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平方剰余の相互法則

ドキュメント内 , n (ページ 77-82)

2が法113に関する平方剰余であるか,非剰余であるか,つまり µ 2

113

を決定する方法はある のか.一般に

µp q

を求める方法は.これは初等整数論の基本問題である.これについてガウスが 整数論の基本定理と呼んだ大変美しい定理が成り立つ.それが平方剰余の相互法則である.これ はこの『初等整数論』全体でもいちばん山場の定理である.ぜひ数学好きの高校生に「平方剰余の 相互法則」を理解しその美しさを味わってもらいたい.

定理 32 (平方剰余の相互法則) p, q を相異なる奇素数とする.

(1) 平方剰余の相互法則: µp

q

¶ µq p

= (−1)p−12 ·q−12

(2) 第一補充法則: µ1

p

= (−1)p−12

(3) 第二補充法則: µ2

p

= (−1)p28−1 各法則の意味は次の通りである.

(1) p−1

2 と q−1

2 のいずれもが奇数のときにかぎり(−1)p−12 ·q−12 =−1である.ゆえに p≡1 (mod.4)またはq≡1 (mod.4) =

µq p

= µp

q

p≡q≡3 (mod.4) =

µq p

= µp

q

(2)

µ1 p

= (−1)p−12 =

( 1 (p≡1 (mod.4) のとき)

−1 (p≡3 (mod.4) のとき) (3)

µ2 p

= 1 ⇐⇒ p≡1, 7 (mod.8) µ2

p

=−1 ⇐⇒ p≡3, 5 (mod.8)

相互法則はすでにオイラー(Leonhard Euler,1707〜83)が多くの実例から帰納的に発見してい た.ルジャンドル(Adrien Marie Legendre,1752〜1833)が定理32のような形式で表し,その証 明を試みた.彼はその証明の中で,初項と公差が互いに素な無限等差数列(算術級数)のなかに素 数が存在することを,証明なしに用いている.そのため証明は完全ではなかった.

相互法則を最初に完全に証明したのはガウス(Karl Friedrich Gauss,1777〜1855)である.ガウ スは相互法則を整数論の基本法則と名づけ,なんと七つのまったく異なる証明を与えた.「ガウスの 予備定理」を用いるいちばん初等的な第三の証明法,および「ガウス和」を用いる第四の証明法に よって,証明する.

まず「ガウスの予備定理」の証明からはいる.

定理 33 (ガウスの予備定理) apで割り切れないならば

1·a, 2·a, 3·a, · · ·, p−1

2 ·a, (41)

pで割るとき,その剰余の中に p

2 より大きいものがn個あれば,

µa p

= (−1)n

例 10.2 a= 3, p= 7のとき p−1

2 = 3で3, 6, 9 を7で割った剰余は3, 6, 2である.した がってn= 1で

µ3 7

=−1 .実際,法7に関する平方剰余は1, 2, 4であり, 3, 5, 6 が非剰余で ある.

証明 法pに関する剰余のうち p

2 より大きいものについて,それからpを引くと,絶対値におい て p

2 より小さい剰余を得る.pを法とする剰余をこのように絶対値で最小になるようにとると,n はそのうち負な剰余の個数である.(41)の数の絶対値最小な剰余は

±1, ±2, · · ·, ±p−1 2

の中にある.(41)のなかのどの二つの和も差もpでは割りきれないので,(41)の絶対値最小剰余 はすべて異なるのみでなく,(41)のなかに絶対値が等しいものもない.(41)の p−1

2 個の数は絶 対値をとると1, 2, · · ·, p−1

2 と一対一に対応し,そのうちn個が負である.よって 1a·2a·3a· · ·p−1

2 a≡(−1)n1·2· · · · · p−1

2 (mod. p) すなわち

ap−12 (−1)n (mod. p) ゆえにオイラーの規準(定理30)から

µa p

(−1)n (mod. p) である.ところが両辺とも ±1でかつpが奇数なので

µa p

= (−1)n

■  定理32の証明先に二つの補充則を示さなければならない.

第一補充則の証明.

オイラーの規準をa=−1 で用いると得られる.

µ 1 p

(−1)p−12 (mod. p) pは奇数であるから µ

1 p

= (−1)p−12 あるいはガウスの予備定理をa=−1で用いる.(41)の数は

−1, −2, −3, · · ·, −p−1 2

であるが,これらがすべて絶対値最小剰余である.つまり,n=p−1 2

µ1 p

= (−1)p−12 第二補充則の証明.

