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高品質電子ビームの発生についての考察

Energy [MeV]

5.9 高品質ビームの発生条件の探索

5.9.3 高品質電子ビームの発生についての考察

シミュレーション結果、エネルギー利得の制御にはプラズマ電子密度を、

エネルギー広がり、エミッタンス、バンチ長、電荷量等のビームの品質の 制御にはレーザーのスポット半径及びパルス幅を使用すればよいことが判 明した。特に電荷量が大きいとエネルギー広がり、エミッタンス、バンチ 長が悪化するため、電荷量は最小値をとるようにスポット半径を選ぶ必要 がある。レーザー出力120TW、プラズマ電子密度2.0×1018cm3、スポッ ト半径15µm、パルス幅40fsの場合、エネルギー 340MeV、エネルギー広 がり4.2%、エミッタンス 1.5πmm mrad、バンチ長1µm(=3.3fs)、ビーム電 流 Ib =30.3kA のビームが、プラズマ密度チャネルがある場合、レーザー 出力120TW、プラズマ電子密度2.0×1018cm3、チャネルの深さ30% ポット半径 20µm、パルス幅 38fs の場合、エネルギー 260MeV、エネル ギー広がり0.5%、エミッタンス2.1πmm mrad、バンチ長0.56µm(=1.9fs) ビーム電流 10.5kA のビームが生成されると予想される。

本シミュレーションで得られた一様プラズマ及びキャピラリーの場合 においての最適なビームパラメーター、そして既存の実験データと波長

13.5nm の軟 X 線 FEL の発振に必要なビームパラメーターを表 5.1 に纏

める。ビームの品質は既存の実験データを上回っており、軟X FEL 発振に必要な条件を満足している。このことから本研究で得られた最適な ビームパラメーターはキャピラリーを用いて波長 13.5nm の軟 X FEL に応用可能であると言える。

E[MeV] σE/E[%] ε[πmm mrad] σb[µm] Ib[kA]

一様プラズマ 340 4.2 1.5 1.0 30.3 キャピラリー 260 0.5 2.1 0.56 10.5

Fuchs の実験5 210 4.1 0.8 3.0 0.7

軟 X線FEL 242 0.4 7 3.0 10.0

5.1:最適なビームパラメーター

∗5 文献[40]参照

第 6

結論

近年、レーザープラズマ加速器の研究が進み、高い加速勾配と従来の 高周波加速器を上回るビームクオリティにより小型の X 線自由電子レー ザー等への応用が期待されている。レーザープラズマ加速の問題点である 回折による加速距離の短さについては、キャピラリー光ガイディングを用 いて加速距離を伸ばす研究が精力的に行われ、1GeV までの電子加速に成 功している。エネルギー利得を向上させる研究は多くの研究者によって行 われてきたが、エネルギー広がり、エミッタンス、バンチ長、電荷量を改 善するための研究は充分に行われていなかった。本研究は波長 13.5nm の 軟 X線FEL に必要なビームパラメーターを目標とし、レーザープラズマ 加速によるコンパクトな高品質、高エネルギー電子ビーム源を開発するた め以下の研究を行った。

高品質電子ビームを発生させるガスフィル型キャピラリーの作成を行い 生成されるプラズマチャネルによる光ガイディング実験を行った。キャピ ラリー内で放電によるプラズマ密度チャネルを生成し、1TW レーザーパ ルスの光ガイディングに最適な時刻にレーザーパルスを入射して、光ガイ ディングが観測した。非局所熱平衡モデルをこの結果に適応して電子密度 プロファイルを計算したところ、GeV 級の電子加速に使用可能であるこ とを確かめた。

100TW 級レーザーパルスを用いたバブル機構を検証するために実施さ れたレーザープラズマ電子加速実験のデータ解析を行った。エネルギー利 得が線形理論と異なりレーザー出力に比例しないこと、多数のバンチが入 射されること、入射されたバンチはベータトロン振動により分裂するこ と、ポンプ消耗距離がレーザー強度パラメーター a0 に依存しないこと及 び入射位置は離散的であり a0 とプラズマ波長から計算されること等、強 い非線形現象が起こることを発見した。

PIC シミュレーションによる電子加速実験のシミュレーション及び高品 質電子ビームを生成するための条件を探索した。前者ではベータトロン振 動やマルチバンチ入射などの実験で観測された現象が確認された。また最 大エネルギーと電子の入射位置は実験を証明する結果が得られた。後者で は電子ビームのクオリティを向上させるための条件が判明した。プラズマ 電子密度はエネルギー利得の制御に、レーザーパルスのスポット半径及び パルス幅はエネルギー広がり、エミッタンス、バンチ長、電荷量などの品 質制御に用いることができる。本研究のレーザープラズマ領域では、実際 の位相すべりを起こす距離は線形理論から得られる値よりも 1/5 程短く なっており、加速実験のエネルギー利得が線形理論から得られるエネル ギー利得の1/5程度になる原因を明らかにした。電荷量は高品質ビームの 生成に深く関わっており、最適なスポット半径やパルス幅が存在すること が判った。本研究で得られた最適なビームパラメーターはキャピラリーを 用いて波長 13.5nmの軟X線FELに応用可能であることを明らかにした。

