第9章 災害救助法の適用計画
第2節 飲料水供給計画
飲料水の確保は、被災者の生命維持を図る上で極めて重要となるが、大規模災害の発生時には、給水施設 設備の被災あるいは家庭、事業所等の被災により、給水機能が麻痺することが考えられる。
このため、飲料水の確保及び応急給水の実施等について必要な事項を定める。
【市町・県(生活衛生課・健康増進課・厚政課・防災危機管理課・健康福祉センター)・自衛隊】
第1項 応急給水活動
1 応急給水活動系統図
管内市町
③給水活動
隣接市町
②給水活動
①応援要請 ②応援要請
給水拠点 給水 ①応援要求 健康福祉センター
市 町
(避難所・医療施設等) (災害救助法適用)
自衛隊派遣要請 報告 の要求
災 害 対 策 本 部 生活衛生班
④給水活動 ③応援要請 連絡
他 市 町
協議連絡 本 部 室 班
派
⑤給水活動 ④応援要請 遣
隣 接 県 救助総務班 要
請 給水支援活動
2 実施機関
(1) 被災者に対する応急給水は、市町防災計画に基づき、市町長が実施する。
(2) 県は、被災市町の応急給水活動が円滑に実施できるよう、県が備蓄する給水資機材を提供するとと もに、他市町、隣接県に対し、応援要請を行う。
また、自衛隊に対し、応急給水活動の実施を要請する。
3 実施場所
市町があらかじめ定めた場所(避難所等)を給水拠点とし、応急給水活動を実施する。
4 給水の方法
(1) 災害時における供給水量の基準
ア 飲料水の確保については、生命維持に必要な最低必要量として1人1日3リットルの給水を基準 とする。
イ 生活用水については、給水体制の確保及び復旧状況等を勘案し、必要に応じて実施するものとす る。
給 水 条 件 給 水 基 準 量 備 考
救助法による飲料水の供給 1人1日当り 飲料水のみ 3リットル
給水は困難であるが、搬送によ 〃 上記用途+雑用水(洗面、食器洗い)
る給水ができる場合 14リットル
給水できる状態であるが、現地 〃 上記用途+洗濯用水 で雑用水が確保できない場合 21リットル
上記の場合で比較的長期にわた 〃 上記用途+入浴用 たるときは必要の都度 35リットル
(2) 給水の確保
ア 被災地において飲料水の確保ができないときは、被災地に近い水道等から給水車又は容器により 運搬して確保する。
イ 通常使用していない井戸水、また、飲料水が汚染した場合にあっては、ろ過器により浄水し、か つ、消毒して供給するとともに、必要に応じて検査を実施する。
ウ 防疫その他衛生上、浄水(消毒)の必要がある時は、浄水剤(消毒剤)を投入して給水し又は使 用者に浄水剤(消毒剤)を交付して、飲料水を確保するものとする。
資料編[11-1]……浄水剤(消毒剤)主要取扱業者一覧 5 給水体制
(1) 市町
ア 市町長は、災害が発生した場合、給水状況や住民の避難状況など、必要な情報を把握し、応急給 水計画を具体的に定めて給水体制を確立する。
イ 車両輸送を必要とする給水拠点については、給水タンク、ポリ容器等の応急給水用資機材を活用 し、水道局保有車両及び雇い上げ車両などにより輸送する。
ウ 道路啓開が遅れ、輸送活動が困難な場合は、受水槽の水、ろ水器により処理した井戸・プールの 水等を利用するなどあらゆる方法によって飲料水の確保に努める。
エ 後方医療機関となる病院、透析医療機関、医療救護所及び重症重度心身障害者施設等への給水に ついては、必要な情報収集に努め、万全を期する。
(2) 県
ア 環境生活対策部生活衛生班を窓口に、県が保有する資機材の提供及び他の市町、隣接県に対し、
給水資機材、人員の派遣要請を行うとともに、自衛隊による給水活動の派遣要請を行う。
イ 応急給水が円滑に実施できるよう、必要な資機材、応急復旧に必要な水道事業者等に関して健康 福祉センター(環境保健所)ごとに必要な資料の整備を行う。
資料編[11-2]……応急給水用機器材所在状況
6 給水の応援要求
市町において、飲料水の確保及び供給ができないときは、市町長は、次により応援の要求を健康福祉 センター(環境保健所)に行うものとする。
なお、緊急を要する場合は、直接隣接市町に行うことができるものとする。
(1) 応援要求に必要な事項
ア 供給水量(何人分又は1日何リットル)
