?電子レンジから煙が出
聴くことを深める 1 ー焦点化
あいまいな細部を明確化し、方向付けする質問
〈今、現在はどういう状況なのですか(時間にスポット を当てる)〉
〈まず、相続関係がどのようになっているかから整理 してみましょう(一つの問題にスポットを当てる)〉
〈今、何が一番不安ですか?(クライエントの気持ち にスポットを当てる)〉
焦点化の目的
焦点化というと、相談員側が焦点を絞る
というイメージが強いが、そうではなく、ク
ライエントが多角的視点から見ることを援
助することに目的がある。→早すぎる段
階での焦点化は、聴いたことにならない。
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焦点化の意味
クライエントの視点 クライエントのニーズ
基本的傾聴の連鎖 明確化
現実検討 多角的な視点 積極技法
焦点化→対決
スクリプトにおける焦点化の例
電子レンジ事故スクリプト2
27:まず、あのゴキブリが電子レンジに入って しまったということについてはどうでしょうか。
英会話教室のスクリプト2
23: 1000 円の返金については、どういうふうに お考えでしょうか
31:お金の点は、どうでしょうか
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相談と心理療法の違い
相 談 心理療法
外的視点
(法規範など)
内的視点
(時間・感情・問題・関係者など)
個 人 個 人
「聴く」「伝える」の重み
相談では、外部から法規範など異質なもの
がクライエントにもたらされるので、心理療法
以上に傾聴を丁寧にして信頼関係を築くこと
が必要、また積極技法の使用には、より慎重
な配慮が求められる。
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焦点化への抵抗
相談では、クライエントが重要と考え焦 点化して欲しいと強く望む部分と、相談 員が重要と考える部分(例えば、法的判 断のために重要と考える情報)との間に ギャップが生じやすい
焦点化に求められる姿勢
1.クライエントのニーズから常に出発すること 2.気づきを促す聴き方(=分野を絞った開か
れた質問)をすること
3.段階をおって焦点化していくこと
4.共に考えるという姿勢が重要
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聴くことを深める2−対決
対決は、クライエントが自分自身と自分の生 活の中にある矛盾や不一致とみつめることを、
穏やかに、敬意を持って援助することである。
「あなたはあなたの奥さんを愛してるといい続 けていますが、いつも些細なことで言い争い、
口論していますね。」
→「一方では・・・、でももう一方では、・・・」に書 き分けられる。
スクリプトにおける対決の例
29:(相)う〜ん、消費者側からすれば、たとえ小さなゴ キブリでも、入り込んで煙が入ってしまったら困ってし まうということです(いいかえ)。
30:(消)そうなんです。
31:(相)そのような設計をして欲しいということでしすね
(いいかえ)。
32:(消)そうです。
33:(相)ただ、一方で作る側に立ってみると、あの電子 レンジというのはですね、必ず熱が出るもんですから、
それを逃がしてやる口を作られなければいけないよ
うで、実際小さな虫まで入らないようにしてある製品
は実際出ていないようなんですよ(対決:消費者の要
望とメーカーの設計上の要件が一致しないことを指
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対 決 体 験
カウンセラ ー
クライエントの傷つきを共に するということを決意してい る
クライエントを批判・否定して いない
クライエントへの配慮を伴う
クライエント
ともに問題に向き合ってい る(一人で放り出されてい ない。一緒に取り組んでく れている)という感覚
主体的・自主的に取り組む こと(依存せず、自分の意 志で考え、決めること)を促 される感覚
配慮されている(ありのまま の自分を見守られている)、
評価されていない感覚
相談場面での対決の特徴
クライエントの語る事実関係の下では、クライ エントの希望は法的には実現が難しいなど、
クライエント内部の思いと外界の規範との相 克という現れ方を一旦して、内部化されていく というプロセスをたどることが多い。
↓
抵抗が強い場合がある
ドキュメント内
「ADRを担う人材育成に関する研究会」によるプログラムの概要
(ページ 194-200)