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クリスマス習俗をめぐる新聞言説の変遷:1945-2005年

ドキュメント内 kyoiku gensetsu to shutaika : hakushi gakui seikyu ronbun (ページ 151-177)

具体的な言説の分析に入る前に、本論の調査概要について述べておきたい。本論の新聞・雑誌言説 調査・インタビュー調査の概要は、以下の通りである。

新聞調査の概要

①調査期間 2006年2月初旬~9月中旬

②調査場所 国立国会図書館・東京都立中央図書館

③調査対象 朝日・読売・毎日・日経新聞の縮刷版およびマイクロフィッシュ資料を利用。1945年から2005

年まで(日本経済新聞のみ1949年から)の各紙12月分すべてに目を通し、記事および広告サンプ

ルを収集。

青年向け雑誌調査の概要

①調査時期 2006年2月初旬~200712月中旬

②調査場所 国立国会図書館・石川財団法人立お茶の水図書館

③調査対象 『平凡パンチ』(マガジンハウス)Popeye(マガジンハウス)Hot dog press(講談社)Men’s non・no』(集英社)・『週刊プレイボーイ』(集英社)・『an・an』(マガジンハウス)・『non・no』(集 英社)JJ(光文社)Can Cam(小学館)Olive(マガジンハウス)各誌を調査対象とし、

創刊年から2005年(それ以前に廃刊のものは廃刊時まで)までの1112月に発行された分すべて に目を通し、記事および広告サンプルを収集。

インタビュー調査の概要

①調査時期 2006年12月初旬~20074月中旬

②調査場所 東京都新宿区/豊島区・神奈川県相模原市

③調査対象者の 選定方法および 調査方法

機縁法〔雪だるま式サンプリング〕インタビュー対象者の斡旋を、調査者の勤務するアルバイト 先の社員に対し依頼。最初の対象者からその友人へと、機縁をつてとして調査対象者に連絡およ び接触。調査者が質問内容を設定した半構造化semistructured面接調査。

④調査対象者の 属性

20代後半・30代前半の男性5名・女性5(1) ・事務職系:男性3名/女性4名 ・介護福祉 職:女性1名 ・フリータアルバイター:男性2

1-(1) 分析対象新聞の発行部数年次推移と読者層

具体的な新聞言説を検討する前に、当該言説の拡がりについてみておこう。図表1-(1)-1は、1979 年から2005年までの両誌の発行部数の年次推移をみたものである。

図 表 1 - ( 1 ) - 1   主 要 全 国 紙 発 行 部 数 の 年 次 推 移         1 9 7 9 - 2 0 0 5 年

0 100 200 300 400 500 600 700

1979 1981

1983 1985

1987 1989

1991 1993

1995 1997

1999 2001

2003 2005

*メディア・リサーチ・センター編・発行『雑誌新聞総かたろぐ』(1979~2005年版)

掲載の数値を元に作成。なお、数値は各紙とも東京本社版(朝刊)。

(

)

朝日新聞 日経新聞 毎日新聞 読売新聞

*『日本新聞年鑑』『朝日年鑑』『読売年鑑』『雑誌新聞総かたろぐ』掲載のABC公査レポートを元に作成。

*四紙の完全なデータを得られるのは1979年以降であるため、図表は当該年からのデータに基づいて作成している。

1979年以降、『毎日新聞』をのぞく三誌に発行部数の増加が確認される。1979年時点と2005年時 点の発行部数を比較すると、『朝日新聞』は1.2倍、『日本経済新聞』は2.7倍、『読売新聞』は1.3倍 に発行部数を伸ばしていることがわかる。また、近年(1995 年以降)の発行部数の推移をみてみると、

最も発行部数の多い「読売新聞」では600~610万部程度の間を推移、次いで発行部数の多い「朝日 新聞」では440~460万部程度の間を推移、「日本経済新聞」では280~300万部程度の間を、「毎日 新聞」では160~162万部程度の間を推移している。これら四紙合計最大で1530万部程度に達して おり、この発行規模の大きさからいって、新聞はマスメディアとして機能しているといえよう。