イ 供給の方法(自動車搬送、その他の方法)
ウ 供給地(場所)及び現地への道路状況 エ 供給を必要とする期間
オ その他参考となる事項 (2) 県の給水支援
ア 市町長から応援要求を受けた健康福祉センター(環境保健所)は、管内の市町に応援要請を行う とともに、県災害本部(生活衛生班)に報告するものとする。
イ 県災対本部(生活衛生班)は、健康福祉センター管内の市町の応援では対応できないと認めると きは、直ちに他市町及び隣接県に対して応援要請を行う。
(3) 自衛隊の給水支援
自衛隊の給水支援を必要とするときは、生活衛生班は、直ちに県災害本部本部室班(防災危機管理 課)に対し連絡するとともに、受け入れ体制を健康福祉センター(環境保健所)に指示する。
7 給水施設、給水拠点の整備及び資機材の整備 (1) 給水施設等の整備
ア 市町及び水道管理者
(ア) 市町、水道管理者は、水道施設設備等の災害に対する安全性の確保のため、必要に応じて施設 の補強を計画的に実施するものとする。
(イ) 市町、水道管理者は、被災時の飲料水確保対策のため、配水池等に緊急遮断弁を計画的に整備 する。
イ 病院、透析医療機関、避難所、多数の入園(所)者を要する施設の管理者等は、災害発生時の断 水に対処できるよう所要の措置を講じるものとする。
(2) 給水拠点の整備
市町は、災害発生時の円滑な給水活動を確保するため、避難場所・避難所あるいはその周辺地域に、
給水設備、応急給水槽等を計画的に整備するものとする。
(3) 資機材の整備
県(生活衛生班)及び市町は、応急給水に必要な資機材を計画的に整備しておく。
資料編[11-2]……応急給水用機器材所在状況
第2項 水道対策
【県(生活衛生課・健康福祉センター(環境保健所))・市町(水道事業者等)】
1 水道水の緊急応援(水道法第40条)
知事は、災害発生の場合において、緊急に水道用水を補給する必要があると認めるときは、水道事業 者又は水道用水供給事業者に対して、期間、水量及び方法を定めて、水道施設内に取り入れた水を他の 水道事業者又は水道用水供給事業者に供給すべきことを命じることができる。
2 市町における対策
(1) 災害発生のおそれがあるとき又は災害が発生した場合における水道応急対策は、市町防災計画の中 に定めておくものとする。
(2) 水道施設被害報告
被災市町等は、下記の報告を健康福祉センター(環境保健所)を通して県生活衛生課に報告するも のとする。
・ 市町長…………「水道、飲料水施設被害状況等調査報告書」
・ 水道事業者……「水道事故報告書」
第3項 救助法による飲料水の供給
災害の発生は、水道、井戸等の給水施設を破壊し、あるいは、飲料水を汚染させる等により飲料水の確 保が困難な状況になることが多く、飲料水の供給は、被災者が生命の維持を図るうえで最も重要であるこ とから、飲料水を得ることができなくなった者に対し、最小限度必要な量の飲料水を供給し、これを保護 する必要がある。
【市町・県(生活衛生課・健康福祉センター(環境保健所)・厚政課)】
1 実施機関
被災者に対する飲料水の供給は、市町長が実施する。(救助法が適用された都度、知事から委任)
2 飲料水供給の措置 (1) 対象者
災害の発生により、現に飲料水を得ることができない者。
(2) 飲料水供給の方法
ア 災害のため、飲料に適する水がない場合に実施されるものであること。
イ 飲料水の供給という中には、ろ水器等による浄水の供給及び飲用水中に直接投入する浄水剤の配 布も含まれるものであること。
(3) 給水量の基準
1人1日最大おおむね3リットル
※法の趣旨から飲料水以外の水の供給は、認められないものであること。
(4) 飲料水供給のための費用
救助法に基づく飲料水の供給に必要な経費は、県が負担するものであること。
ア 水の購入費
イ 給水又は浄水に必要な機器の借上費、修繕費、燃料費 ウ 浄水用の薬品及び資材費
エ 供給確保のための水源の開発、天然水等の送水管に係る経費は、対象とならない。
(5) 飲料水供給の期間
災害発生の日から7日以内
ただし、災害が大規模で、この基準期間内に打ち切ることが困難な場合は、厚生労働大臣の同意を 得て必要最小限の期間を延長することができる。