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なぜ相談の構造化を考えるのでしょうか?

・相談に臨むにあたって見通しを立てる

・「聴く」⇔「問う」→「伝える」のうち前二者と後 者の役割混乱を招かない

・相談者が自ら考える過程に即応(問題を次第 に深めてもらう)

・協働判断の形成のために必要(問題を共に 考える)

何故「聴く」という段階だけのスキルを考え るのでは足りないのでしょうか?

・「プロセスとしての相談」という考え方

・相談は「聴く」だけでは終わらない

・「伝える」「意思決定」がどのように行わ

れるかが相談の質を決定する

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相談トレーニングの難しさは?

1 Mediation のように対立当事者間の緊張関係がな

いので、相談プロセスが見えにくく、関係が崩れや すい

2 相談の多様性から、参加者が共通の認識を持ちに くい

3 参加者がそれぞれの相談スタイルを既に形成して おり、これとのギャップを感じて反発を招きやすい 4 「プロセスとしての相談」であるため、全体構造を通

して理解してもらう必要がある

あっせんの特色

1 同席を前提とせず、電話によるケースが多 いこと

2 直接交渉がうまくいかない場合の代理的あ るいは介入的役割が期待がされることがある こと

3 消費者問題の特徴として、当事者間に力の

アンバランスがあることが多いこと

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電話によるあっせんについて(三者比較)

業界団体・消費 者団体・行政が 関与しているこ とが多い

多様性がある

中立性が求め られる

中立性が求め られる

相談者の立場 に立って

聴く 聴く+伝える

聴く+伝える

同席 同席が難しい

面接 電話が多い

電話・面接

三者関係 三者関係

二者関係

Mediation あっせん

相談

「あっせん」による解決の論点整理

ー ADR と相談過程の連鎖のあり方をめぐって 積極面⇒・相談過程と ADR の連携強化

・スムーズな移行過程が必要

・両者のスキルを学ぶことで紛争の展 開過程に対応可能

⇒ ADR の拡充・活性化へ

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消極面⇒・相談員とあっせん者の役割混乱への危惧

(「聴く」→「伝える」の自己統制がより難しい)

・電話の特徴による問題拡大への懸念

・別席調停と同様の問題点の存在

(情報のコントロールその他)

この場合のあっせん者のあり方はどう考えたらよいか

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相 談 の 技 法(1)

ー基本的なかかわり技法ー

2003年12月20日 中 村 芳 彦

マイクロカウンセリングの階層表

技法の統合

(指示・再構成・自己開示・助言) 積極技法

( 対 決 )

( 焦点のあて方 )

基本的傾聴の連鎖

(質問・励まし・言い換え・感情の反映・要約)

基本的かかわり行動

(視線・身体言語・声の調子・言語的追跡)

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基本的傾聴の連鎖と積極技法の関係

クライエントの視点で見る 多角的な視点で見る

↓ ↓

基本的傾聴の連鎖 積極技法

はっきり使い分けることが重要

面接の段階と技法の相関関係

段階1 信頼関係の形成 基本的かかわり行動

段階2 情報の収集

↓ 基本的傾聴の連鎖

段階3 目標の設定

段階4 可能な選択肢の探求

↓ 積極技法

段階5 協同判断の形成・実践

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マイクロ技法学習の留意点

1.面接全体を通して行うより、面接の各段階ご とに練習する

2.セッションを構造化しない限り、初期の段階 では、受講者は、段階から段階にでたらめに 動いてしまう

3.面接の基本的技法を身に付けるまで、積極 技法に入るべきではない

基本的かかわり行動

視線の合わせ方

身体言語によるかかわり 声の調子

言語的追跡 ・・・話題を変えないこと

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導入の技法1 −面接の場

場所設定=場所・時間・服装・姿勢・位置・

視線・身振り・言葉使い・声 ノンバーバルな部分の重要性

導入の技法2

−アイスブレイキング

会話のスタートは笑顔、自己紹

介、ポジティブな承認(=その

人の存在を認める)で相手の

心の緊張を解く

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導入の技法3 −ページング

相手の雰囲気、話すスピード、声の トーンや大きさ、語尾など、できるだけ 同じように合わせてみる。

安心感と親密度がアップする

→但し、怒鳴りこんできた時は別

場についてのセンスを育てる

1.イメージ・リハーサル

2.相談者の椅子に坐ってみること

3.空中に浮かぶ自分の眼球というイメージ

(神田橋條治)

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傾聴するために必要な前提=ゼロボジョン

①相手のこと、会話の内容について、できるだ け事前に先入観を持たない。心は真っ白な キャンパスをイメージする。肩の力を抜くこと

②相手が喋っている間もできるだけ自分の思考 を抑えるようにする(→と言っても無理なので、

自分の心の動きに耳を澄ますこと。これが大 切)。評価しない。自己解釈しない。

→クライエントの話の背後にある心の動きに耳 を澄ます

基本的傾聴の連鎖

開かれた質問 明確化

要約

感情の反映

最小限の励まし

いいかえ

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Active-Listening の意味

1.相談者に受け入られていること(受容)を実 感させることができる→信頼関係の形成

2.相談者が言いたいことを明らかにしてあげる

(=明確化)→自己治癒力を発揮させること に対する強力な援助になる

それぞれの質問技法の長所・短所は?

