2-(1) 青年層の雑誌への接触度および分析対象雑誌の発行部数年次推移
本章では、青年向けライフスタイル提案誌上におけるクリスマス習俗をめぐる言説の変容を追い、
「恋愛」と「クリスマス」の言表が、それぞれ類別を弱めていく過程を跡付けていくことにしたい。
さて、現代の青年は、どのようなメディアから情報を得ているのだろうか。総務庁が5年ごとに行 なっている「青少年の連帯感などに関する調査」の結果(第5回調査:1990年実施)をみると、「社会 のできごとについての考え方にいちばん影響を与えたもの」の答えとして、テレビ・ラジオの43.3%、
友人・同僚の14.7%に次いで、新聞・雑誌は12.8%となっており、親・きょうだいや学校の先生など よりも高い数値を示している(武内 1995、109頁)。
次に、現代の青年層が、具体的にどのような雑誌を好んで読んでいるのか、また、どのような読み 方をしているのかを確認しておこう。以下に示すのは、1985年に博報堂生活総合研究所によってなさ れた若者のライフスタイルに関する調査における、高校三年生・短大生・大学生・大学院生・中高卒 社会人・大卒社会人を主たる対象とした雑誌購読調査の結果である(1)。
表2-(1)-1 普段よく読む雑誌:上位10点
表2-(1)-1は、青年男女別(高校3年生から社 会人)全体の「普段よく読む雑誌」についてのデー タである。青年男性の間では漫画誌がよく読まれ ているが、本論で分析対象とする青年向けライフ スタイル提案誌のなかでは、『Hot・Dog・Press』
『Popeye』『平凡パンチ』『週刊プレイボーイ』が よく読まれていることがわかる。また、女性では、
『ノンノ』『アンアン』『Can Cam』『JJ』『女性 セブン』がよく読まれている。
男性 % 女性 %
1 少年ジャンプ 47.2 ノンノ 54.9 2 少年サンデー 41.0 JJ 36.6 3 少年マガジン 40.2 ぴあ 33.2
4 ぴあ 37.5 FOCUS 32.8
5 FOCUS 36.1 アンアン 32.2
6 週刊プレイボーイ 30.4 CanCam 29.3 7 ヤング・ジャンプ 29.4 女性セブン 20.9
8 Hot・Dog・Press 24.1 MORE 20.2
9 POPEYE 23.3 女性自身 17.4
10 GORO 19.9 Olive 14.5
表2-(1)-2 普段よく読む雑誌(漫画を除く):上位10点 男性
高校3年生 % 大学生・大学院生 % 中・高卒社会人 % 大卒社会人 %
1 ぴあ 47.8 FOCUS 41.6 週刊プレイボーイ 32.8 FOCUS 44.2
2 FOCUS 25.2 ぴあ 38.7 FOCUS 31.8 ぴあ 38.3
3 Hot・Dog・Press 24.3 週刊プレイボーイ 34.6 ぴあ 27.4 週刊プレイボーイ 34.2
4 オートバイ 23.5 Hot・Dog・Press 27.9 平凡パンチ 21.4 POPEYE 25.8
5 POPEYE 22.6 POPEYE 26.1 GORO 17.9 Hot・Dog・Press 19.2
6 GORO 20.0 GORO 21.7 POPEYE 15.9 スコラ 15.8
7 FMレコパル 20.0 平凡パンチ 19.1 Hot・Dog・Press 15.9 GORO 15.8 8 週刊プレイボーイ 14.8 スコラ 18.2 オートバイ 14.4 Big Tomorrow 15.8
9 スコラ 14.8 アルバイトニュース 17.6 カートップ 13.4 週刊朝日 15.0
10 FMファン 12.2 MEN’SCLUB 10.0 週刊ポスト 11.9 週刊ポスト 15.0
表2-(1)-2は、青年男性によく読まれている(漫画を除く)雑誌についての高校3年生・大学生お よび大学院生・中高卒社会人・大卒社会人別データである。本表から読み取れるように、高校3年生・
