第5章 避難計画
第1節 避難勧告等
第1項 避難の実施機関及び実施体制
【市町長・知事・警察官・海上保安官・自衛官・水防管理者】
1 避難の勧告・指示権者及び時期
対 象 と な る 災 害 の 内 容 勧 告 又 は 勧 告 又 は 取 る べ き 指示権者 勧告権者 関 係 法 令
(要件・時期) 指示の対象 指示の内容 措 置 市町長 市町長 災対法 全災害 必要と認め 立退きの勧 県知事に報 (委任を受けた吏 (委任を受けた吏 第60条 ・災害が発生し又は発生 る地域の居 告、指示 告(窓口防災危機管 員又は消防職員) 員又は消防職員) 第1項 のおそれがある場合 住者、滞在 理課)
・人の生命又は身体を災 者、その他 立退き先の 害から保護し、その他 の者 指示 災害の拡大を防止する
ため特に必要があると 認めるとき
・急を要すると認めると き
知 事 災対法 ・災害が発生した場合に 同 上 同 上 事務代行の
(委任を受けた吏 第60条 おいて、当該災害によ 公示
員) 第5項 り市町がその全部又は
大部分の事務を行うこ とができなくなった場 合
警 察 官 全災害 同 上 立退きの指 災対法第61
災対法 ・市町長が避難のため立 示 条による場
第61条 退きを指示することが 合は、市町
できないと認めるとき 警告を発す 長に通知 又は市町長から要求が ること (市町長は知事に報
あったとき 告)
警察官職務 ・重大な被害が切迫した 必要な限度 執行法 と認めるとき又は急を で避難の指 第4条 要する場合において危 示(特に急を要する
害を受けるおそれのあ 場合) る場合
海上保安 全災害 同 上 同 上 同 上
官 災対法 ・市町長が避難のため立
第61条 退きを指示することが できないと認めるとき 又は市町長から要求が あったとき
海上保安庁 ・天災事変等危険な事態 船舶、船舶 船舶の進 法 がある場合であって、 の乗組員、 行、停止、
第18条 人の生命身体に危険が 旅客その他 指定場所へ 及び、又は財産に重大 船内にある の移動 な損害を及ぼすおそれ 者 乗組員、旅 があり、かつ急を要す 客等の下
るとき 船、下船の
禁止 その他必要
対 象 と な る 災 害 の 内 容 勧 告 又 は 勧 告 又 は 取 る べ き 指示権者 勧告権者 関 係 法 令
(要件・時期) 指示の対象 指示の内容 措 置
自衛官 自衛隊法 全災害 同 上 避難につい 警察官職務
第94条 ・災害により危険な事態 て必要な措 執行法第4 が生じた場合 置(警察官がその場 条の規定の
にいない場合に限り災 準用 害派遣を命ぜられた部 隊の自衛官に限る)
知 事 地すべり等 地すべりによる災害 必要と認め 立退くべき その区域を (その命を受けた 防止法 ・著しい危険が切迫して る区域内の ことを指示 管轄する警 県職員) 第25条 いると認められるとき 居住者 察署長に報
告 知 事 水防法 洪水又は高潮による災害 同 上 同 上 同 上
(その命を受けた 第22条 ・洪水又は高潮の氾濫に (水防管理者による場
県職員) より著しい危険が切迫 合のみ)
水防管理 していると認められる
者 とき
(注)1「勧告」とは、その地域の住民が、その「勧告」を尊重することを期待して、避難のための立退 きを勧め又は促す行為をいう。
2「指示」とは、被害の危険が目前に切迫している場合等に発せられ、「勧告」よりも拘束力が強 く、住民を避難のため立退かせるためのものをいう。
2 避難準備(要援護者避難)情報
市町長は、人的被害の発生する可能性が高まり、一般住民に対して避難準備を呼びかける必要がある とき、又は要援護者等、特に避難行動に時間を要する者が避難行動を開始する必要があるとき、必要と 認める地域の居住者、滞在者等に対し、避難準備(要援護者避難)情報を発令するものとする。
3 避難勧告等の基準
避難勧告等の基準は、あらかじめ市町長が、管内の地理的、社会的条件、発生する災害の想定に基づ き、避難措置関係機関(警察署等)の協力を得て、市町防災計画に定める。