ガウスの予備定理をa= 2で用いる.(41)の数は

2, 4, 6, · · ·, p−5, p3, p1 となる.このうち p

2 より大きいものの個数がnである. p

2 <2k は p−2< p

2 と同値であるか ら,その個数は1, 3, 5· · ·のなかの p

2 より小さいものの個数でもある.p−1

2 が奇数ならここま で,p−1

2 が偶数なら p−1

2 1までである.いずれにせよ,

n≡1 + 3 +· · ·+ µp

2より小さい奇数

1 + 2 + 3 +· · ·+p−1

2 (mod.2) すなわち

n≡ 1 2·p−1

2

µp−1 2 + 1

=p21

8 (mod.2)

∴ µ2

p

= (−1)n= (−1)p28−1

相互法則の証明.

xy平面上に点A µp+ 1

2 , 0

¶ とB

µ

0, q+ 1 2

をとり点C µp+ 1

2 , q+ 1 2

とする.

O A

B C

G

G0

H

H0 L

p 2 q

2

直線 y = q

pxを引く.点 L µp

2, q 2

とする.OACB の内部で直線OL上に格子点はない.さ て,c= 1, 2, · · ·, p−1

2 として,cqpで割った絶対値最小剰余をrとする.直線x=c と直 線 OLの交点がP

µ c, cq

p

¶ で,

¯¯

¯¯r p

¯¯

¯¯は直線x=c上の格子点でP にもっとも近いものとの距離に なり.この格子点がPより上にあるときrは負である.

ガウスの予備定理をa=qで考えると,そこにおけるnは各cに対して直線x=c上P µ

c, cq p

より上にあり,距離が 1

2 より小さい格子点の個数である.いま直線 OL を y 軸の正の方向に 1 2 だけ平行移動した直線をGG0 する.nは平行四辺形OLG0Gの内部にある格子点の個数である.

同様にガウスの予備定理で µp

q

= (−1)mとなるmは直線OLをx軸の正の方向に1 2 だけ平 行移動した直線をµ HH0 とするとき,平行四辺形OHH0Lの内部にある格子点の個数である.

p q

¶ µq p

= (−1)m+n におけるm+nはこの二つの平行四辺形の内部にある格子点の個数であ る.小四角形LH0CG0 を付け加えて六角形OGG0CH0Hの内部の格子点の個数もやはりm+n

ある.六角形OGG0CH0Hは OC の中点 µp+ 1

4 , q+ 1 4

を対象の中心として点対称である.し たがって六角形 OGG0CH0H内の格子点は

µp+ 1 4 , q+ 1

4

が格子点であるときはこれを除いて その他の格子点は対象の中心に関して二つずつ組になっている.

したがってm+nが奇数であるか偶数であるかは,点 µp+ 1

4 , q+ 1 4

自身が格子点であるか ないかによって決まる.つまりm+nが奇数であるのは,p+ 1

4 , q+ 1

4 がともに整数s, tとなる ときにかぎる.p−1

2 = 2s1, q−1

2 = 2t1 なので,これは p−1 2 , q−1

2 がともに奇数にな ることと同値である.

これで相互法則が証明された. ■ 

相互法則その他を活用してpaが与えられたとき, µa

p

の値を計算することができる.

例 10.3 p= 23 µ1

23

= 1 ( 1 = 12 ) µ2

23

= 1 ( 237 (mod.8), 第2補充法則) µ3

23

= µ23

3

= µ2

3

=−(−1) = 1 (相互法則, 第2補充法則) µ4

23

= µ 2

23

2 µ = 1

5 23

= µ23

5

= µ2

5

= µ1

5

¶ µ2 5

= 1(−1) =−1 (相互法則, 第1,第2補充法則) µ6

23

= µ 2

23

¶ µ 3 23

¶ µ = 1

7 23

= µ23

7

= µ2

7

=−1 (相互法則, 第2補充法則) µ8

23

= µ 2

23

3

= 1 µ9

23

= µ 3

23

2 µ = 1

10 23

= µ 2

23

¶ µ 5 23

=−1 µ11

23

= µ23

11

= µ 1

11

=−1 (相互法則) µ17

23

= µ23

17

= µ6

17

= µ 2

23

¶ µ 3 17

= µ3

17

= µ17

3

= µ2

3

=−1 (相互法則, 第2補充法則)

練習問題 10.1 (解答43)

µ365 1847

を求めよ.

練習問題 10.2 (解答44) pが8k+ 1 または8k+ 3の形の素数であるときにかぎって µ2

p

= 1

を示せ.

練習問題 10.3 (解答45) pが5k±1 の形の素数であるときにかぎって µ5

p

= 1 を示せ.

練習問題 10.4 (解答46) pが12k±1の形の素数であるときにかぎって µ3

p

= 1 を示せ.

練習問題 10.5 (解答47) pp≡1 (mod. 4)の形の素数のとき

p−1

X2

a=1

µa p

= X

0<=b<=pの偶数

µb p

= X

0<=c<=pの奇数

µc p

= 0

ドキュメント内 , n (ページ 77-82)