法」
TBSブリタニカ 10 頁からの引用です。
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対等な人間関係の形成
• 専門家と市民との間には、対等な人間関係を形 成することはなかなか難しいものです。
• 殊に市民の側から形成することは不可能ですの で、第三者・専門家・行政がこの努力をする必要 があります。
• 話し手は、聞き手との対等感を感じられたときか ら、話しはじめ、話はどんどん広がり、深まるの です。
• そこで、具体的な行動を目標にして考えましょう。
対等な人間関係の形成
• ① まず、自ら名前を名乗る。
• ② 必要のない質問はしない(たとえば、
年齢等)
• ③ 話す際は、ゆっくりと話す。
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話すモードから聴くモードに
• 「 Ask 」は、話すモード、これは質問をする 人が、自分の関心し沿って情報を収集する 行為
• 「 Listen 」は、聴くモード、これは、話し手の 意図に沿う行為
• 言うは易いが、行うは難いものです。
• では、具体的な行動を目標として学びま しょう。
Active-Listening を行う
積極的に聴くとはどのようにするのか。
① 相づちを打つ
② 逆接の接続詞や接続助詞を少なくする
③ 話すときは、ゆっくりしゃべる
ここでは、相づちの種類を増やしましょう。
皆さんは、いくつぐらいの相づちを打てます
か。
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繰り返す
• 当事者のキーワードを繰り返す
• キーワードは、しばしば、当事者の経験とそ れに付け加えた意味を表現するために用いる、
独自の価値観、見方を伝える手段であること が多く、これを繰り返すことにより、聴いて いることが鮮明になる。
• なにがキーワードかは、対話の文脈上で考え る経験知です。
• 専門用語に言い換えないで、繰り返すことが 大切です。
繰り返す
「明快に」
「短く」
「要点をつかんで」
「相手の使った言葉で」
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パラフレイジング
Paraphrasing:言い換え
要旨をまとめ、内容を変えずに言い換える。
要約より簡潔で思考の流れを妨げない手法で す。
• 話し手の分かり難い、感情的な表現を、
Mediator は、中立性を守りながら、話し手を 受けとめることができる。
• 相手方も、話し手の感情的な言い分と異なり、
Mediator の客観的に言い換えられた言い回し は、同じ内容でも受取り易い。
• できるだけ、話し手の意向に沿いながら、客観的 な表現にする。
パラフレイジングの例
• 私は、行政のやりかたに頭に来ている。我 慢にも限度がある。人を無視し、馬鹿にす るにもほどがある。
• 環境への行政の対応にご不満を有してい
らっしゃるということですね。
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リフレーミングreframing
:表現枠を変える(再構築する)
• 最近は、「枠組みを揺さぶる」と表現している。
• 心理学的には、同じ事象でも表現のフレームを 変えると受け取られ方が変わることを、「リフレー ミング効果」という。
• パラフレイジングを似ているが、当事者の発言 をMediatorなりに理解し、当事者が伝えたい意味
(言葉ではない)を的確に、肯定的な表現に変え る。
リフレーミングの例
• 妻には家庭で無視され、職場では中間管 理職として板ばさみにあい、調停人さんは 私の立場が分かりますか。
• 家庭内でコミュニケーションがとれず、寂し
い思いをしておられ、職場でも辛い思いを
しておられるのですね。
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Open-end Question
開かれた質問
• ハイ・イイエの答えができない(誘導尋問でない)
質問
• その時の状況(気持ち)について、もう少し詳しく お話していただけますか。
• いつ、どのような理由でそこに行ったのですか。
• 〜について、今はどのように思われますか。
• 仮に〜がなかったら、今はどのようになったと思
いますか。
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対話の維持円滑化の技法
プログラム5
Mediation エクササイズ
ある Mediation の当日に、次のような事態が生じました。
Mediator であるあなたならどうしますか。
以下の各問いについて、グループで話し合って下さい
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Mediation エクササイズ
• 1 出てきた当事者が、呼び出されたことに不平を 言った。
• 2 当事者の一方が同席で話し合うことを嫌がった。
• 3 当事者の一方が、第三者を同行した。
• 4 同席で、話をし始めるにあたり、どちらから話 すかにつき、双方が争いあった。
• 5 同席で、一方が話すときに他方がこれをさえぎ る発言をした。
• 6 同席で、当事者の一方が、相手方ではなく、
Mediatorに向かって専ら話す。
Mediation エクササイズ
• 7 同席で、当事者が相手の発言に怒り、急に立ち 上がった。
• 8 当事者の一方が、「時間の無駄だから、帰る」
と言い出した。
• 9 当事者の一方が、 Mediator の意見を求めた。
• 10 当事者が、 Mediator の交代を申し出た。
• 11 別席で当事者から、「ここだけの話ですが」と 持ちかけられた。
• 12 別席で当事者から相手の言っていることを尋ね
られた。また、相手の提出した証拠の内容を尋ねら
れた。
5
Mediation エクササイズ