一般的な例示としては、次の事態を挙げることができる。
(1) 気象台から災害に関する警報が発表され、避難を要すると判断されるとき
(2) 防災関係機関から災害に関する警告又は通報があり、避難を要すると判断されるとき (3) 河川がはん濫注意水位(警戒水位)を突破し、洪水のおそれがあるとき
(4) 河川の上流地域が水害を受け、下流の地域に危険があるとき (5) 土石流、がけ崩れ、地すべり等の土砂災害のおそれがあるとき (6) 土砂災害警戒情報が発表されたとき
(7) 大規模な火事で、風下に拡大するおそれがあるとき (8) 大規模な爆発が発生し、又は発生するおそれがあるとき (9) 有毒ガスの流出等突発的事故が発生したとき
(10)雪崩による著しい危険が切迫していると認められるとき (11)その他危険が切迫していると認められるとき
情報は、消防、警察に集中することが多いので、これらの機関と密接な連携を保つと同時に、地域住 民の積極的な協力を得て実施する。
4 県の実施する避難措置
(1) 市町が行う避難誘導の指導・応援協力
災害が発生した場合、現地に派遣された県職員は、市町の行う避難誘導が円滑に行われるよう次の 措置をとる。
ア 管内市町の避難勧告等の状況を把握し、総務部本部室班(防災危機管理課)に報告する。
イ 市町から資機材、人員の協力要請があった場合、必要な応援を行う。
の全部又は一部を当該市町長に代わって実施するものとする。
(3) 水防区域及び地すべり防止区域における立退きの指示等
市町内で河川出水、斜面崩壊等の災害が発生した場合、二次災害を防止するため、水防区域及び地 すべり防止区域の調査を行うとともに、市町長若しくはその委任を受けた市町職員の実施する避難の ための立退きについて支援し、又は自らが実施する避難措置について協力させるものとする。
(4) 県立社会福祉施設、県立学校、その他県立施設の入所者の避難誘導
県立社会福祉施設、県立学校、その他県立施設の所管課は、必要と認める場合、各々の施設管理者 に指示し、入所者等を屋外等の安全な場所に避難させる。避難を行った場合、その旨を総務部本部室 班(防災危機管理課)に通報する。
(5) 避難状況等に関する広報
総合政策部(広報広聴課)は、避難状況等に関する情報を入手し、報道機関に対して広報を依頼し、
一般住民に対して広報を行う。
5 避難勧告等の区分
避難勧告等の決定に際して最も重要なことは、災害情報の迅速な収集とその情報に基づく判断にある。
また、発令のタイミングは、災害時要援護者に十分配慮するものとする。
種 別 事 前 避 難 緊 急 避 難 収 容 避 難 概 要 被害が発生し始めた場合等 事前避難の余裕がなく、 通常、居住の場所を失っ
で、被害を受ける前に、避 現に災害が発生し、又は った場合、又は比較的長 難準備又は安全な場所に避 危険が切迫していると判 期にわたり避難の必要が 難させる必要があり、時間 断される場合 ある場合
的に余裕がある場合
予 想 さ れ る (1) 気象警報が発表され、 避難の指示等を突発的 (1) 収容に当たっては輸 事態 避難の準備又は事前に避 に行うケースが多いので 送用車両、船舶等あら 難を要すると判断された 速やかな伝達手段、避難 ゆる手段を講じて迅速 とき 場所の周知、避難方法等 かつ安全に収容避難を (2) 河川がはん濫注意水位 平常時に確立しておく 行う。
(警戒水位)を突破し、 (2) 居住地の問題、保健
なお水位が上昇するおそ 衛生等の面について特
れがあるとき に考慮する。
(3) あらかじめ災害形態別 (3) 応急住宅の建設等に
に危険が日頃から予想さ ついて総合的に配慮す
れるとき(地滑り指定地域等) る。
(4) その他諸般の状況から 避難準備又は事前に避難 させる必要がある場合
6 避難勧告等の伝達
避難勧告等は、次の事項について、その内容を明らかにして実施する。
(1) 避難勧告等を行った市町長等は、速やかに、その内容を市町防災行政無線、広報車、報道機関の協 力等あらゆる広報手段を通じ又は直接住民に対し、周知する。避難の必要がなくなった場合も同様と する。