大学生および大学院生・大卒社会人の間では、『Hot Dog Press』『Popeye』が最もよく読まれている ことがわかる。中高卒社会人では、青年向けライフスタイル提案誌の老舗的存在である『週刊プレイ ボーイ』『平凡パンチ』がよく読まれており、学歴別で雑誌の志向性に若干の差がみられるが、この層 においても『Hot Dog Press』『Popeye』は比較的よく読まれていることがわかる。
同様に以下の表2-(1)-3は、青年女性によく読まれている(漫画を除く)雑誌についての高校3年
生・大学生および大学院生・中高卒社会人・大卒社会人別データである。本表から読み取れるように、
青年女性の間で最もよく読まれているのは『non・no』であり、どの層でも第一位の購読率である。
また、『アンアン』は高校 3 年生と中高卒社会人に最もよく読まれている。同誌は短大生・大学生お よび大学院生・大卒社会人の間では若干人気が落ち、学歴による差がみられるが、それでも5位以下 となることはなく、よく読まれている雑誌であることがわかる。その他の雑誌では、各層ごとに順位 は前後するが、『JJ』『Can Cam』が比較的良く読まれ、次いで、『女性セブン』に高い購読率がみら れる。
表2-(1)-3 普段よく読む雑誌(漫画を除く):上位10点 女性
高校3年生 % 短大生 % 大学生・
大学院生 % 中・高卒
社会人 % 大卒
社会人 %
1 ノンノ 50.5 ノンノ 63.5 ノンノ 53.8 ノンノ 55.3 ノンノ 50.0
2 アンアン 30.6 JJ 55.2 ぴあ 46.9 アンアン 35.0 FOCUS 43.1
3 ぴあ 27.0 Can Cam 36.5 FOCUS 46.9 女性セブン 33.5 ぴあ 37.5
4 Can Cam 27.0 アンアン 33.3 JJ 46.2 FOCUS 32.0 MORE 33.3
5 JJ 26.1 ぴあ 25.0 Can Cam 36.2 JJ 32.0 JJ 32.6
6 プチセブン 22.5 FOCUS 21.9 アンアン 29.2 女性自身 29.9 アンアン 31.3
7 Olive 20.7 女性自身 17.7 アルバイト
ニュース 19.2 ぴあ 28.9 クロワッサン 22.9
8 明星 20.7 アルバイト
ニュース 16.7 MORE 17.7 Can Cam 27.9 Can Cam 20.8 9 女性セブン 20.7 クロワッサン 15.6 Olive 14.6 ヤングレディー 22.3 WITH 19.4
10 Mc Sister 20.7 MORE 15.6 フロムA 14.6 週刊女性 21.3 Olive 16.0
以下の表2-(1)-4は、青年男女が雑誌をどのように読んでいるかについての、高校3年生・大学 生および大学院生・中高卒社会人・大卒社会人別データである。総じて、「興味ある記事以外は見出し 程度」という読み方の比率が高いことがわかる。「すみずみまで広範囲に」という読み方は、高校 3 三年生(女性)が最も多く、逆に中・高卒社会人(男性)が最も少ない。「拾い読み程度」「あまり読まない」
は、比較的その比率が低い。青年男女は、全体的にしっかりと雑誌に目を通しており、雑誌上の言説 が彼らのライフスタイルの形成に及ぼす影響は小さくないことが推察される。
表2-(1)-4 雑誌の読み方:青年男女・学歴別
0 10 20 30 40 50 60 70
高校3年生(男 )
高校三年生(女) 大学生・大
学院生(男 )
大学生・大 学院生(女
) 短大生
中・高 卒社会人(男
)
中・高 卒社会人(女
)
大卒社会人(男) 大卒社会人(女) (
単 位
・
%)
すみずみまで 広範囲に
興味ある記事 以外は見出し 程度 拾い読み程 度
あまり読まな い
以上のデータをふまえ、本論では、『Hot Dog Press』『Popeye』『平凡パンチ』『週刊プレイボーイ』
の4誌に『Men’s non・no』(2)を加えた青年男性向け雑誌5誌を、また青年女性向け雑誌では『anan』
