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非線形プラズマ波の理論

2.2.1 基礎方程式

プラズマ電子の相対論的な運動量 ~p =γme~v、相対論的 γ 因子を γ = (1+p2/m2ec2)1/2 とすると、一次元の冷たい流体モデルではプラズマ電子 の運動方程式は

∂~p

∂t +vz∂~p

∂z =−e(~E+~v

c×~B) (2.60)

である[48]。ここで任意のベクトル~V について

~V⊥ =Vx~ex+Vy~ey (2.61) と決めておく。すると正準運動量の保存より

~p⊥

mec = e~A⊥

mec2 ≡~a(z,t) (2.62) γ = [1+ ( ~p⊥

mec)2+ ( ~pz

mec)2]1/2 =γLγz (2.63) が成立する。ここで、γz = (1−βz2)−1/2、βz =vz/cである。ここで、ϕ = eφ/mec2 とすると。運動方程式、連続の式、Poisson 方程式及び波動方程 式はそれぞれ

1 c

∂

∂t(γL

qγz2−1) + ∂

∂z(γLγz) = ∂ϕ

∂t (2.64)

1 c

∂n

∂t + ∂

∂z(n

pγz2−1 γz

) =0 (2.65)

∂2ϕ

∂z2 = ωp2 c2 ( n

n0 −1) (2.66)

∂2~a

∂z2 − 1 c2

∂2~a

∂t2 = ω2p c2

n n0

~a γLγz

(2.67) となる[48]。

ここで新しい変数

θ =ωLt−kLz (2.68)

ξ =z−vgt (2.69)

を導入する。これらを使ってレーザーパルスの形状を

~a(z,t) = 1

2~a0(ξ,τ)exp(−iθ) +c.c. (2.70) と仮定する。ここで τ は

∂2a0

∂τ2 ≪ωL2a0 (2.71)

の関係を持つ遅い時間スケールを表す変数である。式(2.64)、(2.65)から γL(γz−βg

qγg2−1)−ϕ =1 (2.72)

n(βgγz−

qγz2−1) =n0β0γz (2.73) が得られる [48]。ここで βg =vg/c である。また γL =1 のとき (|~a|2 =0 のとき)はn=n0、γz =1、ϕ =0とする。式(2.72)、(2.73) を式(2.66)と 式(2.67) に代入すると~a0、ϕ を決定する連立方程式

∂2ϕ

∂ξ2 = ωp2 c2

pγz2−1 βgγz−p

γz2−1 (2.74)

2iωL

∂~a0

∂τ +2cβg

∂2~a0

∂τ∂ξ +c2ωp2 ωL2

∂2~a0

∂ξ2 =−ω2p~a0[1− βg

γL(βgγz−p

γz2−1)] (2.75)

を得る。式 (2.72)から

γz = γg2(1+ϕ) γL

[1±βg(1− γL2

γg2(1+ϕ)2)1/2] (2.76) なので、式 (2.74)、(2.75)はそれぞれ

∂2ϕ

∂ξ2 =k2pγg2[βg(1− 1+a2

γg2(1+ϕ)2)−1/2−1] (2.77) 2

c

∂

∂τ(ikL~a0+βg

∂~a0

∂ξ )+ 1 γg2

∂2~a0

∂ξ2 =−k2p~a0[1− βg

1+ϕ(1−1+a2

γg2 (1+ϕ)2)1/2] (2.78) となる [48]。この式はレーザーパルス~a0 によって励起されるプラズマ波 とプラズマ波とレーザーパルスとの相互作用を表している。βg ≃1 のと き式(2.77)、(2.78) はそれぞれ

∂2ϕ

∂ξ2 = k2p

2 [ 1+~a20

(1+ϕ)2 −1] (2.79) 2

c

∂

∂τ(ik0~a0+∂~a0

∂ξ ) =−k2p~a0 ϕ

1+ϕ (2.80)

となる。この式は~a0 が変化しないとすれば解くことが可能である。その

数値解を Fig.2.4 に示す。ここでプラズマ密度とウェーク場のレーザー伝

播軸方向はそれぞれは

n(ξ)

n0 = d2ϕ

dξ2 (2.81)

E ≡ eEz mecωp

= dϕ

dξ (2.82)