この場合、情報の伝わりにくい災害時要援護者への伝達や夜間における伝達には、特に配慮するも のとする。
また、利用者が入所、入院する社会福祉施設、病院等に対しては、特に当該施設とあらかじめ定め られた情報伝達手段により、確実に伝達する。
(2) 避難の伝達に当たっては、市町単独の組織のみでの対応では迅速・確実性に欠けるおそれがあるの で、防災関係機関、特に警察、消防、放送局等の協力支援を得るものとする。
(3) 被災時における最も確実な伝達方法は、伝達員によるものであることから、伝達員による伝達方法 をとる場合には、あらかじめ定められた地区分担により、伝達の徹底を図るものとする。
7 県による避難勧告等の伝達
県は本編第3編第2章第2節「災害情報収集・伝達計画」により放送機関に対する放送要請等の方 法により、浸水、高潮、斜面崩壊等からの避難や市街地火災等からの避難など広域的、緊急の避難勧 告等を伝達する。
8 避難勧告等の解除
避難勧告等の解除にあたっては、十分に安全性の確認に努めるものとする。
第2項 警戒区域の設定
【市町長・知事・警察官・海上保安官・自衛官・消防職員・水防職員】
1 警戒区域の設定
市町長若しくは委任を受けた吏員は、災害が発生し又は発生しようとしている場合において、人の生 命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、警戒区域を設定する。
(災対法第63条)
警戒区域の設定は、住民の保護を目的としていることから、災害応急対策に従事する者以外の者に対 して当該区域への立入を制限し、若しくは禁止し又は当該区域からの退去を命ずることができる。
また、市町長からの要求等により、警察官、海上保安官及び災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官が 市町長の職権を行った場合、その旨を市町長に通知するものとする。
なお、災害の発生により市町がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなったときは、知事 が市町長に代わって警戒区域を設定する。
2 設定の範囲
警戒区域の設定は、地域住民の生活行動を制限するものであることから、被害の規模や拡大方向を考 慮し、的確に設定すること。
また、設定した警戒区域について、どのような処分を行うかは、市町長の自由裁量行為であることか ら、立入制限を行う場合においても、どのような制限(どのような立入り許可をするか)を行うか等に ついて、混乱をきたさないように十分留意しておくものとする。
3 警戒区域設定の伝達
警戒区域の設定を行った者は、避難勧告等と同様、住民及び関係機関にその内容を伝達するものとす る。
第3項 避難誘導
【市町・警察署・消防署・消防団・自主防災組織等】
避難勧告等が出された場合、市町は、人命の安全を第一とし警察署及び消防署・消防団、自主防災組織 等の協力を得て、一定の地域又は自治会(町内会)、事業所単位に集団の形成を図り、誘導員のもとに次 により避難させる。
1 避難誘導にあたっては、避難場所及び避難路や浸水区域、土砂災害危険箇所等の所在、災害の概要そ の他の避難に資する情報の提供に努めるものとする。
2 被災地近傍の空き地等の一時集合場所に避難者を集合させたのち、あらかじめ定めてある避難場所等 に誘導する。
この場合、高齢者、障害者、妊産婦等災害時要援護者を優先して避難誘導する。
3 避難経路は、できるだけ危険な道路、橋、堤防その他新たに災害発生のおそれのある場所を避け、安 全な経路を選定する。
4 危険な地点には標示、なわ張りを行うほか、状況により誘導員を配置し、安全を期する。
5 浸水地帯では、船艇又はロープ等を使用して安全を期する。
6 高齢者、障害者等災害時要援護者の避難に際しては、避難路等の状況に応じて、車両、船艇等を活用 するなど配慮する。
7 誘導中は、事故防止に努める。
8 交通孤立地区等が生じた場合、ヘリコプター、船舶による避難についても検討し、必要に応じ他機関 に応援を要請し、実施するものとする。