例 8.1
ϕ(5) = 4 134≡1 (mod.5) 134−1 = 5×5712 ϕ(5) = 4 114≡1 (mod.5) 114−1 = 5×2928 ϕ(11) = 10 210≡1 (mod. 11) 210−1 = 11×93 ϕ(12) = 5 55≡1 (mod.12) 55−1 = 12×52 ϕ(60) = 60
µ 1−1
2
¶
× µ
1−1 3
¶ µ 1−1
5
¶
= 16 716≡1 (mod. 60) 716−1 = (7−1)(7 + 1)
×(72+ 1)(74+ 1)(78+ 1)
上の例で13の場合は4乗して初めて1 (mod.5) となるが,11の場合は2乗した段階ですで に 1 (mod.5) である.
aのべきの中でae≡1 (mod. m)となる最小のeをa の法m に関する指数という.
定理 24
aの法mに関する指数をeとする.このとき ak ≡1 (mod. m)となったとすればkは eの 倍数である.特にϕ(m)はeの倍数である.逆にいうと法mに関する指数となりうるのはϕ(m) の約数にかぎる.
証明 kを eで割った商をq,余りを rとする.
1≡ak =aeq+r≡ar (mod. m)
ここで 0<=r <1 であるが,もしr6= 0ならar≡1 (mod. m)となる正の整数rがあることに なりeの最小性に反する.ゆえに r= 0.つまり kはeの倍数である. ■
練習問題 8.1 (解答31)[奈良女子大改題]
(1) 素数pと1<=r <=p−1なる整数rに対して, 二項係数のについての等式rpCr=pp−1Cr−1
を証明し,pCr はpの倍数であることを示せ.
(2) 素数pに対して2p をpで割った余りを求めよ.
(3) 自然数nに対してnp を pで割った余りを推測し,数学的帰納法で証明せよ.
練習問題 8.2 解答32) aの法mに関する指数を eとする.整数ak の指数は e
(k, e) である.
算術級数の定理(ディリクレの定理)
初項a(>0) と公差 d(>0) がともに自然数でかつ互いに素であるような算術級数(無限等差数 列)の項の中には素数が無数に存在する.
算術級数の定理を完全に証明したのはディリクレ(Dirichlet)である(1837).この定理の証明は 難しい.級数の理論を整数問題に応用する『解析的整数論』の発端となった.ここでa= 1の場合 について証明をしよう.
定理 25
mを任意の自然数とする. mt+ 1 型の素数が無限に存在する.
証明
【1】 4n−1 型の素数が無数にあることを示す.
4n−1型の素数が有限個しかないとし,その最大のものをpとする.4n−1 型の素数すべての 積に4をかけ1を減じた数をaとする.つまり
a= 4(3·7·11· · · ·p)−1 aが素数なら,これがpより大きい4n−1型の素数である.
aは合成数とする.aは4で割ると−1余るので奇数である.したがってその約数はすべて奇数 であるから,4で割って1または−1余る.4k+ 1型の数をいくらかけても4k+ 1型の数になる ので,4n−1 型の数の約数の中には必ず4n−1型の数がある.したがってaが合成数ならその素 因数の中に4n−1型のものがある.
ところがこれは3からpの4n−1型の素数のいずれとも互いに素であるから,それより大きい.
したがって pが4n−1 型の素数の最大のものであることと矛盾した.つまり4n−1 型の素数が 無数にあることが示された.
【2】 4n+ 1 型の素数が無数にあることを示す.
4n+ 1型の素数が無数にあることは簡単ではない.その証明にはフェルマの小定理が必要であ る.フェルマの小定理を応用して4n+ 1 型の素数が無数にあることを証明しよう.
その基本となる事実は,x2+ 1の形をした数の素因数は2 かまたは4n+ 1型の素数にかぎる,
ということである.いくつか調べてみると
12+ 1 = 2, 22+ 1 = 5, 32+ 1 = 2·5, 42+ 1 = 17, 52+ 1 = 2·13, 62+ 1 = 37, · · · で確かにそうなっている.
つねに成立することは,次のように示される.
x2+ 1が 2以外の素数pで割り切れるとする.
x2+ 1≡0 (mod. p) つまり
x2≡ −1 (mod. p) ゆえに
x4≡1 (mod. p)
ところが xの指数は4である.そうでなければ4の約数の1か2の指数で x≡1 (mod. p) , または x2≡1 (mod. p) いずれからも x2+ 1≡0 (mod. p)とあわせて
−1≡1 (mod. p)
となる. p6= 2なのでこれはあり得ない.したがって定理24により,p−1は4の倍数である.