である。a0 ≤1の場合はプラズマ波は調和振動であるが、a0>1の場合は プラズマ波長が伸び、プラズマ電子密度の振動は鋭いピークを示すように なり、電場は鋸波となる。

-14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 ξ

0 , aε , ϕ

-6 -4 -2 0 2 4 6

ϕε a0 0=5.0 a

Fig.2.4: 非線形プラズマ波のポテンシャルと電場

レーザーパルスの形状が長さ l の矩形であるとき厳密解が存在し、

−kpl≤ξ ≤0の領域では

ξ =2(1+a20)1/2E(Θ(ϕ),K)−2[(a20−ϕ)ϕ

1+ϕ ]1/2 (2.83) となる[48]。ここでE(Θ(ϕ),K) は第2種不完全楕円積分であり

Θ(ϕ) =sin−1[(1+a20)ϕ

a20(1+ϕ)]1/2 (2.84) K = ( a20

1+a20)1/2 (2.85)

である。ξ ≤ −kpl の場合は

ξ =2(b+1)1/2E(Θ(ϕ),K) (2.86) である。このとき

Θ(ϕ) =sin−1[(b−ϕ)(b+1)

b(b+2) ]1/2 (2.87)

K = [b(b+2)]1/2

b+1 (2.88)

b=E E + (E2+4)1/2

2 (2.89)

E = s

a20ϕl

1+ϕl

(2.90) である。ϕl =ϕ(−kpl) はレーザーパルスの後端におけるポテンシャルで ある。この領域でのプラズマ波の波長は

λnp =4k−p1(b+1)1/2E(K) ≃2πk−p1 q

1+a20 (2.91) で与えられる。ここで E(K) は第2種完全楕円積分である。つまり非線形 プラズマ波の波長は線形プラズマ波の波長に比べ γL =q

1+a20 だけ長く なる。

2.2.2 非線形プラズマ波でのエネルギー利得

式(2.77) はX =1+ϕ、ψ =kpξ とすれば以下のように書き換えること が出来る。

d2X

dψ2 =γ2( βgX q

X2−γL2/γg2 −1) (2.92) この式の両辺に dX/dψ を掛けて積分すると

X′2 =2γg2[(X0−X) +βg( q

X2−γL2/γg2− q

X02−γL2/γg2] (2.93) が得られる [48]。X0 は初期条件で X′ =0 のときX =X0 である。

X′ = dφ

dψ = e mec2kp

dφ

dξ =E = eEz mecωp

= Ez

E0 (2.94)

は波破砕電場で規格化したレーザー伝播軸方向の電場である。電場の最大 値Xmax′ =Emax は式(2.92) からX′ =1のときに達成されることがわかる。

またポテンシャルの最小値 Xmin は式(2.93)がγL =1、X =X0=Xmax で0 になることから、ポテンシャルの最大値 Xmax と最小値Xmin はそれぞれ

Xmax =1+E2

max

2 +βg

r

(1+E2

max

2 )2−1 (2.95)

Xmin=1+E2

max

2 −βg

r

(1+ E2

max

2 )2−1 (2.96)

となる。

プラズマ波の破砕はプラズマ波内の電子の速度がプラズマ波の位相速度 を超えたときに起こる。つまり式 (2.92) にから Xmin →1/γg のときにプ ラズマ波の破砕が起こる。このことは式 (2.96) で E2

max →2(γg−1) 及び Xmax→(2γg2−1)/γg に対応する [48]。

非線形領域のプラズマ波の振幅は式 (2.15) の E0 を超えることができ、

最大振幅は

Ewb = q

2(γp−1)E0 (2.97)

となり、Ewb は相対論的波破砕電場と呼ばれる[45]。例えばレーザー波長 λL=0.8µm、プラズマ電子密度ne=2.0×1018cm−3 の場合、Ewb≃1TV/m となる。

2.2.3 バブル構造をとる非線形プラズマ波

これまで一次元のプラズマ波について述べてきたが、二、三次元のプラ ズマ波では様相が異なる。a20 ≫1 の二次元以上のプラズマ波では中性プ ラズマ内にバブル構造と呼ばれるレーザーパルスの群速度で運動する正電 荷密度の高い球状の領域が作られ、この中で電子が加速される。この節で は三次元での非線形プラズマ波について述べる[20]。

