4.1 授業実践の目的
第4章 ソフトウェアを利用した授業実践
4.1 授業実践の目的
(ア)開発したソフトウェアの効果の検証
『数学A』の平面幾何の「平面上の変換」の単元では、次のようなこ とを学習のねらいとしている。
①平面上の変換について、その性質を明らかにする。
②変換の考えを、図形の証明問題に応用する。
このねらいを達成するために、開発したソフトウェアには、変換の様 子を視覚化する機能と、変換を利用する証明を表示する機能を持たせた。
授業実践の目的の1つは、開発したソフトウェアを実際に授業で用いて みることにより、上に示した学習のねらいを十分に達成できるかどうか を検証することにある。
(イ)新しい学習方法・授業方法の創造
授業実践のもう1つの目的は、生徒がコンピュータを学習のための道 具として活用することによって可能となる、新しい授業の方法・新しい 学習の方法を提案・検証することである。言い換えれば、コンピュータ を利用することによって、初めて可能となるような新しい授業計画を考 案・計画し、その効果を探ることが本授業実践の目的の1つである。
新しい授業の方法とは、次のような授業をいう。
①数学の問題が生み出される過程と、それが解決される過程の両 方を体験させる授業
②1つの問題を解決するだけの学習ではなく、解決された問題か ら新しい問題を生み出し、解決していく過程を体験させる授業
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4.2 指導計画の作成
4.2 指導計画の作成
4.2.1 生徒の実態調査(ア)調査の目的
近年、高等学校に入学してくる生徒は、興味関心・学力・意欲など、
どの面をとっても非常に多様化してきている。また、生徒集団としての 特質も年々変化してきており、数年前の常識が今日では全く通用しない こともある。そのため、授業実践をするにあたっては、生徒の実態を把 握しておくことが、何より大切であると考えた。
教科担任として日頃から教えているクラスであれば、調査を行わなく ても、個々の生徒の実態やクラスの特質を把握することは、十分に可能 である。しかし、今回の実践では、授業をするクラスの生徒とは全く面 識がなく、授業で接する期間も短いため、授業をやりながら生徒の実態 を把握していくことは不可能である。したがって、事前に生徒の実態を 把握するような調査が必要となる。
生徒の実態とは、授業に対する興味・関心、数学に対する興味・関心、
中学校での学習の成果などを意味している。調査によって、個 々の生徒 のデータも明らかになるが、本調査では個々の生徒よりも、生徒集団の 全体的な特徴を掴むことを目的としている。
(イ)調査の対象
授業実践を実施するM高等学校の1年生の2クラス計80名を対象とし て行った。人数、男女比は以下のとおりである。
A組 40名(男子13名,女子27名)
B組 40名(男子16名,女子24名)
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4.2 指導計画の作成
(ウ)調査の方法
各クラスの教科担当者に依頼して、平成6年7月上旬に、平常の授業 時間中に記名式の調査を実施した。解答時間は、A組では約40分、 B 組では約30分であった。調査問題は、選択肢から解答を選ぶ問題と、
自由記述をさせる問題とで構成されている。
(エ)調査の内容
調査項目は、大きく分けて、次の4つに分類される。
①生徒がどのような授業を望んでいるかを調べる項目 ②生徒の数学(図形)に対するイメージを調べる項目
③中学校におけるコンピュータ使用の経験について調べる項目 ④中学校で学んだ幾何の理解度を調べる項目
①では、本授業実践で目指している「生徒の主体的な探究活動」や
「コンピュータ利用」などが、生徒に受け入れられる素地があるかどう かを調べることを目的としている。
②では、近年指摘されているような生徒の数学嫌い・数学離れの現象 が実際にあるかどうかを調べ、もしそのような実態がある場合には、ど のような授業を行えば生徒の興味・関心を引くことができるかを知るこ
とを目的としている。
③では、生徒がコンピュータの操作、特にマウスの操作にどの程度習 熟しているかを知ることを目的としている。得られたデータは、授業計 画作成の際に、ソフトウェアの操作方法の指導にどの程度の時間が必要
となるかを検討する資料とする。
④では、生徒が中学校で学んだ幾何の内容を、どの程度理解・記憶し ているかを知り、テキスト作成や指導上の資料とすることを目的として
いる。
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4.2 指導計画の作成
(オ)調査の結果と考察
集計結果のうち、特徴的な部分についてまとめることにする。
①授業の進め方について
「先生の説明が中心の授業」、「先生が生徒に質問しながら進める授 業」、「グループで話し合う授業」、「資料を調べながら進める授業」
に関しては、賛否が分れる傾向がある。しかも、積極的な支持や反対を 表明する者の割合は少なく、消極的な支持や反対が多いことが特徴的で ある。これらの質問では、 「生徒の主体的な学習」と「教師主導の受け 身の学習」のどちらを生徒が好んでいるかを調査することをねらってい たが、質問の意味が分かりにくかったのかもしれない。また、生徒にと っては、どちらのタイプの学習であるかよりも、教師や周囲の環境の方 が重要であり、それが授業の好き嫌いに影響していると考えられる。
それに対して、図4,1や図4.2に示すように、「実験・観察中心の 授業」や、 「テレビ・ビデオを利用する授業」、 「コンピュータを利用 する授業」は8割以上の生徒に支持され、強く支持する者の比率も高い。
このことから、生徒は、実験・観察的な手法を取り入れた授業や、視聴 覚機器を利用した視覚に訴えるような授業を求めていることが分かる。
また、見方を変えれば、人の話を聞くだけの授業に飽きているともいえ る。いずれにせよ、コンピュータを用いた授業に対する期待は大きいの で、うまく導入すれば、生徒の学習意欲を引き出すことが可能となる。
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4.2 指導計画の作成
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図4.1 「実験や観察をしながら進める授業」の集計結果
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図4.2 「コンピュータを利用しながら進める授業」の集計結果
② 数学に対するイメージ
まず言えることは、数学嫌いの傾向が顕著である。そして、それ以上 の比率で、数学は苦手であると答えている。図形、証明と分野を限定し ても、結果はほとんど同じ比率であった。例えば、図4.3では、図形 の問題が好きだ肯定的に答えている生徒が約25%いるのに対し、図4 4では、図形の問題が得意だ肯定的に答えている生徒は9%以下しかい ない。それとは反対に、図形の問題は得意ではないと強く感じている者 が増加し、過半数を越えている。
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図4.3 「図形の問題が好きだ」の集計結果
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図4.4
「図形の問題が得意だ」の集計結果また、図4.5に示したように、約84%もの生徒が証明問題は難し いと感じており、6割近い生徒がそのことを強く感じている。
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図4.5 「図形の証明問題は難しい」の集計結果
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纈囎図4.6 「証明の書き方がわからない」の集計結果
図4.6に示すように、証明問題の難しさの原因として、約75%の 生徒が証明の書き方が分からないと答えている。このことから、授業実 践においては、証明の書き方の指導がポイントとなることがわかる。
以上の結果から、生徒の図形に対する苦手意識はかなり深刻であると いえる。しかし、その一方で、図4.7に示したように、図形の学習に 対する意欲を尋ねた問題では、「内容によっては興味が持てるかもしれ ない」が52%、 「勉強の方法や進め方によっては興味がもてるかもし れない」が21%という解答もあり、図形の学習に全く興味がないわけ ではない。したがって、授業実践においては、教え方、授業の進め方に 工夫をこらし、内容をいかに面白く分かりやすく伝えるかが課題となる。
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おもしろそうなので、興昧をもってやれそう
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図4.7 「図形の学習に対する意欲」の集計結果
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