• 検索結果がありません。

第5章 選挙制度

第2節 地方議会議員選挙

2 投票、開票及び当選者の決定方法

投票用紙にはマーク欄、政党シンボルマーク、政党番号、候補者番号及び候補者の氏 名が記載されており、投票は政党名または候補者名欄にチェックを入れることによって 行われる43。地方首長・副首長選挙と同様に、投票実施委員会委員長のサインが入った 有効な投票用紙に政党名または候補者名のどちらか片方にチェックが入っている票が 有効となる(総選挙法第143条,第176条)。

開票及び集計作業は地方首長・副首長選挙と同様の手順で投票終了後直ちに行われ、

地方総選挙委員会が集計結果を認定する。獲得議席の配分は、まず各選挙区の有効投票 総数を集計し、それを当該選挙区の議席数で除することによって、各選挙区での議席計 算基準数(BPP:Bilangan Pembagi Pemilihan)と呼ばれる当選基数を算出する作業 を行う。この当選基数は当選するのに必要な得票数を意味し、政党名と候補者名に投票 された数がこの当選基数を超えた政党に対して議席を配分していく。この方法で配分議 席数に残余が出る場合は、各政党の総得票数から既に配分した基数を除いた数の大きい 順に政党に対して議席を配分する(ヘア=ニーマイヤー式)(総選挙法第211条)。

このようにして各政党の獲得議席数を配分すると、次に各政党の擁立した候補者の中 から当選者を決定する。まず、当該選挙で個人名に投じられた投票数を集計し、当選基 数の 30%以上の票を獲得した者の数が(以下「当選基数獲得者」という。)、当該政党が 獲得した議席数の範囲内である場合はその者が当選者となり、残った議席は名簿上位の 者から順に当選者となる。逆に、当選基数獲得者の数が、当該政党が獲得した議席数を 超えた場合は、当選基数獲得者のうち名簿上位の者から順番に当選者を決定する。なお、

当該政党が議席を獲得した場合で、当選基数獲得者がいなかった場合は、名簿上位の者 から順番に当選者を決定することとなる(総選挙法第214条)。

43 インドネシアは多数政党制であるため2009年総選挙における投票用紙の大きさは54×84 cmと巨大なも のとなっている(2008年総選挙委員会令第34号第5条(4))。また、地方首長・副首長選挙の場合は候補者ペ アの名前を記載する欄に穴を空ける方法で選択されるが、これは次回の地方行政法の改正でチェックを入れる 方式に統一されることが見込まれる。

第3節 大統領選挙・国民議会議員選挙・地方代表議会議員選挙 1 大統領選挙

大統領選挙は地方首長・副首長選挙と同様に候補者ペアを選出する。ただし、個人の 資格での立候補はできず、全て政党が擁立した候補者による争いとなる。候補者ペアを 擁立する事ができるのは、直前に実施される国民議会議員総選挙において、総議席数の

20%以上の獲得または有効投票総数の 25%以上の得票を得た政党または連立政党であ

る。選挙区は全国区のみで、当選するには有効投票総数の50%以上の得票及び半数以上 の州で 20%以上の得票を得なければならない。この要件を満たす候補者ペアがいない場 合は上位2組による決選投票が行われ、多数を得たペアが当選者となる(大統領及び副 大統領選挙に関する2008年法律第42号第9条,第159条)。

2 国民議会議員選挙

国民議会議員選挙は政党が擁立する候補者により比例代表制で実施される。2009年の 選挙では、それぞれの州を 1~11 の選挙区に分け、全国に合計76 の選挙区が設置され ている。各選挙区は県・市単位で構成され、人口に応じて3~10の定数が設定されてい る(総選挙法別表)。

選挙制度は地方議会議員選挙とほぼ同様となっているが、政党は全国の総集計におい て有効投票総数の 2.5%以上の得票を得なければ議席の配分に加わることはできず、ま た、議席の配分については地方議会議員選挙と若干異なる。例を挙げると、当選基数を 算出して議席を配分していく第1段階の議席配分までは同様であるが、第1段階の配分 で配分議席数に残余が出る場合に各政党の総得票数から既に配分した基数を除いた数 の大きい順に政党に対して議席を配分する地方議会議員選挙と異なり、第2段階として、

第1段階の当選基数の半数を新たな当選基数に設定し、各政党の得票残数に対して議席 の配分を行う等、議席配分が複雑化されている(総選挙法第205条~第 209条)。

また、国民議会議員選挙についてのみ、インドネシア国外に居住する国民も投票に参 加することができる。投票はインドネシア共和国の在外公館で投票日と同時または投票 日に準ずる日に行われ、在外投票所で投票できない場合は在外選挙委員会への郵送によ って投票することができる(総選挙法第157条)。

3 地方代表議会議員選挙

地方代表議会議員選挙は個人候補者によって争われ、各州に4議席が配分され、2009 年の選挙では合計132議席を争う。選挙区は州であり、得票の上位4名が当選する大選 挙区制となっている(総選挙法第30条,第31条)。

この選挙は他の選挙制度と異なり、立候補できるのは個人のみであり政党が候補者を

擁立することはできない。そのため立候補を行おうとする者は、地方首長・副首長選挙の 個人候補者と同様に、当該州の住民から一定数の支持を集める必要があり、その数は以下 のとおりとなっている。この支持は当該州の過半数以上の県・市から広範に集めなければ ならないとされている。

a. 人口100万人未満の州 有権者1000人以上の支持 b. 人口100万人以上500万人未満の州 有権者2000人以上の支持 c. 人口500万人以上1000万人未満の州 有権者3000人以上の支持 d. 人口1000万人以上1500万人未満の州 有権者4000人以上の支持 e. 人口1500万人以上の州 有権者5000人以上の支持

(総選挙法第13条(1))

<主要参考文献>

【日本語書籍・論文】

インドネシア総選挙と新政権の始動 松井和久・川村晃一編著(明石書店 2005年)

【参照法令(日本語・英語)】

地方行政に関する2004年法律第32号(日本語)

((独)国際協力機構インドネシア共和国地方行政人材育成プロジェクトHP)

【参照法令(インドネシア語)】

地方行政に関する2004年法律第32号 総選挙実施組織に関する2007年法律第22号 総選挙に関する2008年法律第10号

地方行政法を一部改正する2008年法律第12号

大統領及び副大統領選挙に関する2008年法律第42号