相対論的空洞内の電磁場

プラズマ中を相対論的速度で動く空洞について考える前に、静止又は相 対論的速度で動くイオン球について考える。静止している一様に電荷密度 eni で帯電した半径 R の球体内の電磁場とスカラーポテンシャルは

~E = meω2p

3e ~r (2.98)

~B=0 (2.99)

φ = mec2

e [1+ωp2 c2 (R2

6 −r2

6 )] (2.100)

p/c ω r

0 2 4 6 8 10

2ce/mφ , epωceeE/m

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

E φ

Fig.2.5: 静止している帯電球内の場。R=10c/ωp の場合の電場とポテン シャル。赤線が電場、青線がポテンシャルを示す。

となる。ここで ni はプラズマ中のイオン密度である。また球の表面で のポテンシャルを φ = mec2/e とした。次にイオン球が x 軸方向に速度 v0 ≃cで運動している場合を考える。イオン球内の電磁場は

Ex =Bx =0 (2.101)

Ey =Bz = meω2p e

y

2 (2.102)

Ez =−By = meωp2 e

z

2 (2.103)

となる。ここでイオン球の相対論的 γ 因子を γ0 = (1−v20/c2)−1/2 とした とき、係数γ0−2≪1がかかる項は無視した。イオン球内で速度~ve =−~v0=

−c~ex で運動する電子にかかるLorentz力は

Fx =0 (2.104)

Fy =−e(Ey+Bz) =−meω2py (2.105) Fz =−e(Ez−By) =−meω2pz (2.106) となる[20]。

Fig.2.6: 速度v0で運動するキャビティ

次に Fig.2.6 の様に電子の空洞 (キャビティ) がプラズマ中を相対論的

速度 v0 ≃c で x軸方向に運動することを考える。キャビティの半径 R は R <c/ωpi と仮定するのでイオンは動かないものとして考える。ここで c/ωpi はイオンの応答長さでωpi = (4πe2ni/mi)1/2 はプラズマイオン振動 数、mi はイオンの質量である。また、次のゲージ

Ax =−φ (2.107)

を導入し、Φ=Ax−φ とするとポテンシャルに関する方程式

△Φ= meωp2

e [1−ne

ni(1− px

γmec)]+(1 c

∂

∂t + ∂

∂x)(~∇·~A)+ 1 2c

∂

∂t(1 c

∂

∂t − ∂

∂x)Φ (2.108)

~∇×~∇×~Aωp2 ec

ne ni

~p γ +1

c

∂

∂t(∂~A

∂t −~∇Φ

2 ) =0 (2.109) を得る。全ての物理量は ξ = x−v0t に依存していると仮定すると式 (2.108)、(2.109)は

△Φ= meωp2 e [3

2(1− ne

ni)] + ω2p ec

ne ni

px γ −1

2

∂

∂ξ(~∇⊥·~A⊥) (2.110)

△⊥~A⊥−~∇⊥(~∇⊥·~A⊥) = 1

2~∇⊥∂Φ

∂ξ (2.111)

となる[20]。キャビティ内に電子が無い(ne =0) とすると

△Φ= 3meω2p

2e −12 ∂

∂ξ(~∇⊥·~A⊥) (2.112)

△⊥~A⊥−~∇⊥(~∇⊥·~A⊥) = 1

2~∇⊥∂Φ

∂ξ (2.113)

を得る。ここで γ02 ≪1 に比例する項は無視した。また △⊥ =∂2/∂y2+

∂2/∂z2 であり、任意のベクトル~V について~V⊥ =Vy~ey+Vz~ez とする。式 (2.112)、(2.113)は球対称な解を持ち

Φ = mec2

e [1− ω2p c2 (R2

4 + r2

4 )] (2.114)

Ax =−φ = Φ

2 (2.115)

~A⊥ =0 (2.116)

である。ここでr2 =ξ2+y2+z2 であり、積分定数はΦ(R) =mec2/eとな るように選んだ。キャビティ内の電磁場は

Ex = meω2p

2e ξ (2.117)

Ey =−Bz = meωp2

4e y (2.118)

Ez =By = meωp2

4e z (2.119)

Bx =0 (2.120)

