結果が示されている。疑義照会のレ ベルを向上させるには、薬剤師の薬学的知識やコミュニケーショスキルなどの一層の個 人的な能力アップと同時に、充実した薬歴の蓄積が重要な要素となる。それが、「かか りつけ」薬局・薬剤師として選択されることにつながり、適切な疑義照会を行うための ポイントとなる。

 さらに、ハイリスク医薬品(平成24年(2012年)現在、11薬効群)については、「薬 局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関するガイドライン」等に基づき、母集団

薬物動態学的検討を踏まえるなど、より慎重な処方監査と薬学的管理を実施し、医療安 全を確保することが求められる。

 

②副作用の確認業務

 副作用の未然予防と早期発見は、薬剤師による薬学的管理の極めて重要な役割である。

その役割をより積極的に担うためには、患者へのインタビュー等によるモニタリングに 加え、副作用の発見を目的とするバイタルサインのチェックやフィジカルアセスメント を行うことが必要となる。また、リスクの高い薬剤や長期処方の薬剤などについては、

薬物血中濃度、血糖値やPT-INRの測定など、薬局におけるTDM(Therapeutic Drug Monitoring;治療薬物モニタリング)の実施も検討すべき課題である。

 実施に当たっては、その目的と実施範囲を明確にするととともに、事前に十分な研修 を実施することにより、国民および医師を始めとする他の医療従事者のコンセンサスを 得ることが必要である。そのため、薬剤師会が研修体制の整備およびガイドラインの作 成や研修認定制度等の環境整備を行い、医薬品を供給する全ての薬剤師が、副作用の防 止を目的としたバイタルサインのチェックやフィジカルアセスメントを、日常業務とし て実施することが必要である。

③服薬指導・薬学的管理の充実

 医薬品の適正使用を実現するには、薬剤師が提供した情報に基づいて、患者が薬物治 療について正しく理解し、納得した上で適切に服薬することが重要な要素となる。薬剤 師は、服薬指導業務を通じ、薬学的な根拠に基づいた適切な情報提供を行うとともに、

患者の理解度の確認、アドヒアランス、治療効果と副作用発現などの状況を継続的にモ ニタリングするため、情報の収集・管理能力、コミュニケーションスキル、基本的な臨 床知識等の向上、プライバシー確保に配慮した服薬指導の環境整備、効率的で質の高い 薬剤服用歴の管理などに取り組む必要がある。

 薬学的管理の水準は、他の薬局と比較する機会が少ないことから、自らの業務を客観 的に評価することが難しい。そのため、生涯学習の一環として薬学情報誌や学会参加等 で最新の情報を入手し、常に求められる業務水準の変化に対応することが必要である。

 

アドヒアランス(日本薬学会)

 患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることを意 味する。

④長期処方への対応

 長期投薬が増加する中、その有効性と安全性を確保することは薬剤師の重要な責務で あり、服薬期間中の服薬状況、症状変化、副作用などの定期的なモニタリングを実施す ることが求められる。薬剤師による体調確認やバイタルサインのチェック等により、的 確な受診勧奨、処方医への報告・薬学的提案などを行うことで、外来調剤におけるチー ム医療を推進することが可能となる。また、長期投薬中のイベント発生で処方が変更さ れた場合といった、残薬や不要薬等による経済的な無駄が生じるリスクが増大している。

そのため、諸外国で利用されている「リフィル処方箋」等の仕組みを導入し、医療安全 の確保と経済的リスクの最小化を両立させる役割が求められる。

 リフィル処方箋の導入により、患者から「かかりつけ」として信頼された薬剤師が、

継続的なモニタリングと医師に対する報告・提案の実績を積み重ねることにより、薬剤 師職能および医薬分業制度の確固たる評価に繋がる。

 

⑤医療情報の共有化

 薬剤師による薬学的な管理、服薬指導をより確実かつ有効にするため、処方意図を明 確にすることは有用である。現在は、患者インタビュー等により、自覚症状や医師の説 明等を聴取することで病状や処方意図を推測し、疑義照会や患者への情報提供・服薬指 導を実施しているが、将来的には、外来診療におけるチーム医療の進展を基に、医療関 係者間の医療情報の共有化を進めるとともに、処方箋等を介した病名等の情報の共有化 についても検討する必要がある。

 

(3)在宅医療への参加

 平成4年(1992年)、近未来の高齢社会に備え、医療法第1条に、入院、外来とともに「患 者居宅」が医療の場として位置づけられた。また、平成6年(1994年)の調剤報酬改定にお いて「在宅訪問薬剤管理指導料」が、平成12年(2000年)の介護保険創設時には薬剤師が行 う「居宅療養管理指導料」が、それぞれ認められた。さらに、平成18年(2006年)の薬剤師 法改正において、医療を受ける者の居宅等で薬学的管理指導等の調剤業務が可能となった。

 在宅やグループホーム等で介護を受ける必要のある要介護者がやがて500万人にも増加 すると予測される中、在宅医療への参加は、薬局・薬剤師にとってかかりつけの患者に継 続的かつ責任をもった関与を行うという観点から、極めて重要な役割となっている。

 生活の場である居宅・居室に赴き、患者の生活の状況、病状、家族等の介護支援力など の状況を踏まえてQOLおよびADLの向上に貢献することは、薬剤師職能の存在価値を高

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