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第4章 地方政府

第4節 地方議会の組織・運営

2 地方議会の機関

イ ン ド ネ シ ア の 地 方 議 会 は ① 議 長 団 (Pimpinan)、 ② 議 会 運 営 委 員 会 (Panitia Musyawarah)、③常任委員会(Komisi)、④懲罰委員会(Badan Kehormatan)、⑤予 算委員会(Panitia Anggaran)、⑥その他の機関で構成され、その他の機関には、本会 議から付託された議事について審議する特別委員会(Panitia Khusus)が含まれる。

(1)議長団

議長団とは、議長及び副議長を指す。議員数が 45 名以上の州議会の議長団は 1 名 の議長と3 名の副議長、議員数が45名未満の州及び県・市議会の議長団は1 名の議 長と 2 名の副議長で構成され、議長団の候補者は会派37から擁立され、本会議におけ

37 会派(Fraksi)はインドネシアの地方議会で議員が活動する基本単位であり、各会派には最低5名以上の

地方議会議員が所属しなければならない。会派の結成に必要な最低人数を満たさない政党は5名以上になるよ うに統一会派を結成する。会派は議長団の候補者の擁立、各委員会の委員の人選の提案、5名以上の議員の連 名で提案が可能な地方条例案の立案、地方議会の審議において会派としての意見の表明、等を行う。

る選挙において多数を得たものが当選するが、議長と各副議長はそれぞれ別の会派か ら選出される。議長団は議会の運営に関して責任を有し、議事進行や議案に関する地 方首長や地方政府の機関との協議、地方議会の議事進行、地方議会のスポークスマン として地方議会の決定事項を社会に周知する役割、法廷内外で地方議会を代表する役 割等を有する(議会令第9条~第 14条,第44条)。

(2)議会運営委員会

議会運営委員会は常設の機関であり、選挙後の最初の議会において組織される。議 会運営委員会は各会派からの代表で構成され、議長団もその職責上議会運営委員会の 委員を兼ねる。その人数は議員総数の半数以下とされている。議会運営委員会の主な 機能は、a.議会の行動計画の立案に対して提案し意見を表明すること、b.議会日程及 び議題を決定すること、c.議会内で意見の対立が生じた場合の調整及び裁決を行なう こと、d.議会の活動内容に対して意見を表明すること、e.特別委員会の設置を提案す ること、であり、各委員は所属会派の意見調整を行い、議会運営委員会での議論を各 会派にフィードバックする役割を有している(議会令第46条,第47条)。

(3)常任委員会

常任委員会は常設の機関であり、選挙後の最初の議会ににおいて組織される。議長・

副議長を除く全ての議員は1つの常任委員会に必ず所属しなければならず、議員の各 常任委員会への配属や他委員会への異動については議員が所属する会派からの提案に 基づき本会議で決定・任命され、委員長・副委員長・書記は委員によるの互選で選出 され本会議に報告される。常任委員会の設置数は上限が設定されており、州議会の場 合が5常任委員会、県・市議会の場合が4常任委員会までとされ、それぞれの常任委 員会の委員数は同数となるように設定される(議会令第48条)。

常任委員会の主な機能は以下のとおりである。

a. 地方条例案及び地方議会決定に関する検討を行うこと

b. 各常任委員会の所管分野に関する開発、地方政府の行政運営、及び社会問題を 監視すること

c. 地方首長や住民から地方議会に対して寄せられた諸問題に関して、議長団によ る解決策の検討を補佐すること

d. 民意を集約・調整し、議論を通じて対応すること e. 作業会議を設け、ヒアリングを行うこと

f. 議長団に対して、各常任委員会の所管分野に関する諸事項を提案すること。

(議会令第49条)

〔参考:スラバヤ市の常任委員会の活動〕

スラバヤ市議会事務局における聴取によれば38、スラバヤ市議会における常任委員 会は日本の地方議会における委員会とは全く異なるものであり、本会議から付託され た条例案を議論する場ではない。審議を行なう場というよりは所管分野を専門とする 議員同士の懇談会や勉強会という方が適切である。スラバヤ市では 4つの常任委員会 が設置されており、それぞれA委員会(法律・行政分野)が所属議員10名、B委員 会(経済・財政分野)が所属議員11名、C委員会(開発分野)が所属議員11名、D 委員会(社会福祉分野)が所属議員10名となっている。

常任委員会は各分野別の行政課題の勉強や住民からの要望を調整する機能を有し ており、様々なチャネルから本会議で議論すべきことを探すことが求められる。最も 基本的な活動は作業会議であり、地方政府の各部局の職員を同席させてテーマ毎の行 政課題に関しての勉強会の開催や、住民からの要望の手紙が届いたり、デモが起これ ばその内容の検討を行ない、視察やヒアリングを通じて住民の行政ニーズの把握に努 めている。これらの活動を通じて取りまとめられた結果は議長団に報告され、本会議 での議題として採用され、あるいは結果をもとに作成した地方条例案が提案される。

スラバヤ市議会では常任委員会からの条例提案を推奨しており、1つの常任委員会は 年間最低3本の条例を立案するという内規を有しており、地方議会が提案した条例案 は2007 年には15案あり、うち8条例が成立した。地方条例案等の審議に関しては、

本会議から付託された条例案の審議は、法令上は常任委員会、合同委員会、または特 別委員会によって審議されているが、スラバヤ市においては、すべての条例案を臨時 に設置する特別委員会で審議しており、常任委員会として審議を行なうのは当該常任 委員会に関係する地方議会の予算に関する議案のみである。

常任委員会は議会の休会期間及び役所の休業日を除き毎日開催されており、スラバ ヤ市議会議員は議会にほぼ毎日登庁している。休会期間についても次ページで紹介す る「民意の網」の収集活動を行っており、議員は通年で毎日のように拘束されるとこ ろが日本の地方議会との対比において特徴的である。

(4)懲罰委員会

懲罰委員会は、常設の機関であり本会議において組織される。懲罰委員会委員は、

最低3名・最高7名の委員で構成され、その任命の提案は本会議において議長団によ って行なわれる。委員には地方議会議員の他に外部の者を任命することとされ、委員 数は奇数とされ、議会の外部からの委員の数が多くなるよう設定されており、委員が 3名の場合は1名の議員と2名の外部の者で、委員が7名の場合は3名の議員と4名 の外部の者で構成する。懲罰委員会の機能は、議員の行動が法令、倫理規定、秩序規

38 スラバヤ市議会事務局長ヒアリングによる。

定等を遵守しているかを監視・評価すること、議員が法令や倫理規定に違反していな いかを調査すること、地方首長や住民から寄せられた告発を調査・裁決し必要な対応 を講じること、調査結果を踏まえて議員の罷免を提案すること、調査によって告発が 事実でないとした場合、議長団に対して名誉回復の措置を講じるよう勧告を行うこと、

等である(議会令第50条,第51条)。

(5)予算委員会

予算委員会は各常任委員会から1名ずつの委員、議会の構成に応じた各会派からの 代表により構成され、議長・副議長もその職責上予算委員会の委員を兼ねており、本 会議において任命される。予算委員会の主な機能は、翌年度の予算条例が成立する少 なくとも5ヶ月前までに、地方首長に対して予算の編成に関する意見書を提出するこ と、地方首長から提出された予算条例案及び補正予算条例案を審議し議決すること、

地方議会予算の編成に関して議会事務局に対して意見を表明すること、等である(議 会令第52条,第53条)。