第 9 章 剛体の運動 129
13.5 静電エネルギー
れる.
E= σ 20
(13.30) 上の極板と下の極板,両方から電場は生じるので,その2倍が極板間にかかってい る電場である.
E= σ 0
(13.31) σ=Q/S,V =Edより,
V d = Q
0S ∴Q= 0S
d V (13.32)
S= 1 cm2として,d= 0.1mmを代入すると,C≒0.9×10−12F =0.9 pF(ピ コファラッド)となる.
13.5 静電エネルギー
仕事と静電エネルギー 原点に点電荷Q1があり,無限遠から点電荷Q2 を近づけ,2つの距離がRとなったとしよう.移動に必要な仕事W は
W =−
∫ R
∞
d rF(r) =−
∫ R
∞
dr 1 4π0
Q1Q2
r2 = Q1Q2
4π0R (13.33) となる.F(r)は電荷Q2に働く力である.この仕事はエネルギーとして蓄 えられる.これを静電エネルギーU とよぶ.静電エネルギーは
U = Q1Q2
4π0R (13.34)
である.
クーロン相互作用している粒子系の静電エネルギーUは U = 1
2
∑N j=1
∑N i=1,i6=j
QiQj
4π0Rij (13.35)
で得られる. 1/2と い う 因 子 は ,2重 カ ウントを補正するためであ る.たとえば,i = 1, j = 2 とi = 2, j = 1 の 項 はそれぞれQ1Q2/4π0R12, Q2Q1/4π0R21で,同じも のを2回数えている.
Φiをi番目の粒子の位置でのポテンシャル,Qiをその電荷として,(12.12) 式と組み合わせると,
U = 1 2
∑N i
QiΦi (13.36)
で与えられる.
逆にQ1, Q2がRだけ離れていたとする.電荷の符号は同符号だとする と,2つは斥力をおよぼし合う.一方(たとえばQ1)を固定し,もう一方 (Q2)を動けるようにすると,この斥力によりQ2は加速する.無限まで行っ たとき,Q2の運動エネルギーKは,エネルギーの保存則より
K= mv2
2 = Q1Q2
4π0R (13.37)
となる.
静電場のエネルギー 静電エネルギーを電場から求めてみよう.平行平 板コンデンサの静電エネルギーは,電荷をQからQ+ ∆Qに増やすために
∆Q×V の仕事を電池がすることから求められる.
U =
∫ Q 0
dQ V =
∫ Q 0
dQ Q C = Q2
2C (13.38)
ここでコンデンサ間の電場E= σ 0 = Q
0S,C= 0S
d を使って,C, Q +式(13.29)
を消去すると
U =S×d× 0E2
2 (13.39)
となる.これは単位体積あたり
u= 0E2
2 (13.40)
のエネルギーが存在していることを意味している.このように静電エネル ギーを静電場のもっているエネルギーと解釈することが可能である.
演習問題13
A 1. 地球の静電容量
地球を金属球と見なすと,その静電容量はいくらか.
2. 1次元イオン結晶の静電エネルギー
N個の+eの電荷とN個の−eの電荷が,aだけ離れて交互に直線 上に配置されている.Nが十分大きいとき,中心の電荷の静電エネ ルギーは
U =− e2
4π0a ×2 ln 2 となることを示せ.
3. 微小なコンデンサー
大きさが1µm,間隔が0.1µmの平行平板コンデンサに素電荷eを ためると,何Jのエネルギーになるか?
4. 帯電した球の静電エネルギー
接地されていない半径Rの球殻を考える.これに電荷Qを与える.
球殻の内部の電場は0である.
(a) このとき,球殻のまわりの電場を求めよ.
(b) 球殻のもつ静電エネルギーを,電荷を無限から移動する仕事を 計算することで求めよ.
(c) 球殻のもつ静電エネルギーを,球殻のまわりの電場を計算する ことで求めよ.
14 分極
原子や分子は中性である.では,これらは電磁相互作用をしないのかと いうと,実はかなり強い相互作用をする.この章では,こうした中性の原 子・分子の電気的な相互作用を学び,誘電体の仕組みを説明する.
14.1 電気双極子ポテンシャル
遠くのポテンシャル 中性の原子がクーロン相互作用をするのはおかし いと思うかもしれないが,原子は原子核と電子からできており,電荷はあく まで合計してプラスマイナスが打ち消し合っているのを,中性と呼んでい るのである.
原子核の周りに球対称に電子が分布していると,クーロン力は働かない.
球対称の場合,中心に点電荷があると見なしてよいので,電子の点電荷と +重力の場合,質量分布が 球対称の場合,質点と見なし てよいのと同じである.
原子核の点電荷が中心で打ち消し合うからである.
では球対称でない場合,どうなるであろう? ここで,その例として,大 きさが同じで符号が逆の2つの点電荷が,dだけ離れて位置している場合
(電気双極子)を考えよう.電荷qが(0,0, d/2),−qが(0,0,−d/2)に位置 しているとすると,クーロンポテンシャルは(12.12)より,
Φ(r) = q 4π0
( 1 r+ − 1
r− )
(14.1) となる.ただし,r±=√
x2+y2+ (z∓d/2)2である.r=√
x2+y2+z2 dとすると,
r± =√
x2+y2+ (z∓d/2)2=r
√
1 + ∓zd+d2/4
r2 ≒r∓ zd
2r (14.2)
これより, +ここでは,近似式
(1 +δ)n≒1 +nδ
(ただし,|δ| 1,|nδ| 1) を用い,n= 1/2とした.な お,|z| dを仮定し,d2/4 の項を落としている.
Φ(r) = p·r
4π0r3 (14.3)
と書ける.ここでp=q(0,0, d)は電気双極子モーメントとよばれるもの である.pは,電荷の大きさと2つ電荷間の距離に比例する.2つが遠いほ ど,完全には中性とは見なせなくなるからである.(14.3)を電気双極子ポ テンシャルとよぶ.
図14.1 双極子による電場
図14.2 電場中に置かれた双極子
電気双極子による電場 電気双極子による電場はポテンシャルの勾配を とれば求められる.
E(r) =−∇Φ(r) = 1 4π0
[3(r·p)r−r2p r5
]
(14.4) これを図示すると,図14.1のようになる.磁石の周りの磁力線と同じ形を していることがわかる.
電場中の双極子のエネルギー 一様な電場E中の電気双極子のエネル ギーを考えよう.2個の点電荷が電場中にあるとする.2つの距離はdで一 定とする.双極子ベクトルは負の電荷から正の電荷に向かう.双極子ベクト ルが電場と平行とする.この状態から双極子ベクトルがθだけ傾くと,正 の電荷は電場と逆の方向にd(1−cosθ)/2だけ動き,負の電荷は電場の方 向にd(1−cosθ)/2だけ動く(図14.2).このとき,電荷がされた仕事は,
2× d
2(1−cosθ)×qE=qd(1−cosθ)E (14.5) である.双極子には,傾きが戻るときこれだけの仕事を行う能力があるの で,ポテンシャルエネルギーはqd(1−cosθ)Eだとわかる.ポテンシャル エネルギーの原点は適当にとれるので,ここでは,qdEを原点として,
U =−qdEcosθ=−p·E (14.6) をポテンシャルエネルギーと定義する.
+磁石を磁場中に置くと磁 場の方向を磁石が向くのと同 じである.
双極子に電場をかけると,ポテンシャルエネルギーを下げようとして,電 場の向きに双極子はそろいたがる.