次に、新聞各紙の購読者層に関するデータをみておこう。以下の図表1-(1)-2~4は、本論で取り 上げる新聞三紙の読者層の職業別比率のデータをグラフ化したものである(毎日新聞は、読者層データ 非公開)。なお、以下の図表データは『雑誌新聞総かたろぐ』2005年版に拠っている。

図表1-(1)-2  読売新聞購読者層の職業別比率 2005年

0 5 10 15 20 25 30

労務職 ・サー

管理

事務

・技術

由業

図表1-(1)-3  朝日新聞購読者の職業別比率 2005年

0 5 10 15 20 25 30 35

・研

・サ

・作

・自

・管

・漁

図表1-(1)-4 日本経済新聞購読者の職業別比率 2005年

0 5 10 15 20 25 30

・保

・証

・卸

・通

・ガ ・水

・鉱

各紙ごとに職業分類が若干異なってはいるものの、各紙ともに共通して、事務系およびサービス系 のホワイトカラー職に就く人々が中心的な読者層を構成していることがわかる。また、各紙共通して、

農林・漁業系の職業に就く人々は読者層としての厚みが最も薄いことが確認されよう。

以上の図表1-(1)-2~4より、本論で扱う新聞上の言説は、社会に広く浸透する可能性をもつ数量 的な厚みを備えたものであり、なおかつその言説は、ホワイトカラー層を中心としながらも、幅広い 職業階層に属する人々によって受容されているものであることを指摘できる。

1-(2) 終戦直後から50年代におけるクリスマス習俗をめぐる新聞報道:1945-1959年 以下では、戦後間もなくの時期において、クリスマス習俗がどのように営まれてきたのかをみてい くことにしよう(2)。なお、以下でみる新聞上の言表は、対象構築的言表というよりもむしろ、事実確 認的言表である。

まず、終戦直後の1945年から50年代において、クリスマスは人々によってどのように過ごされて いたのかをみていこう(3)。表1-(2)-1・2・3・4は、1945~59年の期間における朝日・読売・日経・

毎日の主要全国紙に掲載されたクリスマス習俗をめぐる報道記事を時系列でまとめたものである。以 下の表の左側の欄で「朝451224」とあるのは、朝日新聞1945年12月24日付けの記事であることを 示している。同様に「読」は読売、「毎」は毎日、「日」は日経新聞であることを示す。

記事No. 表1-(2)-1 1945-59年『朝日新聞』クリスマス習俗関連記事一覧

朝461225 二十四日、クリスマス・イーヴ(ママ)―…中野区鷺ノ宮の「愛児の家」でも加藤シヅエ代議士がサンタクロースの代 わりに来て二十三名の孤児に貯金通帳が送られた。〔「Xマス・イーヴ〝孤児の喜び〟」

朝471225 二十四日午後二時ごろ大森駅前の商店街にサンタクローズ(ママ)のおじいさんが現われた。…おじいさんのプレゼン トは、町の有志からの二万円で集めた羽子板、タコ、ノート…〔「街のサンタクローズ」

朝481225

二十四日クリスマス・イヴを迎えた東京の街々は、人であふれた。教会では平和の祈りあちこちで子供や大人のクリ スマスの集いが開かれ、ダンスホールはこれまたオール・ナイトでインフレ紳士と淑女方が踊り狂った。…〔「メリ ー・クリスマス」

朝491224

〝ゴチソウを食べたり、美しく飾ったりするのがクリスマスではありません、クリスマスの心は聖書の中にあります

〟二十三日夕五時ごろ有楽町本社ワキに止まったニュース・カーのようなコバルト色の大型車、屋根の上の4つの拡 声器が街ゆく人に呼びかける。…」〔「心へもXマスの贈物」

