3.1 光ガイディング
3.1.1 相対論的光ガイディング
相対論的光ガイディングの標準的な理論では、電子の横方向の振動運動 の効果のみがηr に含まれる。つまり、n=ne、γ =γL(r) = (1+h~a2i)1/2 で ある。しかし、この現象はプラズマ振動の時間スケールで起こるのでレー ザーパルスの長さがプラズマ波長よりも長い、つまり γLcτ ≥λp でなけれ ばこれは効果的ではない。
γL−1 = (1+a2)−1/2≃1−a2/2と近似できる場合、屈折率は ηr ≃1− ωp2
2ωL2(1−a2
2 ) (3.2)
となる [46]。屈折率分布による光ガイディングは ∂ηr/∂r <0 である必要 があり、これはレーザーの強度分布が Fig.3.2 のように ∂a2/∂r <0 のと き達成される。
Fig.3.2: 相対論的光ガイディング。∂a2/∂r<0なので ∂ηr/∂r<0とな りレーザーは中心軸に向かって集光する。
規格化されたスポット半径を R=rs/r0 とすると、レーザーパルスの強
度分布が
|~a|2 = (a0r0
rs )2exp(−2r2/r2s) (3.3) のとき、式 3.2を使ってスポット半径の包絡線方程式は
d2R
dz2 = 1
ZR2R3(1− P
Pc) (3.4)
となる。この式の右辺第 1項は真空中での回折の効果を表しており、第 2 項は相対論的自己収束の効果を表している。ここで Pc は相対論的自己収 束が起こる臨界出力で
Pc = 2ce2 r2e
ωL2
ωp2 (3.5)
または
Pc ≃17.4ωL2
ω2p[GW] (3.6)
となる。ここでre =e2/mc2 は古典電子半径である。例えばレーザー波長 λL=0.8µm、プラズマ電子密度ne=1.0×1018cm−3 の場合は、Pc≃30TW である。初期 (z=0)条件をdrs/dz=0とすると式 (3.4) の解は
rs2
r02 =1+ (1− P Pc)z2
ZR2 (3.7)
となる。これは P<Pc のとき発散、P=Pc のときrs =r0 のまま、P>Pc のとき収束することを示している。実はこの解は”カタストロフィー”的 な収束を予言している。これは a2 ≪1 の制限内における (1+a2)−1/2 ≃ 1−a2/2の近似から来ている。実際には高次の非線形性によりレーザーの 収束は阻害される [46]。
γL−1 = (1+a2)−1/2 ≃1−a2/2と近似できない場合、スポット半径の方 程式は屈折率
ηr ≃1−ωp2
ωL2(1+a2)−1/2 (3.8) を近似せずに扱う。規格化されたスポット半径X =rs/a0r0 は方程式
d2X
dz2 =−V0∂V
∂X (3.9)
に従う。ここで
−∂V
∂X =X−3−16X P Pc[(p
1+x−2−1) +2 ln 2−2 ln(p
1+X−2+1)]
(3.10) であり、またV0 = (a20ZR)−2 である。式 (3.10) の右辺第 1 項は真空中の 回折を表している。一方、残りの項はプラズマの相対論的自己収束の効果 を表している。a0 ≪1 (X ≫1) の極限では式 (3.9) は式 (3.4) になる。式 (3.9) は運動している有効ポテンシャルV(X,P/Pc) 内での粒子の位置を記 述している。ポテンシャルV(x) の形状はパラメーター P/Pc に依存して いる。P/Pc >1 のとき、ポテンシャルV(X) は X =Xf で最小値をとり、
X(z) についての振動解を持つ。これは振動するスポット半径が rs(z) のガ イディングされたレーザーパルスに相当する[46]。
3.1.2 プラズマ密度チャネル
プラズマ密度チャネルとはプラズマ電子の密度分布をコントロールする ことにより、光ガイディングに最適な屈折率分布を作り出す方法である。
先ず放物線型密度チャネル
ne(r) =n0+∆nr2
r02 (3.11)
