第5章 中世日本語の音韻構造
5.2 研究方法
6.5.3 音素分布
110 加が見込まれる。
【表
6.5.1d】
『中央公論』の和語名詞出現形延べ(1語平均3.90
拍)拍数 1拍 2拍 3拍 4拍 5拍 6拍 7拍 8拍 9拍 10拍 11拍 合計
語数 4 98 642 389 228 91 40 20 12 2 2 1528
百分率 0.3 6.4 42.0 25.5 14.9 6.0 2.6 1.3 0.8 0.1 0.1 100.0
辞書の見出し語,テキストで使用された語を見出し語に直したもの,それに,実際の使 用頻度をかけたもの,さらに,助詞がついて,運用された語,つまり出現形のままで調査 したものを比較することによって次のことがわかった。
『新潮現代国語辞典』においては,和語名詞は4拍語が最も多く,全体の
45.4%を占め
ていたが,『中央公論』で実際に使用された和語名詞から見出し語に直して,同様の調査を すると,3拍語が29.2%で,4拍語の 25.3%より多かった。さらに,使用された頻度をか
けると,2拍語が最も多く,全体の50.9%を占め,3拍語は 23.1%,4拍語は 14.4%で
あった。しかし,実際に運用される際は,助詞がつくので,出現形のままで調査をした。すると,3拍語が最も多くなり,42.0%を占めることとなった。出現形では,1語あたり の平均拍数は,【表
6.5.1d】より,3.90
拍となった。111
p m r N Q 合計
30 651 196 0 0 10000 0.3 6.5 2.0 0.0 0.0 100.0
【表
6.5.3】
『中央公論』の語頭における母音の音素分布a i u e o
Ø
計2772 2486 1155 973 2614 0 10000 27.7 24.9 11.6 9.7 26.1 0.0 100.0
【表
6.5.4】
『中央公論』の語頭多頻度拍拍 /Xi/ /ko/ /ka/ /Xa/ /si/ /na/ /Xo/ /ta/ /so/ /ki/
度数 883 577 507 501 426 390 347 311 310 230 百分率 8.8 5.8 5.1 5.0 4.3 3.9 3.5 3.1 3.1 2.3
語頭においては,/X/が
19.4%と最も多く,次いで,/k/の 16.8%,/s/の 15.6%
と続く。母音音素は,/a/が
27.7%で最も多く,/o/の 26.1%,/i/の 24.9%,/u
/11.6%,/e/9.7%の順になる。
稿末別紙資料〈音素表
6.5-2〉は,語末における音素分布である。子音音素,母音音素,
拍の出現率を【表
6.5.5】
【表6.5.6】
【表6.5.7】にまとめる。
【表
6.5.5】
『中央公論』の語末における子音の音素分布R X x k g s z t/c d n h/f b
294 1150 849 362 689 273 74 1711 96 522 2390 6 0 107 2.9 11.5 8.5 3.6 6.9 2.7 0.7 17.1 1.0 5.2 23.9 0.1 0.0 1.1
p m r N Q 合計
2 379 914 182 0 10000 0.0 3.8 9.1 1.8 0.0 100.0
【表
6.5.6】
『中央公論』の語末における母音の音素分布a i u e o
Ø
計2631 1459 1165 1220 3049 476 10000 26.3 14.6 11.7 12.2 30.5 4.8 100.0
112
【表
6.5.7】
『中央公論』の語末多頻度拍拍 /no/ /ni/ /xwa/ /Xo/ /te/ /ga/ /ru/ /to/ /ta/ /de/
度数 1298 866 747 733 670 655 614 586 455 403
百分率 13.0 8.7 7.5 7.3 6.7 6.6 6.1 5.9 4.6 4.0
子音音素は,/n/が
23.9%で最も多く,次いで,/t/の 18.1%,/X/の 11.5%,/
r/の 9.1%と続く。母音音素は,/o/が 30.5%で最も多く,次いで/a/が 26.3%であ
る。拍は,「の」「に」「は/xwa/」「を/Xo/」「て」「が」「と」など,助詞を思い起こさ せるものや,「る」「た」「で」など,用言や助動詞の語尾を思わせるものが,上位に来てい る。稿末別紙資料〈音素表
6.5-3〉は,語全体における音素分布である。子音音素,母音音
素,拍の出現率を【表6.5.8】
【表6.5.9】
【表6.5.10】にまとめる。
【表
6.5.8】
『中央公論』の語全体における子音の音素分布R X x k g s z t/c d n h/f b
3996 5397 1987 6122 1820 4684 1532 4169 1513 1809 4550 1241 19 821 8.1 10.9 4.0 12.4 3.7 9.5 3.1 8.4 3.1 3.7 9.2 2.5 0.0 1.7
p m r N Q 合計
330 2159 3389 3010 1008 49556 0.7 4.4 6.8 6.1 2.0 100.0
【表
6.5.9】
『中央公論』の語全体における母音の音素分布a i u e o
Ø
計11254 9026 6079 5392 9791 8014 49556 22.7 18.2 12.3 10.9 19.8 16.2 100.0
【表
6.5.10】
『中央公論』の多頻度拍拍 /N/ /Xi/ /ka/ /no/ /to/ /ta/ /si/ /ku/ /ni/ /oː/
度数 3010 2765 1867 1786 1531 1448 1438 1437 1397 1223 百分 6.1 5.6 3.8 3.6 3.1 2.9 2.9 2.9 2.8 2.5
語全体では,子音音素は,/k/が
12.4%で最も多く,次いで/t/の 11.5%,/X/の
113
10.9%,
/s/の9.5%と続く。
母音音素は,/a/が22.7%,
/o/が19.8%,
/i/が18.2%
である。拍では,撥音の出現率が最も高かった。