付録 A

ハウジング図面

ハウジングは大きく分けてハウジング本体、キャピラリーホルダー、

キャピラリースリーブ、電極、電極ホルダー、電極スペーサー、電極コ ネクター、エンドキャップに分けられる。Fig.A.1 にハウジング本体、

Fig.A.2 にキャピラリーホルダー、電極ホルダー及びキャピラリースリー

ブ、Fig.A.3 に電極コネクター、Fig.A.4に電極スペーサー、Fig.A.5 にエ ンドキャップ、Fig.A.6 に組み立て後のハウジングを示す。

Fig.A.1: ハウジング本体

Fig.A.2: エンドキャップ

Fig.A.3: 左電極ホルダー

Fig.A.4: 右電極ホルダー

Fig.A.5:右電極スペーサー

Fig.A.6:キャピラリースリーブ

Fig.A.7: キャピラリーホルダーA

Fig.A.8:キャピラリーホルダーB

Fig.A.9: 左外部電極

Fig.A.10: 左内部電極

Fig.A.11: 右外部電極

Fig.A.12: 右内部電極

Fig.A.13: 高電圧コネクター

Fig.A.14: ケーブルクランプ

付録 B

放電回路ボックス図面

放電回路ボックスは大きく分けて次の 3つに分かれる。

1. 放電回路

2. トリガー回路 3. ヒーター回路

放電回路はコイル1、コンデンサー、充電抵抗、減衰抵抗、カレントモニ ター、サイラトロン及び外部高圧電源∗2から成る。トリガー回路は増幅回 路と定電圧回路及びトリガーボックスから成る。ヒーター回路はサイラト ロン用ヒーター、冷却ファン及び変圧器から成る。放電回路ボックスは金 属製でその電位はグラウンドに落としてある。

1 回路のリードインダクタンスがH なので特にコイルは必要ない。そのため回路図 にはコイルが記入してあるが、実際の回路にはコイルは挿入されていない。

∗2 高圧電源のみ放電回路ボックスの中に入っていない。

Fig.B.1: 放電回路ボックス図面

仕様表

記号 名前 型番 仕様 数量

R1 プレート抵抗器 HB35MOFZRE 5MΩ, 15kV, 2W, 1% 4 R2 プレート抵抗器 HB31MOFZRE 1MΩ, 15kV, 2W, 1% 9 R3 セメント抵抗器 RWBS10R01J 1Ω, 10W, 5% 1 R4 金属皮膜抵抗器 MF1/4CC50F 50Ω, 250V, 1/4W, 1% 1 R5 金属皮膜抵抗器 MF1/4CC10kF 10kΩ, 250V, 1/4W, 1% 1 R6 金属皮膜抵抗器 MF1/4CC15kF 15kΩ, 250V, 1/4W, 1% 1 R7 金属皮膜抵抗器 MF1/4CC33kF 33kΩ, 250V, 1/4W, 1% 1 R8 巻線抵抗器 W24-10RJI 10Ω, 12W, 5% 1 R9 巻線抵抗器 W24-330RJI 330, 12W, 5% 1 C1 高電圧用セラミックコンデンサー UHV-9A 2nF, 40kV 1 C2 積層セラミックコンデンサー RPEF11H104Z2P1A01B 100nF, 50V 2 C3 積層セラミックコンデンサー RPE4C1H1R0C2P1D01B 1pF, 50V 2 C4 Al電解コンデンサー ESMG500ELL100ME11D 10µF, 50V 2 C5 Al電解コンデンサー ESMG500ELL101ME11D 100µF, 50V 2 C6 Al電解コンデンサー ESMG350ELL222ME11D 2200µF, 35V 2

V1 バリスタ V575LA40AP 730V, 120J 3

V2 バリスタ TND14V-271KB00AAA0 225V, 70J 1

T1 変圧器 HT11460H 0-100-130V/0-6.3-8V, 30A 1

T2 変圧器 TZ11-100A 100V/100V, 1A 2

T3 変圧器 HTW-18005 100V/18V, 50mA 1

T4 単巻変圧器 PSA-5 100V/0-130V, 1-200A 1

RE1 3端子レギュレーター TA7815SB 15V 1

RE2 3端子レギュレーター TA79015SB -15V 1

D1 ダイオードスタック 2W02G 200V max 1

IC1 集積回路 LM6171 3600V/µs 1

TY1 サイラトロン CX1685 see footnote 1

TB1 トリガーボックス MA2440B see footnote 1 CT1 カレントトランスフォーマー 6595 see footnote 1

F1 フェライトコア H5A 3

N1 Neランプ BN-5701 100-125VAC 1

H1 ヒートシンク 16PBE26 2

FA1 換気扇 T-MU1225S-11GP 100VAC 1

DPM1 デジタルパネルメーター AP-166-14-1 Vin:100VAC 1

TB1 端子台 TSU-615-6P 1

TB2 端子台 TC60C04 2

B1 ブレーカー B-1EA 2P, 5A 1

PR1 パネルレセプタクル N/MS3102A16-10P 1

CO1 高電圧コネクター CN-45-MHVR 30kV 1

CO2 BNCコネクター BNC-PA-JJ 4

CO3 BNCコネクター 31-10 2

CO4 ナイロンコネクター 0-171822-9, 0171825-9 1 CO5 ナイロンコネクター 0-171822-3, 0171825-3 1

CA1 高電圧ケーブル CN-45-MHVP 45kV 1

CA2 BNCケーブル 409-7137 50Ωimpedance 1

CA3 BNCケーブル 409-7121 50Ωimpedance 1

FG1 端子 T-9 1

B.1: 回路部品の仕様表

付録 C

タイミング回路

タイミング回路は10Hzで発振するマスタークロックを基準として、こ れとシングルショットシグナルが同時に発振されたとき、電磁バルブ及び CCD カメラのゲートオープンシグナルとマルチパス増幅器の増幅開始シ グナル、そしてサイラトロンのトリガーシグナルが発振される。図に描か れている Delay generator には Stanford Research Systems 社の DG535 デジタル遅延パルス発生器を使用した。

Fig.C.1: タイミング回路

付録 D

PIC シミュレーション