を考える。ここで∆n=ne(r0)−n0 である。また、レーザー出力及び規格 化されたベクトルポテンシャルをそれぞれP≪Pc、a20 ≪1 とする。する とプラズマの屈折率分布はは式 (3.1) においてne0 =n0 とすることにより 近似的に
ηr =1− ω2p 2ωL
(1+∆n n0
r2
r20) (3.12)
となる [46]。任意の位置でのガウス型レーザーパルスのスポット半径を rs、強度分布を a2 = (a0r0/rs)2exp(−2r2/r2s) とするとレーザーパルスの 包絡線方程式は
d2R
dz2 = 1
ZR2R3(1− ∆n
∆ncR4) (3.13)
ここで R=rs/r0 である。右辺第1 項は真空中での回折の効果であり、第 2項はチャネルによる収束効果を表す。これはガウス型レーザーパルスが 整合の取れたスポット半径 rs =r0 のとき、チャネルの深さが ∆n でガイ ディングされることを示している。ここでの ∆nは臨界チャネル深さに等 しく
∆nc = 1
πrer02 (3.14)
または ∆nc[cm−3]=1.13×1020/r2s[µm] である。ここで re =e2/mc2 は古 典電子半径である。例えばrs=20µmの場合、∆nc=2.8×1017cm−3 であ る。式(3.13) の一般解は初期(z =0)条件をdrs/dz=0、rs =ri とすると
2rs2
ri2 =1+ ∆ncr04
∆nri4 + (1−∆ncr40
∆nr4i )cos(kosz) (3.15) である。ここで kos = (2/ZR)(∆n/∆nc)1/2 であり、ri は入射時のスポット 半径である。この式から整合の取れたスポット半径は ri =r0、∆n=∆nc であることが判る。もしレーザーパルスがチャネルと整合が取れていない 場合、スポットサイズはrs =ri とrs2 =∆ncr04/∆nr2i の間で振動し、その平 均値は
hrs2i= (ri2/2)(1+∆ncr40/∆nri4) (3.16) 振動の周期は
λos =2π/kos =πZR(∆nc/∆n)1/2 (3.17) である。実験と比較しやすくするために、チャネルの最大半径 rch 及び チャネルの端の密度 (最大密度)nch =n0+∆nch を使って表現する。つま り、0<r <rch の範囲で
ne(r) =n0+∆nch r2
rch2 (3.18)
である。n0、∆nch 及びrch は実験によって決定される。この表記を使うと 式(3.13) は
d2rs
dz2 = 4
k2Lrs3(1− r4s
rM4 ) (3.19)
と書き直される。ここでrM はマッチングスポット半径と呼ばれ rM = ( rch2
πre∆nch)1/4 (3.20) で与えられ Fig,3.3のようになる。
r n0
nch
∆ Plasma density channel(parabolic) Laser profile(Gaussian)
rch
rM
Fig.3.3: マッチング半径rM とチャネル半径rch
式 (3.19) の解は初期 (z= 0) 条件を drs/dz =0、rs =ri としたとき式 (3.15) で与えられ、このとき ∆ncr40/∆n=rM4 、kos =2/ZRM である。ここ でZRM =rLrM2 /2である。もしri 6=rM ならば、スポット半径は rs =ri と rs =r2M/ri の間で振動し、その平均値はhr2si= (ri2/2)(1+rM4 /ri4)、振動の周 期は λos =2π/kos =πZRM である。rch >rs のときレーザーパルスはチャ ネル内に閉じ込められる。ri >rM のとき、rch >ri ならば閉じ込められ、
ri <rM のときはrch >r2M/ri ならば閉じ込められ、これは∆nch >1/πreri2 を意味する。整合が取れている場合(ri =rM)、rch >rM ならば閉じ込めら れる。これは
∆nch> 1
πrer2ch (3.21)
を意味する [46]。