『non・no』『Can Cam』『JJ』『Olive』の5誌を分析対象とする。これらの雑誌上の言説は、青年層 の間に広範囲に受容されていると同時に、彼らのリアリティを反映し、また行動指針をつくりあげる ことに寄与していると考えられるからである。
つぎに、これら10誌の書誌データについてみておきたい。以下の表2-(1)-5は分析対象男性誌5 誌の、表2-(1)-6は、分析対象女性誌5誌のコンセプト・読者層についてまとめたものである。
表2-(1)-5 分析対象雑誌の書誌データ(男性誌)
誌名・出版社 創刊年月 読者層 雑誌のコンセプト・編集方針など 平凡パンチ/
マガジンハウス
1964年5月
*1989年休 刊
男性99%、15~19歳 35.7%、20~24歳 43.5%(メディア・リサ ーチ・センター編、
1988)
Weekly平凡パンチのタイトルで知られる20歳をピークとする若 者のマス・マガジン。美しいヌードをふんだんに使ったアイドルペ ージ、車、音楽、マンガを4本柱に、各種イベント情報など見る、
聴く、さわる、感じるをキャッチフレーズとする男性誌であるヤン グ向け娯楽週刊誌。遊び、オンナ、車等、創刊当時からの路線と、
ユニークな特集とで、リフレッシュを図っている。(メディア・リ サーチ・センター編 1979)
週刊プレイボー イ/集英社
1966年11月 15~19歳35%、20~24 歳39%、25~29歳23%
(メディア・リサーチ・
センター編 1979年)
会社員46%、学生38%、
その他15%(メディ ア・リサーチ・センター 編2005年)
・まんが誌以外では最も多い部数が売られている週刊誌。10代後 半から20前半のヤングマンに焦点を合わせた編集で、若者の幅広 い生活情報と文化としてのエンターテイメント、スター/タレント のゴシップから国際情勢まで多岐に亘る興味、関心、行動を的確に 捉えた編集で人気を呼んでいる。 (メディア・リサーチ・センター編 1979)
・学生、ヤングサラリーマンを中心とした、時代に敏感な若者たち が読者。車、オーディオ、スポーツ、ファッション、ギャル等の情 報が中心だが、鋭い政治批評、ユニークな国際情報、経済情報など が注目されている。(メディア・リサーチ・センター編 2005) POPEYE/
マガジンハウス
1976年 80%が男性(メディア・
リサーチ・センター編 1979)
都市生活をテーマにしたライフスタイルマガジン」で、「17歳から 24歳のヤングマン」をターゲットとして、彼らの新しいライフス タイルを提案(メディア・リサーチ・センター編1979)
HotDogPress/
講談社
1979年 18歳から20歳くらいの 会社員、公務員、学生を 対象に編集(メンズセン ター編 2000、37頁)
「高校生・大学生を対象とする〝おもしろ情報〟満載のアミュージ ングマガジン」で、「音楽、スポーツ、SF、ファッション、科学、
アドベンチャーなど、あらゆるジャンルの最新情報を網羅し、ヤン グの生活に密着した話題を提供する新感覚の薄型情報誌(メディ ア・リサーチ・センター編 1980)
Men’s non・no
/集英社
1986年6月 大学・専門学校生 46.1%、社会人32.1%、
高校生21.8%(メディ ア・リサーチ・センター 編 1987)
男の日常生活を、快適に、より洗練されたものにしたいと願い、厳 選した情報を読者に提供していく男性ファッション誌。読者は15
~24歳の男性が80%を占め、時代に敏感でおしゃれな若者の支持 を得ている。(メディア・リサーチ・センター編 1987)
表2-(1)-6 分析対象雑誌の書誌データ(女性誌) 誌名/出版社 創刊
年月
読者層 雑誌のコンセプト・編集方針など
anan/
マガジンハウス
1970年3月 未婚90%・既婚10%
年齢層:16~20歳が 34%、21~25歳が 56%