朝501223

明日はクリスマス・イブ―都内の不幸なこどもたちを慰める催しが進駐軍の将兵、婦人団体などの間でいろいろ進め られ、また区役所、民間団体が中心のクリスマス行事もいろいろ行なわれる。〔「メリー・Ⅹマス 子供らへ多彩な 催し」

朝501224 二十三日夜の都内盛り場はもっとクリスマス気分でいっぱい。…銀座通りは夜十時頃までクリスマスケーキが飛ぶよ うに売れていた。〔「繰り上げたXマス 土曜の銀座にぎわう」

朝501225 …東京の盛り場は朝からアベックや親子連れでゴッタがえす人の波…一方、キャバレーやホールでは例によって仮装 舞踏会など夜ふけまで乱チキ騒ぎをやらかした…〔「クリスマスさまざま 盛り場はごった返し」

朝511225

東京の盛り場は深更まで人波でごったがえし自動車も走れぬ程、…クリスマス・プレゼント全盛時代とあってデパー ト、商店街では飛ぶような売行き、孤児家―家庭―職場―キャバレーにいたるまで色とりどりのXマス・イヴが更け ていった。〔「Xマス・イヴ 人波に交通事故39件」

朝521220 十九日はクリスマス前、最後の土曜日だったので、東京の盛り場は午後から押すな押すなの大盛況だった。(「一日、

十万人のお客 Xマス景気に百貨店ホクホク」

朝521225 二十四日夜、クリスマス・イブの盛り場…大変な人出。子ども連れやアベックなどは、歓楽極まった千鳥足のクリス マス族に巻き込まれて身動きもできぬ有り様だった。〔「千鳥足のクリスマス族 お巡りさんもオール・ナイト」 朝531224

二十四日のひる下り、東京・数寄屋橋の上からは時ならぬ人ダカリ(ママ)。…相次ぐ投げ込みに神経をトがらした築 地署、今夜のクリスマスのドンチャカ騒ぎに、またまたドブンとやられてはたまらぬと、…非常警戒おさおさ怠りな い。〔「Xマス狂徒に備え 数寄屋橋に浮き輪やボート」

朝531225 ひと月半前からはじまった東京のクリスマス騒ぎは二十四日の晩、クリスマス・イブが大騒ぎ本番―とりわけ銀座通 りの人出は火祭りのような両側歩道をぎっしり埋めつくし…〔「踊る〝クリスマス・イブ〟 銀座八丁は人のウズ」

朝541225

「金持がキャバレーで騒ぐクリスマスはホンものじゃない。キリストは貧乏人の子として馬小屋で生まれた」と二十 四日午後六時から東京浅草のバタ屋さんたちが集まってクリスマスイブのお祝いをした。…東京の盛り場は記録的な 人の出だった。…池袋、新宿、渋谷方面は銀座からの流れ客で酔漢のケンカが続出。交番では二十五日午前二時まで これら酔客の世話に手を焼いていた。〔「二つのXマス・イブ」

朝551224

〝キリストのいないクリスマス〟と世界に有名なこの日本の奇観、毎年のことながらバカといわれようと、乱痴気騒 ぎといわれようと、ここが一年最後の書入れ時とあってはキャバレー、バーのパーティーなるものも年々歳々相変わ ろうはずはなく、もう昨晩からオール・ナイトのキャバレーも現われる有様だ。…若い人や子供たちは、もう「お歳 暮」という言葉にはなじみが薄く、もっぱらクリスマスプレゼントだそうで、ブローチや人形類の売り場はこのとこ ろ特売場なみの人気。〔「浮かれクリスマス 当局事故防止に大童」

朝561223 二十二日夜は〝クリスマス前奏曲〟というので、東京のバー、キャバレー、飲み屋などはオールナイト。(「くりあ げXマス・イブ 天下ご免オールナイト」

朝561224 夕刊

今日二十四日のクリスマス・イーブの都内盛り場の人出は、警視庁では三百万人以上(昨年は三百五十万人)になる ものとみており、相当な混雑が予想されるので、盛り場を持つ警察署では全署員を動員して、徹夜で警戒…〔「警戒 もオールナイト Xマスイーブ 盛り場は大混雑か」