でありFig.2.7 に示すようになる。

p/c ω /c , z ωp

/c , y ωp

x

-10 -5 0 5 10

2ce/mΦ , epωceeE/m

-25 -20 -15 -10 -5 0

Ex

,Ez

Ey

Φ

Fig.2.7: 運動しているキャビティ内の場。R=10c/ωp の場合の電場とポ テンシャル。赤線が電場のx成分、青線が電場のy及びz成分、

緑線がポテンシャルを示す。

キャビティ内を相対論的速度 vx ≃c で運動する電子にかかる Lorentz 力は

Fx =−∂Φ

∂ξ =−eEx =−meω2p

2 ξ (2.121)

Fy =−∂Φ

∂y =−e(Ey−Bz) =−meω2p

2 y (2.122)

Fz =−∂Φ

∂z =−e(Ez+By) =−meω2p

2 z (2.123)

となる。ここでウェークポテンシャル Φ は速度 vx ≃ c で運動する電子

の Lorentz 力のポテンシャルと考えることができる。Lorentz 力は電子が

キャビティと同じ速度(vx =v0 ≃c)で運動するとき最大となり、vx ≃ −c のとき相対論的補償によりゼロとなる [20]。

バブルの形状

キャビティとその中にある電子バンチの形状は時間と共に変化する。ま だ電子バンチが入射されていない初期のキャビティはレーザーパルスのポ ンデロモーティブ力のみでその形状が決まる。バブルは Fig.2.8が示すよ うに、レーザーと共に運動する座標系から見た場合、レーザーの伝播方向 とは逆の方向に電子が流れ、シースを形成する。そして電子が押しのけら れ、イオンが残った部分がキャビティとなる。また、キャビティの速度v0 はレーザーパルスの群速度vg と等しくv0 =vg である。

Fig.2.8: バブルの形状

これらの電子にかかるLorentz力とポンデロモーティブ力は釣り合って おり、電子バンチが入射されていない初期段階では vx ≃0なので R に関 して

meωp2R

4(1−vx

c )≃meω2pR

4 ≃Fp ≃ −mec2 ∂

∂R q

1+a2(R) (2.124) が成り立つ。ここでキャビティは球対称を仮定してある。ここで a(r) = a0exp(−r2/r02)とすると

Fp ≃ 2R r20

a20e−

2R2 r2

0

r

1+a20e−

2R2 r2

0

(2.125)

となりR とr0 との関係は

kpR=kpr0 s

1

2ln{ a20(4/kpr0)4 2[1+p

1+ (4/kpr0)4]} (2.126) となる。このときの Rとr0 の関係をFig.2.9 に示す。

r0

kp

0 1 2 3 4 5 6 7 8

Rpk

10-2

10-1

1

10 a0=1.0

0=2.0 a

0=3.0 a

0=4.0 a

0=5.0 a

Fig.2.9: バブルの半径Rとスポット半径r0。a0=1−5のときのRとr0 の関係。

R≃r0 となるR をマッチング半径と言い、このとき

kpR≃kpr0 ≃2√a0 (2.127) の関係がある。

電子バンチが入射され、それからの力がポンデロモーティブ力を上回 るようになると、バブルの形状はバンチによって決まる。シースとキャ ビティの界面での平衡はキャビティからの Lorentz力と電子バンチからの

Lorentz 力によって決まり、電子バンチの半径を rb、電子密度を nb とす

ると

rb rnb

ni <R<rb

r2nb

ni (2.128)

である。下限はnbπr2bωp2/nec2 ≪1 の場合に相当し、このときのシースの 厚さはプラズマ表皮長 c/ωp 程度であり、シースの電子のエネルギーは 小さく γ ≃1 である。一方、上限は nbπr2bωb2/nec2 ≫1 の場合に相当し、

電子はバンチから受ける Lorentz 力により加速され γ >1 となる。また、

シースの厚さも √γc/ωp に増加する [20]。

電子の捕捉

バブル内への電子の捕捉について考える前に、簡単のため電子の起動は z=0の x−y平面上にあるとして、またレーザーは円偏光しており、方位 角方向の運動は無視する。バブルの電磁場は時間平均をとったハミルトニ アン