以上に限らず、もしあなたがMediatorとなった場合、
こんな事態の遭遇すると困ったなと思うことがらは どのようなものですか。
Mediation を成立させるため
• Mediation を依頼する当事者(申立人)と、相手方
が一同に会して始めて成立する
• 相手方が、 Mediation の席に来てくれれば、半ば 成功と同じ
• 呼出の工夫はどうするのか
• Mediator はまずは接せずに、 Administrator が担当する。
• ①申立人が、依頼時に、電話をかけ、必要があれば、
Administratorが電話を代わり、決める(Administratorは 公平感に敏感に)。
• ② Administrator が電話や Love Letter を発する
( Mediation のよさを込めた文面を用意しておく)。
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トラブルと当事者を受け入れる準備
• 世の中には、様々なトラブルがある
−違う Story を受け入れる用意をする
Pattern では説明できない
• 世の中には、様々な当事者がいる
−違う人を受け入れる用意をする Type では説明できない
• 当事者と利害関係がないことを確認する
Mediation までの準備
• 来るまでの人の気持ちに思いを馳せる
• 自分の準備
自分自身心配事があったり、忙しいと、人の話しを聴け ない( Personal foundation: 自己基盤を整える)
予定終了時間後、30分の余裕を持とう 事前にトイレや電話の用事は済まそう 携帯電話は切ろう
• Mediation Roomを確認しよう 机、椅子の配置
音(騒音)、室温、採光(窓)
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Mediation Room の設営を
• 出席者が座るのを確認し、自らも座る
• 当事者の位置について
並んで、対面して、斜めに?
• Mediator の位置について 入り口、奥、壁側?
• 相互の距離について
遠すぎず、近すぎない comfortable (心地よい)な 距離は
• 最後に当事者に確認を《人によって違う)
公平(公正)さを確保する
• 話しを聴く時間、態度( ex メモの取り方、向かう方 向)、言動(敬語、先生、奥さん等)すべてについ て、その行為が目指す当事者ではない、相対立 する当事者の気持ちで、 Check する
• コーカスで、当事者から事情を引き出そうとして、
心情を打ち明ける誘惑に駆られるが、慎重に
• カウンセリングやコーチングの技法は、同席で使
うときには、相手方に偏頗に映ることがあること
に注意
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人が人と会話する際の礼儀
• Mediator 自ら名前を名乗るべきではないの
か
• ⇒問われれば、職業を言うのか。
• ⇒問われれば、 Mediation の経験を言うの か。
First Impression を大切にする
• First Impression は、その後の印象を基礎 づける
• にこやかに、(待ち合わせ室まで) Mediator が迎えに行き、 Mediation Room に案内す る
• 姓名で、まずは、呼ぶ(先生、主人、旦那さ
ん、奥さん等は避けたい)−平等な人格者
として扱う
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同席の勧め
• 同席は、新しい Mediation の必須のツール
二人が同時にその言動を感知することができる Mediator のバイヤスが入り難い
当事者の変容度が大きい
• 同席をする前には、少し準備の Phase が必要な場 合もある
• さり気なく同席を勧める
• 「お二人からお話しをお聞きしますので、お入り 下さい」(ここから、人は、自分に不利な状況や、
不快な情報に向かうことを求められる)
当事者が呼出に不平を述べたら
• 「なんで呼出を受けるのか。私はなにも悪いことしていません。」
• 「一方的に呼出をするなんて、失礼ではありませんか。どういう権限 で呼出をかけるのですか。」
• 「忙しいのに、呼び出されて迷惑をしています。時間がありません。」
• 紛争やもめごとの不利さを、何かに攻撃的に振り向ける心理作用 が働いている場合もある。
• そこで、このような発言が引き出される前に、まず
「今日はお忙しい中、この任意の手続に、わざわざご足労いただきあ
りがとうございました。調停時間や、進行方法は皆さんのご意見を聴
いて、できるだけご負担の少ないようにいたします」
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当事者が同席を拒むとき
• 「相手の顔を見たくないので別々に聞いて下さい」
• 「人を罵倒するので、別々に聞いて欲しい」
• 「暴力を振るわれるので、別々に聞いて欲しい」
• 同席を拒む理由は、 Mediator が相手方を説得してくれという依存心 の表れの場合が多い。
• 同席には多くのメリットがあり、コーカス(別席)には別の Mediator の 技量を求められるので、これを説明したり、席の位置に配慮を加えこ とで、同席をさりげなく勧める。
• 大事なことは、 Mediation 期間中、同席を拒んだ当事者が圧迫を受 けていないかを十分注視し、配慮することである。
• 最後はあまり無理をしない。
当事者が第三者を連れてきたとき
• 「親戚の・・・ですが、一緒に入っていいで すか。」
• 「今回の件の相談をしている・・・さんです が、一緒に入っていいですか」
• 理由も言わずに、入ってくる場合は。
• 一方が多数の人を連れて来た場合は。
• 代理人を連れて来た場合は。
ドキュメント内
「ADRを担う人材育成に関する研究会」によるプログラムの概要
(ページ 97-150)