朝561225

昨二十四日のクリスマス・イーブ―静かな信者たちの祈りをよそに銀座だけでもキャバレーやバーのパーティー券十 五万枚以上が売れて〝異教徒〟たちの恒例の酔いどれバカ騒ぎ夜通し繰り広げられたが、しんみりした話もいくつか 転がっていた。*対照的な街での募金活動の報道など〔「盛り場の〝バカ騒ぎ〟よそに 『聖し夜』はここへ」 朝571225

街のバカ騒ぎをよそに、この聖夜、薄幸の友を中心にささやかなパーティーを開いて、心あたたまるクリスマス・イ ブを過ごした仲良しグループがいる。 〔「Xマスのバカ騒ぎよそに 温情温まる友情のパーティーお小遣いを持ち 寄り よるべない保雄君励ます」*孤児を励ますパーティーを催した人々についての報道記事

朝571225

教会で静かに祈りをこめる信者たちと盛り場で夜通し恒例のランチキ騒ぎをくりひろげた〝異教徒〟たち―クリス マス・イブの東京は今年もまた〝聖なるイブ〟と〝酔いどれイブ〟の二つの「前夜祭」で明けていった。…午後八時 ごろの人出はざっと百六十万…〔「聖なる酔ったるXマスイブ 大衆酒場 家族連れで満員」

朝581225 〝異教徒〟たちはオールナイトを禁止された盛り場へ宵の口から殺到、…今年はなべ底景気のためにか、実利的ビヤ ホール、大衆酒場、音楽喫茶などが若い人たちで大入り満員だった。「イーブ 二つの表情」

朝591225

二十四日夜のクリスマス・イブ―東京銀座は例の通り大変な人出で、…築地署では…「キリストが泣く、バカ騒ぎを やめろ」と大通りでビラまきした右翼五人を道交法違反で検挙しおはいり願った。〔「人出二百三十万イブの町ごっ た返す」

*45 年はクリスマス期における消費行動の関連記事なし。

記事No. 表1-(2)-2 1945-59年『読売新聞』クリスマス習俗関連記事一覧

読451226 まる四年ぶり、銃声のないきのふのクリスマス、昼過ぎアメリカの赤十字では在留外国人たちを、またお隣の郵船ビ ルの進駐軍では日本の子供たちを招き二つの「子供の会」が負けず劣らずたのしい時をすごした。「進駐軍から贈物 クリスマス子供の集い二つ」

読461222 楽しいクリスマスも目前に、…宮城前にアメリカ赤十字クラブ主催の花車と、バンドの華やかな大行進・・・〔「サンタ クロースは飛行機に乗って宮城前へ」

読471224 連合軍クリスマス行事の一つ〝Xマス大行進〟は二十三日午後…行列は先頭の白馬にひかれたサンタクロースが立 ち…〝オモチャの國の技師〟など思い思いに意匠こらし…沿道に並ぶ日本人のオトナ(ママ)たちもしばしば童話の 國にひきこまれた…〔「サンタ爺さん・都大路を行く」

読471225 クリスマスイブ、キリストの降誕もさることながら〝人間的余りにも人間的な〟百万長者十名の誕生・・・ *宝くじ 当選の記事〔「Xマス前夜 百万長者十人生る」

読481225 小雨に濡れる銀座の舗道も…うれしそうな人々でざわめき、ホールやキャバレーはもちろんお菓子やおもちゃの店々 までが…客足は夕刻から急ピッチ…なかなかのクリスマス景気であった。〔「雨にぬれるXマス・イブ」

読491224 23日午後一時半から本社ならびに国民クリスマス祭典委員会主催の第1回〝国民クリスマス祭典〟が日比谷公会堂で

ドキュメント内 kyoiku gensetsu to shutaika : hakushi gakui seikyu ronbun (ページ 151-177)