第 3 章 日本と韓国における特別支援教育の ICT 活用教育成果評価
第 4 節 日本と韓国の特別支援教育における ICT 活用教育の 成果評価
4.3 韓国の特別支援教育における ICT 活用教育の成果評価
120
項目別の平均得点と標準偏差の結果を図3-5に示す。
具体的にみると、「Q15.意欲向上」が3.5点で最も高く、「Q14.環境変化への適応力」、「Q16.
社会参加」が3.4点であり、次いで、「Q17.自己尊重感」が3.3点の順で高い。いずれも「社 会生活機能」の項目であった。
また、「Q7.情報の相違点の整理」と「Q12.著作権」が 2.7 点で最も低く、次いで「Q6.
情報の共通点の整理」、「Q9.情報伝達」、「Q11.課題解決」、「Q13.個人情報」が2.8点と低い。
いずれも「情報活用能力」の項目であり、相対的に低い評価が得られた。
領域別に詳しくみると、「コミュニケーション能力」は、「Q1.相手を意識して聞く能力」
が3.1点であり、「Q2.話して表現する能力」が2.9点、「Q3.状況に応じ、相互関係の中で、
適切なコミュニケーションスキルを使う能力」が3.0点であった。最も高く評価された項目 は「Q1.相手を意識して聞く能力」であったが、項目間に大きな差はなかった。領域得点は、
3.4点であり、「多少」効果があることが明らかになた。
以上のことから、特別支援教育でICT活用教育を行った結果、「コミュニケーション能力」
の項目の平均得点が3点であり、「多少」効果があることが明らかになった。
このような結果は、BAK(2006)の研究結果と似ている。BAK(2006)は、知的障害生徒を 対象としたICT 活用教育が、知的障害生徒のモチベーションを向上させ、聴く能力と話す 能力といったコミュニケーションの能力が向上することを明らかにした(BAK、2006)。
「情報活用能力」は、「Q4.情報出典の理解」が 3.0 点であり、「Q5.情報収集」が3.1 点 であり、「Q6.情報の共通点」は2.8点、「Q7.情報の相違点」は2.7点であった。また、「Q8.
発表の姿の改善」が2.9点であり、「Q9.情報伝達」が2.8点、「Q10.課題導出」が2.9点で あり、「Q11.問題解決の認識」が2.8点、「Q12.著作権の意識」が2.7点、「Q13.個人情報」
が2.8点であった。
「情報活用能力」のうち、「Q5.情報収集」が最も高く評価された。また、「Q7.情報の相 違点」と「Q12.著作権の意識」が最も低く評価された。領域得点は、2.9点であった。
以上のことから、特別支援教育でICT活用教育を行った結果、「情報活用能力」のほとん どの項目が3点を超えず、「少しだけ」効果があることが明らかになった。
このような結果は、JUNG(2003)の研究結果と似ている。JUNG(2003)によると、ICTを 活用した教育は、単なるコンピュータやインターネットの利用には効果的であるが、情報 の出典の理解と情報モラルや個人情報等に関する効果は低く、健常生徒と障害生徒どちら も情報モラルに関する効果が低いことが確認された。
「社会生活機能」は、「Q14.環境の変化への適応力」が 3.4 点であり、「Q15.意欲向上」
が3.5点であり、「Q16.社会参加」が3.4点であり、「Q17.自己尊重感」が3.3点であった。
「社会生活機能」のうち、「Q15.意欲向上」が最も高く評価された。また、「Q17.自己尊 重感」が最も低く評価された。領域得点は3.0点を超えていた。
以上のことから、特別支援教育でICT活用教育を行った結果、「社会生活機能」の全ての 項目が3点を超え、「多少」効果があることが明らかになった。
122
このような結果は、ICT 活用教育が、知的障害生徒の適応能力と、コミュニティ活動に 肯定的な影響を及ぼしていると述べた(YANG、2006)の研究結果と似ている。
以上のことから、韓国の特別支援教育においてICT 活用教育を評価した結果、特別支援 教育においてICT 活用教育が、比較的に「社会生活機能」に効果的であることが確認され た。また、「情報活用能力」に関する成果を高めるための工夫が必要であると考えられる。
図3-5 韓国の特別支援教育におけるICT活用教育の項目別の成果評価結果
3.1 2.9 3.0 3.0 3.1 2.8 2.7 2.9 2.8 2.9 2.8 2.7 2.8 3.4 3.5 3.4 3.3
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0
Q1 Q2 Q3 Q4 Q5 Q6 Q7 Q8 Q9 Q10 Q11 Q12 Q13 Q14 Q15 Q16 Q17 単位:点