開かれた質問→・応答の自由度が高い

・何を話せば良いかわからないことが ある

・欲しい情報を入手できないことがある 閉じられた質問→・受身的で、尋ねられたことしか答え

られない

・パターナリスティックな関係に陥りや すい

・イエス・ノーで答えられないアンビバ レントな領域がある

・欲しい情報が確実に得られる

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あなたなら どうしますか?

−質問技法

クライエント:次の閉じられた質問を開かれた質問に 言い換えてみて下さい。

1.奥さんと離婚する気持はありますか

2.あなた自身の行動を変える必要があるのではあ りませんか

3.相続放棄をするつもりはありませんか

4.相手方とは、対立状況が続いているのですか 5.請求する損害賠償金は200万円ということでいい

ですか

閉じられた質問

閉じられた質問は、面接において有用

なものであるが、次から次へと用いて

はいけない。クライエントがもっと話を

深めていけるような雰囲気の中で、閉

じられた質問を用いることが大切であ

る。

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答えにくい質問

原因は何ですか?

理由は何ですか?

どうしてですか?

→こうした質問は、しばしば防衛的感 情を引き起こす

最小限のはげまし

「それで」「うんうん」「ええ、ええ」「もっと話しをしてみて 下さい」などの言葉を使う。

あるいは、1語や2語のキーワードや最後に言った中 から、いくつかの言葉を取り出して、簡単に繰り返す 最小限のはげましの意味

1 クライエントに話を続けることを促す

2 面接者が焦点をおき、ついていこうとすることを示す 3 最小限のはげましとしての沈黙

4 キーワードを繰り返すことの重要性

※ Mediation における「繰り返し」はこれに入る

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いいかえ

相手の話した内容を、違う言葉で、または相 手が表現したがっていると思われる内容を、

より明確にした形で表現して返す技法

※パラフレイジング (Paraphrasing) 、リフレイ ミング (Reframing) との関係

→ここで言う、いいかえは、 Mediation におけ るパラフレイジングの意味。リフレイミング ( = 枠組を揺さぶること ) は、基本的傾聴の連鎖 においては使わない。

感情の反映

「あなたは・・・と感じているようですね」「あな たは・・・と感じているように聞こえますが。」と いうようにクライエントの話すことの情緒的な 側面に焦点をおく。

・クライエントが彼の感情に気づくのを助ける

・クライエントが経験している内的世界を面接

者が理解しているということを示す。

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スクリプトにおける感情の反映の例

電子レンジ事故スクリプト2

11:火は出ていないけれども、消火器で台所が真白 になって大変な思いをされたということですね。

23:それで、大変な思いをされたということはよく分か ります。

英会話教室スクリプト2

21:あの、ご自身が疑われたということに、憤られてい るわけですね。

29:はあ、二重取りを疑われているようで納得できな いというわけですね。

感情の反映の仕方は?

1.現在形を使って、現在の感情を反映する 2.混合した感情を丁寧に反映する

3.クライエントの言葉をそのまま繰り返さない

4.感情の反映の前に、クライエントの感情を正しく 確認する

・感情の反映はどういうときに行うのが効果的か?

→面接の進行を妨げるかもしれない感情をクライエ

ントが持っているときに行う場合

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みなさんならどう答えますか?

相談者 (3ヶ月前に離婚している女性)はじめて夫が 別れると言ったとき、とても腹がたちました。

でも今では、夫の助けなしに一人で生活して います。

援助者 a. はじめ、とても腹が立ったのですね。

b. もっと先になれば、これでよかったと思われ るでしょう。

c. ご自分一人でやっていかれることに誇りを 感じていらっしゃるのですね。

感情の反映の練習

次の文章の各々について感情の反映をしてみて下さい。

1.メーカーの対応には、とても腹がたっています。許 せません。

2.私の父にはうんざりします。いつも私に命令します。

3.娘が事故であんな後遺症が残ってしまって・・・。

ショックで何も手につきません。

4.私は、お店であんな長い列に並ぶことはとてもでき

ません