知的でアダルト志向の女性をターゲットとし、広い意味でのファッシ ョン情報を柱に、話題性、ソフィスティケーションをより多く加えた 誌面を構成。(メディア・リサーチ・センター編 2005)
non・no/
集英社
1971年5月 OL・公務員50%・大 学・専門学校生30%・
高校生20%
女子高生から家庭の主婦まで、幅広い読者層をもつファッショナブ ル・マガジンで、ファッション、レジャー、インテリア、クッキング、
教養等々、カラーグラビアを主体とした編集の若い女性の総合情報誌 (メディア・リサーチ・センター編 1995)。
JJ/光文社 1975年4月 OL42%、主婦16%、
大学生14%、高校生 5%、その他21%
ファッション、ビューティ、ショッピングを中心に、あらゆる実用記 事を掲載する都会派女性の生活情報誌。カラーページを中心としたフ ァッションとビューティを2本柱に編集。おしゃれの本格派を目指す 女性のアドバイザーの役割を果たす。(メディア・リサーチ・センター 編 2005)
Can Cam/
小学館
1981年11 月
OL1~3年生が中心 向上心、好奇心旺盛な若い女性を対象としたファッション総合誌。フ
ァッション、ビューティ、スポーツ、旅、イベント情報など、彼女た ちのニーズに合わせた豊富な情報を掲載。合言葉は〝Come On Join Us!/一緒に参加しましょう!〟(メディア・リサーチ・センタ ー編 2005)
Olive/
マガジンハウス
1982年5月 学生78%、会社員 10%、その他12%、
女性読者99%
(メディア・リサーチ・
センター編 1987)
14~17歳を中心とするミドルティーン、特にこれから本格的なおしゃ
れに挑戦しようという意欲に溢れた少女たちのための雑誌。内容はテ ィーンのライフスタイルマガジンとして、ファッションを中心に広く 生活全般に目を向けた構成(メディア・リサーチ・センター編 2000)
ちょっと大人っぽく、もっとおしゃれになったオリーブ。流行の服、
ブランド大好き、カッコいい男の子について詳しく知りたい、他の誰 よりも音楽通、映画通、おやつやデザート・お茶の時間大好き、そし て何より新しいコトやモノに興味津々。今度のオリーブは〝100%女の 子宣言〟元気に生活する女の子の欲望をすべて満たす、わがままなフ ァッション雑誌。(メディア・リサーチ・センター編 2003)
次に、これら10誌の発行部数の年次推移を概観してみたい。以下の表2-(1)-7・8は、上記10 誌の発行部数の1979年から2005年までの年次推移を青年男性・青年女性向け雑誌にそれぞれ分けて みたものである(なお、以下に示すデータは、『雑誌新聞総かたろぐ』が発行された79年以降の数値と なっている。それ以前のデータは、管見では確認できない)。
表2‐( 1) ‐7 主要青年男性 誌発行部数の年次推移 1979-2005年
0 20 40 60 80 100 120 140
1979 1981
1983 1985
1987 1989
1991 1993
1995 1997
1999 2001
2003 2005
*メディア・リサーチ・センター編『雑誌新聞 総かたろぐ』1979~2005年版を元に作成 単
位
・ 万 部
Hot Dog Press Popeye
Men's non・no 平凡パン チ 週刊プレイ ボーイ
表2 -( 1 ) -8 主 要 青年 女 性 誌発 行 部 数の 年 次 推移 1 9 7 9 -2 0 0 5 年
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180
1979 1981
1983 1985
1987 1989
1991 1993
1995 1997
1999 2001
2003 2005
*メディア・リサーチ・センター編『雑誌新聞総かたろぐ』
1979-2005年版を元に作成 単
位
・ 万 部
an・an non・no JJ olive Can Cam