これをp−1 = 4nとすれば
p= 4n+ 1
この事実の応用として4n+ 1型の素数が無数にあることが示される.
4n+ 1型の素数が有限個しかないとする.その最大のものをpとし,2とそれら4n+ 1型の素 数すべての積の平方に1を加えた数をaとする.つまり
a= (2·5·13· · · ·p)2+ 1
このとき,もしaが素数ならa= 4(5·13· · · ·p)2+ 1より4n+ 1 型の素数である.
もし合成数ならその素因数qは奇数であるから2ではなく4n+ 1型の素数である.しかしaは pまでの4n+ 1 型の素数では割り切れないから,q はpより大きい4n+ 1型の素数である.
つまりpが4n+ 1型の素数で最大のものであることに反した.ゆえに4n+ 1型の素数が無数 にあることが示された.
【3】 mt+ 1 型の素数は無数に存在することを示す.
mを2以上の任意の整数とする.初項が1で公差がmの等差数列の中に無数の素数が存在して いる.
この証明は,m= 4の場合つまり4n+ 1型の素数が無数に存在することの証明を一般化する ことで得られる.4n+ 1型の素数が無数に存在することの証明に現れたx2+ 1は何か.それは定 理19のF4(x)に他ならない.1の原始4乗根±iのみを根とする多項式である.
そこで与えられたmに対して Fm(x)を考えよう.まずaを任意の整数としてFm(a)6=±1 の ときFm(a)の素因数はmの約数,またはmt+ 1の型のものにかぎられことを示さなければなら ない.定理22によって次の等式が成り立つ.
xm−1 =Fm(x)G(x) ここで G(x)は xの整数係数の整式である.ゆえに
am−1 =Fm(a)G(a)
において,Fm(a), G(a)は整数であるから,いま素数pを Fm(a)の素因数とすれば,am−1も pの倍数である.つまり
am≡1 (mod. p) aの指数を eとする.定理21からeはmの約数で
m=ef
とおける.ここでm > eとすれば xm−1はxe−1を因数にもつが,一方xe−1とFm(x)は共 通因数をもたないので(Fm(x)の根はm乗してはじめて1となるものであるから)
xm−1 = (xe−1)Fm(x)H(x)
ここでG(x) = (xe−1)H(x)が整数係数なのでH(x)も整数係数の整式である.両辺をxe−1 で 割る.
xe(f−1)+xe(f−2)+· · ·+xe+ 1 =Fm(x)H(x) x=aを代入してae≡1 (mod. p)を用いれば
f ≡Fm(a)H(a)≡0 (mod. p) ゆえに pはf の約数,したがって m=ef の約数である.
次にm=eならmがaの指数であるからmはp−1の約数である.つまりp=mt+ 1と書け る.ゆえに,Fm(a)6=±1のときFm(a)の素因数はmの約数,またはmt+ 1の型のものである ことが示せた.特に aをmに含まれるすべての素因数の積の倍数とすれば,am≡1 (mod. p) より(a, p) = 1なのでpは mの約数ではあり得ない.したがってこのようなaをとるならpは 必ずmt+ 1の型の素数である.
例えばm= 12とする.
x12−1 = (x6−1)(x6+ 1) = (x6−1)(x2−1)(x4+x2+ 1) で F12(x) =x4+x2+ 1 .a= 6とすると
F12(6) = 64−62+ 1 = 1261 = 13×97 で
13≡1, 97≡1 (mod. 12)
Fm(a)6=±1 を仮定しているが,Fm(a) =±1となる a はもちろん有限個なのでそれ以外のa はをとればよい.ゆえに任意の整数m に対してmt+ 1型の素数が存在することが示された.
もしmt+ 1 型の素数が有限個しかなければ,最大のものをp=mt+ 1とする.
m は任意なので m の代わりにmpをとると p0 =mpt+ 1 型の素数もまた存在する.ところ が p0 は mt+ 1型の素数でもありしかもpより大きい.したがってpの最大性と矛盾するので,
mt+ 1 型の素数は無数に存在する. ■
次の練習問題と演習問題は,『めざせ,数学オリンピック』(J.コフマン,現代数学社)に教えら れた.
練習問題 8.3 (解答33) 因数分解
x2k+1+ 1 = (x+ 1)(x2k−x2k−1+x2k−2− · · · −a+ 1)
を活用して,任意の自然数 nに対して(n!)2+ 1の素因数はすべて4n+ 1型の素数であることを 示せ.これから4n+ 1 型の素数が無数にあることを示せ.