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連分数と格子点

ドキュメント内 , n (ページ 121-125)

ここで,ωを与えられた無理数とする.このときα=ω, β =−1, γ= 1, δ= 0とすれば= である.よってh= 1

n, k=nとすれば,

|ωx−y|<= 1

n, |x|<=n

となる原点以外の格子点(x, y)が任意の正数nに対して存在する.nを消去すると

|ωx−y|<= 1 x

となる.ゆえにこれは近似定理(定理42)の別証明になっている.

練習問題 15.1 (解答52) a, b, cは実数で,a >0, D=b24ac <0 ならば,

ax2+bxy+cy2<=2

−D π は (0, 0)以外の整数解をもつ.

連分数による実数の近似と格子

無理数ω を近似分数で近似する過程は格子点でどのように作図されるのか.

ω =

à q0 1 1 0

!

· · ·

à qk 1 1 0

! ωk+1

=

à Pk Pk−1

Qk Qk−1

! ωk+1

で Ã

Pk

Qk

!

=

à Pk−1qk+Pk−2

Qk−1qk+Qk−2

!

となるのであった.

このとき点Ak(Pk, Qk)は次のように作図される.

xy座標と正方格子を準備する.

A−2

A−1

A0

A1

y=ωx

x y

まず直線 y =ωx を描く.この直線をω線 と呼 ぶ.A−2(1, 0), A−1(0, 1) とおく.直線 x= 1 上, y = ωx を越えない y 座標最大の格子点が A0(1, q0)である.

次にA−1(1, 0)を通り, −−→OA0 に平行な直線 l1 : −−−→

OA−1+t−−→

OA0

= (t, tq0+ 1) を引く.

tq0+ 1>=ωt ⇐⇒ 1 ω−q0

>=t

であるから, 1 ω−q0

>=tを満たす最大の整数q1 は,この直線ω線 を越える直前の格子点を与え る整数 tであることがわかる.このtq1 とおく.

このときその格子点がA1である.つまり

A1(q1, q0q1+ 1)

確かに Ã

q0 1 1 0

q1 1 1 0

!

=

à q0q1+ 1 q0

q1 1

!

なので P1=q0q1+ 1, Q1=q0 である.

Ak−2, Ak−1が定まったときに直線

lk : −−−−→OAk−2+t−−−−→OAk−1

= (Qk−2+tQk−1, Pk−2+tPk−1) を引く.Ak は一般に偶数ならω線 の下に,奇数なら ω線 の上にある.

ω=

à Pk−1 Pk−2

Qk−1 Qk−2

!

, ωk= ωkPk−1+Pk−2

ωkQk−1+Qk−2

であるから,

ω(Qk−2+tQk−1)−Pk−2+tPk−1>0

⇐⇒ ωkPk−1+Pk−2

ωkQk−1+Qk−2 tPk−1+Pk−2 tQk−1+Qk−2 >0

⇐⇒k−t)(Pk−1Qk−2−Pk−2Qk−1) = (−1)kk−t)

したがって,ωk に下から(k偶数のとき),または上から(k奇数のとき)もっとも近いtを決 定することは,直線lkω線 を越える直前の格子点を決定することと同値になり,この格子点が Ak である.

Ak−2

Ak−1

Ak

B N

x y

t= 1 からAkを与える tまでの各 t の値に 対して順次線分Ak−2Ak上の格子点が定まり,

これ以外にはない.

このように直線Ak−2Ak の傾きはω線 の傾 きに近づき,ω線 の両側にできる二つの折れ 線A−2A0A2A4· · ·とA−1A1A3A5· · ·の間に は格子点が一つも存在しない.

格子点Ak は,Akω線 に関して同じ側に

ありそのx座標がAkx座標より小さいど の格子点より,ω線 に近い.

このことを定式化することにより次の定理が得られる.

定理 51

ω は与えられた無理数,Aは与えられた正の定数で,

0< x <=A とする.

(1) ωx−y を正で最小にする格子点(x, y)は,Q2n < Aを満たす最大の2nを kとするとき,

線分AkAk+2上の格子点でx座標がAを越えないものによって与えられる.

(2) y−ωx を正で最小にする格子点(x, y)は,Q2n−1< A を満たす最大の2n1 を kとす るとき,線分AkAk+2上の格子点でx座標がAを越えないものによって与えられる.

(3) (ラグランジュの定理)|ωx−y| を最小にするxy の整数値は x=Qn, y=Pn

である.ただし,Pn, Qnω の連分数展開から得られる近似分数 Pn

QnAを越えない最 大分母,すなわちQn<=A < Qn+1となるものの分子分母である.

証明

(1) ωx−yω線 と格子点(x, y)のy軸方向に関する距離であるがその大小と,格子点(x, y)

ω線 との垂直距離の大小とは一致する.このことに注意すればすでに証明は済んでいる.

(2) (1)と同様である.

(3) 図のように,線分Ak−2Ak上の他の格子点をBとし, Ak−2Akω線 との交点をL とする.

OAk−1 と Ak−2Akは平行なので格子点 Ak−1, Ak−2, B, Akω線 との距離は,OAk−1, LAk−2, LB, LAk と比例している.

明らかに格子点Bからω線 への距離はAk−1 からω線 への距離より大きい.

したがって題意をみたす格子点はAnのなかでx座標が Aを超えない最大のものによって

与えられる. ■ 

一次形式x−ωy で,xと y は整数値のみをとるとし,さらに y6= 0とする.このときこの一 次形式の絶対値はいくらでも小さくすることができた.つまり無理数ω は有理数 Pn

Qn

¯¯

¯¯ω− Pn

Qn

¯¯

¯¯< 1 Qn2

と近似することができた.ところがここでもし近似有理数の分母の範囲に制限を加えるとどうなる か,というのがこの定理の趣旨である.この定理の証明は格子点の考察なしにおこなうこともでき るが,格子点を用いる方がはるかに明瞭になる.

格子点の理論を用いて,無理数の近似の程度の関するさらに詳しい結果を紹介しよう.

定理 52 (ヴァーレンの定理)

隣りあう二つの近似分数の少なくとも一方は

¯¯

¯¯ω− Pn

Qn

¯¯

¯¯< 1 2Qn2

を満たす.

証明

x y

A B

M N

C

L

A(Q, P)と B(Q0, P0)を隣りあう二つの近似分 数に対応する格子点とする.平行四辺形 OACB を作る. Q0 > Q とすれば Bが A よりもω線 に近い( AM>BN ).ゆえにAL>BL が成り 立つ.

4LAM>4LBN したがって

4OAM +4OBN<4OBA = 1 2 ゆえに 4OAM または 4OBN のいずれかは 1

4 より小さい.

しかるに

4OAM = 1

2|Q(Qω−P)|, 4OBN = 1

2|Q0(Q0ω−P0)|

|Q(Qω−P)|<1

2, または|Q0(Q0ω−P0)|< 1 2

つまり題意が示された. ■ 

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