H = q

(mec2)2+ (c~P+e~A)2+ (mec2|~a|)2+eφ (2.129) によって決まる [20]。ここで~P は電子の正準運動量、~aはレーザー場のベ クトルポテンシャル、~A 及びφ はそれぞれバブルのベクトルポテンシャル とスカラーポテンシャルである。この記述ではレーザー場の電子の振動は 時間平均をとることによって消え、ポンデロモーティブ力のみが残る。こ こでハミルトニアンの変数をx→ξ =x−v0t とし、Pξ =Px とする。新し

い変数でハミルトニアンを書き直すと H=γmec2−v0Px−eφ =

q

(mec2)2+ (c~P+e~A)2+ (mec2|~a|)2−v0Px−eφ (2.130) となる。これより Hamiltonの運動方程式

dPx

dt =−e(vx c

∂Ax

∂ξ +vy c

∂Ay

∂ξ −∂φ

∂ξ) (2.131)

dPy

dt =−e(vx c

∂Ax

∂y +vy c

∂Ay

∂y −∂φ

∂y) (2.132)

dξ

dt = px

γme −v0 =vx−v0 (2.133) dy

dt = py

γme =vy (2.134)

を得る[20]。

電子がキャビティ内に捕捉されるための必要条件はシース電子の ξ 方 向の速度が逆転すること、つまりdξ/dt =0となる点が存在することであ る。式(2.133)よりこの点で

px =γmev0 (2.135)

となる。式 (2.130)は、初期条件を~p=~A⊥ =~a=0、Φ=mec2 とすると H=γmec2−v0px−eΦ=0 (2.136) となる。式 (2.135)、(2.136)より電子が捕捉される点では

px =γ0γ⊥mev0 = γ⊥2ev0Φ

c2 (2.137)

となる。ここで γ⊥ =p

1+ (py/mec)2+|~a|2 である。これより位相空間内 での電子が捕捉される領域は

px ≥γ0γ⊥mev0 = γ02ev0Φ

c2 (2.138)

捕捉はこの領域の境界 (式 (2.137))で起こり、ここではレーザー場は小さ いため捕捉の過程では無視される。

相対論的速度で運動する電子にかかる Lorentz力を F =−meωp2

4 r(tanhr−R

d −1) (2.139)

のように動径方向のみで決定するモデルを考える。ここで d はシースの 厚さである。この Lorentz力のポテンシャルは

Φ = mec2

e {1+ ωp2

4c2[r2−π2

12d2−rdln(1+exp2r

d )]− 1

2Li2(−exp2r d )} (2.140) である[20]。ここで

Li2(z) = Z 0

z [ln(1−t′)

t′ ]dt (2.141)

は二重対数関数である。

式 (2.137) より、電子の捕捉は Φ が最小となるキャビティの界面付近

で起こりやすいことが判る。ここでのポテンシャルは Φ≃Φmin =mec2/e なので、電子が捕捉される条件は

px

γ0mev0 =γ⊥ ≃γ0 (2.142) となる。つまり電子の捕捉が起こるための a0 の条件は

a0 = r

( px

γ0mev0)2−( py

mec)2−1 (2.143) である。

電子捕捉の反応断面積

これまでは球対称のモデルを考えてきたが、実際には電子密度分布は

Fig.2.10のようにバブルの底でピークを持ち、ポテンシャルもここで最小

値0<Φmin<1をとる。加えて vx >v0 となり波の破砕が起こるのもここ である。なぜなら上記のように Φ ≃Φmin で電子の捕捉が起こるからであ る。以下では電子の捕捉が起こる領域についてより厳密に考える。

Fig.2.10: 球対称でない電子密度分布

波の破砕領域をモデル化するために0<Φ<1の領域において以下のガ ウス型ポテンシャル

Φp =Φ0exp[−(ξ−ξ0)2+y2+z2

r2p ] (2.144)

を式 (2.140) に加える。これは Fig.2.10 の電子ピークに相当するポテン

シャルであり、このピークの中心は(ξ,y,z) = (ξ0,y,z)で、rp = (ξ−ξ0)2+

y2+z2 である。Fig.2.11 はバブルに捕捉される電子の軌跡を示している。

灰色の部分が波の破砕が起こる領域で0<Φ<1となる。この部分を通過 する電子のみがバブルに捕捉される。ここで捕捉の断面積について考える ために、軌跡の発散 η を導入する。Fig.2.12のようにシース内にある2つ の電子間の距離がδρ で、これらの電子が波の破砕領域に入ったとき電子